project K『僕らの未来』加藤和樹×鎌苅健太×河合龍之介インタビュー!過去から今、未来へと繋ぐ想い


2018年12月、東京と大阪にてproject K『僕らの未来』が上演される。本作は、2007年に加藤和樹が発表したアルバム「Face」の収録曲で、加藤が初めて作詞を手掛けた「僕らの未来~3月4日~」を舞台化するもの。脚本・演出は、ほさかようが担当する。

加藤と親交の深い鎌苅健太と河合龍之介、そこへ新たになだぎ武と吉高志音が加わって、曲中の詩の世界から15年後の物語が描かれていく。今回は加藤・鎌苅・河合による鼎談が実現。出会った過去から今、そしてこれからの未来へと繋がっていく想いをたっぷりと語ってもらった。

project K『僕らの未来』加藤和樹×鎌苅健太×河合龍之介インタビュー

――まずは、加藤さんの楽曲「僕らの未来~3月4日~」が舞台化されることになった経緯を教えてください。

加藤:元々、ケンケン(鎌苅)がこの曲をずっと「好きだ」と、「いつか歌いたい」と言ってくれていたんですね。ミュージカル『テニスの王子様』(以下、「テニミュ」)での共演から10年以上が経ち、僕らも何となくやりたいことを形にできる年齢になり、僕らの間でも“また一緒に芝居をしたいな”という想いがあって。そこで「僕らの未来~3月4日~」という楽曲を題材に、今の時代だから届けられる「過去・現在・未来」をテーマにした作品を作ろうという話になりました。ケンケンには僕のファンクラブイベントに出てもらったんですが、その場でこの曲を一緒に歌うと共に舞台化することを発表しました。

鎌苅:話を聞いた時は「やっほーい!」ってなりましたよ(笑)。「歌いたい」とは言ってましたけど、そうそう叶う機会があるわけではないので。しかも、まさかの舞台化も。本当にね、皆、やりたいことは言ったほうがいいですよ(笑)!それで舞台化について話し合っていく中で、すぐに「龍とやりたい」ということになって。

加藤:誰と一緒にやろうかと考えた時に、当時の氷帝メンバーで何かをやりたいという気持ちもあったので、龍ちゃん(河合)にもお声がけさせていただきました。

鎌苅:話し合いをした時、すぐ頭に龍のことが浮かんだよね。

加藤:うん。

鎌苅:引き受けていただけて、ほんと、光栄ですよ(笑)。

河合:・・・うむ(笑)。

鎌苅:アハハ、大御所みたい(笑)!とまぁ、このメンツでやらせていただけるということは、ご褒美をもらっている気分なので、その分プレッシャーもありますけど、ワクワクしますね。

河合:二人に声をかけてもらえたことは、とても嬉しかったです。プライベートでこういうことをやりたいと聞いていたわけではないんですが、多分、何かを打ち出したい時期だなというのは何となく思っていたんですよ。世代が一緒ということもありますが、そんな直感がありました。

project K『僕らの未来』加藤和樹×鎌苅健太×河合龍之介インタビュー_3

――改めて、この3人が10年後に集まったことの意味についてはどのように感じていらっしゃいますか?

加藤:最近、今の年齢や時代だから表現できるものってあるなと、すごく感じるんですね。例えば、この作品を20代後半でやると多分成り立たないと思いますし。すべてのことにタイミングがあって、その必然性をとても感じるんです。だから、「テニミュ」のメンバーで集まることも、ファンの方々へ特に何かを連想させたくてやっているわけではないけれど、何か意味のあることなんじゃないかなって。今回『僕らの未来』でも15年後の世界が描かれますが、その間にリアルな僕らが歩んできた道にもそれぞれターニングポイントがありました。その経験や吸収してきたものが、舞台上ですごく活きてくるんじゃないかなと思っています。

鎌苅:俺も、何か意味があると思います。それぞれが肉を付けたこともあれば、逆にその肉を削ぐこともあった10年だっただろうし。観に来てくれる方たちも、俺たち3人のことを知っている人もいれば、それぞれのことだけしか知らない人もいる。お客さんの中で自由に、ストーリーと俺たちの関係が新しい形で絡み合っていったらいいなと。

河合:二人とまた違った視点で考えると、日本や社会が抱えている問題ともわりとシンクロするのかなと感じています。未来に対する興味はあるけど、例えば、AIが誕生することで自分の仕事が奪われちゃうんじゃないか?といった不安も出てきたり、未来には興味はあるけど怖いと思う側面もある。それって、裏返すと僕らがちゃんと人として整理をしていかなければいけない時代ということだと思うんですよね。

僕らもそうですけど、来てくれるお客さんたちも、何かしら未来への期待や不安に晒されているわけじゃないですか。そんな中、僕らが一人の人間を演じながら問題を提示することで、何かを考えるきっかけとして時間を共有できたらいいのかなって。そう思った時に、今この作品を僕らがやることは、社会的にも意味があるのかなって感じました。

鎌苅:100点!ストーンときた。

加藤:そうだね。そういう作品にできたらいいね。

――せっかくの機会なので、今だから言える、出会った当時に思っていたことなど伺ってもいいですか。

加藤:前にもどこかで話したかもしれないですが、龍ちゃん、僕の兄貴に雰囲気が似ていたんですよ。だから、最初から他人な感じが全然しなかった(笑)。

河合:俺、それ直接聞いたかも。

鎌苅:昔?

加藤:そう、まだ「テニミュ」やっている時かな。

河合:そのお兄さんとも直接会ったね。

加藤:そうそう(笑)。

――お会いしてみてどうでした?

河合:自分では分からなかったんですけど・・・。

鎌苅:俺も知ってるけど、全然似てないよ(笑)!

加藤:並べたら全然違った(笑)。

河合:でも、演出のほさかさんと話し合った時にも「ケンちゃんとは真逆だけど、和樹のことは理解できることが多いかもしれない」っていう話になったんですよ。そしたら、ほさかさんにも「加藤くんとは近いものがあるかもね」って言われたな。

鎌苅:俺よりも、和樹の方が近い?

河合:うん、わりとね。

鎌苅:俺はね~・・・今だから言えることじゃなくて、今気付いたんだけど、(河合さんに向かって)まぶたにホクロなんてあった?

河合:うん、あるよ。

鎌苅:・・・今、初めて知った!え、知ってた?

加藤:うん。

鎌苅:うそ、なんで俺10年間気づかなかったんだろ・・・!

河合:逆に和樹はよく知ってたね(笑)。

加藤:ずっと知ってたよ?

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鎌苅:俺、龍のことはね、すごく優しいし、すごく尊敬してるけど・・・たまに怖いって思ってた(笑)。俺、昔はよくタイミングを間違えるヤツだったんですよ。龍には「ケンちゃん、今は違うでしょ」って言われそうで、いつも嫌われたくないって思ってた。

河合:そんな、嫌わないよ(笑)。ケンちゃんは頭の回転が早いから、そういう想像をできちゃうし、それを皆に対してやっているから大変なんだろうね。

加藤:ケンケンの頭の中は大変だなぁ~。

鎌苅:長所であり、短所ですよね。

河合:人に興味があるからこそ、気を遣える。昔は多分、同じだけのエネルギーをかけて自分のことを見れていなかったのかもしれないけど、今はすごく自分を大切にしているから柔らかくなってきたんじゃないかな。今はそのバランスが素敵だなって思うよ。

加藤:ケンケンは俺にないものしか持ってないよ、本当に。だから合うんだなと思いますし。

鎌苅:N極とS極だよね。

加藤:でも心の深い部分で繋がれる人だから、上辺だけのものじゃない人に対する愛がある。傍から見ていてもすごく思います。

鎌苅:どうも、愛の伝道師・鎌苅です(笑)!

加藤:それから、ケンケンは絶対的に丸くなったよね。一番、目が変わったと思う。これは龍ちゃんにも言えるんですけど。昔の写真とかを見返すと、皆いい意味でギラついてるんですよ。多分、俺も。いろんな人との出会いと向き合い方で、皆ものすごく顔が変わったと思う。

僕自身も、最近ファンの方にも「目が優しくなってきた」と言われるんです。単純に年齢を重ねたこともあるかもしれないですけど。多分、昔は、どこかで「しっかりしなきゃ」という思いがあったし、話すことも苦手だったし、人からどう思われるかをすごく気にしていた気がするんだけど、最近はそういう細かいことをあんまり考えなくなってきたかな。

河合:和樹に関しては、今の話からも分かるけど、隙が見えるようになってきたのが嬉しい。

鎌苅:あぁ、確かに。

河合:ちょっとした隙があることで、人としてより素敵だなって思えるし、舞台上にいても、そういう瞬間が垣間見えた時に役がより魅力的に見えたりするし。

鎌苅:俺も、和樹に隙があるっていう話はとても分かる。その魅力は、仕事面で加藤和樹という人間を知っている人も、ファンの皆さんもよく知っていると思います。・・・龍は、そんなにたくさんしゃべる方じゃないけど、昔から言葉に説得力があるなぁ。今、和樹と俺のことを話してくれたのを聞いて、改めて視野が広いなぁって思った。

加藤:相手をよく見てないと言えないよね。

鎌苅:そう。見てるし、本質を見抜く力がすごいんだなと。

河合:改めて考えてみると、当時は見えなかったものとか、見ようとしていなかったことも分かるね。

鎌苅:いや~嬉しいね、30歳超えた男同士でこんな話なかなかしないですもん。こういう取材を通して、俺たちのこれまでとこれからを再確認することで、作品に繋がっていくものも見えますし。

project K『僕らの未来』加藤和樹×鎌苅健太×河合龍之介インタビュー_2

――今回の作品は、加藤さんが初めて作詞をされた楽曲が原案になっていますが、どのような気持ちを込められたのですか?

加藤:書いた当時の気持ちは、本当に歌詞のままでした。周りが大学へ進学したり就職したりする中、自分は上京したはいいけど何の目標もなく、ただ流されるままで。そんな状況にいながらも、未来に向かって希望を持ちながら歩いていくことをテーマに書きました。もともとは地元の仲間たちに向けた曲だったので、まさかその時の感情で書いた曲が舞台化して、今に繋がるとは・・・本当に、人生何があるか分からないなって思います。今もライブで歌っているんですが、その時々で見えてくる楽曲の表情も違いますね。

――お二人は、加藤さんの楽曲をどうお聞きになりましたか?

鎌苅:(発表された)当時の自分の中にすっと入ってきて、なんか“らしいな”という感じがして好きでした。あの時の僕らの不安と、今の僕らが持つ不安って、多分違うもので。分からないことだらけで怖いけど、まだ何でもできるって思っていたあの頃、出来ることは増えたけれど、どこかで客観視し過ぎちゃうようにもなっている今。20代なりの葛藤があったからこそ、30代になった今の重さを感じます。

和樹の曲でも、未来へ向かっていく姿が描かれていますが、あの頃から見た僕らの未来は“今”なわけで。実際どこまで進めているのか、満足できているのか、いろいろ考えます。今、同じメロディと詩をまっさらな状態で聞いたらどう思うんだろう・・・。

河合:僕は、普遍的なものを感じる楽曲で、和樹が歌っていくことで曲も成長していくんだなと感じました。この楽曲をベースにした芝居をやることで、僕らもまた成長できるし、今までのことが整理できるのかなって思います。和樹にとっても転機になった曲だから、皆に共通して引っかかってくるものがあるんじゃないかな。

加藤:年齢を重ねていくと、こうやって「あの頃は良かったなぁ」とか「でも今はさ」とか話したりもするから、そういうこともきっと芝居になると反映されてくるよね。僕らも、年下の子たちとお仕事をする機会が増えてきて感じていることがあるけど、きっと先輩たちから見たら当時の僕らにもいろいろ思うことはあったんだろうな。

舞台では、なだぎさんや吉高さんを交えて、同じ時代を生きている中での違いや変化、それぞれの未来がどうなっていくのかを描いていけたらいいね。

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――どんな物語になるのか、楽しみにしています。最後に、お客様へメッセージをお願いします。

鎌苅:10年経って、僕ら3人とも役者を続けてこられたこと、なたぎさん、吉高さんとご一緒できること、当時一緒にやっていたスタッフさんとまた作品が作れること、僕らにとって本当にご褒美のような作品になると思います。だからこそ、責任も感じます。(当時の仲間には)辞めてしまった人もいるし、先を走ってくれている人もいる。そんな中で、今の僕らにしか見せられないものを提示できたらなと。ぜひ、劇場へそれを感じに来ていただけたら嬉しいです。

河合:公演チラシは、僕らが一緒に公演をしていた旧日本青年館の前で撮影しました。今、跡地には東京オリンピックに向けて新しいものが作られているけど、もしかしたらそれも、いつか壊す日がくるのかもしれない。そういう“スクラップ&ビルド”も一つのテーマなのかなと、今話していて感じました。舞台も同じで、その日その日の新しい『僕らの未来』を作っては壊して、次の公演に向けてどんどん積み上げていくものです。観てくださるお客さんも、観劇するたびに自分の価値観を壊してはまた作る、そんな作業を繰り返しながら一緒に参加してくれたらおもしろいなと思っています。

加藤:それぞれに思い描く未来があって、でも、それを思うように描けない人たちももちろんいるわけで。僕「ら」というタイトルには、そんな「自分だけじゃないんだ」という意味を込めています。観てくださるお客さんたちも含めて、自分たちは今後どう生きていくのか。この作品をきっかけに、また新たな道を歩み始める方もいるかもしれません。僕ら3人だけの話ではなく、そういう人たちに向けて、何か届けられるものがあればいいなと思っているので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。

project K『僕らの未来』

◆公演情報
project K『僕らの未来』
【東京公演】12月6日(木)~12月16日(日) 品川プリンスホテル クラブeX
【大阪公演】12月20日(木)~12月23日(日・祝) 大阪ビジネスパーク円形ホール

【原案】加藤和樹「僕らの未来~3月4日~」
【脚本・演出】ほさかよう
【出演】加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介、なだぎ武、吉高志音(50音順)

◆『僕らの未来』SPECIAL TALK SHOW ~俺たちの現実~開催
project Kとゆかりのあるゲストを迎え、スペシャルトークショーを開催。
同じ道を歩んできた仲間同士の本音や、先輩俳優からのアドバイスなど、バラエティ豊かなゲストたちと今の時代に思うことをトークする「俺たちの現実」。

<東京公演>
12月7日(金)13:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介、なだぎ武、吉高志音
12月8日(土)17:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:上島雪夫
12月11日(火)19:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:伊勢大貴、内海啓貴
12月12日(水)13:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介、なだぎ武、吉高志音
12月12日(水)19:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:植田圭輔
12月13日(木)19:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:高橋健介、井阪郁巳
12月14日(金)13:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介、なだぎ武、吉高志音
12月15日(土)13:00公演 
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:中河内雅貴
12月15日(土)17:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:城田優

<大阪公演>
12月20日(木)19:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:青柳塁斗、瀬戸祐介
12月21日(金)13:00公演
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介、なだぎ武、吉高志音
12月22日(土)13:00公演/17:00公演 
登壇者:加藤和樹、鎌苅健太、河合龍之介/スペシャルゲスト:土屋佑壱、永山たかし

※トークショーは終演後20分程度を予定
※各公演日時のチケットをお持ちの方のみ参加可能
※登壇キャストは、やむを得ない理由により予告なく変更となる場合あり

【公式HP】https://www.nelke.co.jp/stage/bokuranomirai/
【公式Twitter】https://twitter.com/project_K2018

(撮影/エンタステージ編集部)

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