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劇団Patch×TRUMPシリーズ10周年『SPECTER』松井勇歩×納谷健インタビュー!「大阪でできへんことは他でもできない」

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劇団Patchが、末満健一の連作「TRUMP」シリーズの10周年に、『SPECTER』を再演する。『SPECTER』は、劇団立ち上げを共にした末満が、彼らの第6回本公演として書き下ろした作品だ。それが4年前のこと。

劇団Patchは、関西を拠点にしつつ、個々の活動を通しこの4年の間に確実に知名度を上げ、力を蓄えてきた。この再演には、初演とはまったく違う配役で臨むという。そこに込められた思いとは?劇団1期生であり、今回の主演を務める松井勇歩と、4期生として本作初参加となる納谷健に話を聞いた。

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――TRUMPシリーズ10周年イヤーに、劇団Patchとして、満を持しての『SPECTER』再演ですね。末満さんとも、『羽生蓮太郎(はぶれんたろう)』以来約2年ぶりに劇団としてご一緒されます。まずビジュアル撮影があったと思いますが、久しぶりにご一緒してみて感じたことは?

松井:やっぱり、確立された世界観をお持ちだなあと思いましたね。細部までこだわっていますし。だからこそ、演じる僕らもより一層自分の役にこだわらんと、と思いました。末満さんと一緒にやる時は、勝手に背筋が伸びるんですよ。僕は、末満さんに一から全部教えてもらったので。でも、久しぶりに一緒に作品を作る上で・・・言い方が難しいんですけど、ちゃんと役についても作品についても、話ができるようになった気がしました。

――ちゃんと、というのは?

松井:今までは、末満さんの背中にすがりついていたというか、作ってもらった道をただ歩くことしかできなかったなと思うんですよ。特に、最初の頃は本当に何も分かっていなかったし・・・。でも今は、自分の足で、横に並んで立てるというか。2年前の『羽生蓮太郎(はぶれんたろう)』の作品でも感じたことではあるんですけど、現段階でもそう思える感触がありましたね。今回も、いい意味でまた変わっていたいし、変えていきたい。一緒に作品を作っていけるようにしたいと、改めて思いました。

――劇団Patch第一期生である松井さんと末満さんの歴史を感じますね。納谷さんはいかがですか?

納谷:僕ら4期生は、末満さんの教えを受けてきた先輩方を見てきて、自分たちもどこか「ちゃんとしなきゃ」という感情があり、今回の『SPECTER』のビジュアル撮影や、末満さんのニコ生に出させていただいた時に、末満さんが興味を持っているものに僕も興味を持って話をする中で、緊張感はありつつも、末満さんとまた一緒にやることへのモチベーションがより上がった感じがしました。きっと、僕らの成長や、引き出しが増えることが末満さんへの恩返しになると思うので、劇団としても、個人としても、そうやっていけたら素敵やなあって思いました。・・・今、自分の中で、すごくいい話に(笑)。

松井:(笑)!

――この『SPECTER』は、劇団Patchにとってすごく大事な作品だと思うのですが、松井さんは前作の出演を踏まえて、納谷さんは外から観ていて、今、改めてこの作品に思うことはありますか?

松井:もともと、僕は舞台をまったく観たこともない状態から、劇団Patchとしての活動を始めました。みんなより遅い地点からスタートした人間やったんです。そんな僕が、人生で初めて、劇場で観た舞台が『TRUMP』だったんですよ。しかも「観なさい」と言われて(笑)。その経験がもう!強烈やったんですよ!!これがお芝居なのか・・・おもしろい・・・と、すごく衝撃を受けました。

だから、「TRUMP」シリーズの新作を劇団Patchでやると決まった時は「まじか!」となりました。舞台にまったく興味がなかった僕の心まで動かした作品のシリーズ作品を、(当時の)僕らでできんのか?という思いがあったんです。前回は、ヒューゴ役だったんですが、今思い返そうとしてみても、どうやっていたのかあんまり記憶がないんですよ。がむしゃらにやることに夢中になりすぎて。

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――全然覚えてらっしゃらない?

松井:当時の劇団にとっても最多公演数やった作品だし、すごく多くの方に来ていただいた作品ですが、一瞬やったな・・・と(笑)。周りを見る余裕がなかったんですね。だから、再演が決まった時は「(当時演じた)ヒューゴをもう一回しっかりとやりたい」という思いが湧きました。と言っても、当時を後悔しているとか、やり残したことがあるいうわけではないですよ。なんにもないって言ったら嘘になる。

だから、もう一回「あの時の自分に挑戦したい」という気持ちが強かったんです。今の劇団Patchとしてできることを最大に見せたくて。健とか、当時は出演していない4期生もいますし。うちの後輩は、みんな、すごく優秀なんですよ!僕らとは比べものにならない(笑)。何もできなかった1期2期に対して、3期4期のメンバーは新しい風を吹き込んでくれたんです。もう~、いい子!

納谷:そんな(笑)。

松井:本当に真面目で、お芝居が好きなんだなと思う子たちが入ってくれたので、その新しい風を受けつつ、僕らも後輩に示せるものがあるといいなと。後輩は後輩で、お芝居を通じて食って掛かってくるだろうから。信頼しつつ、競い合っていけたらと思っています。

納谷:僕は、前作を観て、今回は自分が出演するということで単純に思うことは、作品としていいものにしたいなってことです。それがすべて。『SPECTER』という作品は、一言では表せない要素がいっぱい詰まっています。それを伝えようとするならば、相応のクオリティや作りこみが必要です。今の劇団Patchなら、もう一歩も二歩も踏み込んだものにできると思うので。そういった意味で、作品のクオリティを上げていきたい。「TRUMP」シリーズとしてどんどんクオリティの高い作品が生まれている中で、『SPECTER』も他のシリーズ作品に張り合い追い越していけたらいいなって思います。

――Patchは、配役を劇団内オーディションで決めていらっしゃいますよね。

松井:末満さんがずっと見てくださっていた時は、劇団内オーディションという形が多かったんですが、最近は、より劇団らしくやっていこうということで、劇団員で話し合って決めることが多くなりました。作品にもよりますが。演出を誰にお願いするかも、メンバーで話し合って決めることが多いですね。ずっと一緒にやっているからこそ「今回はこいつの得意なところを伸ばそう」とか、逆に「新しい挑戦をしてみてほしい」とか、メンバー間で話し合って決めています。

――今回の『SPECTER』では、初演とガラリと配役が変わったのは・・・。

松井:今回に関しては、末満さんに僕らのマネージャーさんが「キャスティングどうしますか?」と聞いた時に、「劇団で話し合って決めていいよ」という言葉をいただいたので、僕らで案を出しました。だから、余計悩みましたけどね(笑)。一回やったことのある作品で、当時出ていたメンバーもいる、出ていないメンバーもいる、という状況で、どうすればいいのか。出ていたメンバーは、やっぱり「同じ役をもう一度やりたい」という気持ちが大きかったんですよ。僕もそうでしたし。でも、健たち4期の経験してないメンバーはどう思ってるのかも聞きたかったし。だから、時間を作って集まって、とことん話し合いましたね。

出ていたメンバーはそのままで、空いている役に出ていなかったメンバーが出る形を取るのか、配役を全部変えて新しいものを作るか。話し合いのテーマは、大きく分けるとその二択でした。結論としては、再演だけど新しい挑戦という形にしようと、新しいメンバーが入ったまったく新しい『SPECTER』を作ることにしました。。

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――納谷さんは、その話し合いの中ではどんなスタンスだったんでしょう?

納谷:僕が最初に言ったのは「何役でもいいです」でした(笑)。

松井:(笑)!

納谷:ちょうどその時期にいろいろ悩んでいたこともあって、自分に何が合うのか、何ができるのかというよりは、劇団の公演に参加できること自体が嬉しかったんです(笑)。劇団 Patchの一員としてまっとうできるのであれば、より役に対する思い入れのある先輩方の気持ちを尊重したいなと思ったので。そういった意味で「何役でも出たいです」と思っていました。

――いろんな思いが重なっての配役決定だったんですね。結果的に、松井さんが主演として萬里役となりましたが、それはどんな流れで?

松井:その劇団での話し合いの前に、当時のマネージャーと今回のプロデューサーに呼び出されて、個人的に末満さんから「配役を劇団で考えていいと言われたんだけど、どうしたらいいと思う?」っていう話をされていたんですよ。僕は、さっきと同じように、出ていたメンバーはそのままでいくか、すべて変えるかの二択を考えたんですが、マネージャーとプロデューサーは、すべて変えるという方を考えていたんですよ。その上で「萬里は勇歩に任せたい」というお話をしてくださって・・・。

でも、僕はそこで決めれへんかったんですよ。僕も、やっぱり前回やったヒューゴ役をやりたいと思っていましたから。しかも、今回劇団Patchとしてもすごく大きなチャンスだと思いましたから、メンバーと話し合わんまま、主演を引き受けるというのは、僕の中ではあり得なかった。だから、メンバーとちゃんと話し合わせてくださいと言って、時間をもらって、話し合いの中で「こういう話をされたんだけど、勝手に決めたくないからみんなで話し合いたい」と伝えました。それぞれの意思と、全体の意思を確認していった結果、みんなが「僕に萬里を任せる」という選択をしてくれたので、それで覚悟が決まりましたね。

――劇団の総意の上での決定になったんですね。納谷さんはその時、どんなお話をされたんですか?

納谷:それなりに美味しい役どころをやりたいという思いはありつつ・・・、劇団全員でやるんだから、全員がキャラ立ちできるようなバランスが上手く取れればいいなと思っていました。ちなみに、僕はそのメンバーで話し合って「これで末満さんに提案してみよう」となった配役では、サトクリフじゃなかったんですよ。あまりサトクリフに目を向けてはいなかったんですけれども、末満さんから返ってきたものを見たら、結果的にサトクリフってなっていたんです(笑)。決まってから、改めて台本を読み直してみたら、いいバランスの配役だったのでこの役で本当によかったなと思いました。

というのも、サトクリフは繭期の吸血種ですが、同じ繭期の吸血種で行動を共にするヒューゴを演じるのは井上(拓哉)くん。井上くんは、一期生なので先輩ですが、年齢は一緒なんですよ。同い年ということで、役の間にある関係性もある意味リアルなものとして届けられるんじゃないか、とか思ったり。それから、(同じく繭期の吸血種である)バルトロメ役の藤戸佑飛も、グレコ役の尾形大悟も、同じ4期生なので、もともと一体感のある関係性がいい影響を生み出せるんじゃないかなと思うんです。グループLINEを作って話し合ってるんですよ。

松井:え~、まじで?!知らんかった!入れてよ~!!

納谷:いやいやいや、そこは繭期のメンバーだけで(笑)。

松井:でも、それは俺らがやった時もあったな。繭期は繭期で話し合う時間をちゃんと持つのは、いいことだよね。

納谷:『SPECTER』って、勢力というか、立場が結構はっきり分かれてるじゃないですか。人間側と、繭期のヴァンパイア側のように。だから、全体を通していいものを作ろうというよりは、各々のストーリー、バックボーンをしっかり固めた方が、キャラが立って深みが出るのかなと話してますね。

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――そう考えると、松井さんが演じるヴァンパイアハンター側もおもしろい配役になっていますよね。

松井:そうですね・・・。そもそも、僕は過去に自分が刺し殺した男を演じることになるので複雑(笑)。お客さんの中で、「一人トゥルリバ」って言われてるんですよ。『TRUMP』で、TRUTHとREVERSE、対となる役を入れ替えて上演していたじゃないですか。今回、あれを一人でやってるみたいって言われていて、確かにそうやな~って思いました(笑)。

だから、演技プランみたいなものはあえて作っていないんです。作り込んでしまうのは違うかなと思うのと、どうしても、前回の萬里を演じていた中山(義紘)のイメージが、いい意味でも悪い意味でも自分の中に残っているんですよね。それがあるうちに、今回のみんなの空気を掴まんまま、自分の頭の中だけで役を作ると、中山に寄せへんように!とか、違う方に無駄な力が入っちゃう気がするし、それは今の自分には必要ないなと思うので。

――相棒である石舟役を、松井さんと同じ1期生の竹下健人さんが演じるという配役にも、唸りました。

松井:竹下とはかれこれ7、8年の付き合いになるんですけど、まだ、対の関係、コンビの役をやるのは初めてなんです。で、僕と竹下は、真逆なんですよ。人間性が真逆(笑)。健人に関しては「ど」がつく真面目なヤツです。僕も自分では真面目だと思ってるんですけど、真逆って言われる・・・(じとーっと見つめる納谷さんに)その目やめて(笑)。

納谷:(笑)。周りを見て発散するタイプ(松井)と、家に閉じこもるタイプ(竹下)という意味で、真逆です。後輩から見ても、このコンビは、ないようで、でも、演じる上で一緒になったらどうなるんだろう?ってすごく興味をそそられます。ある意味、ヴァンパイアハンターも仕事ですから。どんな感じになるのか、すごく楽しみですね。健人くんと、この前一緒にごはんに行ったんですけど、健人くんは健人くんで「自分の役、どうなるんやろ・・・」って真剣に考えていて。らしいなあって思いました(笑)。

松井:アプローチとかも全然違うけど、考えていることはわかるんです。付き合いが長いからこそ、お互い考えていることが何となく分かる。だから、近すぎず遠すぎずのいい塩梅で関係性を作っていきたいですね。萬里と石舟も、そんな感じの間柄なので。

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――先ほど、松井さんはこの公演を「大きなチャンス」と捉えているとお話されていましたが、劇団としての今後を含めた展望は?

松井:Patchとして東京公演をやらせていただくのは3作目になります。今回は本多劇場。これは本当にすごいことで、役者としては幸せなことでしかないです。でも、憧れだけ持っていくのではなく、過信はせずに自信を持って、しっかり届けるべきものを届けたいなと。今の劇団には、その力があると思っています。

観に来てくださった人に、一人でも「おっ!」「あいつ・・・」と思ってもらったら、僕らの勝ちなので。劇団としても、それぞれにとっても、次に繋がるような、ずっと記憶に残る作品にしたいですね。

納谷:毎回、どこかしらターニングポイントになるとは感じているんですけれども、今回もその一つになることは間違いないなと思っています。今後のPatchを考えていく上でも、劇団として「この人がいるから」「この人を頼りに」と考えるのではなく、全員が今をがんばらないと、大きくなっていけないんじゃないかと焦るんですよ。この『SPECTER』で全員の足並み揃えて、次に繋がるように、走り抜けていけたらいいなと思います。

――東京公演はすでにチケット完売、大阪公演も間近ということで、本作含め、劇団Patchの今後を楽しみにしています!

松井:大阪は僕らのホームですし、「大阪でできへんこと、他でできへんでしょ!」という思いはずっと持っているので。まずは大阪公演!がんばります。

納谷:「演劇で大阪を元気に!」と劇団で掲げているとおり、大阪公演から今作も始まりますから。東京公演とはまた違った楽しみ方ができると思うので、大阪公演もよろしくお願いします!・・・結局ダイレクトマーケティング(笑)。

松井:シンプルにね(笑)!

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◆公演情報
Patch×TRUMP series 10th ANNIVERSARY『SPECTER』
【大阪公演】2019年3月29日(金)~3月31日(日) 森ノ宮ピロティホール
【東京公演】2019年4月19日(金)~4月21日(日) 本多劇場

【作・演出】末満健一
【出演】
臥萬里:松井勇歩
石舟:竹下健人
クラナッハ:田中亨
ヒューゴ:井上拓哉
サトクリフ:納谷健
バルトロメ:藤戸佑飛
グレコ:尾形大悟
カルロ:星璃
シャド:三好大貴
トルステン:吉本考志
クラウス:中山義紘
(以上、劇団Patch)

ノーム:下川恭平
ローザ:松原由希子(匿名劇壇)
ハリエット:齋藤千夏
ロダン:立花明依

<アンサンブル>
豊田真丸 増田璃生 安東利香 飯嶋松之助 喜多村夏実 中路輝 松田悠 無糖新十郎 山田命 横濱康平

(撮影/エンタステージ編集部)

 

            

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