宮本亜門念願の舞台!升毅、黒谷友香ら出演『画狂人 北斎』製作発表会


2019年1月10日(木)より舞台『画狂人 北斎』が東京・新国立劇場 小劇場にて上演される。その製作発表会見が2018年12月5日(水)に東京・すみだ北斎美術館にて行われ、演出の宮本亜門、出演の升毅、黒谷友香、玉城裕規、津村知与支、和田雅成、水谷あつしが登壇した。

本作は江戸時代、世界に名だたる希代のイラストレーターにして画家の葛飾北斎と、その娘・お栄の親子関係を軸に、二人を取り巻く人間模様と、現代で北斎を研究する人物たちのそれぞれの北斎に対する思いや葛藤から「創作の目的」や「人生の真理」を描く舞台。

2017年には、舞台台本のリーディング公演を北斎ゆかりの地である墨田区のすみだ北斎美術館にてスタート。ロンドンの大英博物館、曳舟文化センターでの凱旋公演を実施し、いよいよ舞台版の本公演が始まる。

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北斎の生きざまに共感し、舞台化を夢見てきたという宮本。会見では「なぜ北斎はこれだけの変人であったのか、これだけ偉大な絵を描きながら、何を考えてきたのか、というのをどうしても知りたいと思いました。“生”の人間として、葛飾北斎というのはどんなものか興味を持って、探っております」と本作にかける思いを述べた。

本会見の前日に台本の読み合わせが行われたということもあって「個性的な役者さんたちで、イメージが高まりました。これからどんどん台本を変えようと思っています(笑)」と宣言し、キャストたちを戦々恐々とさせて会場の笑いを誘った。

これが久々のストレートプレイ演出となる宮本は「『ミュージカル・北斎ですか?』と言われたんですけど、北斎は歌いません(笑)」と冗談を交えながら「江戸時代という熱気と活気の自由感があったなかで、天保の出版統制令により、幕府がお芝居や出版物に対して異常な押しつけをするんです。そういう圧力のなかで、北斎が何をしたのか。それでも絵を描くのかという感覚は、我々にとってそれでも芝居をするのかみたいなこともあって、北斎を知れば知るほどエネルギーをもらえるんです」と時代背景を解説。

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主人公・葛飾北斎を演じる升は「大変人で狂人の北斎を、なぜ自分が演じるのかというギャップを楽しみたいです。70歳から90歳の頃の北斎という設定なので『ずっとジジイなんだ』という心の葛藤がありました(笑)。ですが、どんどん北斎にハマってきているところです」と役柄について心境を明かした。

また、約4年ぶりの舞台出演となることについて「しばらくやっていなかったので、舞台感などが戻ってくるのか不安もありましたが、本読みをさせていただいてよみがえってきました。舞台人としての升毅を見せる、最高の場所をいただいたという感じがしていて、魂を込めて演じられるんだろうな、というワクワクした気持ちがいっぱいです」と目を輝かせた。

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北斎と共に暮らして北斎を支えた娘・お栄と峰岸凜太の姉・麗奈を演じる黒谷は「父を温かく見守りながらも、絵師としてはライバルという複雑な人間です。昨日の本読みと顔合わせから始まって、これからもっとこの世界を深めていきたいと思っております」と意気込みを披露。

NHKのドラマ『眩(くらら)~北斎の娘~』でも注目を集めたお栄のイメージとして、宮本は「ドラマとはまったく違うものが僕のなかにあります。かわいいというよりは格好いいというイメージです」と説明すると、黒谷はアゴが出ていたということでも有名なお栄に絡めて「もっとアゴがあればなと思いました(笑)」とコメントした。

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北斎の門人であった高井鴻山役と北斎の放蕩三昧の孫である柳川時太郎を演じる玉城は「個性的な方々と一緒にやらせていただくのをとても幸せに感じています。プレッシャーもありましたが、本読みの時に聞いていて、イメージをしているだけで顔がほころんでくる感覚を初めて味わいました。これが立ち稽古になって積み重なっていき、どういう形と色の北斎の世界観ができあがるのか考えただけで、すごくワクワクしています。そういう気持ちを忘れずに稽古に臨みたいです」と意気込んだ。

本作は江戸と現代を往き来する展開の中で、それぞれの時代を生きる6人の人間たちを通し、人生とは何なのか、人間とは何なのかを「画狂人」と呼ばれた北斎の生きざまを描きながら現代人に問いかける舞台となっている。

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その現代の北斎研究家である長谷川南斗役と江戸時代の鳥居耀蔵役を演じる津村は「長谷川はとても饒舌な研究家で、とにかく喋りまくります。これからまたセリフが変わるかもしれないということで、私はいつになったらセリフを覚えればいいのかと思っています(笑)」と苦笑しつつも「世界中の多くの方々が、現代に至っても北斎について様々な研究をされていて、僕が演じる長谷川もその中の一人です。その研究の中で自分のオリジナリティを見せたいと考えています」と役柄を説明。

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現代のオリジナルの役である長谷川と、和田が演じるその助手で画家の峰岸凜太について、宮本は「本読みをさせていただいておもしろいなと思ったので、二人は学校の先輩と後輩に変えさせてもらおうと思っています。ごめんなさい(笑)」と製作会見でまさかの設定変更の告白に、津村と和田も驚きを隠せない様子で会場は笑いに包まれた。

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宮本の爆弾発言にも、和田は「役を生きるということでは変わりはないと思います」と落ち着いたコメントをし「今回も自分のあんまり見せたくない部分とか、そういうところを凜太として、和田雅成として、さらけ出していかなければキャストのみなさんと一緒に舞台に立てないと本読みで感じました。稽古場でそういうものを出して、自分とみなさまと勝負をしていきたいです」と意欲を見せた。

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北斎の親友で戯作者の柳亭種彦と美術館の学芸員・馬場修平を演じる水谷は「柳亭は粋で格好いい、それに物語の新しいところではお栄さんと恋の気持ちがあったりと、最初に考えていた感じとは違いましたが、子どものように楽しく明るいイメージということなので、楽しんで演じたいです」と意気込みを語り「昨日、緊張感のある本読みの後に、男子一同でさっそく宴を開きまして、良い空気で稽古場に参加できると思っております(笑)」と笑顔を見せた。

最後に、升は「かつていた、今はいない死んでしまった北斎ではなく、生きていた北斎を演じようと考えています。どういう形で表現できるか自分でも楽しみですが、ぜひ楽しみにしていてください」と呼びかけた。

舞台『画狂人 北斎』は2019年1月10日(木)から1月20日(日)まで東京・新国立劇場 小劇場にて上演される。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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