『子午線の祀り』新演出で上演!野村萬斎「新たな旅立ちである」


「平家物語」に材をとった不朽の名作『子午線の祀り』が、世田谷パブリックシアター開場20周年記念として新たに生まれ変わり、2021年に上演されることが明かされた。

本作は木下順二が「平家物語」を題材に“天”の視点から人間たちの葛藤を描き、平知盛や源義経をはじめとする源平合戦に関わった登場人物たちを躍動感をもって浮き彫りにし、心理描写も巧みな壮大な歴史絵巻に仕立て上げた戯曲。1979年に初演され、その後も日本演劇史を1つの作品で体現する唯一無二の舞台として高く評価されてきた。

野村萬斎の演出で上演された2017年版は、宇宙的な視座を持つ作品の深い考察、個人と全ての人間の運命を包み込む宇宙の対比、群読による日本語の美しい響きと身体性を活かしたダイナミックな演出が高く評価され、読売演劇大賞最優秀作品賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞。

そしてこのほど2017年版をベースにしながらも、戯曲の芯を捉え直し、演出の濃度を増して、機動力のある舞台を新たに目指すことが決定。

2017年版の出演者31名から今回は17名に再編成を行い、群読チームの若手の中から伊勢三郎役への抜擢や、また新たに梶原平三景時役に吉見一豊を迎え、さらに機動力を増した布陣で本作に挑む。

コメント紹介

◆世田谷パブリックシアター芸術監督・野村萬斎(子午線の祀り演出 新中納言知盛役)
1979年の初演より半世紀を過ぎて尚輝く名作。2017年の新演出では、数々の賞を頂きました。何故この作品がこれまで息長く、また時代に合わせたアップデートに耐えて輝き続けるのか。

それは木下順二が、日本の普遍の名作「平家物語」に、世界の普遍の名作「ギリシャ悲劇」「シェイクスピア」を掛け合わせ、宇宙の目線から見つめるというハイブリッドな戯曲(レクイエム)を書き上げたからに他ならない。数百年、数千年の普遍を掛け合わせれば、それは絶対普遍とも言えるのではないか。後は、現在に生きる我々が、いかにアップデートするかにかかっている。

この1年間、世界はコロナウイルスという大きな波に揺れている。しかし我々は、足を波に掬われようとも自分の座標軸をもち、すっくと現在この時に立っていなけ ればならない。この「子午線の祀り」も、早くも大きなアップデートを迫られている。

戯曲を圧縮し、言霊を磨き、舞台美術を変え、役者の身体性をより強固にアグレッシブにして、演出の濃度を上げる。それは再演という括りでは収まらない、新たな旅立ちである。

コロナ禍だからこそ我々は、現在、何処に、何故に、どのように生きているのか?あなたの目前に漂う「生と死」と、歴史の波に漂う源平壇ノ浦合戦の「生と死」が合致してオーバーラップする時、あなたは自分の存在を宇宙の目線から知り、 自らをアップデートするのである。そして「満々とひろ がりひろがる現在という時空の海面に、あなたはすっくと立っている。」ことを自覚するのである。

戯曲の主人公の一人である平知盛を演じるのは4度目である。「見るべき程のことは見つ」とまさに世の中を俯瞰して千尋の海に沈む知盛の目線は、時空の闇を超えて今を生きるあなたの目線に、影身として寄り添うのである。

公演情報

2021年3月19日(金)~3月30日(火) 世田谷パブリックシアター
ほか愛知、久留米、兵庫公演、および世田谷パブリックシアターでの凱旋公演あり

【出演】野村萬斎 成河 河原崎國太郎 吉見一豊 村田雄浩 若村麻由美
星智也 月崎晴夫 金子あい 時田光洋 松浦海之介
岩崎正寛 浦野真介 神保良介 武田桂 遠山悠介 森永友基

【作】木下順二

【演出】野村萬斎

【音楽】武満徹

【公式サイト】https://setagaya-pt.jp/performances/202103shigosen.html

(2017年版 舞台写真/細野晋司)

チケットぴあ
最新情報をチェックしよう!
テキストのコピーはできません。