『僕のヒーローアカデミア』田村 心&小林亮太インタビュー!新作に向け「“Plus Ultra”の精神で!」


2019年4月に上演された「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage(通称:ヒロステ)の新作公演、「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage本物の英雄(ヒーロー)が2020年春に上演される。主人公の緑谷出久(みどりやいずく/通称:デク)が最高のヒーローを目指し成長していく姿を描いた堀越耕平の人気漫画(「週刊少年ジャンプ」連載/集英社刊)の世界を、熱量ある演劇に仕上げた前作は、東京・大阪のほか、上海でも公演を行い、高い評価を得た。

全情報が明らかになり、緑谷出久役の田村 心と、デクの同級生で幼馴染みでもある爆豪勝己(ばくごうかつき)役の小林亮太が再び“ヒロステ”に挑む。二人に、新作公演に向けた思いを聞いた。

――新作公演決定、おめでとうございます!まず、前回の公演を振り返っていただきたいと思います。

小林:実は、昨日(取材前日)も前作のDVDを観ていたんですが(笑)。やっぱり、楽しかったなという思いが一番にありました。改めて見返していると、稽古場でのこととか、舞台裏のことなどが鮮明に蘇ってきて・・・とにかく楽しかった。心ちゃんはどうですか?

田村:僕も楽しかったんですが、初演ということに対する不安もありながら日々稽古していたのを覚えています。でも、幕が開いてからはお客さんの反応を見ることでその不安が自信に変わっていったので、いい終わり方ができた作品になりました。

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――「楽しかった」というお言葉がありましたが、どんなところが楽しかったんでしょう?

田村:高校が舞台で、ヒーローを目指してみんなで熱く、時に楽しくという内容なので、必然的に楽しい雰囲気になったんだと思います。そこにキャストの個性が加わって、いいメンバーで日々公演ができたので・・・そういうところかな。

小林:それから、東京と大阪で公演をやって、そこで自分たちがやれることをちゃんと出した上で、上海に持っていけたというのが、今振り返って、改めて良かったなと感じることですね。心ちゃんも言っているとおり、不安やプレッシャーを公演を重ねることで自信に変えていけたことは嬉しいことですし、それをバネにもっと上にいけたらと思いました。

――上海公演について、もう少しお伺いしてもいいですか?

田村:日本の演劇、2.5次元作品が、あれほど受け入れられて、あんなに熱狂してもらえるんだ、ということを肌で感じました。それは、向こうでお芝居をした経験のある人にしか分からない感覚で、当たり前のことではないんですよね。今、たくさんの2.5次元作品が作られていますが、そのすべてが海外公演を行えるわけでもない。だから、海外で公演させてもらえたこと、そして、生で海外のお客さんのリアクションを体験できたことは、人としても役者としても貴重な経験だったと思います。それで何かがステップアップできたのかと言われたら、それが何なのかはわからないのですが…(笑)。

小林:でも、本当にそうだと思う。僕たちキャストだけではなくて、スタッフさん、それから原作の力があってこそ、海外での公演ができるのだというのは感じましたし、とてもありがたいことだと思いました。それから、字幕はありますが僕たちが日本語で演技をしていても、お客さんにいろいろなことを感じとってもらえているのが分かったのも、とても良い経験でした。大千秋楽のカーテンコールで、僕と心ちゃんが挨拶をしたのですが、中国語ができないので日本語で話すしかないねって、ずっと日本語で話したんです。

田村:でも、伝わったよね。

小林:うん、伝わった気がした。やっぱり、僕らが本当に伝えたいと思っていることは、言語を超えて伝わるんだと、改めて身に染みました。

――お二人にとってヒロステはとても大きな経験になったと思いますが、それぞれの役をどのように作っていったんですか?

田村:とにかくがんばるしかない!と思っていました。デクのキャラクター性もありましたが、僕自身もその思いが強かったですね。共演者の皆さんは、実力もキャリアもある方ばかりだったので、そこにどう食らいついていくか。「人より何倍もがんばらないとダメなんだ」っていうデクの言葉がありますが、まさにそういう精神でやらないとって思っていました。

小林:僕は、かっちゃん(爆豪)が上を上を目指すというキャラクターだということもあって、上を見ようという意識はしていました。でも、僕、本当に不器用なんですよ・・・。なので、少しでも気を抜いたら負けてしまうというのを感じていました。それに、僕はこういった大きな作品に、初演から携わるのは初めてのことだったので、心ちゃんを含めたキャストたちと「ほかの2.5次元作品を超えていけるものにしたい」と話してがんばっていました。役作りとしては、稽古場での時間が学校に近いような雰囲気があって、そこから自然と出来上がっていった気がします。

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――田村さんは座長として、どのようなことを意識されましたか?

田村:全然、何もしてないです・・・(笑)。

小林:公演前にいつも円陣を組んでいたんですが、そこで心ちゃんが毎回、士気を高めるようなことを言ってくれていたので、心ちゃん自身が背負っているものを身近に感じたし、円陣を組むことでもう一つ上にいけると僕は思ってましたよ?だから、すごい座長だなって思っていました。

田村:マジで?嬉しい!

――座長という気負いはなかった?

田村:いや、考えてはいました。でも、以前に座長をやった時に考えすぎてしまったという経験があったので、考え込みすぎないようにとは思っていました。でも、実際にはやっぱり考えてしまって・・・そんな時に周りのキャストやスタッフさんたちが支えてくれました。(飯田天哉<いいだてんや>役の猪野)広樹くんが「心は前だけみていればいい。周りは俺らがおもしろくするから、心は前だけ見ていて」と言ってくれて、その言葉で気負わずにできたのかなと思います。

――素敵な先輩の言葉ですね。元吉庸泰さんの演出はいかがでしたか?

田村:すごい方だなと思いました。常に役者の味方でていてくれるんです。別に、稽古場に役者の敵はいないですけど(笑)。役者に常に寄り添ってくれる方です。

小林:うん、そうだね。

田村:発想が素晴らしいですし、元吉さんにしか見えていないものがある。稽古場では、それは僕たちには見えていないんですが、劇場に入って、照明やセット、全部揃った時に完成するんです。稽古の時から元吉さんはこれを見ていたんだなって分かって、すごいと思いました。

小林:それから、役者の導き方がすごい方だとも思いました。もちろん、いろいろな演出の仕方があって、それぞれだと思いますが、僕が迷った時に聞きに行ったら一緒に“考えてくれる”というスタンスを見せてくださったんです。それは、僕たちの立場からしたらすごく嬉しいものですし、やりやすかったです。

――では、前回の公演を経て、原作や演じたキャラクターに対しての思いは変わりましたか?

田村:そうですね。もともと誰の目線ということもなく、(原作の)「ヒロアカ」という作品自体を楽しんでいたんですが、デク目線で楽しむようになったと思います。それに、ヒロステを経たからこそ感じることや新たな発見もあるんですよ。前回の公演では(原作コミックスの単行本)1巻から5巻までのストーリーを舞台化したんですが、その台詞をほとんど覚えているので、その状態で原作を読むと「これがあったからこうなったんだ」とか「この描写はこだわっているな」とか、新しく見えてくるものがたくさんあって・・・それが、おもしろいんです。こんなにも視野が広がるんだなって。

小林:僕は「ヒロステ」のオーディションをきっかけに原作を読ませていただいたので、最初からかっちゃん目線で読んでいたんですが、公演を終えて改めて読んだ時には、デク目線でも見られるようになりました。

田村:逆に(笑)?

小林:そう、逆に(笑)。またお稽古が始まったらかっちゃん目線でしか読めなくなると思うんだけど、公演を終えたことで一歩引いた目線で見れて、別のおもしろさも感じられました。次の公演でどこまでのストーリーをやるのか、僕たちもまだ分かりませんが、物語の中でキャラクターたちは成長していっているし、僕たちも成長していることをお見せできたらいいなと思います。

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――続編は、皆さんの中でも待望の決定でしたか?

小林:キャストはみんな、やりたいと漠然と思っていたと思います。

田村:うん。前回の公演が千秋楽を迎えた時も、またすぐ会えるだろうなっていう感覚があった。だから今回、新作が決まって嬉しさももちろんありましたが、やっと来た!というか、待ってました!っていう思いもありました。だってもう、すぐやりたかったもん(笑)。

小林:うん、やりたかった(笑)。

田村:それに(再演ではなく)続編ということも嬉しいですね。

小林:僕は、前回「ヒロステ」に出演できるって決まった時も素直に嬉しかったし、実際に公演を経ても楽しかったという思いが大きかったから、やっぱり続編はやりたかったんです。でも、前回の公演を超えなければいけないというプレッシャーもあるなと思いました。だから今、続編が動き始めたこの段階からやっておくべきことがあると思っています。稽古が始まるまでの過ごし方が作品に反映されると思うので、この時期に、それぞれが成長しないといけない。稽古が始まってみんなが集まった時に、一個上のステップにいけたらと個人的には思っています。

――それぞれの役に対し、どう深めていきたいですか?

田村:デクががんばるというのは変わらないと思います。ただ、その中でも成長している。(原作でも)物語が進むにつれて、デクの顔つきが違って見えてきますよね。だから、そのちょっとした成長や心の変化を丁寧に演じていきたいなと思います。今回は、デクとかっちゃんの関係性も一歩進むと思うので、その関係性もしっかりと演じたいです。

小林:お客さんにとっても分かりやすく成長しているデクと比べると、かっちゃんはそれが外に見えにくい部分はあります。でも、確実に成長しているのでそれを見せたいなと思っています。それから、かっちゃん以外のキャラたちの戦いもすごいことになりそうなので、元吉さんマジックがどう出るのか楽しみです。

田村:僕、もう今から怖い(笑)。僕も昨日、初演のDVDを観たんですが、前回はデクとかっちゃんの戦いがたった6分くらいしかなかったんですよ?体感では20分、30分戦っているつもりだったから、そんな短かったの!?ってなった(笑)。今回はそれ以上のものがくると思うので、本当にがんばらないといけないなって思っています。

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――ちなみに、お二人は役者としてはどんな姿を目標としていますか?

田村:どうなりたいですか?

小林:ん~。

田村:このお仕事って、どんどん広がっていくと思うんですよ。やりたいこととか、目標とか。だから“コレ”というわけではないですが、とにかく続けていって、いろんな役、いろんなお仕事ができたら幸せだなと思います。

小林:僕は「ヒロステ」を経て、もっと舞台が好きになりました。もともと好きだったんですが、以前よりももっと舞台観劇に行くようになったし、生だからこそ伝わるものがあるとさらに感じるようになりました。日本の演劇、2.5次元作品を世界にも持っていきたいと思っていますが、そのためにはまずは日本国内を盛り上げないといけない。盛り上げるためにも、僕自身が影響力のある俳優になりたいと思っています。もちろん、作品を通してですが、メッセージを届けられる役者でいたいなと思っています。

――役と同じぐらい、成長するお二人の今後が楽しみにしています。最後に、新作を楽しみにされている皆さんへ、お一言お願いします。

小林:楽しみに待っていてくださったら嬉しいです!でも多分・・・僕らがその倍、楽しみにしていると思います(笑)。エンターテインメントは、やっている人間が楽しくないと観ている人にも届かないと思うので、まずは僕ら自身が楽しんで創っていきたいと思います!その上で、前回観に来てくださった方も、初めて来てくださる方も楽しめる作品にしたいと思っています。新キャストも増えると思うので、みんなでがんばっていけたらいいなと思います!

田村:前回の公演で「これがヒロステだ」というものが提示できたと思っています。だから、今回は楽しみながら、そこにできたハードルは越えていかなければいけないなとも感じています。そのハードルを越えるために、みんなでがんばっていきたいと思います。“Plus Ultra(プラスウルトラ)”の精神で臨みます!劇場でお待ちしています。

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◆公演情報

「僕のヒーローアカデミア」 The “Ultra ” Stage 本物の英雄(ヒーロー)

【東京公演】2020年3月6日(金)~3月22日(日) 品川プリンスホテル ステラボール
【大阪公演】2020年3月27日(金)~4月5日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

【原作】堀越耕平「僕のヒーローアカデミア」(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
【演出】元吉庸泰
【脚本】西森英行
【音楽】和田俊輔
【振付】塩野拓矢(梅棒)

【出演】
緑谷出久:田村心/
爆豪勝己:小林亮太 麗日お茶子:竹内 夢 飯田天哉:猪野広樹 轟 焦凍:北村 諒/
蛙吹梅雨:野口真緒 切島鋭児郎:田中尚輝 上鳴電気:佐藤祐吾 青山優雅:橋本真一 八百万 百:山崎紗彩 峰田 実:奥井那我人 常闇踏陰:松原 凛 耳郎響香:川上明莉 瀬呂範太:池田 慎 芦戸三奈:永利優妃/
死柄木 弔:雷太 ステイン:川隅美慎/
グラントリノ:米原幸佑 イレイザー・ヘッド:瀬戸祐介 プレゼント・マイク:岡本悠紀 エンデヴァー:上田悠介 ベストジーニスト:チャンヘ/

オールマイト(トゥルーフォーム):林剛史 オールマイト(マッスルフォーム):岩永洋昭

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オールラウンダー: 竹廣隼人 細川 洪 掛川僚太 丹羽達也 木内海美
※オールラウンダーとはアンサンブルキャストの呼称

※山﨑紗彩の「崎」の「大」は「立」が正式表記

【公式サイト】https://heroaca-stage.com/
【公式Twitter】@heroaca_stage

(C)堀越耕平/集英社・「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stage 製作委員会

 

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