2018年12月6日(木)に東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて舞台『遙かなる時空の中で3』が開幕した。本作は、コーエーテクモゲームスの女性向け恋愛ゲーム「遙かなる時空の中で」シリーズの中でも屈指の人気を誇る「遙かなる時空の中で3」の舞台版。舞台写真と共に、公開ゲネプロの模様をレポートする。
コーエーテクモゲームスが乙女に贈る女性向け恋愛ゲームであるネオロマンスシリーズ。その第2作目となる和風恋愛アドベンチャー「遙かなる時空の中で」シリーズは、古代から近代の日本に似た異世界を舞台に、「龍神の神子(みこ)」として召喚された少女が、龍神の神子に仕える「八葉」という8人の男性と交流し、怨霊などから世界を守るために戦う物語。2000年に発売されたゲーム版第1作から、漫画やアニメなどのマルチメディア展開により、多くの女性ファンを虜にしてきた人気シリーズだ。
その舞台版は、2008年に上演された舞台化第1作『ネオロマンス・ステージ 遙かなる時空の中で 舞一夜』から数多くの公演を重ね、今回、舞台化10周年の記念作品として、シリーズ屈指の人気タイトルである「遙かなる時空の中で3」が舞台化された。脚本は舞台だけでなくドラマやアニメなども手がける坪田文が、演出は2017年5月上演の『遙かなる時空の中で6 幻燈ロンド』でも演出を手掛けた西森英行(Innocent Sophere)が手掛けている。
【あらすじ】
現代、普通の高校生として生活していた春日望美は、突然不思議な力で源平争乱期の世に時空移動してしまう。怨霊を封印する力を持つ「白龍の神子」であると言われ、最初は戸惑いの中で元の世界に戻る為に奮闘する望美だったが、源氏の軍に加わり神子を守護する「八葉」と時間を過ごす中で「この世界の平和を守りたい」と凛々しい強さに目覚めていく。だが、平家との激しい戦いは続き、物語は望美たちが望む結末とは違った方に進んでいき・・・。
出演は、主人公の望美役に吉川友。八葉には、望美の幼なじみ・有川将臣役に井上正大、源氏の将・源九郎義経役に早乙女友貴、女の子好きの美少年ヒノエ役に杉江大志、源氏の軍師・武蔵坊弁慶役に石渡真修、将臣の弟・有川譲役に千綿勇平、源氏の軍奉行・梶原景時役に輝馬、平家の公達・平敦盛役に星元裕月、望美と九郎の剣の師匠・リズヴァーン役に村上幸平。
望美を召還した龍神・白龍役に稲垣成弥、景時の妹で黒龍の神子・梶原朔役に野本ほたる、そして、平家の将・平知盛役に舞台化1作目に出演していた中村誠治郎が名を連ねている。
八葉との絆や、平家との戦いを通して望美の波乱の運命が描かれる本作。特にゲーム版「遙かなる時空の中で3」の特徴の一つでもあるゲームシステム「運命上書きシステム」を再現したストーリーは秀逸だ。
悲劇や裏切りにより過酷な運命に見舞われる望美と八葉たち。その望まざる結末に立ち向かい、時空を越える力で運命を上書きして未来を切り開こうとする望美を吉川が迫真の演技で魅せる。悲しき運命を回避してグッドエンディングに突き進む後半の展開は、まさにカタルシス全開の内容となっている。
もちろん、遙かシリーズならではの乙女ゲームらしい展開も盛りだくさん。個性豊かな魅力を持った八葉たちが望美に対して、見つめたり、手を取ったり、抱きしめたり、時にはケンカしたりと絆を深めていく姿にキュンキュンすること間違いなし。八葉たちの魅力を引き出している演者たちによる、ネオロマンスなイベントシーンの数々を存分に堪能してほしい。
また、キャラクターたちを美しく彩る衣装もシリーズのキャラクターデザインを手がける水野十子の世界観を鮮やかに再現しており、見どころの一つ。桜の花びらが舞う映像の中で、平安絵巻のような美麗な和風ファンタジーが舞台上に綴られる。
映像やアンサンブルによる怨霊との戦いなど全編を通して繰り広げられる迫力満点の殺陣も満載。特に、神子が剣を持って戦うのは本作がゲームシリーズ初ということで、舞台版でも八葉たちに守られるだけでなく、戦うヒロインの格好良さが描かれており、吉川のスピーディーで軽やかな殺陣にも注目だ。
さらに、『戦国BASARA』シリーズ、『警視庁抜刀課』、『牙狼
原作ファンにはもちろんのこと、丁寧なキャラクター描写とストーリー展開、そして迫力ある殺陣によって、原作を知らない人でも胸躍る和風ファンタジーとして楽しめる舞台となった。
舞台『遙かなる時空の中で3』は、12月10日(月)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて、12月14日(金)から12月16日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。
(C)コーエーテクモゲームス
(取材・文・撮影/櫻井宏充)