沖縄戦を描く『島守の塔』を朗読劇で 舞羽美海「“命こそ宝”という言葉の重みを、ちゃんと届けたい」


朗読劇『島守の塔』が、2021年6月22日(火)に東京・大田区民ホール・アプリコ大ホールにて上演される。出演は、元宝塚トップスターの貴城けい、北翔海莉、元トップ娘役の舞羽美海の3名。1日限り、2公演のみという特別な時間に向けて稽古が進む中、本作について舞羽にインタビューを行った。

島守の塔とは、長期の地上戦が決行された激戦地沖縄の摩文仁の丘の中央に建てられた慰霊碑。沖縄戦で殉職した島田叡知事と荒井退造警察部長をはじめ、戦没県職員469柱が祀られている。

戦後75年を迎えた2020年、沖縄県民の命を必死に守り抜こうとした戦中最後の官選知事・島田叡と、警察部長・荒井退造の苦悩や葛藤、その二人に生きることを託された女性を通して「人間の命の尊さ」を描く映画の制作が企画された(映画公式サイト:https://shimamori.com/)。

しかし、その撮影は新型コロナウイルス感染拡大防止のため中断され、撮影再開が今年秋以降になっている。そこで、映画公開予定だったこの6月に、映画の脚本に基づいた朗読劇が行われることになった。

朗読劇では、島田叡役を貴城、荒井退造役を北翔が担当。そして舞羽は、沖縄戦の激しい戦火の中で島田と荒井と行動を共にし、次第に命に対する考えを変えていく「比嘉凛」役を演じる。

舞羽は、朗読劇への参加に向けて、「教科書や映画で歴史に触れて、地上戦が行われた沖縄が抱える重みを頭では分かっていたつもりだったんです。でも、こうして作品に参加させていただくことになり、改めて向き合ってみると衝撃的でした。島田知事について、今年3月に公開された映画(『生きろ 島田叡ー戦中最後の沖縄県知事』)も拝見させていただいたんですが、観終わったあと、しばらく立ち上がれなくて・・・。そして、こんなことがたった75年前に起きていて、その経験をした方々が今日まで生き抜いていらっしゃるという事実に圧倒されました」と語る。

舞羽が演じる「比嘉凛」は、映画『生きろ 島田叡ー戦中最後の沖縄県知事』の中にも登場している女性をモデルとした人物だ。「県庁で働いている女性なので“生きて虜囚の辱めを受けず”という考えを持っているのですが、島田知事や荒井警察部長の生き様を見て、生きることへの希望を見出していく役どころです。「生きろ 島田叡」でも島田知事のことを笑顔でお話されていて、本当に“生きること”は素晴らしいことだとおっしゃっていました。これは、沖縄県民の方々を代表する想いだと想いますので、そこを一番大切に演じたいなと思います」と舞羽。

実在の人物と歴史を描いた作品だが、男性役を女性が演じるというのは、エンターテインメントならではのアプローチだ。キャスティングされた3人全員が宝塚OGということで、舞羽は「最初のお稽古でお二人の声を聞いた時は、昔の記憶が一気に蘇りました。『男役さんの声!』って。今は、3人でどう表現したら上手くいくのか、伝わりやすくなるのか、話し合いを重ねています」「尊敬するお二人とご一緒させていただけるのは本当に光栄なことですし、せっかくなので宝塚OGならではのチームワークを出しつつ、繊細に表現していけたらと思っています」と稽古の様子を明かした。

本作では、物語を届ける表現方法の一つとして、歌と三線の生演奏も取り入れている。「難しい話ではあると思うのですが、歌があることで気持ちを楽にしていただける部分もあるのではと思います。それから、三線の生演奏を聞けるというのもすごく贅沢ですよね。三線の音色を聞くだけで、一気に沖縄の風が吹く気がします(笑)。そこはもう、単純に楽しんでいただいたら嬉しいです」。

そして、視覚的な演出もあるが、朗読劇だからこそ際立つ“言葉の力”にも注目。舞羽は、台詞の中に出てくる「命こそ宝」(命【ぬち】どぅ宝)という言葉が印象深いという。「コロナ禍で私たちの日常が変わってきてしまった今、この言葉は今を生きる私たちにも強く響く言葉だと思うんです。当たり前だけど、当たり前ではない。楽しいことも苦しいこともある、“生きる”ということ。“命こそ宝”という言葉の重みを、ちゃんと届けたいなと思います」

舞羽自身は、これが4度目の朗読劇への挑戦となる。「毎回難しくて、とてつもない緊張感と戦っているんですよ」と笑いながらも、「でも、朗読劇でしか感じられない達成感があります。今回は言葉で表現する部分が多いので、お客様の想像力を委ねつつも、一緒のところにたどり着けるように、一つ一つの言葉に集中して大切に読んでいきたいと思います」と意気込む。

本公演では、6月26日(土)から7月2日(金)までオンデマンド配信が行われることも決定した。舞羽は「今、劇場に足を運ぶことができない方や、悩まれている方も多くいらっしゃると思います。でも、配信ではそういうことを気にせず時間を共有していただけますし、こういう時期だからこそご覧になっていただきたい作品です。すべては一期一会だと思うので、戻ることのない時間を一緒に過ごせたら嬉しいですね」と語った。

「この時期に、この作品に出会えたことをすごく感謝しております。この時代にもらった命をちゃんと生きたいと思いました。」と舞羽。「私自身、エンターテインメントに触れることで、ゆとりや生きる活力が心に生まれるので、お客様にも『よし、がんばろう』と明日を生きるパワーにしていただけたら嬉しいですね。そして、映画の公開に向けてきちんとバトンをつなぎたいです。1日限り2回だけの公演ですが、この2回を大切に、心を込めて演じたいと思います」と締めくくった。

島田叡生誕120年記念 朗読劇「島守の塔」公演情報

【開催日】 2021年6月22日(火)
昼公演 開場12:00/開演13:00
夜公演 開場16:00/開演17:00
【会場】大田区民ホール・アプリコ 大ホール(東京都大田区蒲田5-37-3)
【出演】貴城けい 北翔海莉 舞羽美海/立花裕人 岡村聡士
【原作】映画「島守の塔」柏田道夫、五十嵐匠
【脚本】三谷伸太朗
【音楽監督】岡村聡士
【プロデュース・演出】立花裕人、宮脇祐介

【朗読劇「島守の塔」公式サイト】https://www.mainichi.co.jp/event/culture/shimamori/
【映画「島守の塔」公式サイト】https://shimamori.com/

チケット情報

【チケット料金】全席指定 7,700円(税込)※未就学児入場不可
【チケット取り扱い】
・イープラス:https://eplus.jp/shimamori/
ファミリーマート店内Famiポート

・チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/shimamori/
0570-02-9999 (Pコード:505-538)
セブン-イレブン、チケットぴあ店舗

・ローソンチケット:https://l-tike.com/shimamori/
Lコード:31804
ローソン・ミニストップ店内Loppi

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