『キネマと恋人』開幕!KERA「ここまで待たれていた感の強い再演の初日は初めて」


2019年6月8日(土)に東京・世田谷パブリックシアターにて『キネマと恋人』が開幕した。本作は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、ウディ・アレンの映画『カイロの紫のバラ』にインスパイアされ、書き下ろしたロマンチック・コメディ。2006年の初演時には、本作でKERAが第51回紀伊國屋演劇賞個人賞、第68回読売文学賞を受賞した。

今回の再演には、妻夫木聡、緒川たまき、ともさかりえなどオリジナル・キャスト、スタッフがそのまま集結。開幕にあたり、それぞれコメントが届いている。

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◆ケラリーノ・サンドロヴィッチ:台本・演出
初日は作品のファンのお客さんが多い印象でしたね。1幕が終わって暗転した途端に拍手が来たり、「待ってたよ」という声が聞こえるような客席でした。ここまで待たれていた感の強い再演の初日は初めてで、とても嬉しかったです。
俳優たちは初演より深く人物を演じてくれていて、格段に「深化」したものになっていると思います。それから初演の時には気付かなかったけれど、作品上の太平洋戦争前の世相と今の時代に呼応するところが多い気がする。それもあって、初演時よりも「現実世界の辛さ」がより響くようになっているのではないかと。つくり物の世界に憧れるって切ないけれど、自分もこういう仕事をしている人間だから、やっぱり創作の世界に助けられているし、もちろんこの『キネマと恋人』にも助けられていると思います。
ダンサーを含めキャスト全員が島の世界観をつくりあげてくれて、スタッフ含めみんなとつくれた作品だと思います。特に映像の上田(大樹)くんと振付の小野寺(修二)くんは、この作品ならではの付き合い方をしてくれました。仕事量もハンパじゃない。僕の他の作品と比べるとこんなに間口の広い作品はない。これからもずっと、こうした親切な作品を何年かに一遍作れると思われちゃたまらない(笑)ので、「これを観てもらわないと!」と思います。毎回「今回で最後かもしれない」と思いながらつくっているので、ぜひ楽しみに観に来てほしいです。

◆妻夫木聡:高木高助(俳優)/間坂寅蔵(映画の登場人物)役
初日を終えて、やっぱり演劇はお客さんのものだなと感じました。特にこの作品は、舞台に立っている時、お客さんとの間に本当に強い一体感があるんです。客席もステージの一部の様に感情移入できて、みんなが寅蔵を好きになって、みんながハルコの気持ちになって、幸せで終わってほしいけど、人生ってそんな甘くはないよね、それでも生きてかなきゃいけないよね、というようなほろ苦さも残しつつ、ファンタジーみたいにどこか別の世界に連れて行ってくれる、「夢なら覚めないで」っていう言葉がぴったりの、稀有な作品だと思います。そんな舞台に関われてとても幸せです。まだ始まったばかりで、当日券もありますので、一回と言わず何回でも、いろいろな方に、寅蔵やハルコたちに会いに来てほしいと思います 。

◆緒川たまき:森口ハルコ役
再演の機会をいただいて、キャスト・スタッフ、みんなで力を合わせて、とにかく大事に大事に思いながら稽古してきました。いよいよ本日、お待ちいただいているお客様に見ていただけたわけですが、やはりお客様はあったかい、この場所に帰ってこれた、と感じました。この作品の魅力は、いろいろな登場人物がでてくるのですが、誰かしらに感情移入していただける、というところなんじゃないかと思います。これからご覧になるお客様には、例えば、どういう作品内容なのか分からないまま見に行った映画が、おもしろかったという体験のように、この作品もただ席に座ってただ見ていただけるだけで・・・。きっといつの間にか、ハルコさんが映画の世界に惹かれるように、この舞台作品の世界に入っていただけるんじゃないかと思っております。

◆ともさかりえ:ミチル役ほか
お客様があたたかく迎えてくださって、無事に幕が開いてほっとしています。皆さんが待っていてくれていたのが伝わってきてすごく幸せな初日になりました。どんな世代の方にもこんなふうに愛していただける作品はなかなかないと思います。ファンタジーですが実は生々しいものを含んでいるところもこの作品の魅力で、私がメインで演じているミチルも一見突飛なように見えますが彼女なりのいろんな理屈や信念を持っているキャラクターです。ほかにも様々な役を演じているので毎公演、毎公演、新鮮な気持ちで演じられたらいいなと思っています。今回ラッキーなことに再演をすることができました。ぜひ劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです。

このほか、三上市朗、佐藤誓、橋本淳、尾方宣久、廣川三憲、村岡希美、崎山莉奈、王下貴司、仁科幸、北川結、片山敦郎が出演。

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世田谷パブリックシアター+KERA・MAP #009『キネマと恋人』は、以下の日程で上演。上演時間は、1幕95分、休憩15分、2幕95分の計3時間25分を予定。

【東京公演】6月8日(土)~6月23日(日) 世田谷パブリックシアター
【北九州公演】6月28日(金)~6月30日(日) 北九州芸術劇場 中劇場
【兵庫公演】7月3日(水)~7月7日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
【名古屋公演】7月12日(金)~7月15日(月・祝) 名古屋市芸術創造センター
【盛岡公演】7月20日(土)・7月21日(日) 盛岡劇場メインホール
【新潟公演】7月26日(金)~7月28日(日) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館・劇場

(撮影:御堂義乘)

 

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