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『おっさんずラブ』からシェイクスピア劇へ――吉田鋼太郎が繋いだ金子大地の初舞台『ヘンリー八世』インタビュー

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第35弾を迎える彩の国シェイクスピア・シリーズ。2020年2月には、阿部寛を主演に『ヘンリー八世』を上演する。そこに抜擢されたのが、初舞台となる金子大地だ。ドラマ『おっさんずラブ』で注目を集め、『腐女子、うっかりゲイに告る。』の主演など活躍めざましい22歳。今回の初舞台も、『おっさんずラブ』で共演し、本作の演出も手掛ける吉田鋼太郎からのオファーで決定したという。

そんな金子に、初舞台決定におけるインタビューを行った。言葉を選びながら丁寧に答える金子は、緊張の中にも舞台への期待を滲ませる。何度も「楽しみです」と笑いながらも、「新しいことをするのはすごく怖い」と不安も真っ直ぐ口にする姿には、吉田が期待を寄せる表現者としての魅力が感じられた。

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吉田鋼太郎さんの演出だから「やりたい」と決めた

――初舞台ですね!今、どんなお気持ちですか?

もう、何て言えばいいんだろう・・・何も分からないんです。どうやって(舞台に)立てばいいのか、どんなふうに稽古をするのか、本当に分からなくて。でも、難しいことや緊張感があることが好きなので、楽しみです。

――舞台出演が決まった時の、率直な感想は?

ずっと舞台をやってみたいと思っていたので、オファーをいただけた時はすごく嬉しかったです。しかもシェイクスピア作品なので、すごく難しそうだけど、吉田鋼太郎さんは舞台の世界でもすごい人ですし、そんな方に初舞台の扉を開けていただけるのは光栄であり、幸せです。本当に嬉しかったです!

――吉田鋼太郎さんとは「いつか一緒に舞台をやりたいね」なんてお話はしていたんですか?

それが、まったく話していないんです。出演が決まって初めてお会いしたのが、映画『おっさんずラブ』のクランクインの日だったので、挨拶しに行った時にお話して、「よろしくね」と声をかけていただきました。すごく不安だったので、鋼太郎さんに「何か準備しておいた方がいいことはありますか?」と聞いたら「何もない。俺が全部イチから教えてやるから」と言ってくださって・・・それも、すごく嬉しかったです。『おっさんずラブ』の皆さんと行った飲み会でも二人で「次は俺ら、舞台をがんばるから!」と一緒に気合いを入れていました。

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――吉田鋼太郎さんから金子さん出演についてのコメントも、とても愛を感じました。「新しい舞台役者、シェイクスピア役者金子大地が誕生します」と寄せてくださっています。

そう言いきってくださるなんて、すごいことですよね・・・!こうなると、やっぱり鋼太郎さんの期待以上のものを出したい。「大地はここまでできるか!」と思わせたいです。それが僕の、今回の闘いです。

――共演した時に、金子さんの「孤軍奮闘する様子がとても瑞々しく・・・」と吉田さんが印象を述べていらっしゃいましたが、『おっさんずラブ』ではそのような仕事への取り組み方だったんですか?

うーん・・・僕が一番年下だったからかもしれないですね。「何かやってみて」と言われてアドリブをすることも多かったし、鋼太郎さんはいつもそれに合わせてくれました。

現場には30代で芸歴が長い(田中)圭さんたちが真ん中にいて、上の世代に鋼太郎さん、下の世代の僕がいたんですが、その中で鋼太郎さんは、僕の感覚を一番大切にしてくれたんです。誰かに「こうしたら?」と言われても、「僕はこうしてみたいです」と言ったら、その意見を尊重してくれて、「大地、それでいいんだよ。今、いろんなことに疑いを持つのは役者としてすごく大切だから」と言ってくださいました。

――俳優として尊重してくださる方に演出してもらえるというのは、信頼感もあるでしょうね。

はい。初舞台を鋼太郎さんに演出してもらえるのが、すごく嬉しいです。板の上に立ったこともない僕に声をかけてくださるなんて、愛に溢れている方ですよね。信頼する大先輩の鋼太郎さんの演出だからこそ、何も分からないけれど踏み出したいと強く思えた気がします。

――しかも「芸能」だけでなく「芸術のセンターに立つようになるのだろうな」とまでコメントされています。

すごい言葉をいただきましたよね・・・そうならなきゃなあ・・・!

――吉田さんがこんなふうに思っているということは、知っていたんですか?

まったく知らなかったです!「若造が~!」って思われてるかと思っていたくらいです(笑)。僕は『おっさんずラブ』の現場でもちょっと生意気な芝居をするし、アドリブでは鋼太郎さんに合わせてもらっていたので、そんなことを言っていただけるとは思ってもみませんでした。ただ、こんな風に応援していただいたら本当にがんばるしかない!逃げ道はないですから。それでも、舞台にあたっては「何も準備しなくていい」と言われたのを信じて、無防備にぜんぶ委ねてみようと思っています。

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役者としても人としても大きくなるために、舞台に立ちたい

――『ヘンリー八世』は彩の国シェイクスピア・シリーズの第35弾にあたります。このシリーズには映像で活躍される俳優さんたちも多数出演されていますよね。

すごい方たちばかりですよね・・・小栗旬さんとか、松坂桃李さんとか。これまで長く続いてきたシリーズに仲間入りさせてもらうので、作品を楽しんでいただけるためにがんばらなきゃ!と思っています。シェイクスピアを昔から好きな人からちゃんと「おもしろい」と言ってもらえるようにしたい。初舞台だから・・・と思わせないようなお芝居をしたいです。それができたら、僕のファンの方たちにも「おもしろい」と思ってもらえると思うんです。

――シェイクスピアについては、これまで馴染みがあるんですか?

実は、初めて観た舞台がシェイクスピア作品で、藤原竜也さん主演の『ハムレット』だったんです。難しかったけど「すごい!」と思いました。毎回、どの舞台作品にも「すごいな」と圧倒されるんですけど、観るのが楽しいです。
僕はふだん、シリアスなストレートプレイが好きなんですが、その中でもシェイクスピアって俳優にとってすごく難しいものだという印象があります。だからこそ初舞台でシェイクスピア劇をやれるのはありがたいですね。

――『ヘンリー八世』という作品については、どんな印象ですか?

正直、難しくてなかなか読み進まなくて・・・。僕はクランマーという役(英国王ヘンリー八世の腹心)なんですが、三十行ぐらい続く長台詞もありましたし、どうしよう、ほんとに・・・ヤバいです・・・!話していたらちょっと不安が増してきました・・・!!

――では、楽しみなことを考えましょう(笑)!

それはたくさんあります!稽古はもちろんですし、舞台が終わった後、自分はどうなっているんだろうと・・・舞台という景色を見た後の自分が、まだ想像できなくて。それから、鋼太郎さんがどんな風に舞台に取り組まれるのかも気になります。『おっさんずラブ』で共演している印象ではとっても優しい方なんですが、演劇の稽古場ではちょっと怖いらしいので(笑)。

蜷川イズムを受け継いでいるとも聞きました。僕には、蜷川幸雄さんを存じ上げないからこその憧れがあります。鋼太郎さんが「本読み中でも『(蜷川さんに)見られている感じがずっと抜けない、緊張する』とおっしゃっていたので、それがどんな感じなのか・・・。同時に、僕は知らずにその世界に入っていくので、もっともっと気を引き締めなきゃいけない。・・・勝負ですね。

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――共演シーンが一番多くなりそうな、主演の阿部寛さんの印象はいかがですか?

阿部さんは、かっこいい男からすごくダサいオヤジまでできる。そんな方はなかなかいないので、すごい俳優さんだなと思います。今回、阿部さんと鋼太郎さんの背中を見られる機会をいただけたのは、本当にありがたいです。怖くもありますけどね。今はまだ笑えていますが稽古が始まったらやばいかもしれないです。稽古場で「鋼太郎さんの演出はどうですか?」と聞かれても「・・・(真顔)」ってなってる可能性もあります(笑)。

――(笑)。それでも舞台に立ってみたかった、というのは何かきっかけがあるんですか?

周りの若い役者さんも、みんな舞台経験があって、やったことがないのは僕ぐらいじゃないかなと思っていたんです。難しいことや緊張感があることは好きなんですが、新しいことに向かうのは怖いと感じてしまって、あまり積極的に取り組めないタイプで・・・。なので、これまで「舞台をやりたいな」と思ってはいても、なかなか自分から踏み出せなかった。だからこそ今回は、鋼太郎さんに演出していただけるということもあり、「ぜひやりたい!」と一歩踏み出す大きなきっかけをいただきました。

舞台って、きっと映像とは違う緊張感があるだろうし、舞台に立ったらその経験を映像で活かすこともできるはず。初めてのことって、何をやっても得るものしかないですから。

――最近も、初めてのご経験がありましたよね。4月に始まったNHKよるドラ『腐女子、うっかりゲイに告る。』ではドラマ初主演も経験されましたが、そこでも得るものが?

僕個人というより、みんなが一つのものに向き合ってがんばると良い作品になるんだなと、すごく実感しました。あんなに良い現場はなかなかないと思いました。そんな場所で、主演として立たせていただいて、皆さんにたくさん支えていただいて、とても嬉しかったです。

――“みんなが一つのものに向き合う”というのは、まさに演劇の現場もそうですね。初舞台の前ですが、この先もずっと舞台を続けたいという思いはあるんでしょうか?

あります!鋼太郎さんも阿部さんも、舞台に立っている方は役者としても人としても大きい印象があります。自分も役者をやるからには大きくなりたい。本物になりたい。そのためには、いろんな経験をしてみたいです。まずは一つ一つ、目の前の作品に向き合っていきます。

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◆公演情報
彩の国シェイクスピア・シリーズ第35弾『ヘンリー八世』
【埼玉公演】2020年2月14日(金)~3月1日(日) 彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
【北九州公演】2020年3月14日(土)・3月15日(日) 北九州芸術劇場 大ホール
※大阪公演の予定あり

【作】W.シェイクスピア
【翻訳】松岡和子
【演出】吉田鋼太郎(彩の国シェイクスピア・シリーズ芸術監督)

【出演】阿部寛、吉田鋼太郎、金子大地、宮本裕子、山谷花純、谷田 歩、河内大和 ほか

【チケット一般発売】11月16日(土)

            

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