従うべきは命令か、それとも個人の意志か・・・成河と亀田佳明の二人芝居『タージマハルの衛兵』開幕


2019年12月7日(土)に、東京・新国立劇場 小劇場にて『タージマハルの衛兵』が開幕した(12月2日・12月3日にプレビュー公演を行った)。本作は、アメリカの劇作家ラジヴ・ジョセフの作品で、これが日本初演となる。“個”と“全”という意味合いで、個人と国家、個人と社会構造、個人と集団の持つイデオロギーなど、「一人の人間と一つの集合体」の関係をテーマとする「ことぜん」シリーズの第3弾として、新国立劇場の芸術監督でもある小川絵梨子が演出し、 ある枠組みの中に生きる人間が抱える“普遍的な葛藤”を、成河と亀田佳明の二人芝居で描き出す。

【あらすじ】
1648年、ムガル帝国のアグラ。建設中のタージマハルの前。
「建設期間中は誰もタージマハルを見てはならない」と、皇帝からのお達しがあった頃。
ついにタージマハルのお披露目の日の前日、夜通しで警備についている、フマーユーン(成河)とバーブル(亀田)。
二人は幼い頃からの親友であり、現在は軍に入隊をしている。
警備中はタージマハルに背を向け、沈黙のまま直立不動でなくてはならない。
だが、空想家のバーブルは黙っていられなくなり、律儀に立ち続けるフマーユーンに話しかけてしまう。
二人の会話はまるで『ゴドーを待ちながら』の二人のように、もしくは『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』の二人のように、とりとめのない言葉の応酬のようでありながら、二人の人間の差を描き出して行く。
やがて二人は、バーブルが不用意に発した一言を発端に、あまりにも理不尽で悲劇的な状況に追い込まれていく。
その先にあるのは・・・。
彼らが従うべきは支配者から下された命令か、それとも個人の意志か――。

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以下、開幕にあたり届いた、小川、成河、亀田のコメントを紹介。
                          
◆小川絵梨子(演出)
『タージマハルの衛兵』、ついに初日を迎えます。書かれている舞台こそ17世紀のインドの物語ではありますが、とてつもなく「今日」の「私たち」のお話です。ここまで本当に全身全霊で一緒に作品を作ってきてくださった出演者のお二人、そしてスタッフの皆さんに感謝すると共に、観客の皆さんからいただく反応によって、さらに進化していく舞台にしたいと思っております。

◆成河
2回のプレビューで、お客様も含め劇場にいる全員で何かを探しに行くような、自分がその器を務めているような稀有で充実した感覚を得ました。プレビューにここまで本質的な機能を実感できたのは初めてです。そこからさらに稽古をして初日を迎えました。劇場でお待ちしています。

◆亀田佳明
こんなにも贅沢で幸せな現場に関われていることに、この上ない幸福感を覚えています。今日に至るまで、じっくりと時間を掛けられたこと。スタッフさんも含めて座組全員で丁寧なクリエイションが出来たこと。本当に日々、ただひたすらに前を向いて進んでこられたこと。千秋楽まで、ここまで積み上げてきたものを皆様にお見せできるよう、真摯に、じっくりと駆け抜けていきたいと思います。

2019/2020シーズン演劇『タージマハルの衛兵』は、12月7日(土)から12月23日(月)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演。上演時間は、1時間45分(休憩なし)を予定。

【公演詳細】https://www.nntt.jac.go.jp/play/guards_at_the_taj/

(撮影/宮川舞子)

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