小澤亮太、田上真里奈らが綴る“最後の夏”『変わり咲きジュリアン』ゲネプロレポート


『変わり咲きジュリアン』が、2018年8月22日(水)に東京・あうるすぽっとにて開幕した。本作は、砂岡事務所プロデュースのもと、堀越涼(花組芝居/あやめ十八番)が脚本・演出を手掛け、ある青年の“終活”を追う物語。そのゲネプロより、公演の模様をレポートする。出演は、小澤亮太、藤原祐規、相馬圭祐、田上真里奈、林明寛、ほか。

(以下、物語の一部・配役に触れています)

『変わり咲きジュリアン』舞台写真_2

『変わり咲きジュリアン』舞台写真_3

【あらすじ】
若くしてがんを患った糸屋誠一(小澤)。医師から宣告を受けた余命は、半年だった。SNSを通じて出会ったドキュメンタリー作家・榎本宗四郎(藤原)は、誠一の“走馬灯”を撮りたいと“終活”を薦める。言われるがまま、これまでの人生を振り返り始めた誠一は、最後に会いたい人は誰なのか、自問自答する。

『変わり咲きジュリアン』舞台写真_12

思い出したのは、熱い夏の日。真っ赤なワンピースをまとった美しい女が誠一を迎えに来る。彼女は踊り子で、ジュリアン(田上)と名乗った。彼女は、誠一の手を引き、新幹線に乗せ、広島へと誘う。そこは、母の弟だという白瀬研ニ(林)が経営しているというストリップ小屋だった。誠一はそこで、甘酸っぱく、刺激的な夏を過ごすようになる。

『変わり咲きジュリアン』舞台写真_4

ジュリアンとその恋人・田丸修五(相馬)と過ごした夏は、楽しかったがどこか陽炎のようにあやふやだった―。

堀越と言えば、所属劇団である花組芝居や、自身の立ち上げたユニット・あやめ十八番の公演の印象で、近年は古典や和モダンな作品づくりを得意とするイメージがあるが、今回は一転して、ノスタルジックな現代劇に仕上げた。劇場空間をむき出しにした舞台上には、常にバンド(藤野“デジ”俊雄・Bass、吉田能・Compose/Keyboard、加藤順子・T.Sax)が控えており、ジャジーな音楽で物語を彩る。

『変わり咲きジュリアン』舞台写真_6

ジュリアン役を演じる田上の、佇まいが美しい。少々低めの声と黒目がちな眼差しには、妙な冷たさと熱が同居する。永遠の少女性を持ちながら、ジュリアンという女性の人生を舞台上で咲かせる。

登場人物、それぞれが歩む時間。劇中には、何度か「覚悟」という言葉が出てくるが、語りすぎない一言に、登場人物が抱える“人生”をにじむ。幕が下りたあと、良質なロードムービーを観たあとのような感覚と、少し湿った生の感触が残った。

静かな劇場に満ちる空気はひんやりとしていて、終わりゆく夏を偲ぶには十分だった。

砂岡事務所プロデュース『変わり咲きジュリアン』は、8月26日(日)まで東京・あうるすぽっとにて上演。

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(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)

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