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名作映画『母と暮せば』富田靖子&松下洸平の二人芝居に

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井上ひさしの『父と暮せば』の「対になる作品を残す」という構想を受け継ぎ、山田洋次監督が製作し大ヒットを記録した映画『母と暮せば』が、舞台化されることが決定した。

2010年4月にこの世を去った井上ひさし。新作として沖縄、長崎を舞台にした作品を書く予定だったが、構想途中でその願いは叶わなかった。井上作品を中心とした演劇活動を行い、35年目を迎えたこまつ座は、井上自身が上演し続けて欲しいと願った作品の一つ『父と暮せば』に続き、オキナワの「今」を見つめた作品『木の上の軍隊』を2013年に発表(作:蓬莱竜太、2016年に再演された)。そして今回、2015年に戦後のナガサキを舞台とした映画として発表された映画『母と暮せば』を舞台化し、こまつ座「戦後“命”の三部作」第3弾として送り出す。

脚本は畑澤聖悟、演出は『木の上の軍隊』や数々の井上作品を演出してきた栗山民也が手掛け、監修に山田洋次監督を迎える。

時代は1948年、8月9日。長崎で助産婦をして暮らす母親の前に、3年前に原爆で死んだ息子が亡霊となってひょっこり現れた。その日から、息子は時々母親の前に現れて言葉を交わすようになる。奇妙だけれど、喜びに満ちた二人だけの時間は永遠に続くように見えた―。

母親役は、約7年ぶりの舞台出演となる富田靖子、息子役には2016年に再演された『木の上の軍隊』の新兵役も記憶に新しい松下洸平が務める。

富田の起用について、演出の栗山は「靖子さんとは、『炎の人』という画家ゴッホの半生を描いた作品でご一緒したのが初めて。シィヌという名の哀れで貧しい半裸のモデルを演じていただいた。その女の一つの体内に、明るさと暗さの感情が棲みついていて、いつも激しくぶつかり合っていた。今回の『母と暮せば』の原作を読みながら、ぼんやりと、靖子さんのその時の明るく、だが時に暗く静かな姿がダブって見えた」と語っている。

『母と暮せば』舞台化

1月某日、富田と山田監督の顔合わせが実現。実は初対面だという二人だったが、富田の華やかながら飾らない人柄に、場の雰囲気は一気に和やかに。映画『母と暮せば』について話し始めると、監督が一つ一つのエピソードに込めた思い、製作秘話に花が咲いた。山田監督の言葉から、『母と暮せば』と向き合うための確かな手がかりを得た様子の富田。久しぶりの舞台出演に向けた、役づくり最初の一歩になったようだ。

上演決定にあたり、富田と山田監督から以下のコメントが届いている。

◆富田靖子
映画版では上海のおじさん役の加藤健一さんや近所のお母さん役の広岡由里子さんがいらっしゃり、また、駆け回る子供たちの姿もあって、楽しい雰囲気や長崎の空気感・生活感が様々に表現されていましたが、今回の舞台は、息子役の松下洸平さんと私が演じる母親の二人きり。不安もありますが、二人だけで創造するのではなく、映画という共通項を持って稽古を始められることを、とても心強く感じています。私は舞台の長崎から近い福岡で育ちました。九州で起きたことを、舞台で未来につないでいくことに、身の引き締まる思いです。がんばりたいと思います。

◆山田洋次(監修)
『父と暮せば』は井上ひさしさんという天才にしか書けない見事な二人芝居だった。僕はその遺志を継ぐようなつもりで映画『母と暮せば』を作ったが、登場人物二人きりという冒険はとてもできなくて、息子の恋人と母を慕う中年男を登場させた。
今回の芝居はあえて登場人物を母と息子の二人に絞ったと聞いている。この勇敢なともいうべきチャレンジを、泉下の井上さんは楽しみに笑顔を浮かべてご覧になることだろう。『父と暮せば』に匹敵するような、決してひけをとらない楽しくて美しい芝居を誕生することを心から願ってやまない。

こまつ座 第124回公演 紀伊國屋書店提携『母と暮せば』は、10月に東京・紀伊國屋ホールにて上演。チケットは、8月初旬前売発売。なお、東京公演終了後、茨城、岩手、滋賀、千葉、愛知、埼玉、兵庫を巡演予定。

(文/エンタステージ編集部)

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