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佐藤流司×松田誠×茅野イサム×和田俊輔「2.5次元のトップランナーたち」刊行イベントアーカイブ

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集英社より、インタビュー集「2.5.次元のトップランナーたち」が刊行されている。これを記念し、2019年3月17日(日)に東京都内でトークイベントが開催された。登壇者は、演劇プロデューサー・松田誠(株式会社ネルケプランニング 代表取締役会長、一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会代表理事)、演出家の茅野イサム、作曲・編曲家の和田俊輔、俳優・佐藤流司の4人。2.5次元ミュージカルには欠かせない“トップランナー”4人の熱のこもったトークをアーカイブレポートする。

※進行役は、「2.5.次元のトップランナーたち」著者の門倉紫麻さん
※一部、読みやすいように編集を加えています
※「2.5.次元のトップランナーたち」の内容を踏まえた構成となっています

2.5次元は応援してくださる皆さんが可能性を生んでくれる

――この4人が揃うというのは、すごくレアですね。

松田:和田さんと茅野さんは、今日初めて会ったと言っていました。

和田:そうです、初めましてでした。

松田:流司は全員と仕事してるでしょ?

佐藤:そうですね、皆さんとお仕事させていただいていますが、揃ってということはないですね。

――貴重な機会をありがとうございます。まず、本が出たあとに何か反響があったか伺えますか?

佐藤:共演者が読んでくれていたりしましたね。

茅野:僕は周りのスタッフが読んで、喜んでくれていました。

和田:僕も「おもしろかった」という感想をよく見ました。

松田:自分が書いたものが何かしら印刷物になることはあるんですが、帯になることはなかなかないので(笑)。流司と二人、写真が帯になっていることが感慨深いですし、嬉しいです。

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――イベントに来てくださっている方は、もともと2.5次元ミュージカルをご存知の方が多いと思いますが、まずは2.5次元とは?というところからお話ししていただけますか。

松田:2.5次元というのは、基本的には漫画やアニメやゲームなど2次元のものを、舞台化する=生身の俳優さんが演じることを言います。2.5次元というのはファンの方が作った呼称で、自然発生した言葉ですね。

――携わっている皆さんとしては、2.5次元のどんなところがおもしろいと感じていますか?

松田:2.5次元には可能性がいっぱいあるなと思っています。いろんな人と出会えるし。見たことない絵を作ったり見たことない衣裳を着たり、というのは楽しい。茅野さんも和田さんも僕も小劇場出身なので、お金がない中、衣裳も自前、セットも自分で作っていたんですよ。だから、2.5次元ではいろんなことをできるのが演劇人としてとても楽しい。今、こうやって皆さんが応援してくれていることが、いろんな可能性を生んでいるなあと思います。

和田:僕は、2.5次元は作品の本質をとらえて、そこから何を捨てて何をやるかということが、ストレートだなと思っています。松田さんが本の中でおっしゃっていたことなんですが、省略の芸術。劇団に所属していた頃より、2.5次元は思考回路が整頓されるというか。

茅野:2.5は資金も潤沢なので、今まで自分がやっていた演劇ではできないことに挑戦できるという意味で、作り手としてすごく楽しいです。

――本の中で、茅野さんが「役者とキャラクターがスパークする瞬間を見たい」とおっしゃっていたことがすごく印象的でした。

茅野:演劇をずっとやってきた中で、キャラクターというのは台本の中から立ち上げていくしかないものだったんですが、2.5次元では、原作の絵や、声優さんが命を吹き込んでくださっていたりして先に形がある。だから、ただの活字から立ち上げるより、もう少し(先にある形に)寄せようという気持ちが湧いてくる。もちろん、お客さんにもそういうことを期待されている部分もあると思うんですが、生身の人間がやる以上、キャラクターと役者の肉体が、いい意味でぶつかり合って欲しいと思うんですよ。

――佐藤さんはキャラクターの奴隷になってはいけない、とおっしゃっていましたね。

佐藤:2.5次元は登竜門であり、断頭台にもなる。いつも「ハイリスク・ハイリターン」って言ってるんですけど。非常にたくさんの人の目に触れる機会があるから、俺を含めギラギラしてる人が多い。役者、スタッフさんはもちろん、お客さんも。

松田:お客さんの熱量も大きいよね。

茅野:僕が役者としてお芝居をやっていた頃は、ちょうど小劇場ブームだったんです。その頃の雰囲気と今の2.5次元、似てるな~と思いません?小劇場にお客さんが注目してくれるようになって、役者たちも「俺たちで新しい流れを作るんだ!文化を作るんだ!」ってギラギラしていた時代を過ごしてきたので、流司が言っている“ギラギラ”がすごくよく分かる。

松田:新しいものを見たいって欲求って、絶対にあるじゃないですか。小劇場ブームの時、みんなが「新しいものはここにある」と思っていたように、今は2.5次元がその立場になっている。我々もどうなるか分からない中で、新しいものを毎回作っていますが、お客さんからも「それを見たい」と思ってくださっている“圧”みたいなものを感じます。流司、圧はどうするんだっけ?

佐藤:圧はスルーっすね。俺、この言葉がすごく好きなんですよ。スルーというのは、気にすると追い込まれちゃうから、そうならないようにっていう意味合いなんですけど。

松田:全部受け止めるのは大変だよね。特に、役者は800人とか1,000人のお客さんのエネルギーを全部受け止めるんだから。流司は一人で舞台に立ったりすること(ミュージカル『刀剣乱舞』 加州清光 単騎出陣)もあるわけだし。

佐藤:そうですね。800人とか1,000人くらいが距離は近いのに人はたくさんいて、一番プレッシャーのかかる人数だったりします。逆に武道館くらいになると大丈夫なんですが。

松田:このトークイベントくらいの人数(約300人)はどうなの?

佐藤:がっつり緊張できる人数ですね(笑)。

――ここにきて、松田さんの『情熱大陸』出演や刀剣男士の『紅白歌合戦』出演で2.5次元の知名度が上がっているなという印象があります。佐藤さんは、紅白の思い出はありますか?

佐藤:リハ中の立ち位置の確認から、僕らは刀剣男士の姿でいたので、本当に「この時代に来た人たち」って感じでした(笑)。

茅野:すごく注目されていました。歩くと「あれが刀剣男士か・・・!」って。

佐藤:それから、洸がNHKの食堂のお姉さま方にめちゃくちゃ話しかけられてました。洸は年上の方にめっちゃ好かれるんですよね。なので、しっかり置いて帰りました(笑)。

松田:(笑)。紅白は独特な緊張感があったよね。俺は思っていたけど、普通は、お芝居で紅白に出るなんて思ってもみないじゃないですか!すごいことだよ、本当に。みんな頼もしかったです。

和田:僕も紅白見ました。すごいな~って。たくさん出ている場面があったのに、みんなキレイだから、流司くんがどれか分からなかったんです(笑)。

佐藤:(笑)。

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チラシはお客さんの判断基準であり、クリエイションの指針

――ここで、ミュージカル『刀剣乱舞』の舞台写真を見てみましょう。

佐藤:(写真を見て)これはトライアル公演ですね。

――どの公演か、写真ですぐ分かるんですね。

松田:ウィッグとかで分かるんだよね。流司にとってこのメンバーは、もうすごい仲間でしょ?

佐藤:仲間ですね。役者の知り合いでも、一番一緒にいる6人じゃないかな。

松田:喧嘩したりするの?

佐藤:えっ?!しないですよ。

茅野:しないの?ちょっと大きい人と。

佐藤:ありましたね・・・(笑)。パリ(ミュージカル『刀剣乱舞』~阿津賀志山異聞2018 巴里~/2018年7月)で、キュートな前歯の大きい人(佐伯大地さん)と。

茅野:大した喧嘩じゃなかったけどね(笑)。

佐藤:刀剣乱舞(ミュージカル『刀剣乱舞』)に対して、お互い熱くなってしまって。次の日、モナリザの鉛筆をお詫びに買いました。

――ミュージカル『刀剣乱舞』は、海外でも人気が高まっていますよね。佐藤さんは、お一人でアジアツアーをされます。

佐藤:こわ~い!マジ、来てください。マカオ、上海、タイに行きます。

松田:タイで公演をするのは、多分2.5次元作品史上初めてじゃないかな。以前、インドのイベントに、刀剣男士が出陣したんですけどね。この魅力は世界に通じるんだなと思いました。ニューヨークでもやりたいよね。

佐藤:やりたいですね。

――本の中で、松田さんはチラシに思いを込めておられるとおっしゃっていました。

松田:だって、皆さんチラシ見ますよね?ビジュアルで本気度を見るでしょ。このカンパニーはゆるいなとか、本気でやってるなとか、判断基準になってるんですよ。チラシって稽古が始まるより早いタイミングで作るので、意外にクリエイション、演出面に影響するんです。

茅野:チラシを見て、舞台美術や装置を合わせることもありますね。

松田:例えばハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」のチラシだと、チーム戦が勝負なので“チーム推し”なんですよ。個よりは集団を推す。『犬夜叉』の場合は、犬夜叉を主役に。チラシが作品を表していますね。『犬夜叉』は僕の大好きなチラシ。茅野さんが演出でね。このチラシどうでしたか?

茅野:すごく良かったですよ。これを見て「こういうふうにしなきゃ」と思いましたね。

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2.5次元の音楽は受け皿が広い

――まもなく、演劇「ハイキュー!!」の新シリーズも始まりますね。和田さんは、戸美学園の曲が作っていてすごく楽しいとおっしゃっていたかと思うんですが。

和田:すごく楽しいです。誰も作らないような曲を作れるのが楽しい。これも2.5次元ならではの魅力だったりするんですが、あまりNGがないんです。いろんな仕事をやっている中で、2.5次元は制作陣もお客さん側もすごく受け皿が広い。作品に対する曲のハマり具合の受け皿も広いので、どんな可能性も試すことができるんです。

松田:演劇「ハイキュー!!」にとって、音楽は特別な位置にありますよね。意味合いの強さが、普通のお芝居の音楽とは違う。

茅野:音楽が芝居を構築しているんですよ。だから、僕は見た時に「うぉお!」って衝撃を受けたんですけど。音楽があって、映像があって、バレーボール部員たちの普通のお芝居じゃ見られない動きが全部ハマっていて。「これは俺には作れない、新しい演劇だ」って思いました。

佐藤:須賀(須賀健太)くんとか達成(木村達成)くんとか、知り合いが出ていたので、演劇「ハイキュー!!」は何作か見ました。めちゃくちゃおもしろいです。原作は読んだことがないんですけど、それでも楽しめるし。みんな身体能力がすごい。

松田:演劇「ハイキュー!!」は、八百屋舞台(傾斜のある舞台)だから、役者さんたちはすごくしんどいと思います。でも稽古場でも、みんな仲が良いし、ノリも良くて。和田さんは、前作(ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」〝最強の場所〞)で一緒にツアーも回ったんでしょ?

和田:そうです。

松田:生で曲を弾いていたんだよね。

茅野:贅沢ですよね~。一番の贅沢!

和田:やっちゃいましたね~。

松田:しかもその時のノリで、曲を変えたりしたんでしょ?

和田:変えました。43回、全部違う曲にするって言い張っちゃって(笑)。突然曲を変えるので、役者も演出も大変だったと思います。多分、全公演印象は違うものになったと思います。

――本の中でも語っていただきましたが、演劇「ハイキュー!!」では、最初から最後までの演出プランを和田さんが最初に出されるというお話が衝撃でした。茅野さんは、そういうやり方をしたことはありますか?

茅野:ないですね。演劇「ハイキュー!!」は、振付の方が先行して作っているのかなと思っていたんですが、その前に音楽があるから、ああなってるんだなって、本を読んでよく分かりました。

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佐藤流司、演じた役との親和性

――ライブ・スペクタクル「NARUTOナルト-」も、和田さんが作曲されていますが、佐藤さんはいかがでしたか?

佐藤:結構王道な、気持ちが盛り上がっていく曲もあれば、トリッキーな曲もあって。意外とメインテーマが難しかったりしました。

和田:一言も言わなかったですけど、めちゃくちゃ流司くん良かったんですよ。

松田:何で一言も言わなかったんですか?

和田:すっごい怖かったんで・・・(笑)。

――佐藤さんは、いつだってサスケ役をやりたいとおっしゃっていましたね。

佐藤:サスケ、大好きです。常に放出できるというか・・・個人的には怒りのお芝居が一番楽しいですね。

松田:サスケの演技は絶対気持ちいいよね。男性だったらやりたくなりますよ。

和田:僕は全然思わないですね・・・(笑)。

松田:(笑)。

茅野:僕は世代的に全然「NARUTOナルト-」を読んだことがなく、舞台で初めて「NARUTOナルト-」に触れたんです。その時も、流司はサスケみたいな難しそうな顔をしていて。ちょっと近寄りがたい、怖い感じだなあと思いました。だから佐藤流司は、加州清光に合っているのかな?と思っていましたね。

松田:流司は冷静な俳優さんだと思うんですけど、サスケをやってる時は普段もサスケになってたよね。

佐藤:ずっとピリピリしてました。

和田:それがめちゃめちゃ怖くてブルブルしてました(笑)。

佐藤:やめてください(笑)。

和田:嫌々歌ってないかなあって・・・。でも、本当に流司くん歌ってくれてありがとう、と思いました。特に最後のお兄ちゃん(イタチ)とのデュエット。

佐藤:あれはすごかったです。

松田:イタチ役の良知(良知真次)くんが、ものすごいミュージカルの人だからね。本当に兄弟みたいだった。

――続いて、佐藤さんが出ていた頃のミュージカル『テニスの王子様』のチラシです。中面には佐藤さんの写真が載っているんですが、松田さんがそれを見て「大人の顔になった」とおっしゃっていました。

佐藤:確かに、この頃はまだ顔が幼かったですよね。

松田:子どもみたいな顔だったもん。2013年か・・・懐かしい。結構いろんなところに行ったね。

佐藤:行きましたね~、60公演超え。

松田:財前 光って、あまり台詞がない役だけど、一番台詞が少なかった公演はどれくらいだったの?

佐藤:3時間半の全国決勝公演で、台詞6個です。

松田:6個?!それも逆にすごい。キャラとして、あまり応援に参加することもないもんね。

佐藤:でも、財前 光との出会いは良いものでした。

――ミュージカル『刀剣乱舞』のビジュアルは、いつもバッと揃っていて完成度が高いですよね。

松田:根本的に、チラシはかっこよくないとダメだと思っているんです。ミュージカル『刀剣乱舞』は特に、雰囲気とかではなく、全員が本当にかっこいいことが重要だと思っているので、毎回そういうつもりで作っています。

茅野:ビジュアルは、稽古に入るかなり前に撮るので大変ですね。役者はもちろん、刀の構え方を見るために殺陣師がついてくださっていますし、稽古する前からスタッフの皆さんが先行して作りこんでくださってるんですよね。

佐藤:俺の記憶だと、刀剣乱舞のビジュアル撮影の時の殺陣師はイルカ先生だった気がします。イッチーさん(市瀬秀和)。

松田:ビジュアル撮影の時点で、決めポーズを作らなきゃいけないんですよね。例えば、蜻蛉切役のspiくんは、槍のような長いものを持った経験がなかった。どの辺りを持つかも分からない段階でビジュアルを撮らなければいけなかったので、大変だったと思います。それから、最近の若い子はチャンバラをやっていないんですよね。俺とか茅野さんの世代は、昼休みに棒とかでチャンバラごっこをやってたんですよ。

佐藤:棒でしばき合うってことですか?

松田:棒でしばき合うことに喜びを感じていたんだよ(笑)。俺たちの頃には時代劇もたくさんあったから。

茅野:『仮面の忍者 赤影』とか、子ども向けの時代劇もありましたね。

松田:そう。だから、自然と棒を刀のように振って遊んでいたの。今の若い子たちは、そういう経験をしてないから、刀を振る経験がなかったでしょ?

佐藤:なかったです。剣道の授業は少しだけありましたけど、二刀流が一番強いんだろうと思って、二刀流をしていました(笑)。

次のページへ続く

            

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