ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』矢崎広にインタビュー!「すべてを出し尽くしながらやっている感じです」


2016年10月に開幕するミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』。フランス革命後のパリを舞台に、恐怖政治に脅える人びとを救うため立ち上がった英国貴族の一団「スカーレット・ピンパーネル」と、これを阻止すべく暗躍するフランス政府の攻防をスリリングに描いた人気作だ。

本作でアルマンを演じる矢崎広に、共演者とのエピソードや舞台に臨む気持ちについて聞いた。

ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』矢崎広インタビュー

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多彩な顔ぶれのカンパニー

――今回の出演が決定したときのお気持ちを教えてください。

『スカーレット・ピンパーネル』というタイトルは、お話をいただいてから知りました。そこから作品について調べていくうちに、宝塚歌劇の大人気作品であり、ファンの方にとってとても思い入れの強い作品だということがわかりました。そんなミュージカルに出られるのかと、後から喜びや嬉しさが増していった感じですね。

――アルマンの姉・マルグリット役の安蘭けいさんとは2010年の『ワンダフルタウン』でも共演されていますが、当時の印象はいかがでしたか?

安蘭さんはカンパニーの皆とすごく仲が良くて、皆で食事に行ったこともあります。年齢的には僕よりお姉さんなんですけど、天真爛漫なところもあって、役を演じられている時はもちろん、安蘭さんご自身がとても魅力的な方だと思いました。周りのことも良く見ていらして、舞台の端から端までご覧になっているような…そういう視点をお持ちの方です。さらに、とてもストイックな方だな、という印象です。

――本作での共演が決まってから安蘭さんとはお話しされましたか?

デヴィッド・ルヴォーさん演出の『ETERNAL CHIKAMATSU』を安蘭さんが観に来てくださった時に少しだけ。「ピーちゃん!」って呼ばれて、僕のことをピーちゃんって呼ぶ人は限られてるぞ・・・と思ったらまさかの安蘭さんでした(笑)。わざわざ楽屋まで来てくださり「今度よろしくね」って声をかけていただきました。まだしっかりとお話できていないので、これからコミュニケーションを取っていければと思います。

ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』矢崎広インタビュー_4

――石井一孝さんともかなり前に共演されています。

『愛と青春の宝塚』で共演した以来なので、カズさん(石井一孝)とは10年ぶりになります。『愛と青春の宝塚』には大変だった記憶しかないんですけど、新宿のコマ劇場にギリギリ立てたという思い出深い作品でもあります。

――10年ぶりに会うのは緊張しますか?

まず、カズさんが僕のことを覚えてくれているかなって思ったんですけど、スチール撮影でお会いした時に「おー、ヒロシ!」って声をかけてくださったんです。その石井さんが『愛と青春の宝塚』の時のままで・・・全然変わらないというか、前より若くなっているくらいの勢いで。そこで昔と同じように接していただけたのがすごくうれしかったのと、変わらないカズさんを見てすごくホッとしたというか、懐かしい気持ちになりました。

――ミュージカル『タイタニック』でも共演された佐藤隆紀さんのことは“シュガー”と呼ばれているそうですね。

いつから呼び始めたのかはわからないですが、『タイタニック』のメンバーはみんなシュガーって呼んでいますし、今はファンの方もシュガーと呼ばれているみたいですね。シュガーのほうが年上ですし僕もお兄さんだと思っているので、たまに歌のコツとかを教えてもらっています。『タイタニック』が大変だったということもありますけど、あの時の面子がこうやっていろんなところで繋がっているのは嬉しいです。

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――そして、主演の石丸幹二さんとは今作が初共演となります。どんなイメージをお持ちですか?

僕は昔からディズニーの『ノートルダムの鐘』が好きで、石丸さんがカジモドの吹き替えをされているCDやDVDで作品を楽しんでいました。なのである意味、ずっと好きだった歌を歌っている方に会えるという印象が強いです。そうした個人的なワクワクもあり、石丸さんは“憧れの人”というイメージですね。

――今回矢崎さんが演じられるアルマンは若い英国貴族という設定ですが、これまでに貴族の役を演じられたことは?

『ドラキュラ』で演じたアーサーが貴族だったかな・・・。あと、『三銃士』でルイ14世を演じたこともあります。『ジャンヌ・ダルク』のアランソン公は将軍ですけど、貴族といえば貴族ですよね。マントも何度か着けたことがあります。

――では、マントの扱いには慣れていらっしゃる?

初めてマントに触れたのは『ドラキュラ』の時で、共演した小西遼生さんにいろいろ教えていただきました。マント捌きというのは、キマれば本当にかっこいいんですけど、たまに仮面ライダーのマフラーみたいになっちゃうので・・・あれは難しいですね。

どこまでも、貪欲に―

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――本作の作曲をされているワイルドホーンさんの楽曲についてはどういった印象をお持ちですか?

ワイルドホーンさんの曲には先ほどの話にも出た『ドラキュラ』の時に触れました。楽曲はもちろんなのですが、チャーミングな見た目も印象的な方ですね。難しい曲ではあったんですけどすごく耳心地が良くて、好きな歌だなと思いながら歌っていた記憶があります。

あと、ワイルドホーンさんは日本が大好きで、作る楽曲にも日本のポップス系を少し入れたりもされているというお話を聞いて、ご自身の好きなものが楽曲として形になっているんだな、という印象を受けました。どの曲を聴いても、日本の方にすごくフィットするんじゃないでしょうか。作曲家ってすごいなって思います。今(※インタビュー時)は作曲家の役をやってるんですけど(笑)。

――ボブ・ゴーディオですね(笑)。その『ジャージー・ボーイズ』では、先輩たちに囲まれていますが、『スカーレット・ピンパーネル』では近い年代の俳優さんが多くいます。矢崎さんとしては先輩と同年代、どちらと組むほうが得意ですか?

どちらの経験もありますが、どっちが得意だとかではなくて「そのカンパニーでどう演じるか」という部分をすごく考えています。僕がミュージカルに出演する時に思うのは、「何か他の人の長所を吸収したい」とか「どうしたらこの役が上手くいくんだろう」といったことで、多分それが必要だと感じているからなんでしょうね。そういう意味でも、アッキー(中川晃教)さんや藤岡マサ(正明)さん、(吉原)光夫さん・・・『ジャージー・ボーイズ』で心強い先輩たちと共演させていただけたことは大きいですね。

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――このあとの『ロミオ&ジュリエット』(2017年1月上演予定)で演じられるベンヴォーリオは、これまで演じた若手俳優の方たちがミュージカルの世界で羽ばたいていった出世役ですよね。

今よりもっとがんばらないと!でも、いくらやっても満足しない作品、越えるべき壁がこんなに沢山あることはありがたいです。ぶつかっていくしかないっていうか、「自分の手持ちはこんなもんです!」と、すべてを出し尽くしながらやっている感じです。

――これまで幅広いジャンルの作品に出演されていますが、ストレートプレイとミュージカルでは舞台に臨む気持ちに違いはあるのでしょうか?

「今回はミュージカルだからこうしよう」みたいな(区別する)ことは考えていないですけど、その作品の中にある表現方法だけは頭に入れています。ミュージカルの表現には歌とダンスとお芝居があって、ストレートプレイでも、歌はないにしろダンスが入ってきたりするので・・・自分にとっては表現するためのツールが少し違うというだけですね。

特に最近の作品はストレートプレイとミュージカルという区分がそこまでハッキリしていなくて、いろいろなエンターテイメントが混ざっている気がします。なので、それぞれの作品に対してどういう戦い方があるかというのを考えた上で、「そこで自分なりに戦っていこう」というスタンスでいます。

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――作品のジャンルに対する特別な意識はないということですね。

そういう意識はないです。あるとすれば、「歌をやらなきゃいけない」とか「ダンスで三回転しなきゃいけない」ってなった時に、自分に足りてない表現方法に対して「これが欲しい!」と思う気持ちでしょうか。『ドッグファイト』であれだけ踊って、『ジャージー・ボーイズ』ではあれだけ歌って・・・本当に、“現場で鍛えられている”という感じです。

――『ジャージー・ボーイズ』はとても演劇的なミュージカルだと思いました。

そうですね。そこは藤田(俊太郎)さんが演劇的にしてくださって、芝居の部分は自由にやらせていただいています。やはり自分としては演劇的な表現は大切にしていきたいです。

――では最後に、本作を楽しみにされている方へのメッセージをお願いします。

今回のように、僕ら若手世代が多くいる一方で、石丸さん、安蘭さんたち先輩方も沢山出演なさるカンパニーはあまりないと思います。そうした部分も含めていろんな注目や期待が集まっている作品だと思うので、お客様の期待を良い方に裏切っていきたいです。「このカンパニーの色をギュッとしたら、こんな『スカーレット・ピンパーネル』ができました」と言える舞台をお客さまにお見せできるよう、これから稽古を頑張っていきます!

ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』矢崎広インタビュー_3

◆ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』
2016年10月19日(水)~10月26日(水) 東京・赤坂ACTシアター
2016年10月30日(日)~11月7日(月) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
2016年11月24日(木)~11月29日(火) 東京・東京国際フォーラム ホールC

(撮影/高橋将志)

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