【PR】尾上松也×中村隼人インタビュー!初めての副音声挑戦で感じた「新鮮な発見」


スカパーが、衛星劇場にて放送する舞台作品の出演者による“副音声解説番組”を放送する。その名も、BSスカパー×衛星劇場「どっぷり副音声~ボタンひとつでステージ裏へ~」。

記念すべき第1回は、新春浅草歌舞伎『菅原伝授手習鑑 寺子屋』。古典歌舞伎の中でも屈指の人気を誇る作品をピックアップ。副音声には同作品に出演した尾上松也、中村隼人が登場する。

今年1月の新春浅草歌舞伎では、尾上松也が主役・松王丸を、中村隼人はかつて尾上松也が演じた源蔵を演じた。2人が、なかなか聞けない公演の裏話や、今だから言える話などで、映像と共に振り返る。これに先駆け、副音声の収録を終えた2人に、裏話の“裏話”を聞いた。

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BSスカパー!×衛星劇場「どっぷり副音声~ボタンひとつでステージ裏へ~」

「寺子屋」は歌舞伎の中でも非常に大事にされている演目

――副音声の収録を終えた感想を聞かせてください。

松也:自分が演じている映像を見るのは、得意ではないんです。特に歌舞伎においては反省点や気になる点がたくさん見えてくるので、あまり観たいものではないのですが・・・。それでも参考にしなければと、自分の出演作については衛星劇場さんで放送されたものを毎回拝見させて頂いています。でもまさか、それを観ながらお話しするという機会が来るとは!とてもやりづらかったです(笑)。

好きな話をして構わないとおっしゃって頂いたのですが、今回の「寺子屋」という演目は、非常に重厚な作品なので、自分たちも集中して観てしまって、演目について教えて頂いたことをお話ししながら進むスタイルになりました。今後またこの番組が続いていくということであればもっとフランクに、また違ったお話ができるかもしれませんね。

隼人:僕は普段、舞台稽古の様子などを客席から撮影して、あとで確認するために映像を使うことが多いのですが、今回、こうして本公演の映像をじっくりと観させて頂き、懐かしい思いがよぎりました。もちろん、お兄さん(松也)がおっしゃったように、映像を観ていると反省点もたくさん見えてきますし、ここはこうしたらよかったなって思うことも多いのですが。でも、自分が舞台に出ていると、相手の表情が見えないことも多いので、それが見られることはすごく新鮮でした。

「寺子屋」という演目は歌舞伎の中でも非常に大事にされている演目なので、副音声ではあまりフランクなお話はできませんでしたが、それでも、役のちょっとした苦労話や裏話も少しはお伝えできたんじゃないかなと思います。

――副音声で、演じていると泣きそうになるシーンがあるとお話しされていましたが、実際に、役に浸かりすぎて舞台上で本当に泣けてきてしまうということもあるのですか?

松也:副音声でもお話ししましたが、討たれた首を確認するとそれが松王丸の息子の小太郎の首であったシーンでは、何度か涙が出てしまったことはありました。物語としては息子だとバレてはいけないので絶対に泣いてはいけないのですが、衝動的に抑えきれないことがあり、自分では反省している部分でもあります。

――隼人さんは副音声で、源蔵を演じていると息が詰まりそうだとおっしゃっていましたが、「寺子屋」という演目はやはり特別なものがあるのでしょうか?

隼人:そうですね。「菅原伝授手習鑑」は、「義経千本桜」と「忠臣蔵」と並んで、いわゆる歌舞伎の三大名作と言われている作品です。それほど名高い作品の中にあって、特にこの「寺子屋」は屈指の場面なんです。松王丸と源蔵、そして玄蕃という立ち役が出てきて、武家の女房という女形もいる。そういった意味でも非常に、難しい演目です。

僕の場合は、同じく松王丸の子どもが死ぬ前、「最期は未練があったでしょう」と聞かれ、源蔵がその時を思い出し「にっこりと笑って死んでいきました」と答える時にグッと来るものがありました。

今回、片岡仁左衛門のお兄様にお稽古をして頂いたんですが、お兄様からも涙を堪えて話した方がお客様には届くと教えて頂き、そうしようと考えていたんです。でも、お兄さん(松也)と同じように何日かは(涙が)出てしまいましたね。それから、この「寺子屋」は、僕の初舞台の演目でもあるんです。初めて歌舞伎に携わった演目として、思い出も深い作品です。

互いを触発し、芝居をぶつけ合える良い間柄

――松也さんは、これまで源蔵を2度、演じられました。その上で、今回、初めて松王丸を演じたことに対するお気持ちを聞かせてください。

松也:個人的に「寺子屋」という芝居自体も松王丸というお役もとても好きなもので、まず新春浅草歌舞伎でやりたいという思いが強かったんです。なので、それが叶ったことは非常に嬉しいことでした。

それから、僕はもともと女形をやっておりましたので最初は園生の前をしておりました。その後、源蔵を経て松王丸を演じることになったわけですが、隼人くんも言ったように、源蔵と松王丸というのは大きな役で、立ち役が目標とする役の一つでもあります。ですから、演じられることは率直に嬉しいことでしたし、自分が源蔵を演じた時に松王丸に対して抱いていた感情や印象がどう変わっていくのか楽しみでした。松王丸は、非常に複雑で難しい感情表現が多かったものですから、演じることで彼の心を知れたのは、非常に良い経験になりました。

――これまでご自分が演じてきた源蔵を隼人さんが演じている様子を見たご感想は?

松也:僕はどちらかというと、感情を爆発させる傾向が強いタイプです。それは強みにもなりますが、抑えが効かないというのは欠点でもあると思っておりました。そういう僕に比べて、隼人くんには非常に落ち着いた大人っぽさを感じました。特に新春浅草歌舞伎においては、年齢や先輩後輩関係なく、みんなで一体となって頑張ろうというモットーがあります。そういう意味でも芝居をぶつけ合える良い間柄だと思います。先ほど、副音声で隼人くんが首実験のシーンでは瞬きをしなかったと話していましたが、僕はそれを聞くまで気づいていなかったんです。そういう点でも(隼人に)触発されますし、まだ若いですが引っ張っていってくれていたんだということを改めて感じました。

――隼人さんは、これまで源蔵を演じられてきた松也さんを松王丸として迎えて、どういった源蔵を作ろうと考えていたのですか?

隼人:初舞台以降、何度も観させて頂いてきた「寺子屋」という作品ですが、大人になって観るとまた違った見方ができる作品です。源蔵というお役は、あまり若い方がやらない役というイメージが強かったので、松也さんが最初に源蔵を演じられるとなった時には、僕たち世代では話題になったんですよ。とうとう「寺子屋」が僕たちの世代でも出せるようになったんだ、すごい!とすごく嬉しかったのを覚えています。

今回、そんな松也さんが松王丸を演じられるということでしたので、全てを受け入れてくれる懐の大きさを感じ、こちらは全ての感情を解放してぶつけていきました。今までも松也さんとはたくさんのお芝居をご一緒させて頂いてきましたが、その中でも一番楽しかったですし、この先もぜひご一緒させて頂きたいと思った演目になりました。

――副音声では、源蔵はバックステージでやることの多いお役だというお話も出ていましたが。

隼人:そうなんですよ(笑)。小太郎の母に斬りかかるシーンで必要になるので、出の前に着物を着る時に襦袢の段階でタスキをします。小太郎を斬る時には足袋も脱がなければならない。それから、小太郎の首の向きにも気をつけなければいけません。本来、首は松王丸の方を向いていなければいけないのですが、お客様の方を向いてしまったというアクシデントがあったと先輩方から聞いていましたので、そこは気をつけなければいけないと思っていました。(首が客席を向いていると)芝居が変わってしまいますからね(笑)。

ただ、そのように気をつけることは多いですが、今回、改めて歌舞伎には様式美が大事なのだということを感じました。肌脱ぎをしたらすぐにしまうなど、どこから見ても美しく見えるようにということを意識するのは、歌舞伎の良さだと思います。

――この演目を演じるにあたって、目を合わせずに腹の探り合いの中で芝居をすると習ったそうですが、目を合わせずにどのように空気を読んでいるのですか?

松也:目を合わせないというのは、松王丸と源蔵の心理を表現するためという意味もありますし、一方で歌舞伎のエンターテインメントとしての見せ方でもあります。相手を見ずに演技をすることは、歌舞伎では他の演目でも多々あることなんですよ。松王丸においては、髪型も非常に個性的ですので、普通にお芝居をしたら顔が隠れて見えなくなってしまいます。首実験のシーンでも、そのまま覗き込んでしまったら、影になって顔が見えなくなってしまうので、そういった配慮もあっての動きでもあります。

ですが、相手を見ないからといって、もちろん意識してないわけではありません。意識のぶつかり合い、こめかみで見つめ合うということが、歌舞伎の演出法としてはよくあることなんです。それは簡単なことではもちろんありませんが、僕たちはどの演目でもそれに対応していかなければなりませんので、それが演じる上での面白さにも繋がったり、場面によっては深みを増すものになったりします。

もう一つ踏み込んだ言い方をすると、歌舞伎なりのリアリティがそこにはあると思います。歌舞伎は、化粧をして、衣装を着て、普通のお芝居ではありえないような格好をしてお芝居をしていますよね。でも、それこそが歌舞伎のリアリティなのです。お芝居は基本的に嘘の世界だと思いますが、それを追求したものこそが、歌舞伎なのではないかとも感じます。目線をあえて合わせないという歌舞伎独特の演出は、その嘘を追及した先にあるもので、僕自身はそれこそを誇らしく思っています。

――目線を合わせないことで、そこに真実があるという演出になっているのですね。ところで、先ほど松也さんはご自分が出演している公演を映像で観るのは得意じゃないとおっしゃっていましたが、それは、例えばドラマなどの映像作品においても同じなのですか?社会現象にもなったドラマ『半沢直樹』にもご出演されて反響も大きかったと思いますが。

松也:全て同じです。役者さんは同じように思う人も多いと思いますが、自分のお芝居を見ても納得できることは少ないんですよ。ただ、納得できないというのは悪いことではないですし、そこで学んで成長していくための要素として参考にすべきことではあると思うので、自分の芝居を観ることに抵抗はありますが、観るようにはしています。

副音声は初めての経験!言葉にしないと分からなかったもの

――では、今回の副音声での解説に対しての手応えは感じられましたか?

松也:新鮮と言いますか、なかなかやらせて頂く機会のないことなので、正直、どうしたらいいのか分からなかったというところもありました(笑)。初めての経験でしたから。でも、言葉にしたことで初めて気づいたことだったり、観ているだけでは分からなかった感情があったり、言葉にしないと思い出せないことがあったりと、得るものは多かったと思います。

隼人:公演の裏話や芸談といったものは、本来、お客様にとっては絶対的に重要ではない情報だと思いますが、知っていたら面白いという情報をこのような機会にご提示できたのはよかったなと思います。もし、また機会がありましたら、さらに特化したお話をいろいろと喋りたいという思いも生まれました。

――ちなみに、「寺子屋」という大変難しい演目の公演中にリラックスするためにしていたことはありますか?

松也:僕は、自宅に戻ったら演目のことは忘れる、考えないようにするというのが一つあります。ああしたかった、こうした方がいいという反省点は、どうしても公演が終わったら考えてしまうことですが、それは終わってから楽屋にいる間だけにしています。自宅に戻ったら忘れるという切り替えは、こういった重厚な作品を演じている時には、自然と行っているのかなと思います。それから、僕は自分の車を運転して移動していますので、その時間もリフレッシュになっています。

隼人:僕は自宅にいてもずっと考えてしまうタイプなんです。なので、源蔵を演じさせて頂いていた時は、ずっと気持ちが落ち込んでいました(笑)。だからこそ、お芝居のことや舞台のことを考えなくていいようなことを敢えてするようにしています。僕も自家用車で通っていますので、運転する時間や、ご飯を作る時間はいい気分転換になります。日常生活を送るにあたっての当たり前の時間というのが、舞台中は大事だと感じています。

放送情報

BSスカパー×衛星劇場「どっぷり副音声~ボタンひとつでステージ裏へ~」
第1回 新春浅草歌舞伎編
※副音声ver.の番組本編は初回BSスカパー!にて無料放送
※後日衛星劇場にて本編放送
【詳細はこちら】https://www.skyperfectv.co.jp/special/promo/doppuku/

BSスカパー!×衛星劇場「どっぷり副音声~ボタンひとつでステージ裏へ~」

<副音声ver.>
【放送日】11月8日(日)22:00~23:35
【放送局】BSスカパー(BS241,プレミアムサービスCh.579)※無料放送

<本編ver.>
【放送日】11月18日(水)16:00〜17:30(初回)/11月30日(月)16:00~17:30(再放送)
【放送局】衛星劇場(CS219, プレミアムサービスCh.628)

尾上松也コメント動画

中村隼人コメント動画

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