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反戦悲喜劇『The Silver Tassie 銀杯』森新太郎×中山優馬で今秋上演

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森新太郎演出、中山優馬主演で『The Silver Tassie 銀杯(ザ・シルバー・タッシー ぎんぱい)』が2018年秋に上演されることが決定した。本作は、アイルランドの劇作家ショーン・オケイシーによって、第一次世界大戦の10年後となる1928年に書かれ、翌年ロンドンで初演された作品。日本での上演はこれが初となる。

物語の舞台は、第一次世界大戦のアイルランド。銀杯(優勝カップ)を抱え、輝かしい将来を嘱望された一人のフットボール選手ハリー・ヒーガン(中山)を軸に、青春期特有の恋愛ドラマも織り込みながら、一人の青年が国家の大義名分ともいうべき「戦争」の犠牲となっていく過程を描いた、一種の反戦劇となっている。

翻訳・訳詞はフジノサツコ。ストレートプレイながら、多くの歌が盛り込まれ、中山は歌唱のほか、楽器も演奏する予定だという。

上演発表にあたり、森と中山からコメントが届いている。

◆森新太郎
第一次大戦中、約20万人のアイルランド人がイギリス兵として戦場に向かった。それは、イギリス帝国内でアイルランドが対等の立場を得るための積極的な戦争協力であった。すぐにイギリス側が勝利するという楽観的な憶測は外れ、戦争は長期化、地獄のような塹壕戦を兵士たちは味わうことになる。そして大戦の終結から10年後、ショーン・オケイシーはこの戯曲を書いた。一種の反戦劇である。その数年前から、ダブリンの下層民たちを描いた悲喜劇「ダブリン三部作」によって、彼の名はすでに世に知られていたが、それらは常に物議を醸していた。彼は笑いをふんだんにまぶしながらも、市井の人々のありのままを描写した。そこに描かれたダブリン市民の欺瞞・不寛容・残酷さは、当時の愛国者たちにとって受け入れがたいものだった。そのため、時に上演は妨害され、暴動にまで発展したと言う。『The Silver Tassie 銀杯』に至っては、劇場側が上演自体を拒絶したため、初演はロンドンで行われた。本作品では、ダブリンにおけるありふれた日常と、戦場における極限状態とが対比的に描かれる。そのどちらにも等しく“暴力”が存在するということを、オケイシーは人々に訴えたかった。ロンドンの初演から90年、おそらく今回が日本での初演となる。彼の鳴らした警鐘は、現在の我々にどう響くであろうか。他に類を見ない、この奇妙かつパワフルな反戦悲喜劇を、どうか劇場で目撃していただきたい。

―中山優馬へ―
『The Silver Tassie 銀杯』は第一次大戦の10年後に書かれました。作者のショーン・オケイシーは反骨の社会派として知られ、当時、彼の作品は常に物議を醸していました。実際、ここまで奇妙かつパワフルな反戦悲喜劇を私は知りません。今回、この大作に中山くんと挑めることを、本当に嬉しく思います。戦争によって、夢ある人生を奪われてしまう主人公のハリー。「命ある限り望みはある」という慰めの言葉すら彼には呪わしい・・・。非常な覚悟を要する役です。今も昔も、世界中にハリーはいます。断言できますが、この舞台には俳優・中山優馬が必要です。一緒にがんばりましょう!

◆中山優馬(森新太郎からのメッセージを受けて)
今回、『The Silver Tassie 銀杯』に出演できること、大変ありがたく思います。森さんが演出をなされた舞台を拝見させていただいた時に、背筋が伸びる思いというか、神経を研ぎ澄ませて、全力で挑まないと自分には務まらないなと思いました。きっと稽古の段階から濃厚で密な時間を過ごせると思います。どの様な形に仕上がったのか、ぜひ劇場で確かめてください。一生懸命がんばります。

『The Silver Tassie 銀杯』は、2018年11月に東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。

(文/エンタステージ編集部)

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