TXT vol.1『SLANG』有澤樟太郎インタビュー「こんな可能性を秘めている本は、なかなかない」


2019年6月20日(木)より上演される、高橋悠也×東映 TXT(テキスト)vol.1『SLANG(スラング)』。『仮面ライダーエグゼイド』などでメインライターを務めてきた高橋悠也の作・演出で生み出すこの新作の主演には、有澤樟太郎が抜擢された。

幕が上がるまで、多くは語れない。言葉にしてしまうのが惜しいほど、おもしろい“テキスト”が仕上がっている。新プロジェクトの第1弾、自身にとって初の主演舞台、新時代に突入しての最初の作品――3つの“初”を前に、芝居をすることが好きでたまらないという有澤の気合いを感じた。(【舞台写真あり】ゲネプロレポートはこちら:有澤樟太郎「熱意と言葉を届けたい」高橋悠也×東映 TXT vol.1『SLANG』開幕

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――高橋悠也さんと東映さんによる新プロジェクト、いよいよ始動ですね。その第1弾を担うにあたり、有澤さんが感じられたことを教えてください。

企画書をいただいた時、役者として率直に「これが出来たらおもしろいだろうなあ」と思いました。そして、自分にとってはかなりの挑戦になるなと。主演をやらせていただくということは後から聞いたので「ついに来た」と驚きました。でも、純粋に真ん中を張らせていただけることもそうですし、新しいプロジェクトの一発目を任せてもらえることもそうですし、こういう場をいただけたことが、ただただ嬉しかったです。

――有澤さんにとっては、初主演作になりますね。主演というのは、やはり特別ですか?

いや~、やっぱり特別ですね。デビューした頃は、まさか自分が主演を出来る日が来るなんて、想像も出来なかったですし・・・。続けていく限りは、いつかやれたらいいなという思いはありましたけど、実際にその日がくるのは想像できていなかったので。このタイミングで経験させていただけることは、本当に光栄です。

――『仮面ライダーエグゼイド』などでメインライターを担当されていた高橋さんの演劇作品、というのも注目ポイントです。

『仮面ライダーエグゼイド』や『ミラー・ツインズ』などで、以前から「おもしろい作品を書く脚本家の方」と聞いていたので、お会いするのが楽しみでした。『仮面ライダー』って、子どもだけじゃなく、大人が見ても楽しめるものになってるじゃないですか。これって、すごいことだと思うんですよ。僕自身もヒーローが好きでずっと観て育ってきたので、そういう作品を作っているクリエイターの方とご一緒できるというだけで、まずアガりましたね(笑)。

ビジュアル撮影の時に初めてお会いしたんですけど、少しお話しただけで、すごく頭のいい方なんだということがすごく伝わってきました。今回の脚本も・・・こんな可能性を秘めている本は、なかなかないと思うんです。読んでいて、ワクワクが止まりませんでした。

――公開されているあらすじを見ると、夢の世界を自由に配信できる「夢人(ゆめじん)」といった、現実にもある要素が物語の中に巧みに取り入れられていますよね。

「夢人」というのは、YouTuberのような存在ですよね。YouTuberの方って、人があまり辿り着かないような発想を形にして配信していることも多いじゃないですか。科学がもっと進歩したら、本当に夢を配信することも、近い将来で現実になるのかもしれない。SFっぽいけれど、SFだと割り切れないような、そんな不思議な世界観だなと想いました。

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――YouTuberが子どものなりたい職業に挙がる時代になってきましたが、有澤さんご自身はやってみたいとか思ったことあります?

なりたいと思ったことはないんですけど。よく見ています。動物の動画とか・・・フグを捌く動画とか、つい、見ちゃう(笑)。ちゃんと免許を持った人が解説しながら捌く動画とか、おもしろいんですよ。そういうおもしろい動画を見ると、そこまで突き詰められる姿勢に対して、うらやましいなと感じる部分もあるんですよね。自分には、絶対こういう発想はわいてこないので。ちょっと奇抜な狙いの動画もありますが・・・良くも悪くも、表現の幅が広がっているのかなと思います。映像メディアがこれだけ広がりを見せる中で、すべてがいいこととは限らない。そういう二面性も、“現実”と“虚構”が入り乱れるこの作品に通じるスピリットなのかも。

――この作品における“現実”と“虚構”・・・そのイメージは、ビジュアルが公開されてより想像が膨らみましたね。

あらすじだけでは分からなかったものが、このビジュアルが出ることによってイメージしやすくなったのではないかと思います。そして、もっとどんな舞台なのか気になってもらえたんじゃないかな。僕が演じさせていただく役は「バク」という夢人のスターみたいな存在なんです。YouTuberの方で言ったら、HIKAKINさんとかはじめしゃちょーみたいな感じですかね(笑)。世間に影響を及ぼすカリスマなので、そういう存在を役として演じられることはすごく楽しみです。

高橋さんは、ビジュアル撮影時の僕らを見て、その時の雰囲気とかを脚本に反映されてくださったと聞きました。そういうのって、オリジナル作品ならではの良さになっているんじゃないかなと思います。

――タイトルは『SLANG』、そしてプロジェクトタイトルは「TXT」と、言葉もこの作品の鍵になりそうです。最初に発表されたイメージビジュアルは、人の顔がすべて言葉で形成されているという印象的なものでした。有澤さんも、コメントで「意味深なワードが並んでいる」とおっしゃっていましたよね。

ここにいっぱいヒントがあると思います。言葉も、いろんな意味があるじゃないですか。例えば「夢」も、実際に眠っている時に見るものと、将来のビジョンみたいなものと、同じ「夢」でも違いますよね。言葉にも二面性がありますから。

――有澤さんが、気になっている言葉は・・・。

目の「DQN」、ですかね(笑)。「DQN」ってわりと新しい言葉だと思いますけど、今もうあまり使われなくなっているのかな?僕が学生の頃、すごく流行っていた気がするんですけど。目にこの言葉が書いてあるということも、もしかしたら伏線になっていたりするのかも?そういう解釈もできます(笑)。あそこに書かれている言葉も、ぜひ細かいところまで見ておいてほしいです。

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――共演者の皆さんは、ご存知の方と初めましての方、半々ぐらいでしょうか?

そうですね。皆さん、ご一緒するのが楽しみな方ばかりです。谷口賢志さんは、初めてご一緒するのですが、事務所の先輩方が共演していることが多く、めちゃくちゃ熱くて、THE 役者!という感じの方だよって聞いていました。岩永徹也さんは『テラスハウス』を見ていたもので、何かと「王子や!」って思ってしまいます(笑)。JAPAN MENSAの会員にもなっていらっしゃる方なので、どんな演劇論を持っていらっしゃるのか、話してみたいです。

それから、和田さん。ビジュアル撮影が初対面だったんですが、ご挨拶をしながら、絶対波長が合う方だ・・・と思いました。僕は、ミュージカル『刀剣乱舞』で和泉守兼定を演じさせていただいているんですが、和田さんは舞台『刀剣乱舞』で歌仙兼定を演じられていて。別の本丸の方ですが、ずっと気になっていたんです。皆さんそれぞれを、稽古の仲で知っていきたいですね。

――有澤さんは「あさステ!」でパーソナリティなどもご担当されていますが、舞台上で見るキリッとした姿と、素でお話されている感じと、いいギャップがありますよね。

僕・・・「あさステ!」を初めてから、よく「孫みがある」って言われるんですよ~。イベントとかで、直接そんな声をかけていただくことがあるんですけど、「そんなに変わらんよね?」「そこまで歳、離れてないよね・・・?」って思うので、どう反応していいのか分からなくて・・・(笑)。

――でも、なんとなくファンの方の気持ち、分かります(笑)。役者として発信する立場と、個人のメリハリって、何か意識していらっしゃるんですか?

僕は、この役者という仕事が本当に好きで、心から楽しんでお仕事をさせていただいているので、あまりプライベートとの境界みたいなものは考えていないんです。役に入るとスイッチが入る感じはしますが、ラジオとかは、お仕事というよりは、わりと日常そのままの僕をお伝えしたいなと思っています。でも、自分で自分のラジオを聞くと、この声のトーンとか話し方なので、眠くなっちゃうことに気づきました・・・朝やらせていただいているのに(笑)。それもまあ、自分の個性なのかなと思っています。

――お話を伺っていると、有澤さんは言葉を大切にされているんだなと感じます。

初めて朗読劇をやらせていただいた時に、言葉がいかに大事なものなのか、肌で感じたんです。『陰陽師』という作品で、演出家の岡本貴也さんにとてもお世話になりました。演劇をやる上で「大事な台詞を立てる」ことは基礎ですが、それだけではなく、台詞にある一つ一つの句読点・句読点まで、すべてに意味がある。その時に教えていただいたこと、感じたことを、常に大事にしようと心がけています。

――どんな言葉も、放った先にいる人に影響を与えるものですよね。

繊細なものですよね。ファンの方から、手紙やTwitterのリプライ、ブログのコメントなど、いろんな形で皆さんから言葉をいただくんですけど、いつもとても丁寧だなあと思って読ませていただいています。皆さんが伝えようとしてくださっていることが、分かるんですよ。僕はまだまだ言葉足らずなところがあるので、ファンの皆さんにいただく言葉から学ぶことが多いです。

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――最後に“夢”についてお聞きしたいんですが、有澤さんが見た夢の中で印象に残っているものはありますか?

そうですね~・・・できればぐっすり眠りたいんで、夢見たくないと思ってるんですよ(笑)。夢を見ると、朝起きる時にちょっと疲れていませんか?とは言え、見てしまう。最近怖かったのは、超大御所の芸人さんに挨拶に行く夢でした。控室みたいなところに訪ねていくんですが、本人を目の前にするとまったく緊張して声が出なくなってしまう、みたいな。それから、台詞をとちってしまうような舞台に関する夢もよく見てしまいます。中でもよく見るのが、ミュージカル『刀剣乱舞』の真剣乱舞祭に、まったく稽古なしで参加することになって、まったく踊れず、振付の(本山)新之助さんにめっちゃ怒られる夢。切羽詰まっている時に見がちです(笑)。

――それが配信されてしまったら、大変なことに(笑)。では、有澤さんの“なりたい”夢は?

ずっとお芝居をし続けてることです。僕、超影響されやすくて(笑)。映画とかを見に行くと「あの役やりたいな」「こんな役やりたいな」ってそんなことばかり考えちゃう。演じてみたいものが多すぎるから、ずっとお芝居をしていたい。今は、そんな夢を抱いています。

――有澤さんがこの作品で、そんなお芝居を見せてくださるのか、楽しみにしています。

演劇の可能性を探りたいと思います。もしかしたら、あらすじを見るとちょっと難しいのかな?と思う方もいるかもしれませんが、とてもはっきりとした作品になるのではないかな、と。とにかく、オリジナル作品であり、新プロジェクトの一発目、そして僕にとっては初の主演舞台であり令和という新しい時代での最初の作品になるので、いろんな初をよい形で飾れるように、気合いを入れてやりたいなと思います!

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◆公演情報
高橋悠也×東映 シアタープロジェクト
TXT vol.1『SLANG』

2019年6月20日(木)~6月30日(日) 東京・よみうり大手町ホール

【作・演出】高橋悠也
【出演】
有澤樟太郎 井上小百合(乃木坂46) 和田琢磨/北村諒 赤澤燈 岩永徹也 谷口賢志
黒川一樹 勝亦利恵 的場祐太

【特設HP】https://www.txt-theater.jp/
【公式Twitter】@project_txt

30日16:00開演の千穐楽公演をニコニコ生放送で、ライブ配信が決定
視聴URL:https://live.nicovideo.jp/watch/lv320531591

 

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