安西慎太郎×小林且弥×鈴木拡樹 『僕のリヴァ・る』出演者3人にインタビュー!


新国立劇場・小劇場をセンターステージにした、たった4人で上演される舞台『僕のリヴァ・る』が、2016年2月に幕を開ける。360度すべてを客席に囲まれるセンターステージ。そこに挑むプレッシャー、そしてセンターステージならではの楽しみとは。出演者である、安西慎太郎、小林且弥、鈴木拡樹の3人に話を聞いた。

『僕のリヴァ・る』キャストインタビュー

――『僕のリヴァ・る』はオムニバス作品なんですね。

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小林:“兄弟”をテーマにした3本の作品を上演します。演出の鈴木勝秀さんが書いた日本の普通の兄弟の物語と、ゴッホと弟の物語と、小説原作の『盲目のジェロニモとその兄』です。

鈴木:タイトルの『リヴァ・る』というのは「ライバル」のことで、兄弟のライバル関係を題材にした舞台です。

小林:配役は、1本目は兄弟がこの世に生を受けて間もない時の話で、年下の(安西)慎太郎が兄の役で、僕が弟の役なんです。2本目は(鈴木)拡樹が兄・ゴッホ役で、慎太郎が弟です。3本目の『盲目のジェロニモ』は、慎太郎がジェロニモで、僕が兄です。・・・混乱してきましたね(笑)。

鈴木:どれも“兄弟”がテーマになる4人芝居です。兄弟以外の役は仕掛け人として登場します。たとえば『盲目のジェロニモ』では僕は旅人の役で、兄弟の関係を少し不安定な方に持っていったりします。

――出演が決まった時はいかがでしたか?

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安西:この4人のメンバーと鈴木勝秀さんと舞台が作れると決まった時は、なによりも嬉しかったです。ですがその反面、かなりプレッシャーでした!けれどもすごく素敵な作品になるという予感がありましたし、絶対に良い作品にしたいと思いました!

鈴木:個人的には、正直、4人体制はありがたいです。とても人見知りなので、これなら輪の中にすぐ入れるなって(笑)

小林:二人はさっき初めて会ったんでしょ?

安西:そうなんです。

鈴木:今日会って、初対面でケーキを渡しました。

小林:え~優しい~!(笑)やっぱり拡樹って今まで会ったことのない人種だよ!『弱虫ペダル』で共演した時もびっくりしたし!

鈴木:ええ~?

小林:その時、僕は腰を痛めていて、マチネとソワレの間に注射を打って麻痺させながら舞台に立っていたんですよ。本当に歩けなくて、公演の途中からは満員の客席を見るたびに賠償問題のことしか頭になかった。
それで「俺、なにかあった時に賠償金払えるのかな~」なんて思いながら舞台袖でパッと隣を見たら、みんなが汗ダクダクで水を飲んでるなか、拡樹だけカフェラテ飲んでたんですよ。

安西:(爆笑)

小林:稽古中も、ノロウィルスが流行った時期なのに拡樹だけマスクもせずにまったく大丈夫だったんですよ!

鈴木:普通にしてる方がコンディションを保てますね。

小林:なんかGacktさんのような空気を感じる・・・。

――優雅な感じですね(笑)

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小林:慎太郎とは明治座の公演で共演して、「なんて可愛いやつなんだろう・・・」と。弟キャラといいますか、距離感がうまいんだろうね。

安西:初めて言われました。でも、僕も且弥さん大好きですよ。プライベートでご飯に誘ってくれるのもそうなんですけど、且弥さんのお芝居が大好きで、今回共演させていただくのも嬉しいです。「こんなお兄ちゃんほしいな」って思うようなお兄ちゃん像が且弥さんなんです。

小林:こういうところですよ!

鈴木:(笑)

――今回の舞台はセンターステージなんですね。

鈴木:そうなんです。センターステージでお客さんにどんなものをお伝えできるのかワクワクしています。以前に円形劇場で公演した時、360度方向に見せることをかなり試行錯誤したんです。背中を見られるということは、本当に気が抜けない。だからこそ、今まで芝居に取り組んできた成果がお客さんに観ていただけると思うので、360度どこから見られても表現できるように頑張りたいです。不安もありますが、絶対に楽しいから本番が楽しみです。

小林:センターステージってなかなかないよね。初めて円形劇場で公演させていただいた時、「のぞき小屋」みたいだなと思ったんですよ。普通の舞台だと、お客さんとの間に境界線があって客席と対話するようだけれど、センターステージだと僕らが勝手に動いている様子をお客さんが好きに見られる。センターステージの方が可動域が広がる気がして、通常の舞台よりももっとナチュラルな空間だと思います。

安西:その通りですね!僕、初舞台が円形劇場だったんですよ。舞台の事をなにも知らない状態で円形の舞台に立って、すごく怖かったです。自分の見えてる前方向しか意識することができなくて、後ろのお客さんを感じられなかった。その経験を糧に、今回はセンターステージで頑張りたいです。

鈴木:センターステージって少ないので、まだセンターステージの舞台を観劇されたことがない方はぜひ観に来ていただきたいな。通常の舞台よりもセンターステージの方が、お客さんも同じ空間の中にいるという感覚が掴みやすいと思うんですよ。そうやって舞台の魅力を知っていただき、演劇が楽しくなるきっかけになれたらな。

安西:舞台ならではの魅力を感じてほしいですね。

鈴木:そうですね。おそらくシンプルな演出になるし人数も少ないので、一人で舞台に立たなきゃいけないシーンもあると思うんですよ。一人で空間を埋めるのは怖いけどやりがいもあるので、ちゃんとできれば良い作品になるんじゃないかな。

――台本を読んでみて、いかがですか?

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鈴木:オムニバスでやる意味がちゃんとあるなと思いましたね。素敵な物語、モヤモヤする物語、単純に笑える物語など、それぞれのテイストが違っているので、ガラッと変わる展開を楽しんでいただければ。

安西:年上だけど弟役の且弥さんと、兄役の僕が演じているところを想像すると、すごくワクワクします。同時に、僕たち二人を演出の鈴木勝秀さんがどう作り上げていくのかが楽しみですね。もう一人の出演者である山下裕子さんも含め、出演者4人で物語にどう厚みをつけていくのかというワクワク感が止まらないです。

小林:俺は最初に読んだ時・・・セリフ量がすごく多いな、と。会話形式というより独白が多くて、基本的にはみんな出ずっぱりなんです。この量のセリフを覚えて2月に本番で・・・と想像すると、内容があまり入ってこなかったです(笑)

鈴木:確かに多いですね。

小林:スズカツ(鈴木勝秀)さんの書かれた作品について、現場に行ったらスズカツさんなりの答えがあると思うので、演出家と一緒に既存の脚本に挑んでいくのとまた違って楽しみだなあ。

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鈴木:あと、兄弟がいる方は3本の中のどれかに共感できると思うので、楽しめるんじゃないかな。

小林:俺は一人っ子なんだよね。“兄弟”が3本の物語のテーマなんだけれど、兄弟という感覚がないので、舞台を通して兄弟とはなにかをちょっとでも感じられたらいいな。兄弟とはつまり「血」だと思うんですよ。人と人の間には、言葉では補完できない「血」というものがある。それを舞台でどう表現できるかなと考えています。

鈴木:僕と安西くんはお姉ちゃんがいるよね。

安西:僕は姉が二人います。

鈴木:うちはお姉ちゃんと自分。親が美容室で働いていたので帰りが遅くて、4つ離れたお姉ちゃんがちょっとしたお母さんみたいな感覚なんです。可愛がってもらったし仲もいいので、この作品みたいに“ライバル”という感じはなかったですね。男兄弟だとその感覚があったのかなあ。

安西:僕もライバル感覚は一切ないので、舞台で体験できるのが楽しみです。3本とも作品は違うけれど、どれも「兄弟ってなんなのか」をすごく考えなくちゃいけない。だからこそ4人で舞台を作り上げていくプレッシャーや不安もあるけど、それをワクワク感に変えて演じていきたいな。

――3本の中ではどの作品が好きですか?

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鈴木:僕はゴッホかな。ゴッホの役をやらせてもらえるのでメイン回ですし、鈴木勝秀さんの世界観を届けられるだけで良い作品になるだろうなって思います。

小林:ゴッホは楽しみですね!拡樹と慎太郎が兄弟を演じるんですが、僕ずっと、この二人は似てるなと思っていたんです。だからこの二人が兄弟役を演じるところを観られるのが楽しみだなあ。

安西:僕は『盲目のジェロニモ』が一番好きかな・・・。盲目の役は初めてですし、そう簡単に演じられないなと思うので、さらなる挑戦になるだろうと思っています。

――最後に、役者としての2016年の抱負を聞かせてください。

安西:毎年思うことですが、お芝居が上手くなりたい。そのために何をしなくちゃいけないのかをしっかり考えたうえで、一つひとつの作品を大切にしていって、その結果として芝居が上手くなればいいな。

鈴木:僕はまず、一本一本の舞台に課題を持ってしっかり取り組むことですね。そして今後活動するなかで、演劇に貢献できるものが見つかったらひとつ財産を残せるかな。出会いが良いものを生んでくれると思うので、いろんな共演者さんに出会えたらいいなと思います。

小林:拡樹の言うとおりで、自分で選ぶのではなく巡り合わせだと思います。その中で、どういう演出家さんに会って、共演者さんにいろんなものをもらって、それを自分の言葉にして、どのように舞台に出せるか。そのことを、もうちょっと意識しながらやっていきたいですね。

『僕のリヴァ・る』出演者3人にインタビュー_2

◆プロフィール
安西慎太郎(あんざいしんたろう)
1993年、神奈川県出身。2012年舞台『コーパス・クリスティ 聖骸』でデビュー。主な出演舞台作は、ミュージカル『テニスの王子様』2 ndシーズン、『戦国無双』(主演)、『もののふ白き虎』(主演)ほか。4月~5月には舞台『アルカディア』が控えている。

小林且弥(こばやしかつや)
1981年、山口県出身。2001年春東京コレクションでモデルデビュー。主な出演作は、映画『凶悪』『マエストロ』『日本のいちばん長い日』『劇場版仮面ライダー兜GOD SPEED LOVE』。TV『開拓者たち』(NHK)。ほか、数々の舞台もこなす。

鈴木拡樹(すずきひろき)
1985年、大阪府出身。2007年ドラマ『風魔の小次郎』(MXほか)で俳優デビュー。主な作品は、『最遊記歌劇伝』シリーズ(主演)、舞台『弱虫ペダル』シリーズ。TVでは『仮面ライダーディケイド』(テレビ朝日)ほか。

『僕のリヴァ・る』は、2016年2月18日(木)から2月21日(日)まで全7回、新国立劇場・小劇場で上演される。
公式サイトURL:https://le-himawari.co.jp/galleries/view/00132/00354

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