壮一帆、岸祐二ら豪華キャストによるタイムスリップ・コメディ『扉の向こう側』 大詰めの稽古場をレポート!


イギリスの劇作家、アラン・エイクボーンの原作をもとに、芦沢みどりの翻訳、板垣恭一の上演台本・演出により上演される、『扉の向こう側』の稽古場レポートをお届けする。

キャストは、壮一帆、紺野まひる、岸 祐二、泉見洋平、吉原光夫、一路真輝、という6名のみ。このメンバーでミュージカルではなく、ストレートプレイだというから驚きだ。戯曲に書かれた個性的な役柄を、なるほどこう演じるのかと、思わずうなったり、ニヤリと笑ったり。セリフだけでなく、「間」の取り方や、空間の埋め方はさすがベテラン勢のなせる技。観客の心を揺さぶりながらスピーディーに展開していく、小気味のいいサスペンス・コメディである。

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物語の舞台となっているのは、ロンドンの五つ星ホテル「リーガル」のスイートルーム。

実業家リース(吉原)はジェシカ(紺野)とルエラ(一路)、二人の妻を殺した過去を持つ・・・と言っても、手を下したのは彼自身ではなく、彼の共同経営者のジュリアン(岸)。しかし何故だか表沙汰にはならず、人生の成功者として日々を送っていた。

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70歳になり死を意識し始めたリースは、自ら制裁を下すかの様に、自分とジュリアンの悪事を告白する文書を書く。その文書を法的に有効なものとする為には第三者の署名が必要だった。その為、リースは滞在するホテルのスイートルームに娼婦が呼ばれた。そこにやってきたのはSMクイーンのフィービー(壮)。

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彼の企みに気づいたジュリアンはフィービーも殺害しようとするが、身の危険を感じたフィービーは「コネクティングドア」を開け、隣の部屋へ脱出を試みる。

しかしその扉の向こうは過去と現在を繋ぐ不思議な空間となっていた。そこで、フィービ―は殺害された筈の二人の妻・ルエラやジェシカと出会う。お互いの立場を何とか理解し合った三人の女たちは、気のいい警備員ハロルド(泉見)を巻き込んで大騒動。自分たちの殺人事件を未然に防ごうと奮闘するのだが・・・。果たして・・・。

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初日が近付き、連日稽古場では「通し稽古」が行なわれている。稽古終了後、演出の板垣さんより「この芝居はテンポが大事。昨日と今日、一幕にかかった時間は全く同じだったけど、確実に今日の方が緩急付いていてよかったです。いい具合にポンポンはねて(セリフのキャッチボールが出来て)いました。ただ、二ニ幕の方は少し間延びしてしまったので、次はニ幕のテンポ感をに気をつけてやっていきましょう」と、本日の「チェック」が言い渡されると、キャスト同士も台本を開いて気になるところを確認し合う様子が見られた。

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壮が演じるフィービーは、時に強気で時に純情な2036年のSMクイーン、稽古着でも抜群のスタイルが目を引く。ファンが未知であろう姿を披露する本番の衣裳が楽しみだ。紺野の新婚の花嫁ジェシカは、生き生きとして初々しい。吉原のリースは、英国紳士としての品も漂わせながら裏の顔も巧み匂わせる。岸が演じるジュリアンは底の見えない企みを覗かせる。泉見のハロルドは笑いと共に物語を思わぬ展開に導くが、泉見の軽やかな一面が光る。一路扮するルエラは、展開に大きな影響を与える人物としてその言葉や動きの一つ一つが見逃せない。

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共演歴もあり、特に女性陣は宝塚歌劇団の雪組男役・娘役トップ経験者という共通点も。芝居が構築される中で自然に強まる連帯感と、スリリングなタイムスリップコメディを生み出すべく、時に笑いもありつつ、一つ一つのシーンを丹念に作り上げてゆく様子が印象的だった。

この物語では、ある「扉」を開くと時空を超えた空間に瞬間移動する。登場人物たちがなぜ、タイムワープする必要があったのか…。この謎を舞台ならではの演出で少しずつ解き明かしていく、この臨場感を是非、劇場で味わって欲しい。

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『扉の向こう側』
作:アラン・エイクボーン
演出:板垣恭一
出演:壮 一帆、紺野 まひる、岸 祐二、泉見 洋平、吉原 光夫、一路 真輝

【兵庫公演】2016年11月11日(金)~11月13日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
【東京公演】2016年11月16日(水)~11月23日(水・祝)東京芸術劇場 プレイハウス
【名古屋公演】2016年11月28日(月)青少年文化センター アートピアホール

オフィシャルサイト
https://tobira-no-mukogawa.amebaownd.com

問い合わせ
キューブ 03-5485-2252(平日12時~18時)

(取材・文・撮影/住川絵理)

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