ミュージカル『RENT』NALAW(CODE-V)インタビュー!「これまでで一番かっこいいベニーを演じたい!」


7月2日(日)に開幕を控えたシアタークリエ ミュージカル『RENT』。前回から引き続いて出演するキャストの中、新メンバーとして加わるベニー役のNALAW(ナロ)は韓国出身のダンスボーカルグループ「CODE-V」のメンバー。日本のミュージカルに初挑戦する心境、オーディションでのエピソードや作品について語った。

ミュージカル『RENT』NALAW(CODE-V)

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――韓国出身のダンスボーカルグループCODE-Vのメンバーとして活動されているNALAWさんが、今回日本でミュージカル『RENT』に出演することになったきっかけを教えてください。

日本でCODE-Vとして活動していますが、アーティストとしての幅、可能性を広げていくためにももっといろんな経験をしてみたくて、CODE-V以外のソロ活動にもどんどん挑戦していきたいと思っているということを昨秋くらいにスタッフに話したんですね。しばらくして『RENT』のオーディションがあるということを教えてもらいました。世界的に人気の作品だし、オーディションを受けるだけでもいい経験になると思って受けたんですけど、運良く受かりました。

――オーディション時の話を聞かせてください。

話を聞いてからオーディションまで数日しかなくて、時間がなかったんです。映像を見て作品のことを調べたり。課題曲の楽譜をもらったんですけど、僕楽譜があまり読めないので、急いで楽譜が読める人に歌ってもらった録音を聴きこみました。

当日は、ブロードウェイキャストで、日本版のリステージを担当するアンディ(・セニョール Jr.)さんと音楽監督の(佐藤)真吾さん、スタッフさんの前で歌いました。日本では初めて受けるオーディションでしたし緊張していて100%の力を出せたかも分からなくて。そのうえ、僕の前後に会場に入った人たちと比べると僕のオーディション時間はすごく短かくて。歌ったあとに、アンディさんが、「I don’t think so・・・」と言ってたし、「これは間違いなく落ちたな」と。実際僕の後に受けた人に、「はじめまして。僕は落ちましたけど、またどこかで会いましょう」って挨拶したくらいですから(笑)。

――それではベニー役に決まったときは相当嬉しかったですね!

じつは結果を聞いた日は僕の誕生日だったんです。メンバーと友達と集まってご飯を食べていたら、そこにマネージャーから連絡が来て。僕はオーディションに落ちたという連絡だと思ってたのに、「受かったよ」って言うから、「えっ?!」って。想像していなかったことなので、思い出に残る30歳の誕生日になりました。本当に嬉しかったです。そのあと嬉しくてたくさん飲みました!

――CODE-Vから離れての活動は初めてだそうですが、一人は寂しいですか?

たしかにそういう時もあるんですけど、でもわりとそんな空気感も好きっていうか。これを過ぎれば、これから見せてない自分を見せる楽しみが待ってるってことですから、いまは寂しいより楽しみのほうが大きいかも。

――今回演じるベニーは、マークとロジャーたちの元ルームメイトだったけれど、金持ちの娘と結婚したことで二人と逆の立場になり、建物の所有者として家賃を取り立てにくる人物ですね。

僕、韓国で一度ミュージカル『フットルース』に出ているんですが、その時に演じたのが主人公レンと対立する不良のチャック役でした。今回のベニーもストーリー上では似た立場ですね。こういう役のほうが向いてるのかな(笑)。僕自身もこういう役のほうが気持ちが楽ですね。

――じゃあ、役作りには苦労していない?

それが、ベニーってお金持ちの役じゃないですか。僕はビルも持ってないし、お金持ちの品格?が出ないんですよ・・・。アンディさんから、「お金持ちの雰囲気はそれっぽい服を着たら行動が変わるから」とアドバイスをもらったので、家からそれっぽい服を持ってきて稽古したりしてます。お金持ちの余裕が出せるようになることが課題です。

あとはやはり日本語ですね。日本で活動を始めてから長いので、日常会話は不自由ないんですけど、イントネーションとかはやっぱりちょっと違ってたりする。通じるから気にしていないけど、作品のなかでひとりイントネーションが違うと気になりますよね。日本の人たちのなかで僕一人が違和感のある演技をして鑑賞の邪魔をしたくないなって。いろいろ注意しながら稽古してます。

――前回公演から続けて出演している人も多いので、いろいろ教えてもらえるのでは?

はい。温かく迎えてくれました。色々教えてくれます。皆さんの歌を聴くだけでも刺激になります。最初の頃は、経験者が多いので、稽古の進行も早かったから、自分だけ分かっていないことも多くて思うようにできなかったのは大変でしたね。みなさん、「大丈夫だよ、本番までに間に合うよ、できるよ」って応援してくれるんだけど、気持ちに余裕がなかった。稽古始まったころよりはだいぶ良くなったと思います。やっと舞台、ミュージカル界の空気に慣れて来ました。

――ご自身もアーティストとして活躍されているので、『RENT』の世界観や登場人物たちに共感する部分もあるのでは。

そうですね、ロジャーがグレイトソングを作りたいって気持ちが、自分でもいい曲を作るためにはってことは日々悩んでいることなので共感できますね。タイミングも大事だけど、選ばれた人じゃないと作れないのかなと思って悩むこともありますから。ロジャーが抱えている悩みと全く一緒ではないけど、共感できる部分が多いですね。

――「Seasons of Love」をはじめ、魅力的なナンバーがたくさんあることでも知られていますけれど、NALAWさんが好きなナンバーはありますか?

歌が上手い人たちが挑戦する作品でも有名なだけに、難しいけどいい曲ばかりです。魅力的な曲でありつつ、物語の世界観や登場人物たちの感情を盛り込んでいるのがすごい。全部好きなんだけど、そのなかでも特に、ロジャーの「One Song Glory」、コリンズの「I’ll Cover You」、ミミの「Goodbye Love」の3曲が好きかな。

――キャスト、スタッフ全員が参加した「ペザンツ・フィースト」という催しがあったそうですね。

『RENT』を作ったジョナサン・ラーソンが、生前、仲間たちと自分たちの思いを語り合う食事会「ペザンツ・フィースト」を開いていたそうです。それを今回のキャストとスタッフでも開いたんです。食事会のほか、全キャスト、スタッフ一人ひとりが自己紹介と、今この瞬間感謝していることを発表しました。そこでみんなの『RENT』に参加する熱い気持ちをもっと知ることができましたし、それぞれが抱えている悩みについても知りました。感動した反面、反省しましたね。僕の悩みなんてまだまだだなって。でもこれに参加したことで、僕も『RENT』の一員なんだと実感できました。

――NALAWさんはそこで何を話したんですか?

『RENT』に出会えたことへの感謝です。オーディションを受けてまさか自分が受かるとは思ってなかったこと、他のキャストの皆さんやスタッフさんの温かい気持ちとを感じていること、作品を通じて新しい自分を見つけることができたということを話しました。

――キャストといえば、ロジャー役のWキャストの一人、ユナクさんの存在も心強いのかなと思うのですが。

はい!ユナクさんは同じ韓国人として、先輩、兄貴として温かく接してくれて本当に心強いですね。すでに前回公演を全うしている、乗り越えているだけでもリスぺクトなんですが、日本の国民的アーティストで実力が認められている堂珍さんとWキャストなのはすごくプレッシャーだったろうと思うんです。分厚い台本でセリフ量もすごいし。この作品以外でも演技の経験が僕より多いですし、毎日稽古場で僕からいろんなことを質問しているんですが、その一つひとつに丁寧に答えてくれます。そのほかにも作品の背景とか、登場人物たちの関係とかも教えてくれました。ユナクさんが前回経験したことを経てのアドバイスだからすごく理解しやすいんです。

――NALAWさんにとってユナクさんは近くにいる目標なのかもしれないですね。

そうですね。ユナクさんのように、色んな役に挑戦したいし、歌や芝居を上手になりたい。僕を見た人が他の作品も紹介したいと思ってもらえるような演技をしたいですね。まだ始めたばかりですけど、これからもっと大きくなりたいです。

――『RENT』はNALAWさんの日本活動でのターニングポイントとなる作品となりそうです。

そうだと思います。僕にとって『RENT』は“新しいドア”。自分の中にいくつもドアがあるとすれば、そのなかの一番大きいドアはCODE-Vとして活動してる世界だったんですけど、それとは違う新しいドアを今回開けた感じ。新たな挑戦で最初からいい作品に出会うことができたのは幸せです。このチャンスを生かして、次の作品に出会えたらいいと思っていますし、じつはすでに『RENT』への出演がきっかけで、4月にソロアルバム(ミニアルバム『Last Night』)を出すことができたんです。このあと本番の舞台で見せる姿でもこのあとのソロ活動、CODE-Vの新たな活動への新しいチャンスにつなげたい。常にチャレンジの精神で頑張りたいと思っています。

――最後に公演を楽しみにしている皆さんへ、メッセージをお願いします!

僕が演じるベニーは、登場シーンは多くはないですけどインパクトがあるし、ストーリーのなかでのアクセントになっていますので、まだまだ足りないところもありますが、初めて僕を観る人たちに、「ベニーをやってるの誰?」って思ってもらえるよう、今までやってきた人たちのなかでも一番かっこいいベニーを演じたいです!よろしくおねがいします!

ミュージカル『RENT』

◆ミュージカル『RENT』公演情報
7月2日(日)~8月6日(日) 東京・日比谷シアタークリエ
8月10日(木) 愛知・愛知県芸術劇場
8月17日(木)~8月22日(火) 大阪・森ノ宮ピロティホール
8月26日(土)・8月27日(日) 福岡・福岡市民会館

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