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藤田貴大演出『書を捨てよ町へ出よう』世界観香るビジュアルが公開

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藤田貴大(マームとジプシー)が上演台本と演出を務めるRooTS シリーズ『書を捨てよ町へ出よう』が、2018年10月より上演されるが、このほど作品の世界観が大いに表現されたビジュアルが公開となった。RooTS シリーズとは、現代演劇のルーツである70年代前後に上演された傑作戯曲を、気鋭の若手演出家により復刻し、改めて日本演劇の魅力を再発見する人気シリーズ。

寺山修司による『書を捨てよ町へ出よう』は同名の評論集、舞台、映画のそれぞれが別の内容になっており、それぞれに鬱屈した青春を描き、当時の若者たちを挑発した問題作。2015年版では藤田は映画版に依拠しつつ上演台本を執筆。寺山を思わせる登場人物を配することにより、彼の評論、舞台、映画を集大成して、寺山に捧げる作品を紡いだ。そして2018年、3年の時を経て再び同作に挑戦する。

【あらすじ】
主人公は21歳の「私」。都電沿線の廃墟のような貧乏長屋で、万引き常習犯の祖母、無職の父親、ウサギを偏愛する引きこもりの妹と暮らしている。憧れの先輩は大学のサッカー部で主将を務め、美人の彼女をもち、良いアパートに住み、左翼思想にかぶれ、彼をかわいがり、けしかける。先輩に連れられ、娼婦を買って筆おろしをする「私」。そして「私」は人力飛行機に乗って、抑圧された環境からの脱出を夢見る・・・。ひとりの青年の鬱屈した青春が、音楽と実験映像を交えて挑発的に描かれていく。

主人公「私」を演じるのは佐藤緋美。上演に先駆け「寺山修司の世界観は理解できないことだらけですが、わからないから演ってみたいし、それが自分のためになることだけは間違いないので、がんばるだけです」と抱負を語っている。

また、初演舞台でも見事な演奏を披露した山本達久(ドラマー)が出演するほか、又吉直樹、穂村弘も引き続き映像出演。そして宣伝美術には手掛けるのは、ブックデザイナーの名久井直子。今回は宇野亞喜良のイラストレーションを得て、より一層重厚な世界を描出する。上演にあたり、藤田からコメントが届いている。

◆藤田貴大(上演台本・演出)
もちろんぼくはその時代のことを身をもって知っているわけではないけれど、だけれど、想像してみたくなったのだった。演劇を、彼らはどういう風にして捉えていたのだろう、そして、彼らにとって路地とは?道ゆく人々を、特殊な窓をとおして見つめてみたときに思い浮かんだものがあったのだろう。時代から弾かれたひとたちはどこへ向かうのか。自分たちは、この国で、どうなのか。

これでもかってくらい叩き込まれた敗北感と、それでもどうしたって納得がいかなかったこと。その両方をそのままのかたちで、つよい焦燥とともに、舞台に、路地に、現しつづけた彼らの姿を想像するに、ぼくはぼくらと無関係だとはおもわなかった。あのころの日本と現在の日本は、じゃあどうちがうのだろう。現在の、路地は?これはただの再現ではなく、現在の音と色と言葉が、これでもかってくらい練り込まれた、まったくあたらしい作品だとおもっている。

しかし、あたらしいとは、なにを持って、あたらしいと云えるのか。あたらしい、というのは、じつは、もともとあるものがなくては、あたらしくないのではないか。もともとあった音を、色を、言葉を、切り刻んで、解体して。あたらしく、構築していく。現在として、構築していく。かつて、彼らがそうしたように、ぼくらも舞台のうえで、または路地で、さまざまなシーンをその場で、コラージュしていく。まさに、閃いたのは、色でいうと、銀色だった。銀世界に、音を、色を、言葉を置いていくイメージで。また、つくっていきたいと、おもっている。(2018年2月)

RooTS シリーズ『書を捨てよ町へ出よう』は10月7日(日)から10月21日(日)まで、東京・東京芸術劇場にて上演される。その後、長野、青森、北海道、フランスを巡演。詳細は以下のとおり。

【東京公演】10月7日(日)から10月21日(日) 東京芸術劇場 シアターイースト
【長野公演】10月27日(土)~10月28 日(日) サントミューゼ
【青森公演】11月3日(土・祝)~11月4日(日) 三沢市国際交流教育センター
【北海道公演】11月7日(水)~11月8日(木) 札幌市教育文化会館
【フランス公演】11月21日(水)~11月24日(土) パリ日本文化会館

(文/エンタステージ編集部)

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