内藤大希「さらに進化していく」ミュージカル『Fly By Night~君がいた』会見レポート


2020年9月1日(火)よりミュージカル『Fly By Night~君がいた』が東京・シアタートラムにて上演される。公演を目前にした8月24日(月)にはリモート会見が行われ、キャストがそれぞれの意気込みを語った。

本作は、1965年11月9日に実際に北アメリカとカナダを中心に起こった大停電(ニューヨーク大停電)をモチーフにした群像劇ミュージカル。2011年ニュー・アメリカン・プレイ・アワード受賞、2015年ドラマ・デスク・アワードのベストミュージカルにノミネートされた傑作である。

日本語上演台本・訳詞・演出を手掛けるのは、板垣恭一。出演者には内藤大希、青野紗穂、万里紗、遠山裕介、内田紳一郎、福井晶一、原田優一が名を連ねた。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

【あらすじ】
1964年11月9日。母の葬儀を終えたハロルド(内藤)とその父・マックラム(福井)。ハロルドは遺品の中にギターを見つけ「母さんはギターを弾いていたの?」と驚きつつ、形見として持ち帰ることにする。一方すっかり気落ちしたマックラムは、妻が大好きだった「椿姫」のレコードを聞きながら毎日を無為に過ごすようになる。

ちょうど同じ頃、人口1000人ほどの田舎町サウス・ダコタで暮らしていたダフネ(青野)は、女優を目指してニューヨークに行くことを決意。姉のミリアム(万里紗)に一人では心もとないからと泣きつき、母を説得。姉妹は一緒にニューヨークで暮らすことになる。行動的なダフネは洋服店で働きながらオーディションを受ける日々を過ごすが、あるとき、店の近くのサンドイッチ屋で働いていたハロルドと出会い恋に落ちる。ミリアムは星や宇宙が大好きな内気な女性。そんな彼女が唯一他人と繋がれるのは、カフェでウェイトレスをしている時。

ある日、ダフネがオーディション会場で若手劇作家のジョーイ(遠山)に見初められ、新作ミュージカルの主役に抜擢される。その稽古に明け暮れるうちハロルドとすれ違い始めるダフネ。ミリアムは、突然現れた占い師(原田)に未来を予言されるが、その中に出てきた恋人の条件に合致するのはなんとハロルド。彼女は自身の気持ちに戸惑い田舎へ逃げ帰ってしまう。サンドイッチ屋のオーナー・クラブル(内田)は今日も、優柔不断なハロルドに発破をかけている。

孤独を募らせたマックラムはある決心をする。そして 1965年11月9日、ニューヨーク大停電が起きた――。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

会見では、それぞれが作品の見どころと、自身が稽古期間に進化したと感じたことなどを語ってくれた。

◆内藤大希(ハロルド役)
楽曲がキャッチ―でわくわくするものばかりです。the ミュージカルな楽曲から、オールド系、ポップス系、ブルース系まで。見どころというか聞きどころですが、ぜひ楽しんでいただければと思います。また、転換も多く行っているのですが、転換に必死になりすぎて板垣さんから「転換の人になってるよ(笑)」と言われてしまい・・・。さりげなく転換し、スッと役に入れるよう稽古を重ねています。
今作で初めてギターを触ったのですが、緊張に支配されると指先が全く動かず・・・(笑)。本番までにはさらに進化していきたいです。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆青野紗穂(ダフネ役)
時間軸が前後する演出が多くあるのですが、時間を自分の中で繋げていくのが(最初は)大変でしたね。ですが、(今は)それがすごく楽しいです。また、いい具合にすれ違う人間関係がすごく魅力的なので、そこも見どころです。いろいろなジャンルがベースになった楽曲が、それぞれのキャラクターに沿っている部分にも耳を傾けていただければ、より一層楽しめると思います。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆万里紗(ミリアム役)
ものすごく劇的なシーンが連続するわけではないのですが、素朴だけれどもぐっと胸を掴まれるシーンが多いです。板垣さんの演出によって、2幕の最後の舞台上のエネルギーがものすごいことなっている点にも注目していただきたいです。ダフネと一緒に、サウスダコタからニューヨークに出て行くするシーンの楽曲があるのですが、アメリカの広大な大地が目の前に広がるような圧巻の一曲になっています。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆遠山裕介(ジョーイ役)
ジョーイの家は芸術家庭なのですが、自分だけ成功していないプレッシャーがあり、本当にこの道でいいのかな、と葛藤を抱いています。ジョーイを含め、お客さんが共感できるようなキャラクターが多くいるので、心に残るシーンもたくさんあるのではないでしょうか?稽古期間に1日1食健康法を実践したのですが、集中力も上がりますし、肌質もよくなりました。身体が進化している感じがしますね。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆内田紳一郎(クラブル役)
恋愛や親子関係など、様々な抱えているものがある中で‟夜空は相変わらず輝いている”という作品全体の雰囲気、そしてその瞬間ごと、その役のすべてを出し切る演出になっている部分が見どころです。また、古き良きアメリカが漂う楽曲から、思わず体が動いてしまうノリノリな楽曲までたくさんあるので、ぜひ劇場で体感していただきたいです。最近、Facebookを始めました。くだらないものをあげて楽しんでいます(笑)。また、初対面の方が多くいらっしゃったのですが、一緒に転換をやっていくうちに自然とコミュニケーションが増えました。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆福井晶一(マックラム役)
転換も行っているので、すべてのシーンを把握しておかないといけないのですが、ものすごい集中力なのでそこを見ていただければ(笑)。でも、その集中力こそが舞台の圧にも繋がっていますし、この台詞があるからここにつながるのか、という作品理解を深めることにもなっています。本作は、ストレートプレイを観るような感覚で観劇できるミュージカルスタイルを目指しているミュージカルドラマ・シリーズですが、まさにその通りで、歌と芝居が見事にマッチしている部分にも注目していただきたいです。
そして、人生で初めてオペラを歌います。見どころの一つになっていると思いますね。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆原田優一(ナレーター役)
最初から展開が早くて、人間のパワーのようなものを感じます。お客様の想像力をふんだんに使う、板垣さんならではの演出もみどころです。私のナレーター役の台詞からも、板垣節を感じていただければ。皆さんもおっしゃっているように時間軸が飛ぶ演出があるのですが、それに一番翻弄されているのは僕ですね(笑)。ドラえもんの秘密道具「暗記パン」が欲しいと思ったくらいです。任された仕事としてしっかり努めたいと思います。
大変ではあったのですが、この前の通しの中で、ここで時間軸が前後するからこそ、この場面でこう説明できるんだ、という新しい発見と理解があり、そこからストンと自分の中で腑に落ちました。2回目、3回目も楽しめる作品になってす。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』舞台稽古

◆板垣恭一(日本語上演台本・訳詞・演出)
実際に僕らの頭の中って、時系列のまんま進んでいないと思うんです。突然過去のことを思い出したり・・・。本作でもそういった時系列が戻ったりする演出を付けているのですが、その確固たるものがない部分がこの舞台のはかなさや刹那さを作り上げています。断片的なものがつながり、一つの作品になっています。
また、実際に起こった大規模停電をモチーフに描いていますが、停電そのものを描くことは必要でないと思っていて“人生は時折、闇に落ちる”ということを中心にしています。なので、その闇について表現しています。

大規模停電が起こった時代の背景にはケネディ大統領の暗殺やベトナム戦争があり、この作品が初演された2009年にはリーマン・ショックが続いていました。この作品を作った人たちは、そういうことを含めて“停電”を扱いたかったのではないかと考えています。翻って我々も、今のこの状況下で本作品を上演する意味を考えていきたいですね。

ミュージカル『Fly By Night~君がいた』は以下の日程で上演される。全20公演生配信を予定。詳細は公式サイトにて。

【東京公演】9月1日(火)~9月13日(日) シアタートラム
【神奈川公演】9月19日(土)~9月22日(火・祝) 赤レンガ倉庫1号館3Fホール

【公式サイト】https://www.consept-s.com/fbn/

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