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ローマ歌劇場によるオペラ『椿姫』『マノン・レスコー』恋と運命に翻弄される美しき歌姫たち

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オペラの国イタリアの名門ローマ歌劇場が4年ぶりに来日、今回の演目はヴェルディ作曲『椿姫』とプッチーニ作曲『マノン・レスコー』。2作は共にフランスの小説が原作で主な舞台はパリだが、オペラに仕立てたのはイタリアを、そしてオペラを代表する2人の作曲家。19世紀に活躍したヴェルディのオペラは重厚でゴージャス。華やかなアリア(独唱曲)と合唱曲、オーケストラの旋律が「これぞオペラ」と思わせてくれる。

一方のプッチーニは19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍。オペラもよりリアルになっていった時代だが、『蝶々夫人』の「ある晴れた日」や『ジャンニ・スキッキ』の「私のお父さん」など、心に直接訴えかけてくるような感情的で美しいアリアの数々を遺している。

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世界的な歌劇場で主役を張るには、まず美しい声と卓越した歌唱のテクニックが第一条件だが、最近のオペラ歌手たちはそれに加えて見目麗しく美男美女の役柄にふさわしい上に、観客の心をつかむ演技力まで兼ね備えているところがすごい。『マノン・レスコー』の主役マノンを演じるクリスティーネ・オポライスは初来日だが、ライブビューイングやビデオなどでもその美貌と美声を楽しむことはできる。ところが本人を見てビックリ、実物は映像よりもさらに美しいのだ。

また演出も、『マノン・レスコー』は高名なイタリアの指揮者リッカルド・ムーティの娘で、女優でもあり演出家でもあるキアラ・ムーティ。『椿姫』は有名な映画監督フランシス・コッポラの娘で、自身も映画監督として高い評価を受けているソフィア・コッポラが担当。演出とは関係ないとはいえ、こちらの二人もなぜか美人なのである。

公演を前に、芸術監督、指揮者、演出家、歌手らが登壇し、記者会見が行われた。まずローマ歌劇場芸術監督のアレッシオ・ウラッドは「ローマ歌劇場のオーケストラ全員、コーラス、技術や演出のスタッフも来日して、最上の公演をお届けできるよう努力しています。2014年にも来日公演を行いましたが、我々にも大きな感動を与えてくれた公演でした。『椿姫』と『マノン・レスコー』は数あるイタリアのオペラの中でもとても重要な作品です。このイタリアの大切な文化や伝統を、日本の皆様に伝えたい。イタリア人であるキアラ・ムーティ、イタリア系のソフィア・コッポラの演出、そしてイタリアを代表するデザイナー、ヴァレンティノの豪華な衣裳にもご注目ください」と熱意を述べた。

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『マノン・レスコー』を指揮するドナート・レンツェッティは「『マノン・レスコー』はプッチーニが最初に大成功を収めた作品です。その頃はまだヴェルディの全盛期だったので、それに対抗して成功を収めるのはとても難しいことだった。それだけ素晴らしい作品だったということです。オーケストラの使い方もストーリーも、とても現代的。ヒロインのマノンが、愛だけでなく物質的な満足も求めるところも、時を超えて共感を得るのだと思います。プッチーニの『蝶々夫人』や『トスカ』でも女性の悲劇がテーマになっていますが、彼はそれを大変美しい音楽で描いています」とプッチーニの世界を読み解いた。

『マノン・レスコー』を演出したムーティは「日本のように優れた文化を持つ国を訪れるのは大変嬉しいことです。そんな日本で、私たちのイタリアの文化が愛されているのを知ることもとても嬉しい。『マノン・レスコー』という小説は、フランスの作曲家ジュール・マスネーも『マノン』というオペラにしていますが、マスネーとプッチーニの違いはマスネーがフランス人で、プッチーニがイタリア人であること。マスネーには軽やかさと優美さがあり、プッチーニには大きな悲劇と情熱があります。また今回の公演で、エキストラなどで日本の方々にお手伝いいただいてますが、彼らは本当に熱心にやってくれるので、心から感謝しています」と熱く語ってくれた。

鮮やかなピンクのスーツで現れたマノン役を演じるオポライスは「プッチーニは私が一番好きな作曲家です。プッチーニは情熱と愛の人。全てか、ゼロか。それは私の人生のモットーでもあります。だから私はマノンや、他のプッチーニのヒロインたちをとても身近に感じます。ぜひ劇場に見に来て下さい!」と華やかな笑顔を見せた。

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『椿姫』のヒロイン、ヴィオレッタを演じるフランチェスカ・ドットも初来日。「イタリア人として、このイタリアを代表するオペラで、日本で主演できることをとても光栄に思っています。愛と情熱と、その真逆の砂漠のような世界。その2つが、両方のオペラに共通して存在すると思います。ヴィオレッタは最初は快楽だけを求めて生きていて、それが大きな愛に出会い、やがて愛のために全てを犠牲にする。彼女はとても強く、また弱くもある女性です。この作品を、素晴らしいキャストやスタッフの皆さんと演じられることを本当に嬉しく思います。」と饒舌に語った。

ヴィオレッタの恋人になるアルフレード役のアントニオ・ポーリは「東京ではこれまでにもアルフレード役を演じたことがありますが、今回の素晴らしいプロダクションで、またこの役を演じるのが本当に楽しみです。私は合気道をやっていて、日本の文化にとても惹かれています」と人懐こい笑顔で語った。

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今回記者会見で登壇したのは、オポライスを除き全員がイタリア人。彼らの身体の中から湧き出すような明るさや情熱に溢れた会見だった。圧倒的な音楽と歌唱が紡ぎだす様々なストーリーの中にどっぷりと浸ることのできるオペラの世界。本場イタリア製の公演で、この奥深くも華やかな世界に触れてみられては。

ローマ歌劇場2018年日本公演の公演日程は、下記のとおり。

『椿姫』
9月9日(日)、9月12日(水)、9月15日(土)、9月17日(月・祝) 東京文化会館

『マノン・レスコー』
9月16日(日) 神奈川県民ホール
9月20日(木)・9月22日(土) 東京文化会館

【NBS公式HP】https://www.nbs.or.jp

(取材・文/月島ゆみ)
(会見写真/Ayano Tomozawa、舞台写真/マノン・レスコー:Silvia Lell、椿姫:Yasuko Kageyama)

(文/エンタステージ編集部)

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