残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』中村倫也インタビュー!「演劇ファンがうなるものになると思います」


学生服に身を包んだ少年たちが集う秘密基地「光クラブ」。彼らはその場所で、ある「崇高な目的」のために“甘美なる機械(マシン)”ライチを創りあげる――。漫画家・古屋兎丸の人気同名漫画が原作の、残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』が、2015年12月18日(金)より、AiiA 2.5 Theater Tokyoにて上演される。今回、本作の主演を務める中村倫也に、作品のイメージや本公演に向けた意気込みを語って頂いた。

残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』中村倫也

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――舞台作品への出演は約1年半ぶりですね。

1年半ぶりだからといって意気込むことはありませんが、久しぶりなので勘が鈍っていないかな、とは思っています。基本的にはいつもと変わらず、良いものを作りたいと思うだけですね。

残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』中村倫也_2

――2年ぶりの上演となる本作ですが、前回の舞台はご覧になっていましたか?

舞台については知っていましたが、原作は今回の出演が決まってから読みました。読んだ時にまず思ったのは、漫画ならではの表現があるので、単純に「舞台でどうやろうかな」ということでした。

――原作は独特な世界観の物語ですが、熱狂的なファンがいることでも知られる作品ですよね。

僕もこういう世界観は嫌いじゃないですね。原作のインパクトや個性が強いですけど、僕としてはいつも通り、演劇を真摯にやるだけです。

――ファンの心を捕らえる、この作品の魅力はどういうところにあると思いますか?

個人的には、過去の出来事に対するオマージュ、アンチテーゼが端々に見て取れました。自我を確立する前の子ども達の行動、なぜそうなったのかという部分ですね。一人ひとりの人物の、特に僕が演じるゼラが持っている葛藤や矛盾、そういったものを掘り下げると楽しい作品だなと思います。

――まだ稽古前ですが、現段階でゼラを演じる上でのイメージはお持ちですか?

今は台本を読んでいますが、さまざまな選択肢があるのでどうしようかな、という感じです。いろいろ試してみようと思っています。

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――選択肢というのは?

原作の表面というか、表面から出て来るキャラクターと、その奥にあるもの。それは必ずしも1色ではないでしょうし、多色の部分の可能性を探ってる段階です。いろいろと思い浮かんでいるところですが、自分としては一生懸命な役でやりたいと思っています。

――演出の河原雅彦さんとは、『流れ姉妹 たつことかつこ ~獣たちの夜~』(2009)、『ぼっちゃま』(2011)、『八犬伝』(2013)で組まれていますね。すでに本作についてのお話はされましたか?

特に具体的な話はしていません。稽古に入ってからお互い何が出て来るか、同じ楽しみを持っている感じがします。この作品を僕と河原さんで組んで創る、ということが非常に意味深いことだったりするので、やることはいつもと変わらないですけど、一緒に面白いものを作れるのが楽しみです。
ある種、“勝手知ったる”というところもありますし、信頼をおいている人なので、何かちょっと、難易度の高い方向を果敢に攻めていきたいです。どんなときも、創る上でフタを開けてみないと分からないことや、怖いこともあるんですけど、多分面白くなるのはわかっているので(笑)。それをどう仕掛けてより面白くしていこうかなというか、遊びたいというか…。そういうことが出来る空間になればいいなと思っているので、一緒に楽しみながらやりたいですね。

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――魅力的な共演者も揃いました。

そうですね! でも僕、実は初めましての人ばかりなんですよ。ただ、玉置玲央くんは数年前に彼の舞台を何本か観て、一緒にやったら楽しそうだなと思っていたので共演するのが楽しみですね。

――本作ならではの新しい挑戦はありそうでしょうか?

疲れないといけない芝居なので、きっちりやろうと思っています。あとは…今までミュージカルに出たことはありますけど、あまり踊ることはありませんでした。なので今回、踊りという部分では新しい挑戦といえるのかもしれないですね。

――これから稽古に向けて準備しておこうと考えていることはありますか?

とりあえず体力をつけること。あとは作品の理解というか、もちろん謎は謎のまま取っておきますけど、演じる前に稽古する上での下地を頭の中で作らなくてはいけないので、今は台本を読みつつそれをやっていますね。ただ、それによって頭でっかちになって、稽古前にフットワークが重くなってはいけないので、そこは今までの経験値でバランスをとりつつやりたいと思います。

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――なるほど。ところで、本作の紹介記事などに、「大人になることを拒んだ子どもたち~」という一文がありますが、中村さんの“大人になりきれない部分”はありますか?

基本的に、全然大人になりきれていないと思いますよ(笑)。僕、イタズラをしたくなっちゃうんですよね。これは軽い病気だと思うんですけど、常になにかイタズラをしたいんですよね。あとは、ピーマンがあまり好きじゃないとか…(笑)。

――常に、ということは、このインタビュー前にもなにかイタズラを?

さっき、メイクさんが持ってるティッシュを取りづらくしました(笑)。バレないくらいのちょっとしたイタズラがいいんですよ。大人になるって…ムズカシイですね(笑)。

――先ほど舞台を観て…というお話がありましたが、舞台はよくご覧になるんですか?

観ると言っても、年間で数えるほどですけどね。「生で面白いものが観られる」という強みと言いますか…。作品それぞれの良さもありますが、個人的には、その瞬間、その空間で堪能できる特別な料理のような感覚です。それが美味しいか不味いかは食べてみないとわからないですから、僕はちょっとでも興味があれば観に行きます。つまらないとしんどいですけど、面白いものに出会えた時、自分の感性とか波長とか、いろいろなものが合う作品に出会えた時、それはすごい贅沢な時間になる。舞台はそういう可能性を秘めていると思います。

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――今回の舞台を観る方は、そんな贅沢な時間を大いに堪能できそうですね。最後に、改めてメッセージをお願いします!

本当に、演劇ファンも唸るものができると思いますし、初観劇の人が観ても楽しませることが出来る作品にしたいです。もちろん、そのためにこれから頑張ります!原作が好きな人、出演者が好きな人、理由は何であれ、少しでも興味が沸いてこのインタビューを見てくれた方には、ぜひ劇場へ観に来ていただけると嬉しいです。

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◇中村倫也(なかむら・ともや)プロフィール◇
1986年12月24日生まれ、東京都出身。2005年、映画『七人の弔』でデビュー。最近の出演作に、映画『やるっきゃ騎士』『ピース オブ ケイク』、ドラマ『ちゃんぽん食べたか』『ある日、アヒルバス』、舞台『ヒストリーボーイズ』など。現在、日曜劇場『下町ロケット』(TBS)出演中。主演映画『星ガ丘ワンダーランド』が2016年全国ロードショー。

残酷歌劇『ライチ☆光クラブ』
2015年12月18日(金)~27日(日) AiiA 2.5 Theater Tokyo
原作:古屋兎丸(太田出版『ライチ☆光クラブ』)
演出:河原雅彦
パフォーマンス演出:牧 宗孝(東京ゲゲゲイ)
出演:中村倫也 玉置玲央 吉川純広 尾上寛之 池岡亮介 赤澤 燈 味方良介 加藤 諒
BOW(東京ゲゲゲイ) MARIE(東京ゲゲゲイ) MIKU(東京ゲゲゲイ) YUYU(東京ゲゲゲイ) / KUMI(KUCHIBILL) 
皇希 七木奏音

<ストーリー>
工場からの黒い煙に覆われた町、螢光町の廃墟に、学生服に身を包んだ少年たちが集う秘密基地「光クラブ」があった。彼らは醜い大人になることを拒み、ある「崇高なる目的」のために、“甘美なる機械(マシン)”ライチを創りあげる――。

撮影:原地達浩

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