山寺宏一×水島裕×三石琴乃インタビュー!『Out of Order』はラフィングライブ史上最高にセクシー?!


声優、俳優、タレントとして幅広く活躍する山寺宏一と水島裕、そして演出家・野坂実の3人による演劇ユニット「ラフィングライブ」。2015年の旗揚げ公演からイギリスを代表する人気劇作家レイ・クーニーや、その息子マイケル・クーニー原作の本格コメディを上演し、好評を博してきた。

第五回公演となる今回も、山寺と水島のほか、寿美菜子、岩崎ひろし、斎藤志郎、三石琴乃、高橋広樹、名塚佳織、岩尾万太郎、斉藤こず恵など、声優としても役者としてもマルチに活躍する豪華なキャストが名を連ね、レイ・クーニー原作の『Out of Order』を上演。

今回は中心メンバーである山寺と水島に加えて、ラフィングライブ初参加となる三石に作品について語ってもらった。

――今回、レイ・クーニーの『Out of Order』を選んだ理由を教えてください。

山寺:何といってもクーニー親子にハマっちゃった、ということですよね。次の作品を決める時は、演出の野坂さんがいくつか候補を持ってきて、「次はこれでどうですか?」と我々に言ってくるんですよ。

水島:今回は2本だったね。

山寺:それで、「やっぱりこれでしょう!」となったんです。たまには方向性を変えようかと思いながらも、やはり読んでみると、これだな!となるんですよね。

――旗揚げ公演時のインタビューでは、コメディをやりたいという思いからこのユニットを結成されたというお話を聞きましたが、クーニー親子の作品だけをやりたいというわけではないんですよね?

山寺:それは全然ないです。たまたま、ずっとクーニー親子の作品になっちゃっているんですよね。

水島:おじさん二人が話の中でグチャグチャになっていく作品がなかなかないんですけど、レイ・クーニーの作品にはおじさん二人がしっちゃかめっちゃかになっていくものが多いんですよ。

山寺:そうですね。自分が演じるために書いたんでしょうからね。

水島:だから、いつも他の作品も上演しようかと思うんですけど、結局、レイ・クーニーの作品になっちゃう(笑)。

山寺:ずっと観ていただいている人にも、また同じようなのを上演するのかと言われるんじゃないかと思いながら・・・でも、想像を超えていきたい。レイ・クーニーの作品ならそれができるんじゃないかと思うんですよね。他の作家の作品だと物足りなくなっちゃうんですよ。僕はとにかくレイ・クーニーが好きなんです。誰も傷つけないコメディなので。コメディの中には、この時代にどうだろうというものもあるじゃないですか。

水島:山ちゃんは、わりとそこにこだわるよね。

山寺:例えばLGBTもそうだし、揶揄や差別的なものは、やっぱりね。イギリスのコメディの中には、そういう風潮の作品も根強くありますよね。

水島:そうだよね。

山寺:これからの時代、それはちょっとどうなんだろうと思うんですが、『Out of Order』はそういう色はないコメディです。

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――出演者の方々は、水島さんと山寺さんが「この人がいい」と直接オファーをされるそうですが、今回、三石さんに出演のオファーをされた理由は?

水島:今回は山ちゃんが三石さんに声をかけたんです。

山寺:ずっと出てほしいと思っていたんです。琴ちゃんが最近も舞台をやっているのを知っていて、観に行ったりもしていたので。やっと念願が叶った。

三石:嬉しいです。

山寺:何回かお伺いを立てていたんですよ(笑)。具体化する前から「舞台はどうなの?」「僕たちもやっているけど、いつかどう?」みたいに。具体的に言えたのは、今年の初め頃だったかな。

――三石さんは、オファーを受けていかがでしたか?

三石:お誘いいただいた時には、もう二つ返事で「やりたい!ぜひ!」という感じでした。以前からお二人がコメディをやっているのは知っていましたし。山寺さんから「こんなのやっているんだよ」と、ラフィングライブのチラシをもらったこともあるんですよ。でも「もうチケットないんだけどね」と言われて・・・これは一体どういう意味なのかと(笑)。

山寺:一応、お知らせとしてね(笑)。それは、何かの時にはお誘いする可能性があるというのも含めてということで!

三石:2年ぐらい前に山寺さんと一緒にイベントをやった時にも「舞台とかやるのかな?」と尋ねられたので、「やりますよ! 大好きですよ!」とお答えしていたんですよ。そして今年になって、具体的にオファーをいただけたので「よしきた!」って(笑)。『Out of Order』は、私が昔所属していた「劇団あかぺら倶楽部」でも上演したんです。1990年に創立メンバーが集まって、その2年後に旗揚げしたんですが、私は10年目を迎える頃、結婚を機に辞めたしまったんです。子育てが一段落してから、客演で呼んでいただいたりはしていたんですが。

山寺:あかぺら倶楽部で『Out of Order』を上演した時は、出ていなかったの?

三石:出てないんですよ。だから、この作品を実際にやるのは初めて。「劇団あかぺら倶楽部」でもレイ・クーニー作品は数多く上演されていましたから、私も『パパ、アイ・ラブ・ユー』(1997年)には出たことがあります。その時は、息子を連れてくる愛人の役で。出演した時の楽しい感じとか、役者は大変だけど喜んでくれるお客さんの声がわりとダイレクトに感じられる作品だったので、レイ・クーニー作品は大好きですね。

――三石さんは、ラフィングライブにどのような印象をお持ちですか?

三石:チケットがないって言われたから、結局、一度も拝見できないまま自分が出ることになってしまったんですが・・・(笑)。

山寺:でも、野坂さんの演出は他の舞台に出た時に受けているよね?

三石:コメディではなかったんですが、「劇団ヘロヘロQカンパニー」さんとか、「劇団クロジ」さんに出演させていただいた時に演出していただきました。信頼できる方なので、(演出が)野坂さんで良かったと思っています。

山寺:野坂さんが嫌われてなくて良かった(笑)。

――山寺さんと水島さんは、舞台では三石さんと初共演ですね。

山寺:声優のお仕事では何回も共演しているんですけどね。

水島:僕は、三石さんと声優のお仕事でも1回しか共演していないんですよ。

三石:同じ作品とか、シリーズには出ているんだけど、一緒に登場することはほとんどなかった感じですね。

――山寺さんと水島さんとしては、三石さんとの舞台での共演をどう思いますか?

水島:山ちゃんはよく知っているけど、僕はほとんど接点がなかったので視点が違いますね。僕の三石さんのイメージは、『美少女戦士セーラームーン』の印象が強いです。うちの娘が大好きだったので。その三石さんと同じ舞台に立つというのは、ちょっと不思議な感覚です。娘よ、うらやましいだろう(笑)!

山寺:僕はもう期待しかないですよ! ラフィングライブに新しい風を吹き込んでくださって、さらにラフィングライブがレベルアップしたと思ってもらえるようにお呼びしたんですから。出番は後半からなので、最初は俺との絡みがないんだけど(笑)。琴ちゃんと夫婦役なんだけど、なかなか絡まない・・・(笑)。

三石:私の演じる妻に浮気がばれないように四苦八苦するから、なかなか出会わないんですよね(笑)。

山寺:楽しんでやってほしいですね。それで、ラフィングライブを好きになってもらって、また出たいと思ってもらいたいな。お客さんに楽しんでもらうまでの過程は苦しいですが、そこに僕はやりがいを感じるので。琴ちゃんにも楽しんでほしいな。

三石:ご一緒する上で、私、聞いてみたいことがあったんですよ。野坂さんを含めて皆さんが何故一緒にやろうとなったんですか?

水島:もともと、野坂さんと僕が知り合いで、野坂さんが『パパ、アイ・ラブ・ユー』をやりたいって台本を持ってきたんですよ。読んだら、僕の中で主役のイメージにハマるのは山ちゃんしかいなくて。だから、山ちゃんがオッケーだったらやりますよと言って、連絡したんだよね。でも、その頃、山ちゃんはまだ『おはスタ』をやっていたから体力的な問題があるかなと思ったんだけど、読んだら「やりたい!」って言ってくれたの。それが始まりです。

山寺:裕さんは大先輩だけど、お仕事ではそんなにたくさんご一緒したことがなかったんですよね。

水島:そうそう。

山寺:裕さんの舞台を観てないし、裕さんも俺の舞台を観てないし、野坂さんの演出の舞台も観たことない。こんな3人で本当にやれるのか?と思ったんだけど(笑)。裕さんの熱意と野坂さんに突き動かされた。俺は舞台にコンプレックスがあって「もう舞台なんてやんなくていい」と思っていたんだけど、本当はすごく好きだったんだよね。だから「俺を舞台役者として一流にしてくれる自信があるならやる。そういう演出をしてくれるの?」と聞いたら、野坂さんが「やります!」と言ってくれたんです。それから、いっぱいダメ出しされて、楽日までダメ出しされて(笑)。もう十分やっただろって(笑)。クーニー作品と言えば加藤健一事務所の鉄板で、俺もずっと昔に観たけれど、やるならそれに負けないように作りたいと思ったんだよね。

三石:加藤健一事務所の芝居は完成されていますからね。

山寺:そう。だから、負けないものを作る自信があるのかって言ったら、野坂さんが「この3人でやればできる」と言ってくれたんですよ。そんな覚悟で臨む1回だけの公演だったはずなんだけど、いつのまにかユニットになっていた(笑)。1回目の公演が終わらなければ次のことを決めたくなかったので、僕がユニット化は待ってほしいと言っていたんです。劇団みたいにして“やらなければいけない”となるのはイヤだったんですよね。やりたい芝居を、やりたい人とやる。やりたい本があって、やりたい芝居だけをやる。あとはお任せという体制が作れたから、続いているんだろうな。

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――三石さんは山寺さんと水島さんとの舞台共演に何を期待していますか?

三石:ドキドキのびっくり箱を開けるような、そういう期待と不安・・・不安はないか(笑)。なくはないんですが、それは日を追うごとにどんどん解消されていくと分かっているものなので、それも楽しみつつ、自分のできることを一生懸命やれればなと思っています。

山寺:みんな、どのぐらいの早さで台詞を覚えるんだろう。

水島:ラフィングライブの台詞覚え具合は、みんなバラバラだから(笑)。

山寺:この前、『今、僕は六本木の交差点に立つ』という舞台に出させていただいたんですけど、2.5次元ミュージカルなどで活躍している若手の役者さんも、小劇場の役者さんも、みんなすごかったんですよ。稽古初日から台詞が入っていて。

水島:ひえ~(笑)。

山寺:ビックリした。みんな若いのに、動きもパッとやれるんですよ。ベテランの方が経験あるはずなのに!

三石:私たちもがんばるんです(笑)!

山寺:(笑)。裕さんも旗揚げ公演の時は「なんで先に台詞を覚えるんだよ~」とか愚痴っていたのに、前回や前々回では誰よりも早く台詞を覚えていましたよね。

水島:いや、そんなことはないよ。僕、実際に動かないとなかなか台詞って頭に入らないタイプだから・・・。

三石:そうですよね。私も、動いてからどんどん入ってくるタイプです。

山寺:みんな、それぞれの仕事をやりながらという多忙な状況なので、効率的な稽古にしないとね。でも、台詞を覚えるのが遅くても、ラフィングライブは本番でミスをしたことは少ないね。旗揚げ公演で、関智一が出トチって出てこなかったことぐらい(笑)。

水島:あのパニクってた様子は今でも覚えているよ。違うドアから出てきたし(笑)。あとは、(大塚)明夫ちゃんがドアを閉めたらランプが落ちて割れたこともあったよね。

山寺:でも、それをフォローしたのも関智一なんだよね。

三石:ナイスフォロー(笑)。

――三石さん以外の共演者の方々についても教えていただけますか?

山寺:まず初参加の岩尾万太郎は、俺以外に誰も知らないですよね。俺の養成所時代の同期で、養成所での最初の友達なんです。

三石:え~!そうなんだ!!

山寺:俳協で、松本梨香と岩尾と俺の3人が同期なんです。で、俺が最初に芝居をやった時にコンビ役をやったの。岩尾は今、自分の劇団も持っていて、今は俳協で演出とかしている。だから、一番古い友達と、念願叶って一緒にできるということなんです。あとは名塚佳織が初参加ですね。

三石:佳織ちゃんとはヘロQ(劇団ヘロヘロQカムパニー)で共演したことがあります。

山寺:そして、先輩たちが頼もしい!岩崎ひろしさんとか斎藤志郎さんとか。ひろしさんは、いろいろやる人だからちょっと心配なんだけど(笑)。

三石:岩崎さんとはアフレコでしかご一緒したことがないんですけど、台本どおりには絶対言わないですよね(笑)。こう来るよね、というテンションではやらない。

山寺:普通にやりたくないってね(笑)。でも、最終的には納得の演技をしてくれる。

水島:今回どうやって演じられるか楽しみだね。

三石:私、今回のメンバーを見た時に“混ぜるな危険”って言葉が頭に浮かびました(笑)。

山寺:まさに(笑)。

――皆さんは、声優として海外のコメディ映画やドラマの吹替も担当されていますが、ラフィングライブのおもしろさの中にその影響もあるのでしょうか?

水島:それは、旗揚げの時にもお客さんから言われたな。褒め言葉として言ってくれたんだけど、「皆さんはちょっと演劇の人とは違う感じがする。台詞もよく分かるし、テンポも違う・・・なんか、洋画の吹替とかが関係あるんですかね?」って。

山寺:声優で舞台をやると、そういうことをよく言われますよね。

三石:私は声優と同じぐらい舞台に関わってきていたので、「そうですね」と言いながらも“声優芝居”と言われたくなかったから、しっかり自分の足で立って芝居も舞台も上手になりたい、という欲求が強かったですね。

山寺:“声優芝居”が具体的に何を指しているのか、一概には言えないけどね。みんな、半端にやっているわけじゃない。でも、台詞に頼りすぎて表面的な口先だけの芝居になってしまってはいけないという思いは、当然あると思います。でも、こういうテンポのいい作品で、人間関係が複雑だから台詞をちゃんと聞いていないと分からなくなってしまうものは、より台詞の明瞭さが大事になってくるから。いろんな芝居があるけれど、そういう意味で、声優をやっていること良い方に働かせていきたいね。演じるという意味では同じなので、ちゃんとハートを持って、しっかり立って。

三石:そうですね。

水島:うん、その時のお客さんも、そういう意味で言ってくれていた。

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――それぞれの役について、見どころを教えてください。

水島:今回も山ちゃんに言われるがまま、振り回されるがままです(笑)。僕にとって、今までよりもトリッキーに感じるところがあるので、今までの作品とはちょっと役柄が違うかも。

山寺:僕は、自分のことをごまかすがために、まずいろんな人を巻き込んで共犯にして、いろんなことをやってつじつまが合わなくなるけど、周りが勝手にいろんなことをやってくれる・・・というパターンはこれまでの公演と一緒です。だけど、そのやり方が、今までよりちょっと過激な部分があるかもしれません。

水島:そうそう。舞台でどうやるんだろうか・・・という部分もあるので。これが、何のことを言っているのかは、劇場で確かめてください(笑)。

山寺:琴ちゃんは“キスシーン”だよね。誰とするのかは言いませんけど(笑)。

三石:チュッチュッするシーンがいっぱいありますね(笑)。コメディの中のキスシーンなので、笑えるようなキスになるといいなと思っています。

山寺:今までで一番セクシーなシーンが多いかもしれないですね。今回、未就学児童は観劇できないことになっているぐらい、ちょっと刺激が強い。浮気しようとしたホテルの一室で事件が起こって、それをごまかす話なので。

水島:今までも男女関係を描いた作品はあったけれど、そこがもっと分かりやすいね。ある男性出演者は体を鍛えているそうですよ(笑)。

山寺:どこまでやるのか、見てのお楽しみですが、琴ちゃんにはいろいろとしていただくことになります。

三石:レイ・クーニー作品ではないんですが、以前もきわどいネグリジェ姿とかになったことがあるので大丈夫です!今回は奥さん役なので、貫禄を出したほうがいいかな(笑)。

――そこはきっと、長年の山寺さんとの共演経験もあるのでバッチリですね(笑)。

山寺:声では『新世紀エヴァンゲリオン』で絵には映らないラブシーンもやったよね。舞台では初めてだから、どうなることやら・・・。琴ちゃんに「どうなってんの!話と違うんだけど!!」って言われないようにしなきゃ(笑)。

三石:大丈夫ですよ。いろんなユニット、いろんな劇団でいろんな人に会ってきたので。がんばりながら「はいはい、あるある」と思ってやり過ごすので大丈夫です(笑)。

山寺・水島:(笑)!!

――最後に、本作を楽しみにされている方へメッセージをお願いいたします。

三石:ラフィングライブに初参加ということで、たくさんの期待をしつつ、自分もできる限りお客様に楽しんでいただけるようにまじめに取り組んでいきますので、ぜひ劇場に来てください。

水島:ラフィングライブも5年目になって、年末の上演が定着してきました。一年の憂さ晴らしに、ラフィングライブで大笑いしてもらえたら、僕らが一生懸命に汗をかいているのが報われるので、ぜひ笑いに来てください!

山寺:舞台がお好きな方も、観たことがない方も、どんな方でも楽しんでいただける作品に絶対しますので、日本橋に遊びに来るついででも結構です。三越劇場という歴史のある素敵な劇場はこの作品にもピッタリなので、生まれ変わった日本橋を楽しむついでに、ぜひ笑いに来てください!

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◆公演情報

ラフィングライブ第五回公演「Out of Order』
【日程】11月28日(木)~12月2日(月) 三越劇場

【作】レイ・クーニー
【翻訳】小田島恒志
【演出】野坂 実

【出演】
山寺宏一 寿 美菜子 岩崎ひろし 斎藤志郎 三石琴乃 高橋広樹 名塚佳織 岩尾万太郎 斉藤こず恵(友情出演) 水島裕

【公式サイト】https://www.nelke.co.jp/stage/laughinglive5/
【公式Twitter】@laughingliveact

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