ジョンソン&ジャクソン新作公演『夜にて』大倉孝二インタビュー!「演劇の未来を一切担ってないところが良い」


劇団「ナイロン100℃」の大倉孝二とブルー&スカイによるユニット「ジョンソン&ジャクソン」が、前作から2年の沈黙を破り、新作『夜にて』を2016年10月20日(木)より東京・CBGKシブゲキ!!にて上演する。出演には大倉、ブルー&スカイはもちろん、映画『ヒメアノ~ル』など話題作への出演が続く佐津川愛美や、劇団「猫のホテル」の佐藤真弓、劇団「ナカゴー」主宰の鎌田順也、「ナイロン100℃」の菊池明明、そして大堀こういちという個性派俳優が集結。「役に立たない演劇」を標榜する「ジョンソン&ジャクソン」の新作公演とはいかに!?大倉のルーツを探りつつ、その全貌に迫った。

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――「ジョンソン&ジャクソン」2年ぶりの新作公演『夜にて』が上演となりますが、それまでの経緯を教えてください。

前作の『窓に映るエレジー』が終わった時点で、ブルー&スカイ氏とスタッフの何人かで「次はいつにしようか」という話はしていたんです。そこで、自分は「すぐにでもやろう」と言ったのですが、なかなかスムーズにはいかず・・・・・・。気づいたら2年の月日が経っていたという感じです。

――評判を見聞きしていると、着実にファンが増えていっている印象があります。

動員が増えている感じはしないんですけど、たしかに同業の人からの評判はよく聞くようになった気がしますね。「面白いね」とか「あのシリーズ好きなんだよ」と言ってくださる人は結構います。

――普段、俳優として活躍されている大倉さんにとって、「ジョンソン&ジャクソン」はどんな位置付けなのでしょうか?

他のものとは全く関わり方が違いますね。自分でやり始めたことなので、プロデューサー的な業務も兼ねなくてはなりませんし、ましてや作・演出なんて他ではまずやらないわけで・・・。なので、他の仕事と比べて「ジョンソン&ジャクソン」が一番大変ですね。でも、自分からやっているわけですからね。楽しいんだと思います。大変すぎて、まだ楽しむ余裕がありませんけど(笑)。

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――そのなかで特に大変なことはなんですか?

う~ん、普段はただの役者なので、予算に関する数字的な部分の話とかは慣れないですね。あとは脚本。物語を作るというのは・・・本当に大変な作業ですね。

――ブルー&スカイさんと共作で脚本を書かれているそうですが、どのような要領で進めていらっしゃるのですか?

喫茶店で二人、話しながら作っています。「ジョンソン&ジャクソン」の作品は基本的にコメディーなんですけど、話し合いの場は結構ピリピリしてるんですよ。二人で作るっていう性質上、お互いの意向が融合するまではただの意見のぶつけ合いになるので仕方ないのですが(笑)。

――もう打ち合わせはされているんですか?(取材は8月上旬)

俄然しているんですけど、今は意見がぶつかり合いまくっている最中です。話の筋自体はまだ言えないのですが、外枠でいうと、今までよりも演劇らしい演劇をやってみたいなと思っています。ギミックとかは少なめで。

「今回はちゃんとお話の中でお芝居してみようかなって」

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――前作『窓に映るエレジー』では目まぐるしく場面転換していましたが、今作ではストレートプレイに寄っていくということですか?

そうですね。なので、バンドの演奏とかダンスも今回はやらないかもしれないです。過去2作の中でやっていないことに挑戦してみたくて。ただ、ブルー&スカイ氏があんまりストレートプレイを書いたことがないらしく、少し難色を示している部分もあるんですけど(笑)。キャスティングも、そういうお芝居ができそうな人を意識してオファーしてみました。今までみたいに「ドヒャー!」と騒ぐのではなく、ちゃんとお話の中でお芝居してみましょうって。

――キャスティングも大倉さんがされているのですか?

う~ん・・・・・・、ほとんど僕かな。もちろん、ブルー&スカイ氏にも相談するのですが、聞くと大体「大倉さんが良いっていう人なら良いですよ」というざっくりした返答なので、大体僕が決めてます(笑)。

――佐津川愛美さんの出演は意外に感じました。

小劇場系ではない、カラーの違う役者さんに出演して欲しいと思っていて、ある仕事の現場で佐津川さんとお会いした時にピンと来たんです。それで、資料を見させてもらって正式にオファーした感じです。

――猫のホテルの佐藤真弓さんやナカゴーの鎌田さんも今回、初出演ですよね。

真弓さんは僕が出ている舞台を観に来てくださって、楽屋で顔を合わせた時にピンときて「芝居やるんですけど出てくれません?」とお願いしたら、何も聞かずに「やる」って言って下さって。それで決まったんです(笑)。鎌田さんも直感的に決めましたね。ナカゴー自体は菊池(明明)が出演しているので知ってはいたんですけど、観たことはなくて。パンチのあるルックスのある人に出てもらいたいと思って色々探している中で鎌田さんに決めた感じです。鎌田さんの見た目の印象って相当強いじゃないですか?(笑)

――たしかにそうですね(笑)。自分でキャスティングをするのは楽しいですか?

いやぁ、大変ですよ。「ジョンソン&ジャクソンってなに?」という人がほとんどですから、そう簡単には出てくれないんです(笑)。

ルーツは「面白いことをしたい」という貪欲な衝動

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――「ジョンソン&ジャクソン」の作品はナンセンスやシュールなギャグが怒涛のように飛び交うのが特徴だと思うのですが、そもそも大倉さんの演劇やコメディーのルーツにあるものは何なのでしょうか?

僕は演劇がやりたくて演劇を始めたわけではなくて、面白いことがやりたくて演劇をはじめたんです。高校を卒業して舞台の学校にも一応入ったんですけど、それは演劇がしたかったからではなく、面白そうなやつが集まる学校に行ってみようと思って入ったんです。面白いことをするにも僕には何のアイデアもないので(笑)。

それで、初めてお金を出して見た演劇がナイロン100℃の舞台でした。幸運にもそこで拾ってもらえたので、僕のルーツはナイロン100℃しかないですよ。ただ、ナイロン100℃はどんどん変化していくのが持ち味でもあるので、昔のようなくだらないことをやらなくなってきて・・・。

――それで、大倉さんが「ジョンソン&ジャクソン」でふざけていこうと?

誰もやらせてくれないなら自分でやろうと思って(笑)。もちろん真面目なのも好きですけど。ただ、純粋に面白いことをしたくてこの世界に入ったのに、いつのまにか“俳優”ということが仕事になってきてしまっていた部分もあって・・・。なので、「ジョンソン&ジャクソン」は演劇とか音楽とかあまり関係なく、自分の面白いと思うことをやろうって決めてるんです。

「演劇の未来とかを一切担っていないところが良い」

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――「ジョンソン&ジャクソン」ではブルー&スカイさんと一緒に脚本を書かれているわけですが、今後は脚本の方でもお仕事があるんじゃないですか?

いやいや、書けば書くほど自分には才能がないって思い知らされますよ。でも、ブルー&スカイ氏が一人で書くのが辛いっていうから半ば仕方なく一緒に書いてるだけで・・・「作家なんだから一人で書け!」って話ですよね(笑)。そのくせ、僕が何か提案するとぶつかってくるんです(笑)。

――なるほど(笑)。稽古場はどんな雰囲気なんですか?

基本的に静かですね。僕が一人で笑ってるパターンが多いかな。僕があまりテンションの高い人が好きじゃないので、騒がしい人を選んでいないだけかもしれませんが。

――演じられる様々な役の印象からか、大倉さんはどこか危険をはらんだ人物というイメージがあるのですが、演出家として激しく指導されることもあるのでしょうか?

ははは、全くの無害ですよ(笑)。演出で怒ったりはしないです。むしろ、悩んでいたりすると、「どうした。何かわかんない?」って菊池とかに気を遣うぐらい弱い存在です。

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――ちなみに、普段の生活のなかで一番テンションが上がるのは何をされている時ですか?

う~ん・・・・・・、ないですね。あるとしたらお酒を飲む時かなあ。基本的にローテンションなんですよ。時間がある時は料理を作ったりして、それは楽しいですけど。

――素の雰囲気と、演技や作品の間にギャップがあるのも大倉さんの魅力のように思います。それでは最後に、新作『夜にて』への意気込みを聞かせてください。

「ジョンソン&ジャクソン」は、僕とブルー&スカイ氏だけが面白いと思うことを作り続けていくチームなので、そこに意気込みのようなコマーシャル的なことは言えないんですけど・・・・・・(笑)。まあ、「役に立たない演劇」というキャッチフレーズに現れているように、演劇の未来とかを一切担っていないところが良いところだと思うんですよね。なので、くだらないことが好きな人はぜひ観に来てほしいです。そして、今回はお話としても観られる、くだらないものを作ろうと思っているので、それも楽しみにしてほしいです。

――お話の中にメッセージ性は・・・・・・?

ないです。メッセージはまったくないです!(笑)

――本番を楽しみにしています。本日はありがとうございました!

ジョンソン&ジャクソン『夜にて』大倉孝二インタビュー

◆ジョンソン&ジャクソン『夜にて』公演情報
作・演出:ジョンソン&ジャクソン(大倉孝二 ブルー&スカイ)
出演:大倉孝二、佐津川愛美、佐藤真弓、菊池明明、鎌田順也、ブルー&スカイ、大堀こういち

【東京公演】10月20日(木)~10月30日(日) 東京・CBGKシブゲキ!!
【盛岡公演】11月3日(木・祝) 岩手・盛岡劇場 メインホール
【いわき公演】11月5日(土) 福島・チームスマイル・いわきPIT

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