Hey!Say!JUMP八乙女光&高木雄也が二人の天才劇作家として対峙!『薔薇と白鳥』レポート


Hey!Say!JUMPの八乙女光と高木雄也が主演する舞台『薔薇と白鳥』が、2018年5月27日(日)に東京・東京グローブ座にて開幕した。八乙女にとって4年ぶりの、高木には初の舞台出演となり、二人は実在する天才劇作家を演じる。脚本・演出のG2は、2017年『戸惑いの惑星』(坂本昌行、長野博、井ノ原快彦)以来のグローブ座での演出。このほかの出演は、武田真治、町田マリー、本折最強さとし、佐藤B作ら。

『薔薇と白鳥』舞台写真_4

物語は、史実をもとにしたオリジナルミステリー。16世紀末のイギリス、当時天才劇作家と呼び声の高かったクリストファー・マーロウ(八乙女)は、作品は大人気だが新作は書けず、奔放な生活で金に困り、娼婦ジョーン(町田)の家に居候していた。

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ある日マーロウは、大貴族ストレインジ卿の依頼で、田舎から来た新人俳優に劇作を教えることになる。劇作なら自分にさせれば良いのに・・・嫉妬と苛立ちを抱えながら、マーロウは人懐っこ青年ウィリアム・シェイクスピアに自分の戯曲を見せ、言い放つ。
「芝居は教わるものではない、盗め!」

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「盗みます!」。シェイクスピアは、俳優として数々の舞台に立ちながらマーロウの戯曲を読み漁り、戯曲を書いていく。新人とは思えないその才能に、マーロウも突き動かされ、再びペンを取った。育ちも性格も対照的な二人の青年が、芝居を通して対峙する。そんな中、マーロウは人殺しも厭わない残忍な諜報員フライザー(武田)に「シェイクスピアが何者なのかを探れ」と命じられ、隠された事実を知る・・・。

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八乙女は、入獄、偽金造り、諜報員の噂・・・と、波乱万丈な早逝の天才マーロウを演じる。マーロウの作品は激しく残酷で、それを書いた若き成功者の情熱的な面を感じさせつつ、裏にある繊細さや苦悩も見せる。八乙女は、その姿形も史実のマーロウに似せ、舞台に立つ意気込みやこだわりを感じさせた。

一方、高木演じるシェイクスピアの人物像は謎に包まれている。今作では、明るく誰にでも好かれ、記憶力抜群で才能豊かな人物として描かれる。一見、無邪気で無鉄砲なところもあるが、その笑顔の裏には何か隠しているような青年。楽しそうに舞台に立つ高木の、人好きするキャラクターが場を明るくする。後世に残る名劇作家の若い頃という、難役を魅力たっぷりに演じた。

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マーロウが居候をする家の娼婦ジェーン役の町田は、どこか影があり落ち着いていて、逆に青年二人の若さが浮き立たせる。当代きっての人気俳優ネッド役の本折最強さとしは、少々ワガママだが憎めない。その明るさと自信は、人々の憧れる主役俳優らしい。

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諜報員フライザー(武田)の纏う闇、華やかな劇場を経営するヘンズロウ(佐藤)の包容力ある安心感は、舞台の幅を広げる。ほか、有川マコト、林田一高、鹿野真央の3人が様々な役を演じ、コミカルなやりとりから立ち回り、不穏な周囲の人々の様子を醸し出す。

また衣装がシーンや二人の関係が変化するごとに変わる。その華美に注目し、色の持つイメージを膨らませると楽しい。

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ゲネプロ終了後には、赤と白の対照的な衣裳で現れた八乙女と高木、そして佐藤B作と武田真治による会見が行われた。

初舞台の高木は「楽しい!辛いことがない!反省することもあるけどG2さんから『ステージの上では反省するな』と言われたので」と終始笑顔。4年前、八乙女の舞台を観て「俺が知っている八乙女光と全然違いました。(自分も舞台を)やってみたいなと思っていたので、まさか一緒に舞台に立てるとは」と喜んだ。そんな高木に、八乙女は「良いキャストさんに囲まれてこいつは幸せ者」と笑う。無邪気な新人を経験ある先輩が励ましていくという、本作の関係にも似ている二人だ。

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武田は「彼ら(二人)は、気持ちから作ると言う役者の基本を分かっています。それを“どう見せるか”という見え方のアドバイスをしたら、かなりの割合でG2さんから『それはいらない』と言われまして・・・申し訳ない(笑)」と明かした。

一方、マーロウとシェイクスピアが作品を書き下ろす劇場の主ヘンズロウを演じる佐藤は、主演二人に「応援したくなる。がんばれよ、と、あたたかく見守るオヤジです」。G2から細かくの演出が入るため、教えることは何もないと言う。特に、台詞量も多くダメ出しもたくさんもらっている八乙女については「光はムキになっていくところが魅力」と激励。明るく人懐こいシェイクスピアと、負けず嫌いで内面を燃やすマーロウ、それぞれの役がピッタリだと感じさせる会見だった。

世界でもっとも有名な劇作家シェイクスピア。『ハムレット』『ロミオとジュリエット』など、死後400年以上経つ今もなお、世界中で作品が上演され続けている。それらの作品に繋がる原石が散りばめられているのが、このG2の仮説にもとづいたフィクション『薔薇と白鳥』だ。

シェイクスピア作品が好きな人は「ああ、だからシェイクスピアはあの作品を書いたのかもしれない」と新たな解釈に心踊る楽しさがある。もしシェイクスピアについて詳しくなかったとしても、いずれ未来を変える若い青年二人の友情、葛藤、対立に、胸が熱くなるだろう。

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舞台『薔薇と白鳥』は、6月24日(日)まで東京・東京グローブ座にて、6月29日(金)から7月1日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホールにて上演。

【公式HP】https://www.bara-hakucho.jp

※高木雄也の「高」は「はしごだか」が正式表記

(取材・文・撮影/河野桃子)

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