『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオにインタビュー「損はさせません!」


俳優の池田純矢が脚本・演出・出演をつとめる舞台公演エン*ゲキ。第3弾(#03)となる『ザ・池田屋!』が2018年4月20日(金)より上演される。池田は、2015年に朗読劇として#01『君との距離は100億光年』を、2017年にはSF系作品#02『スター☆ピープルズ!!』を上演。毎回「終わった後に忘れてもいい、その時間を楽しんでくれれば」という、最高に笑って楽しめるコメディを創ってきた。

今回の#03の上演にあたり、「エン*ゲキ」の企画立案者である池田と、#01から公演に参加してきた鈴木勝吾、オラキオの3人に話を聞いた。

『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオインタビュー

居酒屋で愛を語り合った2時間

――今回も、主演は鈴木さんが務めますね。

池田:僕は、台本を書く時にはキャスティングにはこだわらないんです。だから勝ちゃん(鈴木)やオラさん(オラキオ)に今回も出て欲しい気持ちはありましたけど、台本が出来上がるまでは、今回も出演をお願いするか分からないというスタンスでやってきました。キャスティングありきにしないことで、縛りをなくし、物語を広げたい。この『ザ・池田屋!』は主人公が吉田稔麿(よしだ としまろ)なんですが、今回も台本が書き上がった時に、どうしても勝ちゃんしかいないなと思ったので、お願いをしました。

鈴木:俺を稔麿役にっていうのは、居酒屋で聞いたんですけど、その時の二人の会話は超気持ち悪かったんですよ。「親友」って言葉に憧れている16歳の夏のような会話で、「お前と出会えてほんとによかったよ!」みたいな(笑)。

オラキオ:普段も結構そんな感じじゃん?

『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオインタビュー_3

鈴木:それのマキシマム状態だったんですよ!誰も見ていない居酒屋の席で「出会えてよかった!」って盛り上がってる男二人・・・思い出すだけでムズムズする(笑)。

池田:かなりこっ恥ずかしいことを話したよね(笑)。俺は、勝ちゃんのこと俳優としてすごく好きだし、プライベートでも仲が良いし、ここまでたくさんの時間をかけて作ってきた関係なんだけど、改めて口にすることはなかったから。

鈴木:取材とかでもこういう話をするのは恥ずかしいんだけど、その時は二人きりで見つめあって、「俺はお前と・・・!」って状態だったからね(笑)。

池田:もうやめようよ、この話~(笑)!

オラキオ:どれぐらいの時間しゃべってたのよ(笑)?

鈴木:2時間ぐらいずっとですよ。

池田:お酒もそんなに進んでないのに、ただ顔を突き合わせて真面目に、いかにお前のことが好きか、って話をね・・・(笑)。

鈴木:でも俺、勉強になったなと思いました。芝居でさ、親友とか恋人関係を見せるいいシーンって、ちゃんと向き合っていいシーン風に演じがちだけど、実際にはカッコよく言えないもんなんだなって分かった・・・。「幸せになってよかった」とか「結婚おめでとう」とか、そういう台詞って、演出家の方に「本当の兄弟だったら逆に言えなかったりするだろ?」と言われたことがあったんですけど「ああ、これだ!」ってすごく納得した。

池田:俺たちのあの会話も、カメラ回しとけばよかったね(笑)。

鈴木:あれがドッキリとかで残ってたら、俺マジで終わってたわ~!

一同:(爆笑)!!

『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオインタビュー_10

オラキオの笑いと、池田の笑い

――池田さんと鈴木さんの仲の良さがすごく分かりました。オラキオさんも、第1弾から続けてのご出演となりますが、池田さんとのご縁は?

池田:オラキオさんとは、勝ちゃんも一緒に出演していたミュージカル『薄桜鬼』のイベントの司会をしてくださっていた時に知り合いました。その頃、すでにエン*ゲキの第1回企画が動いていて、毎回違うキャストで朗読劇をやろうとしていたんです。かつ、アドリブに近いシチュエーションコメディにしたいなと考えていたので、ぜひオラキオさんにも出演していただきたいと思い、オファーをしたのが最初ですね。

オラキオ:びっくりしましたよ~。イベントで数回、ご一緒していただけですから。でも純矢くんのことは知っていたし、おもしろい役者さんだなと思っていました。出演していた作品を観ていて、笑いの間(ま)がすごくいいなと思っていたんです。・・・別に演出家だからって媚びてるわけじゃないですよ!

池田:あはは(笑)!

オラキオ:本当に、笑いの間がいいなと思ったんです、間が!間って、芸人が何年も経験を積む中で自然と身についていくものなんですけれど、池田くんにはセンスがあるんでしょうね。ミュージカル『薄桜鬼』の時も、ずば抜けて間がいいなと思ってた!

鈴木:何回言うねん(笑)!

池田:あはは(笑)。

オラキオ:そんな人から「一緒にやりませんか」って言っていただけたから、びっくりもしたけど、ぜひ一緒にやりたい!ってお引き受けしました。

『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオインタビュー_5

――お二人は、役者・オラキオさんと共演されていかがですか?

鈴木:やっぱり、間がいい(笑)!

池田:そうそう、間がいいんだよね(笑)。

オラキオ:コラッ(笑)!

鈴木:前作『スター☆ピープルズ!!』(以下『スタピ』)では、オラキオさんが笑いの担当だったので、そのすごさを目の当たりにしましたよ。その後に『ジョーカー・ゲーム』(2017年5月)でご一緒した時には、貫禄があって格好よかった。芸人さんはお芝居がうまいとよく聞きますが、オラキオさんはお芝居がうまいだけじゃなくて、好きなんだろうなと感じました。お芝居全体のことを考えながら、自分の魅力も出していくバランスも素晴らしかったから、「俺もがんばらないとあかん!」と思いました。

池田:でも『スタピ』の時、オラキオさんは自分の芝居について「間が悪い、テンポが悪い」ってさかんに言ってましたよね。

オラキオ:純矢くんの演出を受けて、初めて気づかされたんですよ。僕ら芸人は、普段は全部自分で考えて自分でやるんですけど、誰かが考えた「おもしろいこと」をやることは難しい。純矢くんの台本のおもしろさを100%体現できなかったんじゃないかなと、申し訳なくて。

池田:そんなことないですよ~!

オラキオ:もちろんできた部分はあったけれど、純矢くんが狙ってる笑いまで辿り着けていないところもあったんですよ。稽古場ではできたのに、本番で100%出せてなかった、とか。

池田:全然そんなことなかったですよ。僕が最初に思っていたよりおもしろいものができたし、オラさんじゃないとできなかった部分がたくさんあります。だから、とても信頼していて、今回も出てもらいたいと思ったんです。そして、これまでの作品とはちょっと違うポジションをやってもらいたいなと。やっぱり、オラさんはたくさん笑わせてくれるから。

『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオインタビュー_4

脚本家・演出家、池田純矢とは

――公演を重ねるごとに皆さんの信頼関係が強くなっているのがお話からも感じられました。今回の台本を読まれた印象は?

鈴木:おもしろいですよ~。前半は、読んでてパワー使いましたけど(笑)。

オラキオ:演じる前提で読むと、大変だなって考えちゃうよね(笑)。

鈴木:そうそう!でも、絶対おもしろくなる。この伏線がこう回収されるのか・・・とか、読んでいて素直に楽しかったです。そして、最終的には「ちくしょ~、やられた!」って思わされる(笑)。

オラキオ:中身がすごくしっかりしたコメディだよね。お笑いのコントの場合は、もっと中身がスカスカだったりするから、より詰まってるなと感じる(苦笑)。純矢くんはよく、自分の舞台のことを「おもしろいと笑ってくれたら、何の記憶に残らなくてもいい」って言うんですけど、実はすごく深くしっかり作られているから、笑えるだけじゃない。俺もコントをやる時の参考にしよう、って思います。

――演出家としての池田さんは、どんなタイプですか?

鈴木:理路整然としてビジョンが常にあるんですよね。俺が問いかけたことに、答えを持っているんだけれど、こちらの意見にもちゃんと耳を傾けてくれる。

オラキオ:でも、稽古場で純矢くんが“思い描く笑い”じゃなくて、僕がやりやすい笑いをやると「違います」ってすぐ言われる。すごい厳しい演出家です(真顔)。

池田:あはは(笑)!

オラキオ:「オラさんがそうやったらおもしろいのは分かるけど、今求めているのはこっちなんです」とはっきり言ってくれるので、すごく悩みますけど、勉強になりますね(笑)。僕は役者でもあるので、役者は演出家よりも役について考えていると思いたいし、出演者の皆さんはそう思ってくれていると信じています。

――池田さんは、エン*ゲキの回数を重ねてきて、創作に何か変化はありましたか?

池田:#01、#02から、基本のスタンスは同じだけれど、できることが増えて、理想が語れるようになり、上演してきて間違っていなかったなと思えました。演出家としては、役者と意見が食い違った時にはきちんと話し合うようにしていますし、役者の意見に納得しても譲れないところは譲らないし、もらったアイデアの方がいいと思ったらありがたくいただく。そうやって、ちゃんとディスカッションをして一つのキャラクターを創っていく。一つの作品を創る上で、役者に迷いが生じないように、冒頭から最後までキャラクターの筋を一本通す作業がより明確にできるようになってきましたね。

『ザ・池田屋!』池田純矢×鈴木勝吾×オラキオインタビュー_2

――今回は、エン*ゲキ初参加の方も多く、地方公演もあります。

池田:舞台のチケットって、高いし、観るためにはわざわざその場所に行かなきゃいけないものです。でもそれって、テーマパークに遊びに行くのと条件的にはそんなに変わらないと思うんです。県外に住む友達に会いに行くのもそう。そのために休みを取って、飛行機に乗って出かける。舞台も、そんな感覚で「すごいおもしろいものを見せるから、遊びにおいでよ」と言える、娯楽の一つとしておもしろがってもらえるものになるといいなと思います。

鈴木:今、純矢の話を聞きながら、テーマパークに行くのと、舞台を観に行くことの違いってなんだろうって考えたんですが、一つ思いつきました。テーマパークの場合、“おもしろい”という保証があるんですよね。だから、自然と人が集まってくる。僕らだって、絶対に「おもしろいものを創る」という気概で臨んでいるから、それがお客さんの「絶対におもしろいだろう」と確信として届けられれば、きっと皆さん来てくださいますよね。
前回の『スタピ』から、1年間それぞれが積み上げてきたもののすべてを出し尽くします。『スタピ』を楽しんでくださった方も、観られなかったけれど評判を耳にしてくださった方も、ぜひ、時間を作って劇場に来てくれたら嬉しいです。間違いなくおもしろいって、言っておきます。絶対に、損はさせないです。だからぜひ、一歩踏み出して劇場へ来てください!

オラキオ:前回の『スタピ』はね、うちの小学4年の長男も「楽しかった」って言ってくれたんですよ。普段は「パパのネタ、おもしろくない」って言う子なんですけど。生の舞台を観るのも『スタピ』が初めてだったんですけど、翌月の誕生日に「『スタピ』のDVDが欲しい」って言ったんですよ!初めての反応でした。

池田:それ、めちゃめちゃ嬉しい・・・。

オラキオ:パパとしての威厳を守るためにも、長男がこの作品でも「DVD欲しい」って言ってくれるよう、がんばります!

鈴木:素晴らしい話だなあ!

池田:物語って、書いている時は脚本家のものだけれど、書き終わって演出家にバトンタッチした瞬間、もう脚本家のものではなくなるんですね。そして、役者さんがキャラクターを確立したら演出家の出る幕ももうあまりない。幕が開いたら役者さんのもので、舞台が終わったら、観てくださったそれぞれお客さんのもの。ご自身の大切な時間とお金で、得た経験が、一つの物語です。煮るなり焼くなりこき下ろすなり、どう思っていただいても結構です。すべてが正解なので、楽しんでもらえたらいいなと思っています!

『ザ・池田屋!』メインビジュアル

◆公演情報
エン*ゲキ#03『ザ・池田屋!』
【東京公演】4月20日(金)~4月30日(月・祝) 紀伊國屋ホール
【大阪公演】5月11日(金)~5月13日(日) ABCホール

【作・演出】池田純矢
【出演】鈴木勝吾/松島庄汰、中島早貴、米原幸佑、河原田巧也、透水さらさ、オラキオ、池田純矢/北村海、久田悠貴、鈴木一、河合拳士朗/松尾貴史

【公式サイト】http://www.enxgeki.com/
【公式twitter】@enxgeki

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2018年3月26日(月)~2018年5月13日(日)まで
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※非公開アカウントからのご応募は、抽選対象外となりますのでご注意ください。

皆様のご参加をお待ちしております!

(取材・撮影/エンタステージ編集部、編集協力/河野桃子)

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