エンタステージ

演劇の楽しさを提案する総合情報サイト

向井理、田中麗奈らによる”赤堀流”ネオヒューマンドラマ 『美しく青く』開幕

012526.jpg

2019年7月11日(木)より東京・Bunkamura シアターコクーンにて、Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019『美しく青く』が開幕した。初日前には公開ゲネプロと囲み会見が行われ、向井理、田中麗奈、赤堀雅秋が登壇した。

劇作家・演出家としてだけでなく映画監督、俳優と多彩な顔を持つ赤堀による、シアターコクーンでの作・演出作品は『殺風景』(2014年)、『大逆走』(2015年)、『世界』(2017年)に続き4作目。シアターコクーン 30周年記念公演として2年ぶりの待望の書き下ろし新作となる今回は、震災から数年が経った集落を舞台とし、それぞれの日常を取り戻そうとするも、繰り返される獣害に悩まされる自警団の男たちやそのまわりの人々の姿を通して、人間の不毛な営みと日常の愛おしさを独自の視点から描く。

012526_02.jpg

初日に向けて赤堀は「近年まれに見る穏やかな心境です(笑)」と笑顔を見せ「優秀なスタッフとキャストのおかげで、初日に向けて心づもりはできているので、あとはやるしかないという気持ちです」と意気込んだ。手応えについて尋ねられると「作り手としては、自分自身が一番苦悶しながら、そして戸惑いながら物作りに携わっていて、おそらく本番中も千秋楽まで苦闘しながらやっていくと思っているので、そういう意味では手応えはないです」と心境を明かした。

012526.jpg

自警団のリーダーである保について、演じる向井は「普通の人であり、夫であり、義理の息子であり、リーダーでありといういろんな面があり、赤堀さんがおっしゃっている“一生懸命生きている人”です。うまく向き合えないことや、逃げたりすることもあって、誰しもが持っている感情をちゃんと持っている人です」と説明。

本作で赤堀と初タッグを組む向井は、実際に演出を受けた印象を「当たり前なのですが、すごく細かいです。でも思っていたより優しいです(笑)」と笑いを取りつつ「丁寧で、その人のことを考えて言葉を選んでくださるのでやりやすいです。そのとおりだなと思うことが多くて、もっと違う視点で芝居を構築していかなきゃいけないんだなと感じました」と語った。

012526.jpg

保の妻で、認知症の母の介護に追われる直子役について、田中は「直子は過去に悲しい出来事があって、その部分の悲しみというのが、彼女の深い心の底にあります。そこに対して夫とは逆で、しっかり向き合ったことがあったからこそ、現実に対して一生懸命向き合って、その現実に感情が持てるのかなと解釈しています」と解説。

続けて「抑えきれないものを理性で抑えようとしたりとか、頭の中で忙しい人だなと思うんですけど、直子なのか自分なのか分からないぐらい演じられたらいいだろうなと思っています」と意気込みを明かした。

012526.jpg

見どころについて、向井は「人々の不毛な会話の中でも、何かしら感情が動いていたり、そういう細かいところを舞台ならではの視点で見て頂ければと思います」と挙げた。田中は「群像劇というところもあって、そこで自分に近い人だったりとか、自分に重ねて見ることで、それぞれのおもしろみが皆さんによって違うと思います」とコメントした。

012526.jpg

012526.jpg

震災から数年が過ぎた地を舞台とし、獣害に悩まされながらもごく平凡な日常を過ごす人々。彼らの心の中にあるそれぞれの不安や不満といった思いや、不毛な営みと日常の愛おしさが、何気ない会話を通して生々しく描かれ、笑いを誘いながらも観る者の心に深く刻み込まれる。

出演は向井、田中のほかに、赤堀作品に欠かせない大倉孝二、多彩な役柄を軽々と演じ分ける大東駿介、舞台にも意欲を見せるAKB48の横山由依、圧倒的な存在感を放つ銀粉蝶、硬軟自在の演技が魅力の秋山菜津子、滋味深い芝居に定評のある平田満らが名を連ねる。豪華キャストたちが見せる、ささやかな日常と心に抱えた思い。一度は日常を失いながらも、懸命に新たな日常を生きつづけていく彼らに、わずかな光明が投げかけられていく。

012526.jpg

タイトルについて、赤堀は「今回は、根源的な人間の営みとしてのあり方や、幸福のあり方を劇作家・演出家として、掘り下げて見つめてみたいという衝動がありました。空や海という人間の人知には及ばない、抗えないものと対比した中で、根源的なあり方ということが浮き彫りにならないかな、と考えています。だから『美しく青く』は希望でもあり、畏怖の念のような思いなんです」と語る。

「空と海は、今日も美しく青く、そこにある」。劇場を包み込む海の波音と共に、市井の人々が見つけた小さな希望がいつまでも余韻として心に残る作品だ。

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019『美しく青く』は以下の日程で上演される。

【東京公演】7月11日(木)~7月28日(日) Bunkamuraシアターコクーン
【大阪公演】8月1日(木)~8月3日(土) 森ノ宮ピロティホール

【公式サイト】https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/19_utsukushikuaoku/

(取材・文・写真/櫻井宏充)

(文/エンタステージ編集部)

シアターコクーン・オンレパートリー2019『美しく青く』

作品情報シアターコクーン・オンレパートリー2019『美しく青く』

赤堀雅秋×向井理の強力タッグで見せる「喪失」を生きる人々の日常と再生

  • 公演:
  • キャスト:向井理、田中麗奈、大倉孝二、大東駿介、横山由依、駒木根隆介、森優作、福田転球、赤堀雅秋、銀粉蝶、秋山菜津子、平田満

この記事の画像一覧(全10枚)

  • 012526.jpg
  • 012526_02.jpg
  • 012526_03.jpg
  • 012526_04.jpg
  • 012526_05.jpg
  • 012526_06.jpg
  • 012526_07.jpg
  • 012526_10.jpg
  • 012526_09.jpg
  • 012526_08.jpg

関連タグ

関連記事

トップへ戻る