松井周が絵本『ビビを見た!』を舞台化 出演に岡山天音、石橋静河ら


作家・演出家の松井周が、絵本「ビビを見た!」を舞台化する。「ビビを見た!」は“幻の童話作家”と言われた大海赫(おおうみあかし)の作品で、よしもとばななが絶賛するなど知る人ぞ知る傑作絵本。盲目の少年・ホタルが7時間だけ目がみえるようになることから始まる物語は、全身緑色の少女・ビビ、鎖をきひずった大男・ワカオが登場するなど、一見ファンタジックにも見えるが、衝撃的なストーリーと強烈な色彩感で、圧倒的な爽快感と息苦しさを美しく両立させている。

松井は、本作で描かれる「パニックに陥った社会」「集団心理」の中に、今の全体主義的な社会風潮へつながる予兆を感じたという。そして、現在の社会風潮への疑問を“演劇”を通じて問うため、この絵本を舞台化したいと想いをあたためていた。

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盲目の少年・ホタル役を演じるのは、連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)などで知られる岡山天音。緑色の少女・ビビ役には映画『夜空は最高密度の青色だ』『きみの鳥はうたえる』などでヒロイン役を務めた石橋静河が決定。そして、樹里咲穂、久ヶ沢徹、瑛蓮、師岡広明に加え、オーディションで選ばれた6人のキャストも加わる。

スタッフには、ベルリン在住のファッションデザイナー・濱田明日香(TERIACA)、フィリップ・ドゥクフレ作品などで照明デザインを手がけるYoann Tivoliらが参加し、「ビビを見た!」の世界観にふさわしいアーティスティックなクリエーションを目指す。

上演に向け、上演台本・演出を手掛ける松井と、岡山、石橋から以下のコメントが届いた。

◆松井周(上演台本・演出)
大海赫さんの「ビビを見た!」という絵本は、子ども向きではない、という意味で子どもに読んでほしい本です。ぐるりと世界がひっくり返ってしまった時に、人間はどうなってしまうのかをごまかすことなく、突きつけてくるからです。力強い絵や文章がよそ見をさせません。
目が見えない主人公のホタルは、ある時、声を聞きます。その声は「おまえにおもしろいものを見せてやろう」と言い放ち、ホタルは7時間だけ目が見えるようになります。けれど、その7時間はまるで人間の絶滅や地球の終末を思わせるような時間なのです。そして、人間全体が狂気の中で一つになって進んでいく状況の中、ホタルはビビという女の子と運命的に出会います。一体、彼女は何者なのでしょうか? 私たちはいつかきっと世界がひっくり返ってしまうと予感しています。その予感を止めることができない中で、時々は集まってそれを鎮めたり、爆発させたりする必要があるのかもしれません。演劇がそのための儀式だとしたら、僕はこの作品を舞台化する意味があると思っています。

◆岡山天音
このような深く衝撃的な作品にめぐり合えたことを幸せに思います。『ビビを見た!』という鮮烈な世界を僕の肉体を通して表現する。未知への恐さと楽しみが身体の中で渦巻いています。今の僕にできる全力で、主人公ホタルを演じられるよう精一杯がんばります。石橋さん演じるビビと一緒に描く世界がとても楽しみです。

◆石橋静河
今回、ビビという特別な役に出会えたことをとても嬉しく思います。私がビビとして舞台に立つまでまだ少し時間がありますが、ビビとホタルを乗せた列車が小さな音を立てながら、すぐそこまで来ているような気配を感じます。まるで美しい悪夢のようなこのお話に、同い年の岡山さんと切磋琢磨しながら時に助け合いながら、身体と心を目一杯使って挑みたいと思います。

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ビビを見た!』は、7月4日(木)から7月15日(月・祝)まで神奈川・KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオにて上演される。チケットは、4月20日(土)10:00より一般発売開始。

なお、4月13日(土)10:00よりKAme(かながわメンバーズ)にて先行発売が行われる(WEBのみ)。
Kame:https://www.kaat.jp/ticket/kame

【あらすじ】
盲目の少年・ホタルに「7時間だけ見えるようにしてやろう」と言う声が聞こえた。ホタルの目が見えるようになると同時に、まわりの人は光を失ってしまう。母も猫も、町の人も・・・。突如、町が正体不明の敵に襲われると警報が流れ、人々はパニックに陥る。盲目になった母と逃げるために列車に乗り込こむホタル。そこで、ホタルはやぶれた美しい羽と触覚を持った緑色の少女ビビと出会う。天真爛漫で無邪気なビビに手を焼きながら、一緒にいるホタル。 ホタルたちの乗った列車を謎の巨人・ワカオが追いかけてきて・・・。

チケットぴあ
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