蜷川幸雄・追悼公演『ビニールの城』開幕!森田剛「公演後に、蜷川さんへ思いを報告できたら」


2016年8月6日(土)に東京・Bunkamura シアターコクーンにて芸術監督 蜷川幸雄・追悼公演『ビニールの城』が開幕した。今回、唐十郎が劇団第七病棟に書き下ろし、1985年に初演されたこの作品を、蜷川幸雄氏が初演出することになっていた。しかし、残念ながら5月12日(木)に志半ばで蜷川氏が他界。その遺志を引き継ぎ演出・出演を務めることとなった金守珍、出演の森田剛、宮沢りえ、荒川良々から、コメントが届いた。

◆金守珍(演出・出演)
私は蜷川さんの下で役者としてスタートし、その後、演出家として唐十郎の作品に取り組み続けてきましたが、2010年に蜷川さんに役者として呼んでもらって以来、ここコクーンの舞台に立っています。今回の『ビニールの城』でもキャスティングされていましたが、蜷川さんの死によって演出を引き継ぐことになったため、役は降りるつもりでした。ところが、宮沢りえさんが、舞台にも立つべきだと背中を押してくれました。じゃあ全体は誰が見るのかと聞くと、「蜷川さんが見てくれている」と。人と繋がりたい、愛したいという人間の根源的な希求をロマンチックかつ怖さを秘めて描いている『ビニールの城』は、唐作品の中で最も美しく切ない芝居です。蜷川さんならではの絶妙なキャスティングと強力なスタッフの下、レベルの高い稽古環境で思いっきりぶつかることができ、自分がイメージしていた以上の仕上がりとなりました。おかげで演劇人生の両師匠・蜷川さんと唐さんに、「どうですか?」と胸を張れる仕上がりになったと思います。今は観客の皆さんがどう評価してくださるか、ドキドキというよりもワクワクしています。

◆森田剛(出演)
この『ビニールの城』は蜷川さんが携わった最後の作品になりますが、こんなに素敵な出演者、スタッフの方が集結していることは蜷川さんが引き寄せてくれた奇跡だと思っています。稽古を通じて、皆さんの力、思いが大事な作品だと改めて実感しました。稽古中は、蜷川さんが見守ってくれているのを感じながら、演出の金守珍さんを信じてついていきました。公演が終わった後に自分と向き合って、蜷川さんへ思いを報告できたらいいなと思っています。今回、人形を介してしか人と向き合えない腹話術師を演じるにあたり、いっこく堂さんに腹話術の指導をしていただきました。短期間の稽古でしたが、僕のできることを伸ばしてくださり、お芝居の延長で腹話術ができる感覚を教えていただきました。唐十郎さんの作品は台詞が力強く、なぜだかわからないけれど感動してしまう言葉が多いです。なかなかこのような作品に出会えることはないと思います。皆さんも色々な視点で観劇されると思いますが、僕らは自信を持ってこの作品をお届けする覚悟はできています。素敵な言葉たちを、ぜひ感じてください。

◆宮沢りえ(出演)
大好きな蜷川さんからそっと、手渡されたモノを、ギュッと握りしめたまま、森田さんをはじめ、魅力的な共演者と、最高のスタッフと、密度の高いお稽古を重ねました。掌の中にあるのはやっぱり、志高く作品を創るという、魂でした。劇場に観に来てくださった方に、そして、どこかで見守ってくれている蜷川さんに、その魂を思いっきり、届けたい。それだけです。

◆荒川良々(出演)
一生懸命やります!(今回が唐戯曲への初挑戦となりますが)戯曲を読んでいる時はわからなかったことが、稽古を重ねていくうちに台詞が身体に沁みてきます。(『ビニールの城』の魅力は)観劇してくれる人が決めてください。

芸術監督 蜷川幸雄・追悼公演『ビニールの城』は、8月6日(土)から8月29日(月)まで東京・Bunkamura シアターコクーンにて上演。

(撮影/河野桃子)

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