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少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー!「毛利亘宏の想像を超えろ!」

劇団創立20周年を迎えた、毛利亘宏が主宰する少年社中。その記念公演第1弾として、2018年1月に『ピカレスク◆セブン』が上演される。劇団員全12名と、俳優たちが演じる登場人物は、全員“悪者”!果たして、どんな作品が生まれるのか。劇団初期からの毛利の盟友・井俣太良と、少年社中の公演に2度目の登場となる宮崎秋人に話を聞いた。

ミュージカル『薄桜鬼』や宮崎が初めて参加した劇団公演『ネバーランド』を通じて二人が感じてきたこと、劇団20周年の歴史や演出家・脚本家の毛利についてなど、様々なエピソードが飛び出した。

少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー

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――『ピカレスク◆セブン』、配役などの発表もあり、どんな作品に仕上がるのかとても楽しみです。お二人は、毛利さんからこの作品のお話を聞いた際、どのようなご印象を持たれましたか?

井俣:少年社中は、『パラノイア★サーカス』あたりから“どなたにでも響く”作品づくりを目指してきた感じがするんですが、昔はもっと、人間の危うさにスポットを当てて描いていた時期があったんですね。この作品は、毛利の中で、“今の自分”として一度立ち戻りたい、という思いから生まれたのかなと思いました。僕も、今の少年社中として人の持つくらい影の部分をお見せしたいという気持ちがあったので、これは必然的なことであり、絶対におもしろいものになるという予感がしましたね。

宮崎:僕は、毛利さんが人間の暗い部分を描くという印象があまりなかったので、すごく興味を惹かれました。そして・・・何よりも、少年社中さんにまた出たいっていう気持ちが先行しましたね(笑)。

井俣:それは嬉しいね~。

宮崎:東映さんと少年社中さんのコラボ第1作目となった『パラノイア★サーカス』を観た時も、素直に「いいな、出たいな・・・」と思ったんです。でも、自分は東映さんの作品に出たことがなかったので、叶うことはないんだろうなって勝手に諦めていたんです。だから今回お声がけをいただいた時は、純粋に嬉しかったです。役どころなどを教えてもらった時も「そんな大事なところを任せていただけるんだ・・・!って責任も感じましたけど、本当に嬉しかったです。

少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー_8

――宮崎さんは、2014年に上演された『ネバーランド』の再演にご出演されていましたよね。それまでも少年社中の皆さんとはご一緒されていたと思いますが、劇団公演に参加して何か印象は変わりましたか?

宮崎:毛利さん、太良さん、堀池さんとは、ミュージカル『薄桜鬼』で初めてご一緒したんですが、太良さんが特に・・・。太良さんが、圧倒的に自由に飛び回ることができるフィールドが少年社中という劇団なんだなということを目の当たりにしまして(笑)。「薄ミュ」の時は、太良さんにものすごい手枷、足枷がはめられていたということを知りました。

井俣:あはは。

宮崎:ほんとに、すげ~!って思いましたよ(笑)。『ネバーランド』で太良さんが演じたピーターパンには、度肝を抜かれっぱなしでした。

――度肝を抜かれたのは、どういうところに?

宮崎:僕が「こうだろう」って思う範疇に、一切入ってこないんです(笑)。お芝居だけじゃないんですが、本当に予測不能な方で。『ネバーランド』で、自分はカビーという役を演じていて、ピーターパンと二人ではしゃぐシーンがあったんですけど、もう、わけが分からなくて!食らいつくので必死でした。うらやましいなって思いますよ。

井俣:秋人はね・・・ミュージカル『薄桜鬼』で一緒にやって時から感じているんですけど、僕にないものを全部持っている代表的な役者だと思います。的確、丁寧、きっちり。僕は結構、そこをできないで苦労している役者なので(笑)。『ネバーランド』の時も、何をやっても受けてくれるんで「これはしめた!」「何やっても受けてくれるぞ、おもしろいぞ!」って思ってやってましたね。

宮崎:一緒にやった時もそうだし、ほかの作品を観ていても「この人、ほんとすげぇな・・・!」って痛感するんですよ。この間やった『モマの火星探検記』でも・・・すごくいい意味で取ってほしいんですが、あんなに無責任な感じで板の上にいる人がいるんだなって思いましたもん(笑)。

井俣:あはははは!!

宮崎:でも、それってやろうと思ってもなかなかできることじゃないですし、一緒に舞台に立っている人の芝居が明らかに変わるんですよ。だから、少年社中という劇団さんに太良さんの存在は常に新鮮なんだなって思えて、それができることが本当にうらやましい。奇跡を生む役者さんだと思っています。

少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー_5

――井俣さんご自身は、劇団公演と外部公演で作品へのアプローチを変えている部分はあるんでしょうか(笑)?

井俣:「薄ミュ」も大好きで、誠心誠意大事に演じている作品なんですけど、劇団としては、20年ずっとやってきたものがあっての“今”なので。そうだなあ、ルーツの深さはあると思います。そういう意味では、それが違いに出ているのかな(笑)。

宮崎:僕は、少年社中さんが初めて参加した劇団さんだったんです。初めてだったので、今までにない空気感やぬくもりを感じました。特に、少年社中の皆さんのあったかさはすごい。

そういう人たちが、板の上では各々ビビットな色を発するのが、本当にすごくて。

井俣:ずっと一緒にやってきた劇団メンバーはだいぶ歳を重ねてきているから、若さに飢えてるんだよ(笑)。少年社中が少年社中であるがために、いろんな役者さんに参加してもらってるんだけど、「劇団員だから、客演さんだから」とあまり分けたくないんですよね。細かいことは気にせず、自由にやってほしいなって皆思っているので。言葉にするわけではないけど、「混ざらない?」っていう気持ちは、いつも持ってるかも。

――今回も、様々なご縁で集まられた皆さんで作り上げる『ピカレスク◆セブン』ですが、配役発表がありました。鈴木勝吾さんが演じるマクベスと宮崎さんが演じるトクガワイエミツが主人公ということで・・・いろいろ超越していて驚きました。

宮崎:僕も、稽古が始まってからじゃないと、マクベスという存在に対してどういう感情を抱いたらいいのか、正直まだ分からないんですが(笑)。ただ、イエミツが起こしたアクションから物事が動き出しつつ、イエミツ自身はひたすら周りに翻弄されていくので、ちゃんと周りの皆の物語を受け止められるようにしたいなという思いがあります。おそらく、この作品の中で一番変化していく人物なので。そこをしっかり見せられたらと思います。太良さんは・・・魔女なんですよね?

井俣:そうそう、魔女。魔女だけど、魔女だからいろんな役をやります、みたいな感じです。これまでも、ジェンダーを越える役は何回か演じたことがあるんですけど、めちゃくちゃ楽しいんですよ。少年社中ではあんまりやってなかったかもしれない。だから「よくぞ気づいてくれた、毛利亘宏!」って思いました。最近あまり開けていなかったその扉を開けてくれるのか、って(笑)。

少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー_4

――そして・・・ピーターパンを椎名鯛造さん、フック船長を唐橋充さんが演じられるんですね・・・。

宮崎:気になりますよね。お二人は『ネバーランド』でも同じ役を演じていましたから、僕もめちゃめちゃ気になりました。

井俣:新作ではあるんだけど、やっぱり、20周年記念の作品なので。20年の間、ずっと少年社中を観てきてくださった方もいらっしゃると思うし、僕らも思い入れの深い作品のエッセンスを表現したいというか、毛利としても一つの集大成的なものにしたいという思いがあるんだと思います。その中でね、『ネバーランド』はやっぱり外せないって思いが強いですよね。

――山川ありそさんが、リチャードIII世役というのも・・・。

井俣:そうそう。ほかにも・・・いろいろあるんですよ(ニヤリ)。今回、毛利が脚本を書く前に、事前に皆でプレ稽古と称して、ミーティングのようなものをしたんです。そこで出たアイデアを入れ込んだりして。もちろん、少年社中の公演を初めて観る方がちゃんと楽しめるものになっていますし、過去の公演を観てくださっていた方には「あっ!」という要素がたくさん詰まっていると思います。僕らも、感慨深いです。

少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー_7

――毛利さんが作られる作品については、この20年間で変化を感じる部分はありますか?

井俣:そうですねえ・・・僕はずっと見てきているんで・・・書く作品が変わったというのもありますし、見た目が変わったというものありますし(笑)。

宮崎:この前、毛利さんと太良さんの学生時代の写真を見せていただいたんですが、全然印象が違ってびっくりしました(笑)。

井俣:でしょ(笑)。でもまあ、正直、こんなにいい作品を書けるようになると思っていませんでした。僕は20代前半ぐらいまで「こんなんじゃメジャーになれねーよ」ってダメ出しするばかりだったし。「こんなんじゃダメだ。書き直してきて」って稽古の途中で帰ったりもして・・・。そういう感じで、すごく挑発的に、もっといい作品を書いてこいって言い続ける相手だったんです。今は、違うんですけどね。今は・・・やっぱり、いい作品書くなって思います。悔しいけど、いい作品だよ、って。

宮崎:そうだったんですね・・・。

井俣:毛利は努力家なので、たくさんの戦いを経て、いろいろと勉強したんでしょうね。劇団以外のところでも、人一倍悔しい思いをしていると思うので、それが今を作っているんだなと思います。

――20年という時間に、時間以上の重みを感じます。

井俣:ここまでやってこられたのは、毛利亘宏がいたからだなって思います。毛利亘宏がいなかったら、今はなかったでしょう。劇団が危うかった時も、悪い方にいかないように毛利が下から支えてくれていたんですよ。12年ぐらい前かな、毛利がどん底だった時期があるんです。僕は、どん底にならない人間なので、何をそんなに・・・って見てたんですけど、ある時ね、毛利に「僕は君と、演劇で心中したいと思ってる」みたいなことを言われたんです。今考えると、すごい恥ずかしい言葉だなと思うんですけど(笑)。

宮崎:それはなかなか言えることじゃないし、言われることもないですね・・・!

井俣:多分、落ち込んでたから出た言葉だったんだろうけど(笑)。その時は、何言ってんだみたいな感じだったけど、今も時々思い出すんです。重ねてきた時間が長すぎて、仲がいいとかそんな言葉で言い表せる関係ではないけれど、「おもしろい作品を作らないと売れない!」「メジャーになりたい!」って言うだけだった僕の願いを叶えてくれたことに、ずっと感謝しています。

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――宮崎さんにとって、毛利さんはどんな脚本家さんであり、演出家さんですか?

宮崎:脚本というか、毛利さんが描く作品には、いつも、一人の、今27歳の男というだけの存在にされます。自分が役者であることも忘れて、一人の人間として心を揺さぶられています。

演出家さんとしては、好きにやらせてくれる方という印象が強いです。毛利さんの本だろうが、ミュージカル『薄桜鬼』みたいに原作があるものだろうが「まず、やりたいことをやってみな」って言ってくださるんです。だから、ミュージカル『薄桜鬼』ではどこまでやったら「やりすぎ!って言われるんだろうなって思ってたんですけど・・・『ネバーランド』の時の太良さんの姿を見て、そういうことか!そりゃ、毛利さんの想像の範疇からは超えられないや!って思いました(笑)。

井俣:(爆笑)!!「演出してくれよ!」って僕もよく言うんだけど、言っても聞かないって思ってるから、毛利もあまり言わなくなっちゃったんだよ(笑)。でも、好きにやらせてくれるのは、自分の書いたものや想像にないものを見せて欲しいっていう気持ちがあるみたい。だから、彼は“究極の観客”なんですよ。だって、あんなに自分が書いた作品を観て、毎回泣いてる人っていないと思うんですよ!

宮崎:確かに!

井俣:稽古場でも、わりと観客みたいに観ていることが多いんだよね。だから「この人を喜ばせればいいんだ」って、そういう気持ちになるんですよ。

宮崎:分かります。毛利さんが楽しそうに観ていると「よし!」って思いますし、そうじゃないと「くそっ!」ってなります(笑)。前回参加させていただいた『ネバーランド』は再演でしたけど、今回の『ピカレスク◆セブン』では、自分が一から役を作るので、まず毛利さんの想像を超えないといけない。毛利さんが考えている以上に、トクガワイエミツを膨らまるという義務があると思うので、ちゃんと役をまっとうしたいなと思います。

少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー_3

――少年社中の20周年とこれからを、楽しみにしています!それでは最後に、公演に向けての意気込み、お客様へのメッセージをお願いいたします。

宮崎:少年社中さんの歴史に関しては、自分はまだまだ知れないことがいっぱいあるんですけど、毛利さんと太良さんの関係を見ていると、20周年を迎えることがどれぐらいすごいことなのか、痛感しています。そして、駆け出しの頃から自分を見てくださっている毛利さんや太良さんとまたこうしてご一緒できるのだから、気合いだけは誰にも負けないように。2018年の1発目として、一切の手加減なしで、誰がどんな球を投げてきてもいいように、しっかりと柔軟な頭を持って臨みたいと思います。間違いなく、少年社中さんの歴史に残る、すごい作品になると思うので、楽しみにしていていただけたらなと思います。

井俣:20周年という記念の年に、登場人物が全員悪人というのは、普通じゃあんまりチャレンジしないような意欲的な作品になるんじゃないかなと。少年社中だからこそ描ける、かっこいい、純粋な悪をしっかり見せて、かっこいい作品に仕上げたいと思います。秋人がいてくれるのでね!受け止めきれないぐらい球を投げ続けてやろうと思っているんで、観ててください(笑)。

宮崎:がんばります(笑)!

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少年社中『ピカレスク◆セブン』井俣太良&宮崎秋人インタビュー_2

◆公演情報
少年社中20周年記念第一弾
少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』
【東京公演】2018年1月6日(土)~1月15日(月) サンシャイン劇場
【大阪公演】2018年1月20日(土)・1月21日(日) サンケイホールブリーゼ
【愛知公演】2018年1月27日(土)  岡崎市民会館 あおいホール

【脚本・演出】毛利亘宏
【出演】
井俣太良 大竹えり 岩田有民 堀池直毅 加藤良子 廿浦裕介
長谷川太郎 杉山未央 山川ありそ 内山智絵 竹内尚文 川本裕之

鈴木勝吾 宮崎秋人 / 椎名鯛造 佃井皆美 相馬圭祐 丸山敦史
唐橋充 松本寛也 細貝圭 / 大高洋夫

【公演特設HP】http://www.shachu.com/p7/
【少年社中公式HP】http://www.shachu.com/
【少年社中公式Twitter】@shonen_shachu

少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』

(文/エンタステージ編集部)

少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』

作品情報少年社中×東映 舞台プロジェクト『ピカレスク◆セブン』

少年社中20周年記念第一弾公演は、今世紀最大のピカレスクロマン!

  • 公演:
  • キャスト:井俣太良、大竹えり、岩田有民、堀池直毅、加藤良子、廿浦裕介、長谷川太郎、杉山未央、山川ありそ、内山智絵、竹内尚文、川本裕之、鈴木勝吾、宮崎秋人、椎名鯛造、佃井皆美、相馬圭祐、丸山敦史、唐橋充、松本寛也、細貝圭、大高洋夫

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