11月7日配信!『読奏劇』有澤樟太郎「小川未明 著/負傷した線路と月」収録レポート


『Dream Stage(ドリームステージ)-読奏劇-』の第7弾、有澤樟太郎の朗読「小川未明 著/負傷した線路と月」が、11月7日(土)21:00より配信開始となる。この『読奏劇』、実は有澤の撮影が一発目だった。新しいシリーズが動き出す瞬間となった、その撮影現場の模様をレポートする。

本企画には、有澤のほか、太田基裕、大平峻也、北村諒、崎山つばさ、佐藤流司、橋本祥平、牧島輝(50音順)と計8名の俳優が参加している。読む作品は、俳優それぞれが希望する“読みたい”イメージと、クリエイター側のピックアップをすり合わせて決定。有澤は、「優しい気持ちになれる作品」を希望したという。

小川未と言えば、“日本のアンデルセン”“児童文学の父”などと呼ばれる作家だ。生涯を通して「赤い蝋燭と人魚」「金の輪」「月夜とめがね」など、子どもの頃に読んだ記憶がある方も多いのではないだろうか。しかし、今読んでみるとその内容はどこか人間の仄暗さがつきまとっているようで、子どもの頃には分からなかった感情が湧いてくる。

「負傷した線路と月」はそこまでメジャーではないが、なぜ、有澤がこのタイトルを選んだのか。読んでみて、なるほど・・・と妙に納得してしまった。登場人物は、町や山の間に敷かれたレール、野に咲くなでしこの花、雨上がりの月など、人ではない。「モノの気持ち、分かる気がするんですよ」と不思議(?)な発言をしていた有澤だが、彼が心を寄せる様が声ににじむ・・・じんわりと心が温かくなるような収録となった。

撮影は、都内のスタジオ・・・屋根裏部屋のようなスペースで行われた。長身の有澤は、天井から吊り下げられていたシャンデリアにつっかかってしまうような、そんな小さな空間で物語が動き出す。換気のため、撮影前に空けられていた窓の外からは、偶然にもかすかに「ガタンゴトン・・・」と電車の走る音が聞こえてきた。

ここまで6作品の撮影風景を紹介してきたが、『読奏劇』の撮影はこの日が初めて。クリエイター陣も、『読奏劇』をどのようなシリーズにするのか模索しながら撮影を進めていった。監督を務めるのは、ミュージカル『刀剣乱舞』のMVなどを担当してきた鎌田哲生。絵コンテを手に、本番前の打ち合わせで有澤とコミュニケーションを取っていく。

有澤が迷っていたのは、読み方の方向性。児童文学のため、ともすれば読み聞かせになってしまいそうだが、そうならない方がよいのでは・・・と考えてきたようだ。監督も「大人がちゃんと読んでいる」ことをイメージしていたようで、すり合わせを終えるとほっとした表情を浮かべていた。

とても緊張している様子だったが、休憩時間や、撮影準備の間には有澤の人懐っこい素顔が覗く。「僕が最初なんですよね。収録、ほかのみんなはどんな感じかなあ?」とほかの出演者がどうなるのか気にしてみたり、小学生の頃を振り返って国語の授業を思い出してみたり、短い時間ながら、撮影現場にいることを楽しんでいるようだった。

撮影では、照明を落とし、スモークを焚いて、有澤自身に映像を投影していく。「すごい、これは最終的にどうなるんだろう?」と気にしていたが、実際に朗読が始まると、静かに物語の中へとのめり込んでいく。有澤の声は、舞台上とはまた違った響き。小さな空間に温かい空気が充ちる。

短編だが、1人で読むのは「戦いだ・・・」と呟いていた有澤。リハーサルも兼ねた1テイク目は、個人的には納得がいかなかったようで、終わってすぐに次々と反省点を口にしていた。日々の公演の中でベストを更新していく舞台と違い、映像作品は限られた時間の中で、監督の求めるものに対しベストを瞬間的に出さなければいけない。本番では、さらにぐっと集中力が高まる気配がした。

有澤も、きっと傷ついていたのだろう。今年の前半は、きっと有澤だけでなく、演劇に関わる人、演劇を愛する人・・・、何かに向かってがんばっていた人、がんばろうとしていた人、みんなが傷ついた時間だったと思う(それは今も続いている)。誰かのせいにできたら楽だし、「がんばろう」と言うだけなら簡単だ。

「優しい気持ちを届けたい」と、有澤はこの作品を選んだ。それは俳優として、人としての彼のあり方そのものなのかもしれないと、撮影を観ていて感じた。今回の「読奏劇」は、じんわりと心に効くおくすりだ。

作品情報

『Dream Stage -読奏劇-』

【#7】11月7日(土)21:00~
有澤樟太郎
朗読作品「小川未明 著 / 負傷した線路と月」
チケット:https://ima-ticket.com/event/187

【#8】11月10日(火)21:00~
佐藤流司
朗読作品:「芥川龍之介 著 / 藪の中」
チケット:https://ima-ticket.com/event/188

※配信開始後、途中入場可
※アーカイブ配信あり

シリーズ作品配信中

【#1】アーカイブ配信(11月30日まで)
太⽥基裕
朗読「シャルル・ペロー 著/眠れる森の美女(原題:眠る森のお姫さま)」
https://ima-ticket.com/event/117

【#2】アーカイブ配信(11月30日まで)
⼤平峻也
朗読「小泉八雲 著/雪女」
https://ima-ticket.com/event/118

【#3】アーカイブ配信(11月30日まで)
崎⼭つばさ
朗読「太宰治 著/走れメロス」
https://ima-ticket.com/event/119

【#4】アーカイブ配信(11月30日まで)
橋本祥平
朗読「ヴィルヌーヴ 著/美女と野獣(原題:ラ・ベルとラ・ベート『美し姫と怪獣』)」
https://ima-ticket.com/event/120

【#5】9月30日(水)21:00~
牧島輝
朗読「宮沢賢治 著/注文の多い料理店」
https://ima-ticket.com/event/158

【#6】11月4日(水)21:00~
北村諒
朗読作品「夢野久作 著 / 瓶詰地獄」
チケット:https://ima-ticket.com/event/186

【公式Twitter】@dreamline_inc
【公式サイト】https://dreamline.link/dream_stage
【チケット】イマチケ https://ima-ticket.com/dreamstage

(1・5・7枚目撮影/水津惣一郎)
(ほか撮影・取材・文/エンタステージ編集部 1号)

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