舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)稽古場レポート!吉谷光太郎が「第1弾のパワーを落とさない」ステージ


舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)が2019年12月27日(金)に大阪で開幕する。本作は、人々の記憶から文学が奪われる前に、文豪と共に敵である“侵蝕者”から文学書を守り抜くことを目指すDMM GAMESで配信中の文豪転生シミュレーションゲームを原作とした舞台の第2弾。今回は“白樺派”にスポットを当て、“侵蝕”を食い止めようとする姿を描く。

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前作に引き続き、志賀直哉役を谷佳樹、武者小路実篤役を杉江大志、坂口安吾役を小坂涼太郎、芥川龍之介役を久保田秀敏が続投。そして、有島武郎役を杉山真宏、国木田独歩役の斉藤秀翼、島崎藤村役の小西成弥、萩原朔太郎役の三津谷亮が初登場する。

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世界観監修は、原作の世界観監修も手掛けるイシイジロウ、脚本をなるせゆうせい。そして、演出を担当するのは吉谷光太郎だ。この日の稽古では、あるシーンの本読みからスタートした。ネタバレを避けるため、詳細については触れないでおく。まずは思い思いに台詞を言い、流れを全員が把握していった。次に、同じシーンをもう一度繰り返し、今度は音が入る場所を確認。

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キャストたちは、それぞれイメージを膨らませ、少しずつ動きを加えていく。毎回読み方を変えて、アドリブも入れて台詞を試していく杉江。感情の起伏に合わせた動きをつける谷。久保田は脚本に気づいたことを細かく台本に書き込んでいく姿が見られ、小坂は自分の台詞についての疑問を演出の吉谷にぶつける。それぞれが一言一言に込められた思いを噛み砕いていった。

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その後、ミザンス(立ち位置)をつけての読み合わせが行われた。吉谷は、全員の立ち位置を細かく確認。スムーズに芝居が流れることはもちろんだが、その動き、立ち位置一つ一つに意味を持たせるため、何度も何度も試し、“最適”を探っていく。

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そんな中、キャストたちも積極的に意見を出し合う姿が印象的だった。それは本作に真剣に向き合っているからこそ見られる光景だ。そして、吉谷はキャストたちの意見に耳を傾け、試してみる寛容さを持って本作に臨んでおり、それが稽古場の雰囲気を明るくしているように感じられた。

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「舞台を作る場合、大きく分けて『映像を使ったやり方』と『アナログなやり方』という二つがあると思ってる」という演出の吉谷。第1弾を手掛ける際、「僕は、この作品はアナログでやった方がおもしろいと豪語していたんです。だから、映像に頼らない表現で見せることを選択しました」。しかし、それ故に「不安も大きかった」と話す。

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そして、「映像表現は具体的にその世界を提示できるけれども、アナログな場合、抽象表現になります。舞台の表現として、僕はそれをおもしろいと持って提示しているけれども、お客さんがそれをキャッチした上で、おもしろがってくれるか、少し不安があったんです。幕が開いて、お客さんからいただいた拍手の音と、原作に携わる方々の喜ぶ姿を見て、初めて安心できたし、手応えも感じられました」と振り返った。

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その手応えを持っての第2弾は「第1弾のパワーを落とさないこと」が課題。吉谷は「この作品の軸には太宰と芥川の物語があるので、今回、志賀と武者小路を中心に描くということは、ともすればスピンオフに見られてしまうと思うんです。でも、絶対にスピンオフではない。第1弾で得た手応えがあるからこそ、それを超えたものを提示しなければと思っています」と思いを語った。

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また、第1弾とは劇場も変わることから「空間の違いが必然的に作品の変化に繋がると思います。奥行きはないものの間口の広い劇場なので、その空間を使って谷くんと(杉江)大志をどう見せていくか」に注力するという。

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さらに、「原作の楽曲を使わせてもらっていますが、使用用途やタイミングを変えています。その楽曲をそのタイミングでかける意味合いを変えていくことにチャレンジしたいと思っています」と演出プランを聞かせてくれた。

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吉谷曰く、谷と杉江は稽古の臨み方からして“対照的”。「その二人がペアになっているのがおもしろいし、その違いは空気感となってお客さんにも伝わると思います。彼らが醸し出す、人間としての魅力も本作の見どころになると思います」と笑顔で語っていた。

舞台「文豪とアルケミスト」異端者ノ円舞(ワルツ)は以下の日程で上演される。

【大阪公演】2019年12月27日(金)~12月29日(日) 大阪・森ノ宮ピロティホール
【東京公演】2020年1月8日(水)~1月13日(月・祝) 品川プリンスホテル ステラボール

【公式サイト】http://bunal-butai.com/
【公式Twitter】@bunal_butai

(C)DMM GAMES / 舞台「文豪とアルケミスト」製作委員会

(取材・文・撮影/嶋田真己)

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