イマーシブミステリー『アウフヘーベンの牢獄』北川尚弥インタビュー「皆さんと僕で作り上げる物語です」


「演劇×ゲーム×謎解き」を融合させた体験型演劇謎解きゲームとして、2日間限定で開催されるイマーシブミステリー『アウフヘーベンの牢獄』。ゲームクリエイター・イシイジロウの原作・監修、解きゲーム制作団体「よだかのレコード」のゲーム制作、松竹株式会社の演劇制作というコラボレーションで生まれた新たな企画で、主演を任されたのが北川尚弥だ。

ZoomとLINEのオープンチャットを用いて、観客とコミュニケーションを取り物語に没入させながら一人芝居で世界観を表現する・・・新たな経験をした北川に、その手応えを聞いてみた。

――体験会で没頭して楽しんでしまったのですが、北川さんはすごく大変だったのでは・・・と思いました。

「あと僕が3人いないとダメなことを一人でやってるな・・・」と思いました。時間キープはスタッフさんがやってくださっているのですが、オープンチャットからコメントを拾い、演出の岡本貴也さんからの指示を確認し、状況を解説しつついいタイミングで物語を進めていかなければならなかったので。最初にお話いただいた時点で「たぶん大変」と言われてはいたんですけど、たぶんじゃなくて、鬼大変でした(笑)。でも、その分達成感がすごくあって、僕自身も楽しんでいました。

――最近、「イマーシブシアター」という手法が日本でも演劇の形として取り入れられるようになってきましたが、北川さんは初体験でしたか?

初体験で、初出演でした。なので、最初は「何のことやら?」という状態だったんです。顔合わせと本読みをさせていただいたあと、一度お客さん目線でゲームに参加させてもらったんですよ。実際にやってみて、こうしてお客さんと一つの作品を作り上げる作品って、あるようでなかったなと感じました。もちろん、舞台では劇場という場は共有していますが、お話自体を「一緒に進める」というのは、すごく新しい試みだし、よりお客さんと距離が詰められる、新しいコンテンツだと思いました。

――お客様がいて初めて成立するので、稽古をするのも難しいですよね。

本当にリアルタイムなお芝居を観ていただきます。だから、回によってきっとお芝居が全然違うと思います。お客さんのコメントによって会話は変化しますし、きっと一度やったことは二度とできない作品になるなと思ってます。たぶん、4日に参加した方が11日にもう一回チャレンジしても楽しめるんじゃないかなと思います。僕自身も、毎回新鮮だろうなと思っています。

――現時点で、手応えはいかがだったでしょうか?

大変なものって、その分やりがいを感じられますし、こういった新しい試みに僕をキャスティングして任せていただけたということはとても嬉しいことだなと噛み締めました。同時に、制作陣の皆さん、演出部の皆さん、そしてお客様と一丸となって一つの作品を作り上げていくって、改めて素敵なことだなと思ったので、今は皆さんにこの「演劇×ゲーム×謎解き」という体験をしっかりお届けしたいという思いでいっぱいです。

――北川さんが演じるのは、「記憶を失い、自らの名前すらも分からなくなってしまった一人の青年」でしたが、演じる上ではどんなところに重きを置かれていたのでしょうか?

この物語では、どこかの施設に閉じ込められている僕が、皆さんの力をお借りして脱出を試みます。なので一番は、参加してくださる皆さんに「僕を救ってあげたい!」という気持ちになっていただかなければならないなと。まずはお客さんの心を掴まなければならないなと思いました。この主人公をどうやったら助けられるか。いかに自分たちの手で脱出させたいと思ってもらえるか。役作りとして、母性本能をくすぐるような、救ってあげたくなる役になるように意識して挑ませていただきました。

――バッチリ大成功でした。途中で取材ということを忘れるぐらい、必死に北川さんを救出しようと謎を解いていました(笑)。

やった!ありがとうございます。そう思っていただけたならめちゃくちゃ嬉しいです!

――ちなみに、北川さんから見て参加者の謎解きはいかがでしたか?

謎解き、得意でした?謎解きが得意な方はすぐに解けるのかもしれないんですが、謎解き自体も初めてという方は、最初は手こずると思うので、まずはこの作品に参加して、謎解きおもしろいな、結構好きだなって思ってもらえたら嬉しいです。僕もそうだったので。それから、きっとスマホ一台だけで参加される方も多いですよね。その場合、僕のお芝居を観ながら謎解きをするって、めちゃくちゃ大変だと思うんですよ。

――実際に体験してみて、スマホ、パソコンやタブレットと複数台を駆使した方がどちらも楽しめるとは思いました。

謎解きと謳っていますが、要所要所で自分がどう参加したいか、自由に楽しんでもらえたらいいんじゃないかなと思います。「謎解き」にガッツリ取り組みたい方はそちらを優先して、僕のお芝居が観たいと思ってくださる方は「演劇」として楽しんでいただいて、オープンチャットでは参加している皆さんとヒントを出し合ったりして、みんなで物語を前に進めていただけたら、どんな参加の仕方をしても楽しいと思います。

――回体験しても、目的を変えるとまた違う発見がありそうです。

出来るのであれば、両方の回に参加して、それぞれ違う楽しみ方をしてもらえたらいいなって思っています。

――お客様ご自身にも、積極的に参加していただいた方が楽しいですよね。

オープンチャットで皆さんが書いてくれたコメントは、実際に僕も見ることができているんです。だから、友人にLINEを送るような感覚で気軽にメッセージを送りながら参加していただけたら嬉しいです。皆さんのオープンチャットが物語に反映されることで会話が生まれて、物語が進んでいきますから。そうすると、皆さんもご自宅などにいながらより非日常を味わえると思うので、本当に気軽に、VRの映画の中に自分も参加しているみたいな気持ちでどんどん送ってもらえたらいいなと思っています。

――北川さんが、時々オープンチャットに表示されている参加者の名前を画面越しに呼びかけてくださることで、すごくリアルタイム性を感じました。

名前を呼ぶことによって、より「つながっているな」って感じていただけると思うので。そして、僕と一緒に謎を解いていくことが重要になってきますので、なるべくたくさん会話をしながら、謎を解いて物語を進めていけたらと思います。

――映像としても、とても見応えのある仕上がりになっていました。

セットもすごくしっかりと作り込んだものを用意していただいています。臨場感たっぷりなものになっているので、映像作品としても楽しんでもらえたら嬉しいです。

――実際に、その中でお芝居をしてみて予想外のことなどはありましたか?

いっぱいありましたよ~(笑)!カメラも正面のパソコンのものと、監視カメラ視点のものがあるのですが、そのスイッチングがどこで切り替わるのか、事前に教えてもらってはいたんですがやってみないと分からなくて、本番中も自分でモニターを確認しながらやっていました。オープンチャットも演出の岡本さんからの司令も見なけれればならないですし。この現場は目がたくさん必要だ・・・!って思ってました(笑)。

――本当に、3人くらい必要ですね(笑)。

でも最近、配信などで皆さんからのコメントを拾いながらトークする機会が増えていたので、「結構できるぞ?」とも思いました。自然と慣れていたのかな。実は何かを読んでいるけど、読んでない風に見せるとか、段取りをカメラの死角で確認したり、映像ならではですよね(笑)。時間も長めの作品ですし、一人芝居でもあるので、何かしらで自分を落ち着けながら、柔軟に、突き詰めていきたいと思います。

――演劇ってすべての経験が活きますね。この記事が掲載される時点では、本番は残り1回です。どんな結末を迎えるのか、楽しみです。

まずはこの公演を成功させて、また新しい形の素敵な素敵な作品を皆さんにお届けできるようになっていったらいいです。なるべくたくさん拾うようにするので、たくさんコメント書いて参加してもらえたら嬉しいです。皆さんと僕で作り上げる物語です。肩の力を抜いて、一緒に思いっきり楽しみましょう!

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開催日:12月4日(土)20:00/12月11日(土)20:00

【出演】北川尚弥
【案内人】池澤春菜

【スタッフ】
企画・製作:「イマーシブミステリー『アウフヘーベンの牢獄』」製作委員会

原作・総合監修:イシイジロウ
ゲーム制作:よだかのレコード(株式会社stamps)

演出:岡本貴也
脚本:岡本貴也、イシイジロウ

配信・テクニカルプランニング:ノ―ミーツテック テクニカルディレクター 藤原遼

クトゥルフ監修: 林譲治
宣伝美術・衣装協力:変身写真館 ミニーナ

演劇制作:松竹株式会社

【チケット】
前売チケット:3,520円(通常価格4,400円)
当日券:3,680円(通常価格 ¥4,600)
※Go Toイベント対象で2割引になります。
※Zoom・LINEのオープンチャットを用いるので事前にインストール必須
※アーカイブ映像配信予定なし
LivePocket:https://t.livepocket.jp/e/ty48c

【公式サイト】https://yodaka.info/event/2112aufheben
【公式Twitter】@ImmersiveMyst

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