竹生企画『火星の二人』竹中直人×生瀬勝久インタビュー!「衝撃の結末が待っています」


竹中直人と生瀬勝久は、ドラマや映画でその場の空気をかっさらうようなアクも毒も強い俳優だ。その二人がタッグを組んだ舞台ユニットが、竹生企画。劇作家の倉持裕が脚本・演出を担ったこの企画が、4月10日(火)より第3回公演となる『火星の二人』を上演する。

毎回旬のヒロインを迎えているが、今回抜擢されたのは上白石萌音。『奇跡の人』や『赤毛のアン』で主人公を演じてきた彼女が、このクセだらけの俳優二人の間でどんな姿を見せるのか気になるところだ。また、竹中、生瀬の舞台上での関係も、これまでと違ったものになりそうだという。新作に臨む二人に話を聞いた。

竹生企画『火星の二人』竹中直人×生瀬勝久インタビュー

「竹中さんを振り回すのが楽しみ」(生瀬)

――もともと、今回はSFをやりたいという話をされたそうですね。

竹中:倉持さんとSF映画の話をしていた時に、ロケットの話をしたことがきっかけだったかな。

生瀬:そうそう。「帰りの燃料がないロケットに乗っている人たちはどういう話をしてるんだろうな」って話してたんですよね。このロケットは絶対に地球に戻れなくて自分の人生は終わっちゃうけど、今はまだ生きていて元気。それって、人は必ず死ぬってことと同じだよね・・・ということで、ロケットという閉塞感の中で人がどういう会話をするかにすごく興味があって、そんな状況を僕はずっと舞台でやりたいと思っていたんだよね。

竹中:でも生瀬くん、閉所恐怖症でしょ。宇宙は闇だし、さらにロケットなんて本当に狭い空間だから絶対耐えられないでしょう。

生瀬:僕は無理ですね!だから興味だけある(笑)。

竹中:いや~、帰れないのは怖いよ~。『チリ33人 希望の軌跡』という映画があって、チリの採石場で地下634mの坑道に閉じ込められちゃう実話をもとにしてい映画なんだけれど、実際にその状況になったらきっと気が狂っちゃうな・・・。

生瀬:怖いですよね。僕だって気が狂っちゃうな。MRIでも気が狂いそうなのに。

竹中:それは閉所恐怖症だから(笑)。

竹生企画『火星の二人』竹中直人×生瀬勝久インタビュー_4

――『火星の二人』では、ある事故から二人だけが生き残る・・・ということから始まるお話ですよね。

生瀬:そうなんです。生き残った人の宿命と、そのことをどう伝えるか。そこに着眼することがまずおもしろいし、作家の才能なんでしょうね。この展開を前に、お客さんはどういう気持ちになるんだろう。きっと「え~!そうだったの~!」って思うはず。よくできた芝居になりそうです。

竹中:竹生企画3本目にして、よりすごいものができるかもしれない。

生瀬:1作目の『ヴィラ・グランデ青山~返り討ちの日曜日~』(2011年)と、2作目『ブロッケンの妖怪』(2015年)の時も、台本を読んだ段階でもおもしろかったんですが、実際にやってみると「これはすごい!」という新しい驚きがあったんですよ。今回も「ええっ!?」と驚きました。人間関係と劇構造がものすごく衝撃的で、ワクワクします。おそらく、倉持さんの中にも手応えがある作品になるだろうなという気がするんですよね。

――チラシには「二人の果てしなき口論」と書いてあります。前作までは知り合い同士という設定だったので馴れ合いの口論でしたが、今回は一味違うお二人のやりとりが見られそうですね。

生瀬:今回、僕と竹中さんが演じる役は、まったく赤の他人同士。僕の演じる志波(シバ)は、竹中さん演じる主人公・朝尾の私生活に入り込んで振り回す得体の知れない役です。バイプレイヤーとしては最も楽しめる役どころなので、ワクワクしますよ。

竹中:怖いよ~。毎日、僕がヘロヘロになっている横で、生瀬くんはニコニコしてるかも(笑)。

――今回のヒロインは、上白石萌音さんが演じられますが、期待することはありますか?

竹中:萌音ちゃんの佇まいがお客さんをほっとさせてくれるんじゃないかな。前に、生瀬くんが「萌音ちゃんに軟骨になって欲しい」と言っていたんだけど、その言葉どおり二人のクッション役になってくれると良いですね。でも萌音ちゃんは実は、すごいエネルギー持っている女優だと思っています。僕たちを前にしても、絶対負けないと思うな。

生瀬:僕たちでは表現できないことをいっぱいやっていただきたいですね。舞台上にはいろんな音程や色合いがあっていいと思うから、いろんな人がいた方がいい。

竹中:萌音ちゃんも前野(朋哉)くんもガンガン来そうだし、高橋ひとみさんは柔らかくそっと変な感じで見ていそうだし、初めてご一緒する池岡(亮介)さんの出方もどうなるのか・・・いろんな意味で本番が楽しみですね。

竹生企画『火星の二人』竹中直人×生瀬勝久インタビュー_2

竹生企画は、作家・倉持裕もふくめた3人の企画

――今回3回目を迎える竹生企画、お二人で創るお芝居の魅力はどういうところですか?

竹中:この企画は、生瀬くんが僕の監督作品に出てくださった時に「(一緒に)芝居やりませんか」と声をかけてもらったことがきっかけで始まったんです。その後に、僕が大ファンだった倉持さんにもお声がけしました。生瀬くんに、倉持さんに声をかけたいと相談したら、「竹中さんがやりたい人なら」と言ってくれたんですよね。
そこから、1作、2作、3作と繋がってきました。まだ3作目が始まっていないのに、すでに、次の4本目はどうなるんだろうと思っちゃっているんです(笑)。本当に、いい出会いでした。

生瀬:大人の男とたっぷり芝居をできるというのは、楽しいんですよね。歳の違う先輩と時間をかけて稽古をしたり、同じ相手と何度も何度も新鮮なものを探っていったりということは、映像の現場ではありませんから。一緒に舞台ができて楽しいし、嬉しいし、刺激があるし、負けたくない。ちょっと自慢になるような、誇りのような気持ちです。憧れていた竹中さんと一緒にできることは自分の財産だし、俳優として本当に嬉しいです。

――最初は監督と役者として出会ったお二人ですが、監督・竹中直人さんから見た生瀬勝久さんはどんな役者ですか?

竹中:ものすごくアクの強い俳優だなあと思っていました。自分のことを棚にあげてるって思われるかもしれないけれど。

生瀬:あはははは!このアクを作ったのはあなたですよ。あなたに憧れて芝居してるんですから(笑)。

竹中:生瀬くんにはアクだけじゃなく毒も入ってるからさ。出会う前はいったいどんな人なんだろうと思ってたけど、まさか一緒に舞台を創り上げられることになるとは想像もしていませんでした。だから、「芝居やりませんか」と声をかけてくれてありがとう、という気持ちが強いんです。

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――このアクの強いお二人をまとめ合わせ、繋ぎ合わせている倉持さんの力量も感じます。

生瀬:すごいですよね。僕たちは演出家の方に対してまったくの従順なんですが、それでも大変だと思う・・・。

竹中:ええ、倉持さんはすごい作家です。

生瀬:倉持さんは、僕の舞台もよく観に来てくださるんです。それに、これまで一緒にやってきて、普段の僕や竹中さんのこともだいぶ分かってきただろうし、二人にこういうことを言わせた方がおもしろいだろうと考えて書いている気がします。

竹中:それをどこまでお客さんが楽しんでくれるかは分からないけどね。僕は自分に自信がないからとにかく必死。お客さんはいつも恐いです。役は役者が作るものじゃなくて観る側のお客さんによって作られる。それぞれの人生の価値観によってね。あ~舞台は怖いなぁ・・・頑張らなくちゃ・・・。

生瀬:竹中さんって、すごく謙虚ですよね。

竹中:え、謙虚?そうかな?

生瀬:僕はけっこう自信持っちゃうんですけどね。

竹中:ああ・・・それは真逆ですね。

生瀬:今回の作品も、自信を持っておすすめしますよ。これまでいろんな舞台をやってきましたが、舞台で観るべき作品になるだろうなと思います。衝撃の結末が待っているんじゃないかな?

竹中:こんな毒々しい俳優二人の間に上白石萌音ちゃんがいるんです。きっと想像を絶する舞台になるでしょうね。楽しみにしていてください(笑)。

竹生企画『火星の二人』竹中直人×生瀬勝久インタビュー_3

◆公演情報
『火星の二人』
【東京公演】4月10日(火)~4月25日(水) シアタークリエ
【大阪公演】4月28日(土)~4月30日(月・休) サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】5月2日(水)・5月3日(木・祝) 刈谷市総合文化センターアイリス
【富山公演(富山市)】5月5日(土)・5月6日(日) 富山県民会館
【富山公演(小矢部市)】5月7日(月) クロスランドおやべ メインホール
【石川公演】5月10日(木) 本多の森ホール
【長野公演】5月12日(土) サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)
【宮城公演】5月15日(火) 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
【岩手公演】5月17日(木) 北上市文化交流センター さくらホール 大ホール
【栃木公演】5月19日(土) 小山市立文化センター 大ホール
【新潟公演】5月21日(月) りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 劇場
【香川公演】5月24日(木) レグザムホール(香川県民ホール)・大ホール
【広島公演】5月26日(土) JMSアステールプラザ 大ホール
【鹿児島公演】5月29日(火) 鹿児島市民文化ホール 第1ホール
【長崎公演】5月31日(木) 長崎ブリックホール 大ホール
【福岡公演】6月2日(土)・6月3日(日) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール

【作・演出】倉持裕
【出演】
竹中直人 生瀬勝久 上白石萌音 池岡亮介 前野朋哉 高橋ひとみ

(竹中直人 衣装協力)
YOHJI YAMAMOTO/ヨウジヤマモト プレスルーム
03-5463-1500

JOHN MOORE/Style
03-6416-9061

(撮影/エンタステージ編集部)

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