待望の再演決定!「日本語の面白さとミュージカルの楽しさを満喫できる」日本発ミュージカル『SONG WRITERS』武田真治インタビュー


「“輸入品”ではない、日本発の本格派オリジナルミュージカル」として2013年10月に初演、好評を博した『SONG WRITERS』(脚本・作詞・音楽プロデュース:森雪之丞/演出:岸谷五朗)の再演が決定。この夏、初演と同じ劇場=日比谷・シアタークリエにオリジナルキャストの一人も欠けることなく再集結する。オリジナルでありながらミュージカルの本場=ニューヨーク・ブロードウェイが舞台の、ある意味異色な「和製ミュージカル」。

再演に向けての稽古入り直前、メインキャストの一人である武田真治に、作品への想いと再演にかける意気込みを訊いた。

武田真治

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――本作で武田さんが演じる役柄について教えてください。

僕が演じるニック・クロフォードは、二人のソングライター(エディとピーター)の才能をいち早く見抜き、売り出そうとする音楽出版社のディレクターです。
物語が進むにつれて、「作品作りに没頭する二人が迷い込むフィクションの世界」のニックがまた違う形で現実と交差してくることになるんですが・・・それは観てのお楽しみということで。

――ニックのどこに人間的な魅力を感じますか?

「やると決めたことはとことんやるところ」ですかね。良くも悪くも。
後半からニックは物語のカギを握る「衝撃的なある行動」をとり始めるんですけど、それは彼の目的が変わったから。二人の才能に惚れ込んだのはウソではないんですが、彼自身の「目的」が変わったために然るべき行動をとろうとする。そういう点では、他の現実世界のキャラクターとは真逆のタイプといえるかも。

――再演にあたり、オリジナルキャスト全員が集まると聞いたときは?

自分たちが初演の時に築いた関係が評価されたようで・・・演技者として、とはまた別の喜びがありました。
再演に向けてこれから稽古が始まりますが、なぞらなければいけないことはなるべく早く消化して、新たなのびしろを見つけて工夫していきたいですね。

――岸谷五朗さんはどんな演出家ですか?

「きっちりこう演じてくれ」と要求するんじゃなくて、「いろいろ試して見せてほしい」と言ってくれるタイプ。岸谷さん自身が一流の役者さんで、どうすれば役者が伸びるのかをよくわかってる。だからみんな伸び伸びと演じられるのではないでしょうか。
役者って、なんとなく不安なまま感性を見せ合って稽古していく中で、ちょっとしたことに傷ついたり閉じこもっちゃったりする。岸谷さんはそういう時間や状況がもったいないって思ってくれるから、いつも言葉を上手に選んで自信を与えてくれるんです。

――初演の稽古場で一番印象に残っているのは?

準備運動だけでも小一時間かけてやっていたことですね。
役者がセリフを言ったり歌ったり踊ったりする以前に、基礎体力や柔軟の指導をしてくれる演出家って初めてで。独特でした。

――再演の稽古で楽しみなことは?

あの「ピースがハマっていく」感じをもう一度味わえること。
今回は稽古期間が以前より短いんですけど、再演ゆえに今度は素早くカチッと音を立ててハマると思うんです。初演のときは手探りしながら「ムニュムニュ~」って感じで仕上げていったような感じなんですが、今回はそのスピードも楽しめそうです。

武田真治

――武田さんは、これまで『スウィーニー・トッド』『エリザベート』『ピーター・パン』など、海外発のミュージカルに出演されてきました。それらと日本のオリジナルミュージカルである本作とで違いは感じますか?

外国語を訳して日本語にしたものにはない、「最初から日本語で作った面白さ」がこの作品にはあふれていると思います。
長く第一線で活躍している(森)雪之丞先生の紡ぎだす言葉に岸谷さんの遊び心が加わって、海外の作品にはない「日本語の面白さ」を再確認できる作品になっているんじゃないかと。
あと、お客さんの反応も違いますね。やっぱり日本のギャグやジョークや仕掛けはドカンとウケたりしますし。

――この作品にはブロードウェイミュージカルのあるあるネタも散りばめられています。ミュージカル初心者の方、そしてミュージカル好きの方も楽しめる見どころを教えてください。

僕のソロナンバーの中に「ミュージカルを嫌悪する気持ち」を揶揄するような歌詞があったりして、「ミュージカル万歳!」ばかりでないところが初心者の方も受け入れやすいのかも。
ミュージカルファンの方には、屋良っち(屋良朝幸)の歌や踊りといった一流のエンターテインメント性や、アッキー(中川晃教)のピアノを奏でながらの伸びやかな歌声を楽しんでもらいたいですね。
島袋(寛子)さんの歌もポイントです。日本国民はもう20年近く彼女の歌を聞いてきたと思うんですけど、この作品での歌、特に一曲目なんかは、彼女のこれまでのイメージを覆す大人っぽいナンバー。「誰をも魅了する」っていうマリーのキャラクターを表すのにぴったりの歌声を披露してくれています。藤林美沙さんの振付も、ミュージカル玄人の方にじゅうぶん楽しんでいただける魅力が盛りだくさんだと思います。

――ご自身の歌や踊りは・・・?

…たぶん皆さんが思っているよりはやっちゃうかもですね…。
逆に最初から期待を感じてないんで。期待値ゼロからのスタート。1つできたら「スゲー!」みたいな(笑)。

――そんな武田さんの一番の見せ場は?

もちろんみんなが歌・ダンス・芝居をするんですけど、僕が演じるニックが「実は二面性のあるキャラクター」ということで、僕に求められたのはもしかしたら「お芝居」の部分なのかなと。アッキーの歌や、屋良っちのダンスみたいに。
キャラクターの二面性をどういうふうに振り切って見せるかっていうのも岸谷さんに教えていただいたので、この作品の中で僕の見せ場は「芝居」ということになるのかもしれません。

武田真治

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――岸谷さんからの演出で印象に残っているのは?

映像の世界では、内面的な変化を細かい目の動きやちょっとした仕草で「匂わせる」程度が正解とされたりします。でも舞台では違う。
初演のときに「真治は考えて演技をしすぎてるから、今日は全員の顔にツバがかかるぐらい大きな声で何も考えずに演技してくれ。それで見えてくるものもあるから」って言われたことがあって。本当にその通りだったんですよね。
それまでは「自分の中で完結すれば演技は完成」って思ってた部分があったんですが、大きくアウトプットしたときに、他の共演者や音楽とか、外にある全てのものと噛み合って初めて伝わるものがあるってことを教えられました。そのことは今でもよく思い出して「実践しなきゃ」と思っています。

――武田さんにとって舞台の魅力とは?

ライブであるということですね。
怖さはもちろん感じます。コンディションが整っていないとできないこともあるし、疲労が溜まってできなくなることもある。でも、その怖さに向き合うから拍手を頂けるのかなと。

――この作品をワンフレーズで表すと?

「きっとあなたも好きになる!」。
ミュージカルもこの作品も、それ以外の何かも好きになってもらえるんじゃないかな。

――最後に、みなさんへメッセージをお願いします。

「日本発・ブロードウェイ行き(?)」の極上のエンターテインメントを劇場でお楽しみください!

――もし、この作品がブロードウェイ進出!なんてことになったら・・・もちろん出演されますよね?

・・・いや、誰かが演ってるのを客として観に行きたいです。
セリフが全部英語なのはちょっと・・・個人的に今はムリかも(笑)。
でも、いつか本場で上演されてもおかしくない作品に仕上げていきたいと思います!


<武田真治 プロフィール>
1972年12月18日、北海道生まれ。1989年の第2回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストのグランプリ受賞し、翌年俳優デビュー。ドラマ、映画、バラエティー、司会等で幅広く活躍する一方、サックスプレイヤーとしても有名。1995年の蜷川幸雄氏演出の『身毒丸』で初舞台を踏み、以降『エリザベート』『スウィーニー・トッド』『時計じかけのオレンジ』『アマデウス』『カッコーの巣の上で』等、数々の舞台に出演。再演となる『SONG WRITERS』では音楽出版社のディレクター、ニック・クロフォードを演じる。

<『SONG WRITERS』あらすじ>
「世界が驚愕するミュージカルを創りたい」と願う、自信過剰な作詞家:エディと気弱な作曲家:ピーター。そんな二人の“ソング・ライターズ”を後押しする音楽ディレクターのニックや、聴く者全てを魅了する歌姫:マリーの登場により、彼らの夢が実現に向けて大きく前進。しかしエディが作品づくりに没頭するうち、なぜか虚構と現実の境が曖昧に。エディの頭の中のフィクションであるはずの物語が次第にコントロールできなくなり、人々はストーリーの中に飲み込まれていく――。

<SONG WRITERS 公演情報>
2015年7月20日(月)~8月9日(日) 日比谷シアタークリエ
2015年8月15日(土)~8月16日(日) 京都劇場

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