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中山優馬、松岡充、中村雅俊・・・男3世代があがき歌う『ローリング・ソング』稽古場レポート

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2018年8月11日(土)に東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて初日を迎える舞台『ローリング・ソング』の公開稽古&会見が、7月23日(月)に都内にて行われた。本公演は、鴻上尚史作演出による新作音楽劇。中山優馬、松岡充、中村雅俊演じる3世代に渡る男たちが、ぶつかり、あがき、自分の夢と向かい合っていく。彼らと共に闘う女たちを森田涼花、久野綾希子が演じる。

この日の稽古では、物語の中で重要な二つの“出会い”のシーンと歌がそれぞれ披露された。一つ目は、納豆の会社を経営する雅夫(松岡充)と小笠原(中村雅俊)の出会い。二つ目は、雅夫と良雅(中山優馬)の出会いだ。

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松岡は、ロックミュージシャンを諦め、父親の納豆会社を継いだ40代の雅夫を演じる。経営がうまくいかず、母・久美子(久野)に「お金を貸して欲しい」と相談するが、断る母。突然「再婚しようと思うの!」と照れながら、なぜか鞄の中からマイクを取り出し、歌い出す。重なるように歌いながら再婚相手の小笠原(中村)が登場し、二人のデュエットが始まる。

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幸せそうな母と、鷹揚な再婚相手が朗々と歌い上げる間で、目を丸くしながら戸惑う松岡がおかしい。中村の甘い声と笑顔が余裕を感じさせ、松岡とのギャップに、さらにおかしみが増す。

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2曲目では、雅夫に娘の綾奈(森田)が「会って欲しい人がいる」と良雅(中山)を紹介する。ロックミュージシャンを目指している良雅と、かつてロックミュージシャンを目指していた雅夫。

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情熱たっぷりの中山の歌声と、まっすぐな松岡の高音がぶつかる。それまでおどおどとしていた雅夫が、歌い出した瞬間にロックミュージシャンの顔になり、ぐっと空間を凝縮させる。多くのステージに立ち、音楽で人を引き込んできた松岡の力が爆発する瞬間だ。対する中山も、熱のこもる歌声に、ロックミュージシャンへの憧れや、雅夫への憤りなど複雑な思いが滲む。ぐちゃぐちゃに混ざった感情のボールをぶつけ合う、歌声の応酬。日頃、アーティストとしてステージに立つ彼らによる音楽対決が体験できるのも、本作の楽しみだ。

会見で中山は、ロックミュージシャンを夢見る青年・良雅について「このままでいいのか、ロックを続けていくことが本当に正しくてやりたいことなのかと、夢を見ることに対して引け目を感じている。でもすごくエネルギーを持った繊細な人です」と紹介した。

松岡の役は「夢を追いかけているころもあったけれど、現実的に母や娘を守っていく男。でもなかなかうまくいかない」。そして、中村が演じる小笠原は実は“結婚詐欺師”。なぜかモテてしまったがために、なんとなく結婚を売る人生を歩んできた男だ。夢を巡る3人の男たちが、世代を越えて人生を交差させていく。

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そんな男たちに出会い、巻き込まれる女たち。綾奈(森田)は自分の夢と向き合っていき、久美子(久野)は新しい夢を得て変わっていく。

それぞれの役に共感するところは、と聞かれると、現在24歳の中山は、21~22歳の時にちょうど周りでも進む道を迷う友人が多かったと振り返る。「いろんな世代で、夢破れたり、夢を見たり、夢を迷ったりすると思うのですが、良雅は、年齢の節目によって夢を迷っている。就職するのか、ロックに突き進んでいるのか。僕と同世代の人は特に共感できるのでは」。

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一方、松岡は、仲間たちがどんどん音楽を辞めていく後ろ姿を見てきた。ロックスターとして時代の先端を走った松岡にとっては、父親の納豆屋を継いで生業としていく雅夫の人生は「自分と遠い役だ、考えられない」と思ったそうだ。しかし稽古をするうちに「これ“俺だな”と思えて、ミリ単位の描写まで共感できる、これは当て書きなんだ!」と思ったそうだ。

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中村は結婚詐欺師という、自身に経験のない役を演じるが「自分の人生に置き換えると、大学に入って『お芝居をやりたい』という夢が生まれた。それを実現しようと努力し、役者になった。夢を実現する苦しみや喜びって、俺自身も味わってるな」と、役と自分の共通点を見出したそうだ。結婚詐欺師という“ある役割を演じる”という生き方は、役者の生き方であり、また、父や仕事人としてその場その場でいろんな自分を演じるという誰もが無意識にしていることなんだ、と説明した。

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作・演出の鴻上は、舞台について「20代、40代、60代の男性3人各世代のバトルを通して、夢を見ることのしんどさと楽しさを確認できたらいいな」と“夢”にかける思いをコメント。「夢を見るのは年齢ではなくて、それぞれ夢に対して怯える立場もあれば、諦めようとする立場、掴み取ろうとする立場もある。世代を超えて夢を掴み取ろうとする話を書きたかった。音楽劇にしたので、歌える人たちに集まっていただけて幸福です」と、終始笑顔で舞台への自信と期待を覗かせた。

KOKAMI@network vol.16『ローリング・ソング』は、8月11日(土)から9月2日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAにて上演される。その後、福岡、大阪を巡演。日程の詳細は、以下のとおり。

【東京公演】8月11日(土)~9月2日(日) 紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA
【福岡公演】9月5日(水)・9月6日(木) 久留米シティプラザ
【大阪公演】9月14日(金)・9月16日(日) サンケイホールブリーゼ

(取材・文・撮影/河野桃子)

(文/エンタステージ編集部)

KOKAMI@network vol.16『ローリング・ソング』

作品情報KOKAMI@network vol.16『ローリング・ソング』

三世代がぶつかり、あがき、歌い上げる物語。

  • 公演:
  • キャスト:中山優馬、松岡充、中村雅俊、森田涼花、久野綾希子、清水隆伍、皆川良美、溝端藍、金本大樹

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