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悪魔に魂を売る男描く『FORTUNE(フォーチュン)』英国クリエイター陣から見た主演・森田剛とは

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2020年1月から2月にかけて、東京芸術劇場プレイハウスなどで上演される森田剛主演のPARCO PRODUCE 2020『FORTUNE(フォーチュン)』。2019年11月に行われた製作発表会見の際、本作を書いたサイモン・スティーヴンス、演出のショーン・ホームズ、美術・衣裳のポール・ウィルス、翻訳の広田敦郎によるクリエイターズ取材会も行われ、サイモンが本作に込めた思いやクリエイター陣から見た主演・森田の印象などが語られた。

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本作は、『ブルーバード』『ポルノグラフィー』『オン・ザ・ショアー・オブ・ザ・ワイド・ワールド(広い世界の岸にて)』『ハーパー・リーガン』『夜中に犬に起こった奇妙な事件』など、多くの戯曲を生み出したイギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスが、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの代表作でもある『ファウスト』を大胆にも現代のロンドンを舞台に置き換えた意欲的な新作。

演出は、イギリスを代表する劇場リリック・シアターの芸術監督経験を持つショーン・ホームズが手掛け、イギリスに先駆け日本で世界初上演。悪魔に魂を売った男の顛末を描く本作の主演を担う森田の他、吉岡里帆、田畑智子、根岸季衣、鶴見辰吾らが出演する。

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クリエイターズ取材会では、まずショーンとサイモンの出会いについて語られた。ショーンはサイモン同じ大学に通っていたが「サイモンは1学年下で、共通の友人がいてどちらも演劇に関わっていて小さい規模の大学にも関わらずそこでは出会ってなかったんです」と明かし、「ロンドンのロイヤルポートシアターでサイモンが描いた『Herons』という作品を見ました。これは今でも僕のお気に入りのプロダクションのTOP10に入っている作品なのですが、その作品を見てすぐにサイモンに連絡を取って一緒に仕事をするようになりました。彼の作品にはちゃんと“真実”が描かれていて、そして予期できない面白さや、悪意や不吉さがあると同時に優しさと希望もあるんですよね」とサイモンの作品の魅力を語りつつ出会いを振り返った。

そして、「サイモンとやった仕事のうちの1つに『Three Kingdoms』という作品があるのですが、それはドイツ・ミュンヘンの劇場カンマーシュピーレと、エストニアの劇場NO99と共同で製作したものでした。この文化が混じり合った作品は、イギリスの演劇界に『こんな方法もあるのか』という大きな衝撃を与えました。今回、稽古をしながら『Three Kingdoms』のことを思い出しました。日本の俳優たちと僕たち自身が相互に影響し合うことに、とてつもない可能性が秘められていると感じました」と今回の作品で感じたことを語った。

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今作は6日で書き上げられたというのを聞いた司会がその話を振ると、サイモンは「はい、本当です(笑)」と笑顔で返し、「今まで自分が書いた戯曲の中で文字数でいえば一番の大作になるのですが、構想自体は1年半前から考えていました。“悪魔”というのが何を意味するのかをずっと考えていました。“ファウスト”をモチーフにするにあたって、ゲーテやマーロウは読みましたし、デヴィッド・リンチの作品やヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』も。そういうものを通して頭の中で練り上げて、戯曲の世界を作り上げていくという作業はかなり時間をかけました。その後メルボルンで家族旅行を楽しむ前に6日間一人の時間で書き上げました」とこの物語が出来上がるまでの過程を教えてくれた。

また、「“ファウスト”的なものを僕はこの作品で描きたかったんです。僕らは毎日、“ある決断”をしていて、それが自分の未来や地球の未来、そして僕らの子供たちの未来へと結果をもたらしていく。今、僕たちが生き抜くのに困難な時代を生きていることは確かです。この世紀を生き抜くためには、科学者と同じだけ“物語”が必要だと思っています。それが怖い物語だとしても、できるだけ伝えなければいけないと思いました」と、本作に込めた思いを明かす。

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そんなサイモンが描きたい物語の世界観を表現するデザインを手掛ける、美術・衣裳担当のポールは「デザイナーとして、いわゆる“小さな文化の差”というものを意識してそれが舞台上に現れた時にどういう意味を持つのかにすごく関心がありました。前回日本で作品をデザインした時に、1950年代のお医者さんの衣装で僕としては非常に美しいものを用意できたと思ったのですが、日本の方々にはタクシー運転手のような印象を受けたようで、色や素材や質感、ひとつひとつの繊細なところの表現が文化によって違うということを学びました。そしてその中で、互いの文化に通じるデザインを見つけていくことがこういったコラボレーションのひとつの楽しみだと思いました」と日本人クリエイターとのコラボで意識していることを語った。

また、「今回は空間の広い空虚なステージが作れたので、自分たちの作ったデザインを誇りに思って自信を持っています。グローブシアターで『ファウスト』のデザインをしたことがあるんですが、その時は悪魔をドラゴンのようなもので表現しました。でも今回は比喩的な存在を、人間の“中”に集約する、人間によって見せていくということをやっています」と今作のステージ作りについて述べた。

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一方、翻訳を務める広田は「サイモンのお名前を初めて聞いたのは13,4年前だったんですけど、『最近面白い戯曲はないか?』とドイツ人の演出家に聞いたらサイモンの『On the Shore of the Wide World』が面白いと勧められて、イギリスの劇作家の名前がドイツの方から出たということで興味を持ちました」とサイモンの作品の出会いを振り返る。

そして、「読んでみたら非常に気に入って、サイモンの作品は英語圏の枠から出て自由になったところで描いているものだからそこが全く演劇に関して感覚が違うドイツでも受けているのかなと思いました。ならば日本でも受け入れられるのではと思って上演したことがあります。それが12年くらい前なんですけど、その後国際的に活躍するようになってからは、イギリスの劇作家というよりはインターナショナルな劇作家となっているように感じます。だから今回の『FORTUNE』が日本で世界初演を迎えるという素晴らしいことも、自然なことでもあるのかなと感じています」と分析し、「どんな作品でもあるんですけど、それぞれの作家によって独特のリズムがある。今回もサイモンの書いたリズム感を意識して翻訳しました」と明かした。

最後に、森田の俳優としての印象を聞かれるとショーンは「今確かに言えることは、彼は全身を傾けて飛び込んできてくれる、非常に感情を大事にする俳優だということです。彼が演じるフォーチュンという役は、ずっと出ずっぱりで、逃げる場所がない。だからこそ演じてくれることに非常に尊敬の念を感じてますし、感謝しています」とコメント。

そして、「彼は全身全霊でエベレストに登ろうとしているような状態だと思いますが、持ってしかるべき恐怖を抱きながらも『絶対に頂上に行くんだ』という非常に熱意を持っている。僕たちは彼が頂上に到達することに確信を持っています。全てのシーンで何かチャレンジや障害など彼が対峙するものがあるからこそ、それを乗り越えてそれを糧にしてまたチャレンジすることが出来る。そういった作り方をすることで観客の方も瞬間瞬間で引き込まれていくのではないかと思います」としみじみ語った。

PARCO PRODUCE 2020『FORTUNEフォーチュン』は、以下の日程で上演される。

【東京公演】2020年1月14日(火)~2月2日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
※1月13日(月・祝)にプレビュー公演あり
【松本公演】2020年2月7日(金)~2月9日(日) まつもと市民芸術館 主ホール  
【大阪公演】2020年2月15日(土)~2月23日(日・祝) 森ノ宮ピロティホール
【北九州公演】2020年2月27日(木)~3月1日(日) 北九州芸術劇場 大ホール

【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/fortune/

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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