祝・日本上陸!ブロードウェイミュージカル『天使にラブ・ソングを・・・~シスター・アクト~』ケリッサ・アリントン&マギー・クレノン・リーバーグ 単独インタビュー


1992年にアメリカで公開、翌年には日本でも大ヒットした映画『天使にラブ・ソングを…』。
オスカー女優:ウーピー・ゴールドバーグが主演を務め、コメディエンヌの本領を発揮したミュージック・コメディ映画の代表作。ウーピーが自らの人気を不動のものとした主演映画を、今度はプロデューサーの立場でミュージカルとして蘇らせた。

ミュージカル『天使にラブ・ソングを・・・~シスター・アクト~』は、2006年にカリフォルニア州パサデナでプレミア上演後、2009年にはロンドン・ウエストエンドへ進出。2011年にはNY・ブロードウェイでの上演を果たし、トニー賞5部門にノミネートされた。現在も世界各地でツアー公演が行われている。
そんな大ヒット・ミュージカルが、この夏、ついに日本上陸。渋谷・東急シアターオーブ3周年記念公演として、7月15日(水)から上演中だ。
猛暑日となった7月某日、公演直前のキャスト二人――主役のデロリスを演じるケリッサ・アリントンと修道院長役のマギー・クレノン・リーバーグに、作品の魅力や初の日本公演にかける思いなどについて訊いた。

『天使にラブ・ソングを…』

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――まず、それぞれの役柄について教えてください。

ケリッサ・アリントン:私の役は、映画でウーピー・ゴールドバーグが演じたデロリス。ウーピーの当たり役として世界中で知られているキャラクターです。
デロリスはディーバ(歌姫)を夢見てナイトクラブで歌うシンガーですが、ある日、殺人事件を目撃してしまいます。警察に駆け込んだところ、安全のため修道院に身を隠すよう言われ、そこでシスター(修道女)たちと出会うわけです。
自由に生きてきたデロリスは、保守的な修道院長と何かと対立します。そんな中で、修道院の聖歌隊を指導するように言われるんですが・・・シスターたちは歌が全然上手じゃなくて(笑)。苦労しながらもシスターたちを指導することによって、デロリス自身もいろんなことを学んでいく。自分の殻を破ることができるようになるんですね。そこから物語も一気に進んでいきますよ。

マギー・クレノン・リーバーグ:私が演じる修道院長は、組織の一番上に立ってシスターたちを束ねる存在。自分の小さな世界を完全に仕切っている女性です。
彼女は頭が固くて親しみにくく、周りに対して狭量なところがある。異質な物を受け入れないというか。でも、まるで火山のようにエネルギーあふれるデロリスと出会ったことで、彼女もだんだん心を開き、愛情や思いやりの気持ちを表現できるようになっていきます。思わぬ出会いがお互いを大きく変えていく――そういう変化のある役どころで演じ甲斐がありますね。

ケリッサ・アリントン『天使にラブ・ソングを…』

――演じる役とご自身との共通点、相違点は?

ケリッサ:デロリスは思ったことをすぐ口にするし、ガンガン突き進むタイプ。私自身はかなりの人見知りでシャイ。だから、知らない人の前では自分の意見をあまりはっきりと言えないんです。
デロリスと私の性格は真逆ですが、「人生に何が必要なのか」「自分にとって大切なものは何か」を学ぶ機会を偶然に得られた、ということが共通点かもしれません。

マギー:ここまで自分と正反対の人物を演じるのは非常に面白いですね。厳格で頑固で他者を全く受け入れないし、全然フレンドリーじゃない修道院長の性格は、自分とはかけ離れている・・・と思いたいです(笑)。
でも、自分が責任を負っている人々(=シスター)に対する思いやりだったり、彼女たちを守りたいという気持ちや忠誠心を持っている点は私と似ていると思います。
物語の中で修道院長はデロリスとぶつかり合いますが、それは、自分の娘とも言えるシスターたちに、デロリスが変な影響を与えるのをよく思っていないから。私もプライベートでは母親なので、母性というか、母親が子供を心配するように「悪いものから守りたい」っていう気持ちを抱いてしまう彼女にはすごく共感できます。

マギー・クレノン・リーバーグ『天使にラブ・ソングを…』

――1992年の映画と大きく違う点を挙げるなら?

マギー:1992年!?そんなに昔の映画でしたっけ?信じられない!

ケリッサ:一番違うのは音楽ですね。
映画版を知っていて「音楽は映画と同じだろう」と思って舞台を観に来るお客様も多いんですが、実は劇中音楽は全部オリジナルで映画とは全曲違うんです。物語の設定も、映画は80年代でミュージカルは70年代ですからサウンド自体も異なっています。

マギー:もちろん映画の音楽も素晴らしいんですが、映画版ではストーリーに合わせて既存のポップスやゴスペルに別の歌詞をつけているものが多い。でも、舞台版で使われている曲は全てアラン・メンケンのオリジナル。フィーリングとしては70年代のディスコ・ミュージックやR&B、ゴスペルが中心ですね。ストーリーは映画とほぼ同じですが、音楽的なサウンドがまったく違っているのが特徴といえます。

――そんな中で最もお気に入りのナンバーは?

二人:『Raise Your Voice』ね。

ケリッサ:第一幕フィナーレのナンバーで、デロリスがシスターたちに「恥ずかしがらずにもっと楽しんで、自分の気持ちを外に出していいんだよ」って、自らの殻を破ることの大切さを教える場面で歌う曲です。

マギー:実はこのシーン、私は出てないんです(笑)。だけど一番好きなナンバーはこれ!
私は次の幕まで出番がないから、本当は楽屋に戻ってもいいんだけど、いつも舞台袖の《特等席》から観させてもらうの。
舞台上にいる皆はパフォーマンスですごく大変で、袖にいる私も興奮して心拍数が上がっちゃうほどとっても楽しいシーン。それまで歌が下手だったシスターたちが、この曲で初めて本当に素晴らしい歌声を聴かせてくれる。それだけでもう言葉に表せないぐらいの感動があるんです。

『天使にラブ・ソングを…』

――映画でデロリスを演じたウーピー・ゴールドバーグは、ウエストエンド版では修道院長も演じました。

マギー:そう!そうなのよね!
もし今、彼女が出演したウエストエンドでの舞台を生で観られるなら、幾らだって払うのに~!!
本当に観たかったんです。きっと素晴らしかったでしょうね。

――お二人がそれぞれの役を演じる際、ウーピーから影響や刺激を受けたりは?

マギー:この作品への出演が決まった後に、ウーピーがロンドンの舞台で修道院長を演じたことを知ったんです。
プロデュースだけじゃなく出演もしたと聞いて、このプロジェクトは彼女にとって本当に大切な作品なんだってことがわかって嬉しかった。だから、なおさら観られたらよかったなぁって・・・。
ウーピーは大スターですが、「シンガー」ではなく「女優」として有名ですよね。歌も、カリスマ的に上手というよりは「ハート」「温かさ」を感じるタイプ。彼女自身もこの物語に強い結びつきを感じていて、とにかく作品を愛しているのが伝わってきました。そういう面では刺激になりましたね。

ケリッサ:デロリスを演じるにあたって影響を受けた、というのはほとんどありません。・・・っていうのも、稽古に入るまで映画の『天使にラブ・ソングを・・・』を見たことがなかったから。彼女の他の出演作は何本も見ていたし、エンターテインメント界に大きな影響を与えている女優であることはよくわかっていました。でもなぜか、この映画だけは見ていなかったんです。
周りの人に「見てない」って言うのはすごく恥ずかしかったんですけど・・・逆に、稽古が始まってからは「あ、見てなくてよかったな」って。もし見ていたら、ウーピーのデロリスに影響されすぎてしまっていたかもしれないから。

『天使にラブ・ソングを…』

――本作の《最大の魅力》はどこにあると思いますか?

マギー:《普遍性》でしょうか。
登場人物たちと同じように、誰もが「自分を受け入れてほしい」と思っている一方で「変わりたい」とも願っているはず。「自分の気持ちを自由に表現したい」という欲求もありますよね。
そんな自分を受け入れてくれるコミュニティがあること・仲間がいることの素晴らしさを感じられるのも、この作品の魅力ではないかと。
舞台上では人間関係がどんどん発展していきます。最初は衝突していた人々も次第にうまくいき、最終的にはみんながひとつになっていく。お客様にはそういう過程を見ながら、登場人物たちを応援して一緒に楽しんでもらえたら。

ケリッサ:映画版のイメージが強いせいか、単純に「シスターたちが歌って踊るミュージカル」だと思って観に来たお客様の場合、実際に舞台を観て、物語自体がとてもパワフルで深みがあることに驚く方が多いようです。キャストの中でも、参加して初めて「こんなにすごい作品なんだ」って気づいたというメンバーがいたほど。
おそらく皆さんが思っている以上にドラマティックでエモーショナルでディープな物語。それがこのショーの一番の魅力ですね。

マギー:物語の力強さと同様、「音楽がもたらすパワー」も作品のテーマだと思います。
このショーのフィナーレは客席も明るいので、舞台の上からもお客様の顔が見えるんですよ。客席を見渡して、音楽を聴いているお客様の心から幸せそうな顔を見ることが最高の喜びです。
私たち俳優は音楽によって舞台上でハッピーな気持ちになるし、愛情や達成感・満足感も得られ、人生を肯定的に捉えることもできる。それと同じことが、舞台を観ているお客様にも起こるのではないでしょうか。
音楽が身体にしみこんでいって愛を感じる瞬間を、日本の皆さんにも味わってもらえるように全力を尽くしたいですね。

『天使にラブ・ソングを…』

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――本作のツアーキャストとして参加するまでの経緯・キャリアは?

ケリッサ:私はここまで大規模なプロジェクトに参加するのは初めて。それ以前は、高校時代の舞台や地元(テキサス)の劇場に出演したり、テーマパークでシンガーアクトレスをしたりしていました。
この作品のオーディションはオープンコールだったので、たくさんの人が受けていましたね。私も、当時住んでいたヒューストンからNYへオーディションを受けに行きました。5回目の審査の後、「合格だよ」って言われたときは夢みたいで信じられなかったです。

マギー:これまでおよそ30年、オペラの世界にいた私にとってミュージカルは「新しい表現スタイルのパフォーマンス」。第二のキャリアをイチから始めているような気持ちで、刺激的だし新鮮ですね。ワクワクするし、やりがいも感じています。
オペラとミュージカルは全く別物というわけではありませんが、音楽を使った分野のパフォーマンスとしてはかなり違います。だから勉強にもなったし、成長できたと思います。《ミュージカル》というジャンルに対する愛情も生まれました。

――ツアーメンバーの雰囲気はいかがですか?

ケリッサ:最高!一緒にいてすごく楽しい。お互いに尊敬し合っているし、全員この作品が大好きで一致団結しています。

マギー:もう家族みたいな感じね。この一年間は、本作を各地で上演するためにあちこち旅をしてきて、一緒に過ごす時間も長いから。

――日本公演ならではの試みや見どころがあれば教えてください。

マギー:内容としては、アメリカ各地で上演してきたものとほぼ同じで、特に大きな変更はありません。逆に、アメリカで好評を得た舞台をそのまま日本でも上演できることが嬉しいです。
日本のお客様がどんなふうに反応してくれるのかも楽しみですね。絶対に気に入ってもらえると思っています!

ケリッサ:ちょっとだけヒントを出すとしたら・・・「キラッキラしたものがたくさん出てきます!」(笑)

――最後に、日本公演を楽しみにしている皆さんにメッセージを。

ケリッサ:私たちを日本に呼んでくれて、そして受け入れてくれて本当にありがとう!この作品を東京に持ってくることができて、とても嬉しいです。

マギー:この作品を観ればどんな方も、友情・愛情の素晴らしさを感じられるはずです。お子さん、ご両親、祖父母の方、お友達・・・いろんな方をたくさん連れて観に来てくださいね!

『天使にラブ・ソングを…』

「日本のお客様はかなりおとなしい、と聞いてますが・・・この作品を観て楽しまないほうが逆に難しいと思いますよ!」という二人。
彼女たちのパワフルな歌声とキラッキラの舞台が、比較的“控えめ”な日本人の観客をもじゅうぶん盛り上げてくれるに違いない。
ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを・・・~シスターアクト~』は、8月2日(日)まで、東京・東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)にて絶賛上演中!
当日券情報など、詳細は『天使にラブ・ソングを・・・』公式ホームページにてご確認を!

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