毛利亘宏が描く少年社中らしさ全開の壮大なSFファンタジー!『アマテラス』ゲネプロレポート


2017年2月3日(金)より、東京・紀伊國屋ホールにて少年社中 第33回公演『アマテラス』が開幕した。脚本・演出を手掛けるのは、劇団「少年社中」主宰であり、ミュージカル『黒執事』シリーズやミュージカル『薄桜鬼』シリーズなど2.5次元作品の人気シリーズを数多く手がける毛利亘宏。また本公演では、出演者に全劇団員が初めて揃って出演している。

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物語の舞台は、高度にコンピューターが発達した時代。目まぐるしい発展を遂げたAI(人工知能)は人類を管理し、反乱することもなく、AIはただ「人間に優しい世界」を作り上げていた。そんな世界で自堕落に暮らしていた青年(竹内尚文)が、ある日、因幡の白ウサギ(中村優一)に導かれ、タヌキ(井俣太良)、スズメ(杉山未央)、カメ(橋本祥平)と共に神々が治める日本神話の世界へと来てしまう。

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その世界では、闇を司る神ツクヨミ(高崎翔太)により、光の神々の頂点であるアマテラス(田上真里奈)が囚われていた。そして、アマテラスを支えていたスサノオ(岩田有民)ら光の神々も、アマテラスを裏切りツクヨミの配下に加わっていた。青年は「ヤマトタケル」を名乗り、お供のウサギ、タヌキ、スズメ、カメと共にアマテラスを救う旅に出る。やがて青年が知る“アマテラス”の真実とは?青年がこの世界にやってきた真の理由とは・・・?

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『ネバーランド』、『機械城奇譚』、『モマの火星探検記』などの様々なファンタジー作品を送り出し、好評を博してきた少年社中が、今回の公演で掲げたテーマは「少年社中×日本神話」。高度にコンピューターが発達した時代で自堕落に暮らしていた青年が、ひょんなきっかけから「日本神話」の世界にタイムスリップするという“神無き国の創世神話”を、毛利が新たに生み出す。

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本作では、劇団の看板女優である大竹えりが3年ぶりに出演。さらにゲストキャストも、毛利が脚本を手掛けた特撮作品『仮面ライダー4号』に出演していた中村をはじめ、橋本、高崎、田上の他、三上俊、ザンヨウコ、高木俊、ラブオと、毛利演出の舞台が初めてのキャストから、少年社中の舞台でおなじみのキャスト、ミュージカル『黒執事』シリーズ、ミュージカル『薄桜鬼』シリーズの出演でおなじみのキャストという豪華なメンバーが揃い、少年社中の世界で、それぞれの魅力を存分に発揮している。

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「少年社中×日本神話」という、古事記をベースに、おとぎ話やSFが融合する世界観は、劇中のセリフとしても出てくる手塚治虫のSFファンタジー作品のような趣があり、インタビューで毛利が「自分の中に持っている“少年社中はこういう芝居をやるべきだ!”というイメージのド真ん中を行こうと思っている」と語ったように、実に少年社中らしさ全開の舞台だ。

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ヤマトタケルはツクヨミからアマテラスを救い、その愛する思いを成し遂げようと奮闘する。そこから、ストーリーは予想のできない展開を繰り広げる。二転三転するジェットコースター的な終盤の展開のハラハラドキドキ感は、これもまた少年社中らしく、たまらないものがある。

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また、ヤマトタケル一行を演じる竹内、中村、井俣、杉山、橋本たち5人のイメージカラーは、戦隊ヒーロー物がモチーフとなっており、5人の息の合った演技も実に楽しい。特撮の脚本を手掛ける毛利らしく、作品内にちりばめられた特撮テイストな小ネタもニヤリとさせられる。

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青年は冒険の果てに何を見るのか。“神無き国の創世神話”という少年社中が贈る時空を超えた壮大なSFファンタジーを、ぜひ劇場で堪能して欲しい。

舞台『アマテラス』は、2月13日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて上演。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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