宇宙Six山本亮太&目黒蓮がW主演!音楽を武器に権力に立ち向かう『桃山ビート・トライブ』開幕レポート


ジャニーズJr.内ユニット「宇宙Six」の山本亮太と目黒蓮がW主演を務める『桃山ビート・トライブ』が2017年11月23日(木・祝)に東京・EXシアター六本木にて開幕した。本作は、教科書には載らないような歴史上の出来事をエンターテインメントとして表現するシリーズ企画の第5弾となる。過去には戦国時代にヨーロッパへ渡った天正遣欧少年使節を描いた『マルガリータ~戦国の天使たち~』、徳川家康と豊臣氏の最後の戦いを描いた『幻の城~戦国の美しき狂気~』(両舞台とも細貝圭、鈴木拡樹ら出演)、室町幕府第13代将軍足利義輝を主人公にした『剣豪将軍義輝』(主演:染谷俊之)などが上演されてきたシリーズだ。

『桃山ビート・トライブ』_12.jpg

本作の舞台は、安土桃山時代。織田信長が本能寺の変で命を落とした後、豊臣秀吉が治める時代。戦乱の世にピリオドが打たれ、町では後の歌舞伎の始祖となる女芸能者「出雲のお国」が一世を風靡していた。しかし、幕府では水面下で権力争いが繰り広げられ、芸者たちも巻き込まれていく。そんな中“音楽”を手にした4人の若者一座が、支配を強める権力に立ち向かう。まだ歌舞伎がなかったその時代、人生をかけて傾(かぶ)いた者たちの芸物語だ。

「いざや、傾かん!」これは、山本演じる藤次郎の口癖だ。驚くべき速さで三味線を弾きこなし、その道で天下一を目指す藤次郎。“傾く”とは、勝手な振る舞いをする、奇抜な身なりをする、変わり者(かぶきもの)という意味だが、藤次郎はまさにそんな性格。やんちゃで喧嘩っぱやく、後先考えずにどこにでも飛び込んでいくが、大見得を切った割に喧嘩は弱い。それでもめげずに学習せずに、明るく何度でも「傾かん!」と声高に、突き進んでいく。

囲み会見時には、共演者全員に「(藤次郎は)山本くんの性格そのままだよね」と言われ、衣裳のまま「えー!?そうですかー!?」と目を見開く様子は、役なのか本人なのか分からないほどハマっていた。舞台上でも、山本本来の明るさと人なつっこさがより魅力的に、観客を惹き付けることだろう。

その藤次郎の相方でもあるもう一人の主役、小平太役を目黒が演じる。笛職人の家柄に生まれながら、出雲のお国(星野真里)の一座に魅せられ笛役者を目指して家を飛び出す。後先考えずに行動する藤次郎とは反対に、少し慎重派。藤次郎に振り回されながらもお互いを思いやるいいコンビとなっていた。スピーディで勢い溢れる二人の演奏は、和の音色なのにロック!音楽が鳴ったとたんに客席にいるこちらも身を乗り出しそうになる。会見では「亮太くんと同じ舞台でよかった」と嬉しそう。KAT-TUN亀梨和也のライブのツアーに参加した時には、二人はホテルで同部屋にしてもらい、夜に演奏の特訓をしては楽器を抱えたまま寝ていたこともよくあった、とエピソードを話した。

『桃山ビート・トライブ』_9.jpg

『桃山ビート・トライブ』_8.jpg

この二人に加わるのが、太鼓叩きの弥介(副島淳)と舞姫ちほ(Elina)。弥介は信長の家臣で、本能寺の変で生き残った黒人という実在の人物だ。「生まれ故郷の楽器」という太鼓を抱え、音楽に欠かせないリズムを打つ。藤次郎の三味線、小平太の笛に太鼓が入ると、一気に音楽に安定感と深みが出るのが楽しい。また副島の195cmの長身による立ち回りは迫力満点!本人は「4人の一座の中で唯一30代です」と、若さに負けないようにがんばったと語っていた。

『桃山ビート・トライブ』_7.jpg

3人の音楽に乗り舞い踊るElinaは、第一線で活躍するダンサーだ。江戸時代にはなかったであろうダンススタイルは躍動的で“出雲の阿国を超える”とも言われる新星舞姫を表現。扇子を手に優雅に舞う桃山の人々の中に、ロックな音楽を従えキレの良いステップを踏む様子は、新しい時代の到来を感じさせ、観る者を興奮させる。Elinaは「足場が斜めな上に回転するので、その上で踊るのは大変」と語り、「体重があちこちと移動して、稽古最初の一週間は全身が筋肉痛で。なんでこんな場所が痛いんだろう?と思いました(笑)」と振り返っていた。

『桃山ビート・トライブ』_5.jpg

『桃山ビート・トライブ』_6.jpg

4人の若さとパワー溢れる舞いに対比するのが、お国役の星野真里。彼らが憧れた舞姫であるという孤高の存在感を示し、若さとは異なる大人の魅力を表現することを意識したと言う。一歩引き、受け止めかつ受け流す生き方をその所作から感じさせていた。

『桃山ビート・トライブ』_3.jpg

『桃山ビート・トライブ』_4.jpg

彼らを周囲で支えるのは、商人の助左衛門(寿里)、小屋を運営する又一郎(北代高士)、豊臣秀次(山本匠馬)、舞台ファンの役人・与兵衛(石井智也)といった面々。藤次郎らの若く新しい才能に魅了され、やがて国を動かす火種となっていく。権力の対立を激化させる男たちの中で、新垣里沙ら女性たちが明るさを振りまき、この作品が戦国にありながら、芸能の物語なのだと感じさせる華やかさを加えていた。また、同じ若者として4人に感化される平信(冨岡健翔/ジャニーズJr.「MADE」)、成太(奥谷知弘)らが、未来を感じさせる役割を担っているのも見どころだ。

『桃山ビート・トライブ』_2.jpg

4人の前に立ちふさがる石田光成(佐野瑞樹)、新九郎(井深克彦)らも、芸事に対してそれぞれの感情を抱いている。作品を通して様々な芸事への思いを見せることで、「芸」とは何か、という思いに厚みが増すのだ。私たちにとって舞台とは、芸能とは何なのか、それがどれほど大切なもので、なぜ自分は劇場まで足を運ぶのか、改めて考えたくなった。

『桃山ビート・トライブ』_1.jpg

会見には、秀吉と皮職人の三次の二役を演じた山崎樹範も登壇。舞台上では達者な芸で客席を大きく湧かせていたが、会見中もほかのキャストに突っ込み、笑わせていた。山本は、一緒にご飯を食べている時に山崎から「役者が演じる時の笑いを教えてもらいました」と、大先輩から多く学ぶ現場だったとコメント。冨岡は「いつも一緒にいろんなメンバーとやるのとは違うので新鮮で楽しいです」と明るく言いつつ、コミカルなシーンに挑戦することが大変だったと明かした。

副島が、目黒が最後の稽古を終えて寂しさのあまり、家で泣いたというエピソードを明かす。目黒が「一つ一つが最後だなと思ったら・・・」と会見中に目を潤ませると、山本がそれに突っ込む一幕も。佐野が言うように「真面目で一生懸命な彼らの良さが出ている、明るい舞台になっている実感があります」とキャストたちの魅力に絡めつつ作品をアピールした。

和楽器をかき鳴らして暴れる4人。まだ歌舞伎のなかった時代に“音楽”を武器に傾いた若者たちの生き様に注目を。

舞台『桃山ビート・トライブ』は、12月3日(日)まで東京・EXシアター六本木にて上演。

※山﨑樹範の「崎」は「大」の部分が「立」が正式表記

(取材・文・撮影/河野桃子)

チケットぴあ
最新情報をチェックしよう!
テキストのコピーはできません。