『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3 加藤和樹×木村達成の“Wリフ”対談!「全部を共有したい」


2020年4月1日(水)からIHIステージアラウンド東京で浦井健治、柿澤勇人主演のブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3が上演される。1950年代後半のニューヨーク、マンハッタンのウエストサイドを舞台に、ポーランド系移民のトニーとプエルトリコ系移民のマリアが禁断の恋に落ちる姿を描いている本作。2019年8月から上演された来日版、Season1、そして現在上演中のSeason2と続き、今回のSeason3がラストとなる。そんな本作で主人公・トニーと共にジェッツを作り上げたリフを演じる加藤和樹と木村達成にインタビュー。オーディションの裏話やお互いの印象、本作で楽しみにしていることなどを聞いた。

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――オーディションを受け、リフ役が決まった時のお気持ちは?

加藤:これまでダンスは『テニスの王子様』でしかほとんど踊ったことがなくて・・・受かった時は驚きました。今回のようにダンスがメインの作品というものに出たことがなかったので、人生最大の挑戦だなと思います。『ウエスト・サイド・ストーリー』は20歳を超えてから初めて観たのですが、思い返してみると小さい頃に運動会で劇中曲である「Mambo」を全く違うフリですけど踊っていたなと。そういう意味では縁があるなと感じました。

木村:僕も驚きが強かったです。オーディションでは歌と踊りをさせていただいたんですけど、オーディションって「絶対ダメだな・・・」と思った時はやっぱりダメなことが多いじゃないですか。でも絶対ダメだなと思ったのに受かることもあって・・・。

加藤:本当そうだよね。

木村:今回は後者でした。その場でフリを渡されて踊ったんですけど、思っている以上にダンスが激しくて・・・かなり汗だくになって息も上がった状態で課題曲を歌いました。全然歌えなかったので「もうダメだ・・・」って思っていたんですけど受かっていたので驚きました。ダンスは加藤さんと同じで『テニスの王子様』で踊っていたくらいで、バレエの基礎とかも何もない状態だったので、僕も今作は挑戦だなと思っているんですけど、稽古を通してダンスに対しての考え方が変わってきています。ダンスも言葉なんだなとすごく感じています。ただフリをもらって踊るだけでなく、ひとつひとつの振りに意味があってというのを再確認しました。

――オーディションではどの楽曲をやられたのでしょうか?また、稽古を受けてみていかがでしょうか。

加藤:オーディションではプロローグの一部分をやったのと、あと「Cool」を歌だけ。踊りが得意ではなくて、経験値のある他の方と比べるとスタートが遅れているのでそれをなんとか少しでも縮めた状態で進めたくて、他のシーズンの稽古もしていた時だったんですが「もし空いている時間があれば稽古をしてほしい」とお願いをしました。本当に先に1、2回でもやっておいて良かったなと思いました。

稽古ではバレエのレッスンからやり始めて。バーレッスンや足の使い方、体の使い方を学んでからのフリ入れでした。それをやっていただけでも違うなという実感があります。他の方がどういう準備をされているか全くわからない状況ではあるのですが、達成とのWキャストというのを知ってから「お互いがんばろうね」と話をしていたので「こないだ行ったんだけどやばいよ」って声をかけました。この大変さをお互いに共有したくて。そしたら「え?」という反応で(笑)。

木村:「達成やばいよ!」って加藤さんから言われて、「何がやばいんですか?」って聞いたら「俺ちょっとマジで踊れないからちょっとだけ見てもらってるんだよね」という話を伺って・・・それから僕も稽古に行かせてもらうようになりました。昨日も稽古に行ったんですけど、足がやばいです(笑)。

加藤:俺この稽古の後に違う作品の稽古に行ったら足がガクガクだったもん(笑)。

木村:震えるんですよ、途中から。‟膝が笑う“とはこういうことかと(笑)。

加藤:本当に。今までに使ったことのない筋肉を使うので・・・俺も達成も運動神経は悪くないと思うし、それなりに動ける自負みたいなものがあるんですけど全然通用しないですね。

木村:通用しないですよね。あと今まであまりやったことなかったんですけど、体が硬いのでストレッチをやり始めました。

加藤:俺も若い時すごい固かった。

木村:パッカーンっていきますか?

加藤:パッカーンとはいかないけどベターンとはいける。

木村:すごい!僕それが目標なんです。あと『ウエスト・サイド・ストーリー』が終わるまでに180度開脚が目標です。

加藤:180度!一緒にがんばろう。あと僕は稽古を通して、出来ないと悔しいなって思うようになりました。少し前までは自分が踊りで何かを表現することはないだろうと思っていたんですけど、この『ウエスト・サイド・ストーリー』の来日版とSeason1を観て、踊りで表現できることの楽しさすばらしさを感じたんですよね。

これまで作品つくりに携わる中で、ダンサーさんたちが踊りで表現する場面とか観ていて「すごいな」とか、「あれだけ踊れたら楽しいだろうな」という憧れはあったんですけど、自分にはできないなっていう諦めがどこかにあって・・・それを諦めたままにするのか、トライをするのかという感じで。30代に入ってきてからいろんなことにチャレンジする機会が増えてきたんですけど、そういう意味では本当にこの作品は“人生最大の挑戦”だなと。今までいろんなことに挑戦してきましたけど、ここまでの挑戦は中々ないと思います。

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――お互いがWキャストの相手だと知ったのはいつ頃だったのでしょうか?

木村:(2019年11月から12月にかけて上演されたミュージカル)『ファントム』の時でしたね。

加藤:そうだね。

木村:加藤さんとWキャストで本当に良かったなと思います。普通Wキャストの同じ役の人に、「今ダンス稽古通ってる」って言わないと思うんです。それを教えてくださる心の広さ、最高です!

加藤:(笑)。だって一緒にがんばるわけだからさ。同じ作品を作る一員として、共有できるものはなるべく共有したいし、この作品においては全部を共有したいんですよ!お互い励まし合って、傷をなめ合って・・・。

木村:ラーメンを食べて(笑)。

加藤:ラーメン食べて(笑)。「ここはこうだった」って言い合うそういう時間というものがこの作品はすごく多いと思うんです。Season1もSeason2も知り合いがいっぱい出ているし、そこから得るものがあって。SNSで見ているとすごく充実してるんだけど、きっとその充実の中には大変さと言うものが絶対にあるなと感じて。

特にSeason2で同じ役をやっている上口耕平くんのSNSで今日もすごくがんばったんだろうなって思えるような充実感に満ちた呟きを見ると、自分たちもまずそこにいけるようにならないとなと思いますし、もしそこにいけなかったときにはどう自分たちのモチベーションを上げていくかというところも考えてしまって・・・。その中で、達成とのWキャストは僕にとってすごく心強いです。年齢的には結構離れていますけど、頼る部分もあると思うので。

木村:いえいえそんな・・・とんでもないです。・・・送り迎えだけお願いします(笑)。

加藤:そこかい!(笑)

木村:僕は今後稽古していく中で、加藤さんの演じている姿を見ていっぱい学んでいきたいです。

加藤:同じくです。

木村:初共演した『ファントム』とは全く違った役なので、加藤さんがどう演じられるのかすごく楽しみです。加藤さんの演じるリフとは違った味を自分で出せれば良いなと思いますし、いい意味でも悪い意味でも僕は“自分”を持っていないというか自分のスタイルを見つけられていない・・・最近それが悩みでもあるんですけど・・・。なのでこの作品を通して違う自分が見つけられればいいなと思います。

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――改めてお互いのご印象は?

木村:役者としてとても尊敬してます。『ファントム』の時に「こういう役を演じたら右に出るものはいないな」と感じて、僕もそういう人になれたらいいなと思いました。

加藤:達成の良いところは、ちゃんと学ぼうとする意志をすごく感じるところですね。さっき自分のスタイルが見つからないと言ってましたけど、それが多分達成のスタイルなんじゃないかなと。何にでもなれるし、いろんな可能性がすごくあって、多分自分では気づかないだけですごく魅力はあるし、真っ直ぐさがあるというか。『ファントム』でしかまだ共演していないですけど、シャンドンは達成にしかできないオンリーワンのものだったので、リフという役を同じ演出でやったとしても全く違うものになると確信しています。

――本作で楽しみにしていることはありますか?

木村:バイクに乗るシーンがリフはあるんですけど、あれをすごいやりたかったんです。できることになったのでうれしいです。

加藤:わかる(笑)。

――あの劇場で乗りこなす自信は?

木村:あります!

――現在のお二人の中の‟リフ像“は?

加藤:仲間たちに対する愛や絆、信頼、リフにとって彼らは家族であり、かけがえのない仲間なので、その信頼関係というのを本番までの間に作り上げていきたいですね。限られた時間の中でどこまで仲を深めていけるか、お互いの事を腹割って話せるか、芝居についてどう思っているか、どれだけダンスを追及していくのかというのを妥協せずに常に積み上げていきたいです。そういうプロセスが自然にリフという役に繋がっていくと思います。

木村:僕も同じ気持ちです。ジェッツのメンバーのことをどれだけ好きになることができるかだと思います。僕はお腹を見せるのが得意なので・・・(笑)。

加藤:そうね(笑)。懐にドーンと入っていくもんね。

木村:あと僕は、ジェッツのメンバーがみんな個性的なので、その中で埋もれないようにしたいなと思います。存在感というか、リフとしてリーダー感を出せるように。劇場も大きいですし、その中で自分の体を2、3倍大きく見せられるようにがんばりたいです。

――木村さんはリーダータイプですか?

木村:どうでしょう・・・切り込み隊長ではあると思うんですけど(笑)。

加藤:達成は仲間たちからかわいがられるタイプなので。1作品しかまだ一緒にやってないけど、どちらかというと弟キャラかなって。だからどう達成がリフを作り上げていくのか楽しみです。自分とは絶対違うアプローチになると思うので。

木村:慕われ方って色々ありますよね。ドンと背中を見せて引っ張っていくタイプと、みんなからいじられても真ん中にいる人とか。自分なりのそういうものをがんばって見つけていきたいです。

――劇中で相棒のような存在のトニー役の浦井健治さん、柿澤勇人さんのご印象は?

木村:僕一度も共演させていただいたことないんですよね。

加藤:二人とも?

木村:はい。初めましてです。お二人とも爽やかなイメージです!

加藤:確かにね(笑)。多分達成はカッキーとすごく仲良くなれるタイプだと思う。

木村:お二人はどんな方なんですか?

加藤:二人ともね、天然の天才タイプ。それに加え努力もしていて。俺の中では二人とも芝居大好きだし熱量があって、ついていきたくなるタイプ。カッキーは年下で弟タイプかなとも思うけど、トニーとリフとして関係は作っていきやすいかなと。浦井さんは懐の広さがすごくあって、なんでも受け止めてくれると思うので全てをぶつけるくらいの覚悟でいきたいなと思っています。

――最後に、公演を楽しみにしている皆さまへメッセージをお願いします。

加藤:今までにない加藤和樹が観られると思います。期待にこたえられるようにがんばります!

木村:「Season3が一番『ウエスト・サイド・ストーリー』だったね」と言われるようにがんばりたいです!

加藤:そうだね。でも結構言ったね(笑)。

木村:こういうのは強気に行かないとかなって(笑)。

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◆公演情報
ブロードウェイ・ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』Season3
2020年4月1日(水)~ 2020年5月31日(日)
IHIステージアラウンド東京にて上演

【原案・初演時演出・振付】ジェローム・ロビンス
【脚本】アーサー・ローレンツ
【音楽】レナード・バーンスタイン
【作詞】スティーブン・ソンドハイム

ステージアラウンド版オリジナルスタッフ
【演出】デイヴィッド・セイント
【振付リステージング】フリオ・モンヘ

日本キャスト版STAFF
【翻訳・訳詞】竜真知子
【演出補】フリオ・モンヘ、薛珠麗

【出演】
トニー:浦井健治/柿澤勇人(Wキャスト)
マリア:桜井玲香/伊原六花(Wキャスト)
アニータ:ソニン/夢咲ねね (Wキャスト)
リフ:加藤和樹/木村達成 (Wキャスト)
ベルナルド:Oguri/有澤樟太郎(Wキャスト)

シュランク:中村まこと
クラプキ:コング桑田
グラッドハンド:やついいちろう/槙尾ユウスケ(かもめんたる)(Wキャスト)
ドク:モロ師岡

The Jets & The Sharks
穴沢裕介、大村真佑、工藤広夢、後藤健流、斎藤准一郎、笹岡征矢、高原紳輔、田極翼、東間一貴、富永雄翔、根岸澄宜、橋田康、畠山翔太、前原雅樹、宮河愛一郎、淺越葉菜、伊藤かの子、井上真由子、内田百合香、大泰司桃子、今野晶乃、酒井比那、鈴木さあや、田中里佳、笘篠ひとみ、矢吹世奈、山崎朱菜、脇坂美帆

【Season3公式サイト】https://www.tbs.co.jp/stagearound/wss360_3/
【ステージアラウンド公式サイト】https://www.tbs.co.jp/stagearound/
【公式Facebook】@stagearoundtokyo
【公式Twitter】@STAGE_AROUND

(取材・文・撮影:エンタステージ編集部3号)

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