海宝直人は「調べるのが大好き」――『トニー賞受賞式』&「WOWOWミュージカルラウンジ」開設に向けて


日本時間の2021年9月27日(月)に開催される『第74回トニー賞授賞式』。WOWOWの独占生中継・ライブ配信に向けて、当日のスタジオゲストを務める海宝直人にインタビューを行った。海宝はナビゲーターを務める井上芳雄(大阪サテライトスタジオ)と宮澤エマ(東京メインスタジオ)、スペシャル・プレゼンターの堂本光一とともに、約2年3ヶ月ぶりの「トニー賞」を盛り上げる。

さらに、前日の9月26日(日)にスタートするコミュニティ「WOWOWミュージカルラウンジ」のアンバサダーにも就任。ミュージカル通として知られる海宝が、この2つのビッグイベントにどのように関わろうとしているのか、話を聞いた。

海宝直人は「調べるのが大好き」――『トニー賞受賞式』&「WOWOWミュージカルラウンジ」開設に向けて

――海宝さんは、今年のWOWOW『第74回トニー賞授賞式』にゲストとしてご参加されますが、まず、トニー賞への想いを聞かせていただけますか?

ブロードウェイがようやく再開できるということで、祝うべき瞬間に参加できることが何より幸せで。以前から、トニー賞の行方が気になってチェックしていたので、今回はスタジオで現地の熱気を味わえるのがとても楽しみです。ブロードウェイに観劇に行っても、全部観るのは至難の業じゃないですか。トニー賞の舞台では、1年を代表する作品のパフォーマンスを観れるから、貴重な機会ですよね。

――過去のWOWOW『トニー賞受賞式』中継の中で、生歌唱を経験されたと思いますが、生放送でのパフォーマンスは格別ですか?

それはもう!『ジャージー・ボーイズ』と『ノートルダムの鐘』の楽曲を歌わせていただいたんですが、ものすごく緊張しましたよ・・・。特に、『ジャージー・ボーイズ』はまだ稽古真っ最中の生放送で歌うことになったので、みんな怯えていました(笑)。ドキドキしっぱなしだった思い出です。

――これまでのトニー賞で、印象に残っていることはありますか?

強烈に覚えているのは、2016年の「第70回トニー賞」でミュージカル・リバイバル作品賞とミュージカル主演女優賞の2冠を獲った『カラー・パープル』です。主演女優賞に輝いたシンシア・エリヴォさんのパフォーマンスには度肝を抜かれました。

『カラー・パープル』全体のパフォーマンスも素晴らしかったんですが、シンシアさんの表現がずば抜けていて衝撃的で・・・。自分のコンサートでも、すぐに「I’m Here」を歌ってしまうぐらい影響を受けました。

――ぜひまた聞きたいものです。では、今年のノミネート作品の中で注目されているのは?

今年のノミネート作品は残念ながら実際に見れてはおらず、動画などでチェックをしたのですが、『ジャグド・リトル・ピル』は音楽がとてもかっこいいですね!内容も非常におもしろそうですし、今やる価値のある作品なんだろうなと。

『ティナ/ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル』は、ロンドンからブロードウェイにいった作品ですよね。ちょうど、僕がロンドンで公演していた時に、近くの劇場でやっていたんです。毎晩、観劇を終えたお客さんが劇場から出てくるところに、人力車が集まってくるんですよ。それをいいな~って眺めていました(笑)。でも作品は観れていないんですよね。観てみたいな。

『ムーラン・ルージュ』は、日本でやることも決まっていますよね!おもしろいなと思ったのが、今年の「ミュージカル作品賞」のノミネート作品って全部ジュークボックス系のミュージカルなんですよね。歌いたいなあと感じるものばかりです。

――生放送で、ナビゲーターの井上芳雄さん、宮澤エマさんと海宝さんがどんなお話を聞かせてくださるのか、楽しみです。

芳雄さんは、トニー賞を何度もナビゲートされていらっしゃるので、そこに加えていただけるだけで光栄です。エマさんとは、彼女の初舞台でご一緒させていただいてからずっと仲良くしているんですが、ミュージカルの将来についてなど、すごくグローバルで誠実な考えを持ち続けていらっしゃるので、いつも話していて発見や刺激のある方です。お二人と一緒に、きちんと伝えられるようにがんばりたいと思います。

海宝直人は「調べるのが大好き」――『トニー賞受賞式』&「WOWOWミュージカルラウンジ」開設に向けて

――今年のトニー賞は、ブロードウェイ再開をお祝いする場にもなると思いますが、日本でも一時期劇場が閉まったりしました。今、ミュージカルに携わる身としてどんなことを感じていますか?

公演できなかった作品や途中で中止になった作品など、残念なこともたくさんありましたが、その中でもいろいろな試みやチャレンジもできました。例えば、舞台やコンサートの無観客配信も、こういう状況でなければできなかったチャレンジなのではと思います。時間を無駄にせず、形を模索しながらもエンターテインメントを続けていられたのはとてもありがたい状況でした。

――改めて、ミュージカルという舞台の持つ力を感じましたよね。

そうですね。ミュージカルだけでなく、舞台芸術というものはとても多面的な魅力ある文化だと思います。例えば、今年の前半に出演させていただいたミュージカル『アリージャンス~忠誠~』は、エンターテインメントでありながら、とても社会的なテーマを扱った作品でした。一方で、現在出演しているミュージカル『王家の紋章』などは、ある意味現実を忘れられるぐらい、エンターテインメント性に富んだ作品でした。

ミュージカルに限らず、演劇というエンターテインメントの中にも、様々な考え方を持つキャラクターたちがいます。ミュージカルで、心情を歌にしてダイレクトに伝えることができ、そこに共感する。理解できないことも、何故そうしたんだろうと考えるきっかけになる。作品劇では、登場人物の台詞や行動を通して、いろんな考え方を観て、自分で考える。

もちろん、エンターテインメント以外を通してもいろいろと勉強できる機会はありますが、演劇を通すことで素直に受け止め、楽しみながら考えるきっかけになる。だから、社会の中でどんな困難な状況に置かれても、演劇は決して潰えないものなんだなと思います。

――演劇は、人の中に残り続けていくものだと思います。海宝さんは、WOWOWさんの新しいコミュニティ「WOWOWミュージカルラウンジ」のアンバサダーも務められますよね。こちらのコミュニティについては?

ありそうでなかったコミュニティですよね。今、ミュージカルそのものの注目度が高まっていると思います。ミュージカルに興味を持って「何から入ればいいの?」とか、「どういう作品が自分の好みに合うんだろう?」とか思っている方々に、いろんな角度で発見していただける場になったらいいなと、僕自身も楽しみにしています。

――人の話を聞いたり、感想を話し合ったりすると楽しさが倍増しますよね。海宝さんは、個人的にこの作品について深くしゃべってみたいと思っている作品はありますか?

そうですね。いろいろあるんですが、出演して、自分の中ですごく残っている作品は『ノートルダムの鐘』。大切な作品なので、皆さんにも深く知ってもらいたいなって思ってしまいますね。

演劇って、観て語り合うところまでがセットだと思うんですよね。役者同士でもそうなんですが、一緒に観に行った帰りに「あのシーンがああだこうだ」と話したり、最近は叶いませんけど出演していた役者さんと終わったあとに食事に行って話すやりとりが、観劇の醍醐味の一つになっていたんですよ。

話すことで、人によって全然見方が違うことに気づくんですよ。映像だと、ある程度カメラが場面をピックアップしていくわけですが、舞台だと、それをすべて自分で決められる。「あそこが○○だったんだけど・・・」「気づかなかった~」みたいな、そういう会話から発見していくことも多くて、作品を深めて観ることができるから、大事なことだなと思います。

海宝直人は「調べるのが大好き」――『トニー賞受賞式』&「WOWOWミュージカルラウンジ」開設に向けて

――海宝さんご自身は、観に行く作品はどうやって決めていますか?

そうですね。ロンドンやブロードウェイに行く時は、トレーラーをチェックしています。海外では、必ず宣伝用のトレーラーが公開されるんですよ。稽古風景の様子から、音楽や役者さん、演出などに興味を持って決めることが多いかな。

そういう時間も含めて、演劇って楽しいものですよね。今回「WOWOWミュージカルラウンジ」のアンバサダーになるにあたって、いろいろ調べたりしていたんですが、それだけで楽しいんですよ。演劇っておもしろい、観たい!と思うことは、僕の役者としての活力にもなっている気がします。

――「WOWOWミュージカルラウンジ」では『海宝直人のMr.Musical』と題して、ミュージカルを深掘りするトーク番組も配信されますが、意気込みを教えてください。

物事をより掘り下げる、今まで知らなかったことをもっと広く調べていく、僕はもともとそういう作業がとても好きです。例えば、海外と日本の作品作りって全然違うんです。作品作りの過程とか、スタッフワークとか、国内外問わず僕自身が興味を持ったことを発信していけたらと思っています。

日本のミュージカルシーンも、オリジナルを作ろうというような勢いがどんどん増していっています。ミュージカル『VIOLET』や、僕自身も参加させていただいたミュージカル『イリュージョニスト』など、海外のプロダクションと組んで日本発の作品を作る流れも出きてきました。今までになかったおもしろい作品が生まれていく瞬間は、中にいる身としてもすごくワクワクします。

コロナ禍で配信という手段が広まったことで、お客様がより舞台を身近に感じてけるきっかけも増えました。誰もが劇場に自由に足を運べるように、この企画自体がその一助となれるように、可能性を探っていきたいなと思います。

海宝直人は「調べるのが大好き」――『トニー賞受賞式』&「WOWOWミュージカルラウンジ」開設に向けて

 

(取材・文/エンタステージ編集部 1号、写真/オフィシャル提供)

「WOWOWミュージカルラウンジ」

9月26日(日)オープン
現在、ティザーページにて海宝直人さんのメッセージムービーを公開中!
URL:https://www.wowow.co.jp/com/ml/

関連情報

『生中継!第74回トニー賞授賞式』
9月27日(月)9:00~(同時通訳) WOWOWプライム/WOWOWオンデマンド
出演:ナビゲーター:井上芳雄、宮澤エマ
スペシャル・プレゼンター:堂本光一
「WOWOW ミュージカルラウンジ」アンバサダー:海宝直人 ほか

『ライブ配信!第74回トニー賞授賞式 事前受賞の部』
9月27日(月)8:00~10:00(同時通訳) WOWOWオンデマンド
※スタジオパートはございません。

『生中継!トニー賞復活前夜祭スペシャル ~Welcome to ミュージカルラウンジ!~』
9/26(日)20:30~ WOWOWプライム/WOWOWオンデマンド
出演:ナビゲーター:井上芳雄(録画)、宮澤エマ
「WOWOW ミュージカルラウンジ」アンバサダー:海宝直人 ほか

『トニー賞が帰ってくる!』
9月14日(火)ほか※無料放送 WOWOWライブ/WOWOWオンデマンド

『第74回トニー賞授賞式 字幕版』
10月2日(土)17:30~(字幕版)WOWOWライブ

【番組公式URL】https://www.wowow.co.jp/stage/tony/

第74回トニー賞 主な注目作品のノミネーション
【ミュージカル部門】
●「ジャグド・リトル・ピル」:12部門/15ノミネート
ミュージカル作品賞・主演女優賞・助演男優賞(2)・助演女優賞(3)・演出賞・脚本賞・装置デザイン賞・衣装デザイン賞・照明デザイン賞・音響デザイン賞・振付賞・オーケストラ編曲賞
●「ムーラン・ルージュ」:13部門/14ノミネート
ミュージカル作品賞・主演男優賞・主演女優賞・助演男優賞(2)・助演女優賞・演出賞・脚本賞・装置デザイン賞・衣装デザイン賞・照明デザイン賞・音響デザイン賞・振付賞・オーケストラ編曲賞
●「ティナ/ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル」:12ノミネート
ミュージカル作品賞・主演女優賞・助演男優賞・助演女優賞・演出賞・脚本賞・装置デザイン賞・衣装デザイン賞・照明デザイン賞・音響デザイン賞・振付賞・オーケストラ編曲賞

【演劇部門】
●「グランド・ホライズンズ」:2ノミネート
演劇作品賞・助演女優賞
●「インヘリタンス」:9部門/10ノミネート
演劇作品賞・主演男優賞・助演男優賞(2)・助演女優賞・演出賞・衣装デザイン賞・照明デザイン賞・音響デザイン賞・オリジナル楽曲賞
●「シー・ウォール/ライフ」:3部門/4ノミネート
演劇作品賞・主演男優賞(2)・音響デザイン賞
●「スレイヴ・プレイ」:10部門/12ノミネート
演劇作品賞・主演女優賞・助演男優賞(2)・助演女優賞(2)・演出賞・装置デザイン賞・衣装デザイン賞・照明デザイン賞・音響デザイン賞・オリジナル楽曲賞
●「サウンド・インサイド」:6ノミネート
演劇作品賞・主演女優賞・演出賞・照明デザイン賞・音響デザイン賞・オリジナル楽曲

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