岡山天音×松井周『ビビを見た!』開幕!爽快感と息苦しさを両立させた絵本の世界を舞台に


2019年7月4日(木)に神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて、『ビビを見た!』が開幕した。本作は、“幻の童話作家”と言われた大海赫(おおうみあかし)の作品を松井周が舞台化したもの。松井は、本作で描かれる「パニックに陥った社会」「集団心理」の中に、今の全体主義的な社会風潮へつながる予兆を感じ、その疑問を“演劇”を通じて問うため、舞台化への想いをあたためていたという。

出演は、岡山天音、石橋静河、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明、大村わたる、熊野晋也、岩岡修輝、長尾純子、中島妙子、小林風花。また、衣裳としてベルリン在住のファッションデザイナー・濱田明日香(THERIACA)、照明としてフィリップ・ドゥクフレ作品なども手掛けるYoann Tivoliが参加し、圧倒的な爽快感と息苦しさを両立させた絵本の世界を表現する。

012404_3.jpg

開幕を迎え、出演者より岡山、石橋、樹里、そして上演台本・演出の松井よりコメントが届いた。

◆岡山天音
(初日)開演数分前に松井さんとすれ違った時に「いろいろ言ったけれど今日は楽しんでください!」と言われて、その言葉がすっと入ってきて思い切って舞台に立てました。
この作品の世界はすごく奥行きがあって、特にビビと二人きりのシーンは演じる度に言葉に対する解釈が変わるので、これから毎回その奥行きを見つけていくのが楽しみですし、お客様にも「この世界はどこまで続いていくんだろう」という感覚で観ていただけるような作品にしていきたいですね。皆さんにとってのビビを見つけてもらえたら嬉しいです。明日からもがんばります!

012404_4.jpg

◆石橋静河
あっという間の稽古期間で「もう初日!?」というのが正直な気持ちですが、キャスト・スタッフ共に素敵なメンバーに恵まれ、楽しい創作の時間でした。
演出家の松井さんは、笑いながら難しいことを要求する方。でもそれが不可能なこととは決して思えずどうしたらうまくできるのかを考え、常に前進する気持ちを奮い立たせる方です。
「ビビ」は特別で不思議な役で、私も体験したことがない舞台でした。お話も決して分かりやすいものではありませんが、お客様一人一人が感じていただけることがすべてで、それを楽しんでいただければと思います。

012404_5.jpg

◆樹里咲穂
お稽古から色々な失敗を繰り返し、今の今まで模索し続けましたが、初日にようやく「これがやりたかった」というレベルまで持ってくることができ、ほっとしています。
初めて松井さんとご一緒しましたが、つくってはすぐ壊し、ブロンズ像を作っているような感覚で舞台の演出をしているように感じました。松井さんがやりたいことが純粋に伝わり、その想いに応えたいと思わせる方です。
原作者・キャスト・スタッフ全員のパッションが込められた舞台です。決して当たり前ではないが、誰もが起こりうる世界を体感してほしいと思います。

012404_6.jpg

◆松井周(上演台本・演出)
自分にとって原点ともいえる絵本を舞台化することができて、本当に感無量です。いろいろチャレンジングな方法を使って、俳優にもスタッフにも無理難題を強いたと思いますし、作品が生まれるまでは難産でしたが、良い生まれ方をしたなと思いました。そしてこれからもっと良くなっていくと思いますので、ぜひ、劇場でご覧ください。

012404_2.jpg

【あらすじ】
盲目の少年・ホタルに「7時間だけ見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえた。ホタルの目が見えるようになると同時に、まわりの人は光を失ってしまう。母も猫も、町の人も・・・。突如、町が正体不明の敵に襲われると警報が流れ、人々はパニックに陥る。盲目になった母と逃げるために列車に乗り込こむホタル。そこで、ホタルはやぶれた美しい羽と触覚を持った緑色の少女ビビと出会う。天真爛漫で無邪気なビビに手を焼きながら、一緒にいるホタル。 ホタルたちの乗った列車を謎の巨人・ワカオが追いかけてきて・・・。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ビビを見た!』は7月15日(月・祝)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演。上演時間は、約95分~100分(休憩なし)を予定。

(撮影/前澤秀登)

チケットぴあ
最新情報をチェックしよう!
テキストのコピーはできません。