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松本零士×御笠ノ忠次『スタンレーの魔女』開幕――日常と地続きの戦場にあった、“生”の物語

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2019年7月28日(日)に東京・DDD青山クロスシアターにて舞台『スタンレーの魔女』が開幕した。本作は、松本零士が「戦場まんがシリーズ」として発表した同名漫画を原作とした作品。御笠ノ忠次の脚本・演出で3度目の舞台化を迎える。初日前には、公開ゲネプロと囲み会見が行われ、御笠ノと出演者より石井凌、唐橋充、宮下雄也、松井勇歩(劇団Patch)、津村知与支(モダンスイマーズ)が登壇した。

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御笠ノが、当時所属していた劇団「スペースノイド」で同作を初舞台化したのは、2006年9月。その後、2008年12月にも御笠ノと*pnish*の土屋佑壱を中心としたユニット「サバダミカンダ」の旗揚げ公演としても上演した。今回は、会見に登壇した5名のほか、松本寛也、永島敬三(柿喰う客)、池田竜渦爾、宮田龍平が出演している。 

本作を舞台化するに至った経緯について、御笠ノは「舞台化したいな、と思ったら(当時自分の住んでいた家の)近くに松本零士先生の自宅があったんですよ。なので、直接家まで行って『これをやらせてください』とお願いしたら、『いいよ』と快諾してくださったんですよ」と明かした。

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今回、主演はプロ・アマを問わないオーディションにて、石井が選出された。初日に向け「みんながお芝居の中で自由に動いていくので、台詞は同じでも、意味や感情が、16公演全部違うものになると思います。毎公演違う空気感を、楽しんでいただけたらと思います」と、力強く意気込んだ。

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稽古場から成長を遂げる石井に、「いいこと言った」と優しい眼差しを向けていた唐橋。そんな唐橋は「御笠ノさんの稽古場は、“空気を作る”ということに終始した稽古場でした。僕、繰り返しと飽きてしまうので稽古が嫌いで(笑)。でも、高度な技術を持っていらっしゃる方々の繰り返しって、空気が澱まないんです。常に新鮮で、楽しい稽古場でした」と振り返り、「こういうことって、客席にも伝わるものだと思うので、ぜひ伝えていきたいな。戦争は“死”にまつわるものが多いと思いますけれど、この作品は“生”を描こうとしたものです。“生”を描くと同時に“死”が存在する。そんな戦争モノなので、安心してご観劇いただきたいです」と呼びかけた。

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宮下も「無茶苦茶いいカンパニーです。個性を確実に活かしている座組で、このメンバーでしかできないものが1シーン1シーンに込められていると思います。演劇の醍醐味がぎゅっと詰まっているんじゃないかな。夏にぴったりな作品ですよ」とにっこり。

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「最高にふざけながらしっかりと道を作ってくれる先輩方に、主演の遼くんをはじめ、僕らは死にものぐるいでついていきました」と言った松井は「そんな相乗効果で『あれ?これ戦争を題材にした作品ですよね?』と感じるところもあると思うんですけど、観終わった後、必ず心に残るものがあります。最高にふざけているけれど、最高におもしろい。男たちのロマンを見届けてください!」と続く。

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津村は、再演時にも同作に今回とは別の役として出演している。「前回以上に、集まった出演者の個性がバラバラ。年代も、毛色も、出身もバラバラで、異種格闘技戦のようです。僕は20年劇団をやっているんですが、こういうバラバラなメンバーが集まったからこそ、スリリングなおもしろさが生まれるなと思いました。お客さんにお見せできることを、僕自身が楽しみにしています」と語った。

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「演劇が好きな人、演劇が嫌いな人。両極の人たちに観てもらいたいです」と言っていた御笠ノ。舞台の上には稽古場から地続きの、演劇があった。それと同じように、日常の先にある戦場があった。生があって、死があった。アドリブが多いと役者陣は語っていたが、演劇の自由さを信じる御笠ノの演出が、より“生”を色濃く漂わせている気がした。

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戦争を知らない世代には推測するしかできないが、あの頃「お国のため」と戦う気持ちも確かにあったのだろう。でもそれ以上に、目の前の「誰か」のために。そして「自分」のために。一生懸命生きていた人たちの笑顔が網膜に焼きつくからこそ、地平線に陽を見る瞬間のような寂寥感が胸に去来する。演劇を観続ける人にとって、この感覚は忘れられないものの一つとなるのではないだろうか。

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舞台『スタンレーの魔女』は、7月28日(日)から8月8日(木)まで東京・DDD青山クロスシアターにて上演。上演時間は約90分を予定。

【アフタートーク登壇者スケジュール】
7月28日(日)17:00公演 御笠ノ忠次×末満健一 ※終了
7月29日(月)19:00公演 谷口賢志×宮下雄也×松本寛也×石井凌
7月30日(火)19:00公演 松井勇歩×納谷健
7月31日(水)19:00公演 永島敬三×中屋敷法仁
8月2日(金)19:00公演 輝馬×唐橋充×松本寛也×池田竜渦爾×松井勇歩
8月5日(月)14:00公演 唐橋充×松本寛也×松井勇歩×津村知与支
8月5日(月)19:00公演 宮下雄也×池田竜渦爾×永島敬三×宮田龍平
8月6日(火)19:00公演 君沢ユウキ×石井凌×宮下雄也×池田竜渦爾×宮田龍平
8月7日(水)14:00公演 唐橋充×宮下雄也×松本寛也×藤原祐規
8月7日(水)19:00公演 石井凌×郷本直也×KIMERU

【公式HP】https://www.marv.jp/special/stanley-stage/
【公式Twitter】@stanley_stage
【チケット】7,800円(全席指定/税込)
ローソンチケット:https://l-tike.com/stanley-s/

(C)松本零士/小学館 (C)『スタンレーの魔女』製作委員会

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

(文/エンタステージ編集部)

スタンレーの魔女

作品情報スタンレーの魔女

松本零士×御笠ノ忠次で哀切の戦記ロマンが三度目の舞台化

  • 公演:
  • キャスト:石井凌、唐橋充、宮下雄也、池田竜渦爾、松本寛也、永島敬三、松井勇歩、宮田龍平、津村知与支

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