大パルコ人3『サンバイザー兄弟』りょう×三宅弘城×宮藤官九郎スペシャルインタビュー!豪華キャストの意外な一面を大放出!!


東京公演を終えた大パルコ人3 ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』。大阪公演、宮城公演とツアーが控える中、りょう、三宅弘城、そして宮藤官九郎の3人を迎え、アメリカ映画『ブルース・ブラザース』に触発されたという本作への意気込みを聞いた。明かされたりょうの20年越しの思い、三宅が挑む初めてのアレとは・・・。想像力をフル稼働しても追い付かない宮藤ワールドの一端に触れれば、いよいよ本番が待ちきれなくなるはず!

大パルコ人3『サンバイザー兄弟』インタビュー_1

「ありそうでなかった素っ裸のボクサー役。そこは冒険です」(三宅)

――それぞれの役どころから教えてください。

宮藤:りょうさんは極妻です。『ブルース・ブラザース』も、ジェイクが意味なく謎の女に追いかけられている、あれがすごく好きなんですよね。悪役は女の人がいいなと思って。ヤクザなので極妻。しかも役の触れ幅が大きいほどおもしろいので、出演がりょうさんに決まってから色々と設定を足しました。煩悩が一杯ある役です。

りょう:清野菜名ちゃんはすごく自分に近い役だったそうで、皆も「そうだよね~」という感じなんですけど、私はすごい誤解されてるなと(笑)。

宮藤:でしょうね(笑)。

三宅:でもいるよね、ヤクザから神父さんになる人とかね。

宮藤:実際に極道の妻から弁護士になった女の人とか、参考にしました。見た目は普通なのに入れ墨があるんですよね。本当の性格はどちらなんだろうな、とか。

――三宅さんや、宮藤さんの役柄は?

宮藤:三宅さんはボクサー役。昔のギャング映画やちょっといかがわしい話には、必ずと言っていいほど、賭けボクシングの場面が出てくるんですよ。たいだい(物語に)絡んでくる。三宅さんがボクシングをやっていたことは知っていたので、それは使えるだろうと。

三宅:今回は、僕のせいで物語が始まるんですよね(苦笑)。

宮藤:僕はホステス役だったり・・・本番で迷惑かけないように、新人のような気持ちでやってます。

――りょうさんは、念願の宮藤作品初出演ですね。

りょう:官九郎さん、大好きです!稽古では、今までに経験したことのないような瞬発力を求められるというか。普通はもうちょっと役について固められるんですけど。何が起こるか分からないので、本当にライブだなと。

――その場合、どこを頼りに役作りを?

りょう:とにかく、官九郎さんに言われたことをやろうと。皆川(猿時)さんと一緒の時は、さらにライブ感が上がりますので。

宮藤:一人野放しの人がいるので(笑)。皆川さんはラッパー役。彼と絡むとどうしてもライブになってしまう。でも、りょうさんはまだ(役として)固まっている方ですけどね。

りょう:どこか1本筋を通そうと思うんですけど、それが叶わないんです。それはいらないんだなと思うんですけど、難しいですね。

宮藤:岩下志麻さんみたいに最後までビシッとやったり、色んな役を演じてもらうよりは、あえて一つの役の中でブレてる方がおもしろそうだなと思って。書いてくうちにシフトしました(笑)。

りょう:強い時もあるし、女っぽい弱さもある。今は、その瞬間、瞬間で、イキイキやっていれば、ヒール役なんですけど結構愛おしく感じるかなと。思いっきりやっています。

――三宅さんはボクサー役ということで、役作りのポイントは?

三宅:髪の毛ですかね。後ろ長くして、横を刈って、みたいな。

宮藤:辰吉(丈一郎)の感じで。あとは肉体美ですよね。ボクサーなので、ほとんど脱いでます。

三宅:前作『高校中パニック! 小激突!!』での客いじりもそうだったんですが、宮藤さんとは付き合いは長いんですけど、(作品の中では)意外と初めてのことをやらせていただけるので。今回も、今までやってそうでやっていなかった“素っ裸”っていう・・・そこは冒険です。

――りょうさんは、ピアノ演奏にも挑戦されるとか。

宮藤:2曲弾いていただきます。1曲を2回弾くので計3曲ですね。もともと1曲の約束だったのが、後から1曲足しちゃったんですよ(笑)。それは申し訳なかったなと。

りょう:大丈夫です。最初の1曲は1ヶ月ぐらい前から毎日1、2時間練習して、なんとか弾けるようになったんですけど。2曲目の練習を始めたら最初の曲を忘れてしまって。「全然弾けない!」って慌てた時期もありましたが、今は落ち着いてきました。

三宅:安心して聴いていられますけどね。弾き方がカッコいいんですよ。

りょう:足を広げて、体全体でリズムをとりながらじゃないと弾けないんですよ。そうしたら足の前に幕ができました。

宮藤:思いきり弾いていただくために。基本、和装なので(笑)。

大パルコ人3『サンバイザー兄弟』インタビュー_2

「あれ、りょうだよな?と驚いてもらえるのが凄く嬉しい!」(りょう)

――三宅さんから見て、今回はどんなお話ですか。

三宅:うーん。バカが一生懸命生きている話なんじゃないですかね。それが最終的に愛おしく見えて最後は泣けます。僕の場合は、ですけど。

りょう:私も泣けます。

宮藤:僕は泣きません(笑)。でも『ブルース・ブラザース』で毎回「監獄ロック」の演奏が始まるところは泣けるんですよね。全然そんな話じゃないのに、泣けるのがいいなと。今回はもうちょっと突き抜けて“突き抜け過ぎて泣ける”みたいなところを狙いたい。理屈じゃない音楽の力だと思うんですけど。今回音楽を友康さん(怒髪天)にお願いしたことで、そこに到達できているような気がするんですけどね。

――音楽の力が大きいと。

宮藤:台本に書いてあることには、どうしても作為があると思うんです。でも歌はそうじゃない。間違った歌でもすごい気持ちを入れて歌ったら、そんな気がしてくる。一応台本にはこういうシーンでとか注釈を入れましたが、友康さんにはそれ以上何も言ってない。それでも音楽の“力業”みたいなことをやってくださったので。しかも、我々でも演奏できる単純なコード進行と構成で。すごいなと思います。

りょう:本当にそうですよね。多分、ほぼ笑っていただける作品だとは思うんですけど、そこは本気でやりたい。姿見ただけで笑われるようなところでも真剣にやります。

――りょうさんは、それほど見た目にインパクトがあると?

りょう:そうなんです。どちらかと言うとそういう役の方が好きなんですけど、今までは顔のイメージで、あんまりそういう役がなかったので。

宮藤:顔のイメージで!

りょう:(笑)。極妻の役は何となくやりそうなイメージがあると思うんですけど、でもそうじゃない。ちょっと笑っていただけるような部分もあって。

三宅:遠くから見たら「あれ、りょうだよな?」ってなると思います。

宮藤:お客さんもびっくりするんじゃないかな。

りょう:私はそれがすごく嬉しいんですよね。お芝居始めた当初から、事務所には「おもしろいことがしたい!」と20年以上言い続けきたので。やっとそれができたんじゃないかと。

三宅:また、インパクトのある姿が意外と似合うんですよね。違和感がないというか・・・ちょっとエロく見えてきたりするし。

りょう:エロいって嬉しいですね、エロくいきます(笑)。

大パルコ人3『サンバイザー兄弟』インタビュー_4

「たった11人でアクション、演奏、ギャグまでやるので、皆も楽しんで!」(宮藤)

――今回、増子直純(怒髪天)さんが初舞台ですが、ミュージシャンの方と共演されてみていかがですか?

りょう:怒髪天が大好きなので、増子さんとはプライベートでライブへ行ったりお食事をしたりする仲なんです。舞台ではライブの時とは違うと思うんですけど、空気が(怒髪天の)増子さんです。

宮藤:普段の増子さんとどこが違うんだと言われたら、あんまり違わないんですよね。演技している感じがしないというのは、どういうことなんだろうって思いますけどね。

りょう:でもたまに人が見えない裏とかで、ダンスの振付を一生懸命やってる。

三宅:やってるなと思ったら、素振りしてたりするし(笑)。

宮藤:バンドのフロントマンって、他人から指図されることがない中でやってるから「こうしてください」と言われた時の反応がすごくおもしろい。しかも、ダンスとか殺陣とか、できちゃうからすごいなって。

――逆にりょうさんは、音楽への興味が芽生えたり?

りょう:そうですね。芝居が終わったらギャルバンでも結成したい(笑)。歌がものすごく苦手なんですけど、ボーカルをやりたい。

三宅:おっ!

りょう:15歳の時に、初めてのバイト代でギターを買ったんですけど、思うように弾けなくて。人前で演奏する前に終わっちゃったんで、やり直したいです(笑)。

――三宅さんは、宮藤さんとのバンド「グループ魂」のドラムとしても活躍されています。宮藤さんも三宅さんに期待される部分が大きいのでは?

宮藤:お芝居は何も言うことはないですけど、曲を間違えないでほしいですね。やっぱりドラマーなので、皆が三宅さんの音についていくんですよ。でも、ちょっと慣れたり、複雑になってくると間違える(笑)。

三宅:ドラムって目立ちますからね、間違いが(笑)。しかも僕、顔に出ちゃうんで。

宮藤:1秒前ぐらいに、間違えるのが分かるんですよね。バンドとして一緒に演奏している期間が長いからなのか、ここで間違えるな~と。だから、間違えてもびっくりはしない。
三宅:自分が一番びっくりしてる(笑)。楽しくなるとダメなんですよ。

――(笑)。三宅さんはNHK連続テレビ小説『あさが来た』の番頭・亀助役でも人気を集めました。公演を楽しみにしている大阪のファンもたくさんいらっしゃると思います。

宮藤:三宅さんは今回、大阪弁をしゃべる役なので。朝ドラでもしゃべってたし、半分以上大阪人なんじゃないの? 

三宅:大阪は心のふるさとですから!

宮藤:いい加減だな(笑)。

三宅:いやいやホントに(笑)。また大阪に行けることを楽しみにしております。朝ドラとは違う僕が出てきますので、ぜひ観に来ていただければ。

りょう:私も友達は大阪のひとが多いので、大阪は大好きです。

宮藤:池袋が舞台のお話ですけど、ヤクザの組は大阪から進出してきたという裏設定なので、大阪の人にも馴染みがあるんじゃないかな。こんなにアクションしたり演奏したり、もちろんギャグがあったり。11人しか出ないのにここまでやるのは、我々ぐらいだと思うので。

三宅:しかも皆、そんなに演奏が上手じゃない(笑)。

宮藤:苦手なことを皆で無理してやるっていう(笑)。それをおもしろがってくれる人は、楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。

大パルコ人3『サンバイザー兄弟』インタビュー_3

◆公演情報
大パルコ人3 ステキロックオペラ『サンバイザー兄弟』
【作・演出】宮藤官九郎
【音楽】上原子友康(怒髪天)
【出演】瑛太、増子直純(怒髪天)、三宅弘城、皆川猿時、清野菜名、少路勇介、よーかいくん、篠原悠伸、上川周作、宮藤官九郎、りょう

【大阪公演】12月8日(木)~12月18日(日) 森ノ宮ピロティホール
【宮城公演】12月21日(水)~12月23日(金・祝) 仙台サンプラザホール

(撮影/引地信彦)
(取材・文/石橋法子)

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