『フランク・ワイルドホーン&フレンズ ジャパンツアー』フランク・ワイルドホーンと和央ようかにインタビュー!「僕たちの出会いはとても“クレイジー(笑)”な現場だったんだ」


2015年12月に東京と大阪の二カ所で開催される『フランク・ワイルドホーン&フレンズ ジャパンツアー』。『ジキル&ハイド』『ドラキュラ』『シラノ』『スコット&ゼルダ』『デスノート The musical』などを手掛けた作曲家、フランク・ワイルドホーンと彼が信頼するアーティスト&ミュージシャンが集結するゴージャスなコンサートだ。本コンサートのホスト役、ワイルドホーン氏と、公私ともに彼のパートナーとなった元・宝塚歌劇団宙組トップスター、和央ようかに話を聞いた。

フランク・ワイルドホーン、和央ようか1

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――日本での最新上演作『スコット&ゼルダ』、本当に素晴らしかったです。ご自身の作品が日本で愛される理由はどこにあると思われますか?

ワイルドホーン(以下FW):僕が仕事をさせて貰っているいくつかのカンパニーと、素晴らしいリレーションシップを築けているということがまず挙げられるね。でも、その“素晴らしい関係”がなぜ築けているのかは言葉で論理的に説明できるものではないんだ・・・恋愛と同じようにね。僕の音楽が日本の観客の皆さんの魂に届いているとしたら、それは本当にうれしいことだし、感謝の気持ちで一杯だよ。

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――お二人の出会いは和央さんの宝塚退団公演『NEVER SAY GOODBYE』の時と伺っています。

和央:ブロードウェイでも著名な作曲家であるワイルドホーンさんが、私たち宝塚歌劇団のために作品を書いて下さるということで、とても光栄でしたし恐縮もしました。実際にお稽古に入ってみると、全ての曲が生き生きと輝いていて、ドラマティックでありながら、とても歌いやすいことに驚いたりもしましたね。

作品の舞台がスペインということもあって、スパニッシュなアレンジのナンバーも多かったのですが、メンバー全員がこの楽曲を歌えることに興奮していたと思います。今でも当時のメンバーが集まると、必ずその時の話になるんです。

FW:あの時のプロジェクトはある意味クレイジーだったね(笑)。作曲家の僕はアメリカ人だし、作・演出のシュウ(=小池修一郎氏)は日本人、物語の舞台は内戦時のスペインで、それを演じるのは男性役も含めて全員女性の宝塚歌劇団・・・今、こうして話していても“どうかしてる”企画だと思うよ(笑)。だけど本当に素晴らしい体験だったし、公演も最高だった。でも何より最高なのは、この作品がきっかけとなって、たかこ(=和央ようかの愛称)と出会えたことだけどね。

――その後、和央さん主演の『ドラキュラ』でさらに関係が深まっていくのですね。

和央:『ドラキュラ』再演の時からですね。

FW:そうそう、たかこが英語をマスターした時からだね(笑)。

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――和央さんはワイルドホーンさんとのコミュニケーションのために英語を?

和央:『NEVER SAY GOODBYE』で一緒にお仕事をした時から「友達でいようね」と言っていただいて、メールのやり取りは続けていたのですが、当時英語が得意でなかった私は、短い文章でも返信するのにすごく時間が掛かってしまっていたんです。でも彼のレスポンスはいつもとても早くて。会う度に「英語を勉強して」と何回も言われて、「もう、分かってますから~」って(笑)。

そんな時、ちょうど『ドラキュラ』再演の前にまとまった時間が作れたので、英語の勉強をするため、NYで短期留学をしました。そのNY滞在中に連絡をいただき、現地でも彼と会いました。

FW:彼女がここまで英語を話せるようになるまでたった2年しか経っていないんだ。たかこは謙遜しているけど、NYでは洗練されたアーティストたちにいつも取り囲まれているんだよ。それは素晴らしいことだよね。

コンサートで生まれる華やかなケミストリー

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――12月に日本で行われるコンサートではヨーロッパ、ブロードウェイ、そして日本と大きな化学反応が生まれそうです。

FW:これは僕の哲学なんだけど、音楽には境界線がない。だから僕が楽曲を作ったのと同じパッションを持ってシンガーが歌ってくれれば、世界中どこの国でも同じように曲に宿った思いを観客に届ける事が出来るんだ。今回のコンサートに参加してくれるアーティストたちは全員スペシャルな歌い手ばかり。本当に素敵なケミストリーが生まれると思うよ。

――ワイルドホーンさんの楽曲を歌うには“スタミナ”が必要だと良く言われますが。

FW:僕はずっとスターと呼ばれるアーティストたちに楽曲を提供して来て、彼らを輝かせるためにはどんな音楽を作ったらいいのか常に考えてきたんだ。人を感動させ、心を動かすのはそんなに簡単なことじゃない。アーティストは芸術家であると同時にアスリートでもあるべきで、僕の曲を歌うのにパワーやスタミナが必要と言われるのはそういう事かもしれないね。

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――和央さんは以前、ワイルドホーンさんのピアノで歌うのはとても気分が良いとおっしゃっていましたね。

和央:彼のピアノは本当に歌いやすいんです。ピアノがドラマティックな世界に自然に導いてくれる気がして。予期していなかった感情やピッチ(速さ)の変化が、計算ではなく生み出されるような不思議な感覚ですね。自由に歌わせてくれるのに、思いもかけなかった表現を引き出してくれたりもして、歌い手としてとても気持ちが良いんです。

FW:僕がスターと呼ばれる多くのアーティストと仕事をしてきたことが生きているんだと思うよ。フレームは作るけれど、その中で歌い手が最も輝く方法で表現をする手伝いをするというね。こういう考え方はブロードウェイ・・・演劇の世界ではかなり珍しいかもしれない。演劇は物語が重要だし、スターと仕事をする時はその人自身を輝かせなくてはいけないから。この二つをどう融合させていくのかということは僕が仕事をする上で常に大切に考えていることなんだ。

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――今のお話であなたの楽曲が日本人に愛される理由の一つが分かった気がしました。例えば『ジキル&ハイド』『スコット&ゼルダ』『モンテクリスト伯』『カルメン』などは時代ものですし『アリス・イン・ワンダーランド』や『デスノート The Musical』は現代劇のカテゴリーです。作品を生み出す時にどこからヒントを得るのでしょう?

FW:アイディアはいろいろだね。小説を読んでインスピレーションを得ることもあるし、ふと何かが降りてくる時もある。そのアイディアをミュージカルにするのか考える時に必ず自らに問うのが「この物語に自分の音楽がフィットするか」ということかな。振り返ってみると古典や歴史を扱った作品も多いね。

僕には二人の息子がいるんだけど、彼らでも理解できるように(原案となる)作品をチョイスしている所はあるかもしれない。音楽と物語が融合した時の相乗効果が若い世代にも届くというのは大切なことだし。ただ「時代劇」を作っているつもりは全くなくて、必ず今の時代に生きる人が観た時に、深く心に響く作品を作るようにしているよ。

そういう意味では『デスノート The Musical』はやりやすかったね(笑)。原作もとても今日(こんにち)的なストーリーだし。

――『デスノート The Musical』は息子さんの強いプッシュもあったんですよね。

FW:そう、あの作品は100%息子の一人、ジャスティンに責任がある(笑)。ジャスティンは日本の漫画やアニメが大好きなんだ。僕はホリプロから「デスノートをミュージカル化してみないか」という話を聞いた時に、それがどういう内容のものなのか全く知らずに自宅に資料を持ち帰った。で、ジャスティンに「デスノートって知ってるかい?」と聞いてみたら、彼が「今やってる他のことをすべてストップしてこの作品を創るべきだ!」って(笑)。『デスノート The Musical』の真のプロデューサーは彼かもしれないね(笑)。

彼女が演じる『ドラキュラ』を観たい

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――ワイルドホーンさんの作品には魅力的なヒロインが沢山出てきますが、和央さんが特に惹かれるのはどのキャラクターでしょう。

和央:それはものすごく難しい質問ですね(笑)。たくさんあり過ぎて迷いますが、最近の作品の中で演じてみたいと思ったのは『アリス・イン・ワンダーランド』のマッドハッター(イカれた帽子屋)です。物語全体としては、主人公のアリスへの感情移入がすごかったですね。前半はただ楽しくて沢山笑っていたのですが、次第にアリスの中に自分自身が入っていくような感覚になって・・・自らの生活や両親との関係を舞台上のアリスと重ね合わせながら観入っていました。

――マッドハッターはとてもインパクトが大きい役でした。

FW:マッドハッター役を女性にしたのもキャラクターが際立った理由の一つかもしれないね。

――12月のコンサートでのご共演も楽しみですが、お二人が関わる新作をお作りになる予定は?

FW:たかことは毎日「なにか一緒に作りたいね」と話しているよ。お互いアイディアを出し合ってみたりね。あと、今ここで具体的なことを言う訳にはいかないんだけど(笑)、これから世界のいろいろな場所でオープン(開幕)する僕の新作のどれかに、彼女に出て貰えたら・・・とも思っているんだ。それと、新作ではないけれど『ドラキュラ』もまた上演されたら素敵だね。何より僕自身がまたたかこの『ドラキュラ』を観たいんだ。世界中であの役を演じられる女性は彼女しかいないから。

和央:先ほどは“魅力的なヒロイン”ということで『アリス・イン・ワンダーランド』を例にお話しましたが“ヒロイン”という枠を外すのなら、私もどの作品より『ドラキュラ』に魅力を感じます。切なく、セクシーな音楽と幻想的な世界観・・・コンサートなどで劇中のナンバーを歌うことは良くありますが、ミュージカルとしてまた全編通して演じてみたいです。

――ありがとうございます。では最後にワイルドホーンさんからコンサートを楽しみにしている方に向けてメッセージをお願いします。

FW:今回のコンサートは世界中で活躍するミュージカルスターがクリスマスウィークに日本で歌うというスペシャルな企画なんだ。たかこと僕の音楽を愛してくれるファンの方たちと劇場で思いを共有できるのが本当に楽しみだよ。ぜひ一緒に特別な時間を過ごしましょう!

フランク・ワイルドホーン、和央ようか8

『ジキル&ハイド』『ドラキュラ』『シラノ』『デスノート The Musical』など、日本でも馴染み深い作品の楽曲を手掛け、グラミー賞の受賞歴もあるフランク・ワイルドホーンと、アダムパスカル(『RENT』)、トーマス・ボルヒャート(『エリザベート』)ら、一流のアーティストが集う『フランク・ワイルドホーン&フレンズ ジャパンツアー』。

「音楽に境界線はない」と語るワイルドホーンが、私たちにどんな“魔法”を見せてくれるのか。公私ともにパートナーとなった和央ようかとの共演も含め、舞台上で起こるケミストリーを目撃するのが楽しみだ。


◇『フランク・ワイルドホーン&フレンズ ジャパンツアー』◇
(大阪公演)2015年12月23日(水) 梅田芸術劇場メインホール
(東京公演)2015年12月26日(土)~27(日)  東急シアターオーブ
公式ホームページ:https://www.umegei.com/frank/

撮影:高橋将志

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