「*pnish*にとって再出発となる作品」*pnish* vol.15『サムライモード』藤原一裕×森山栄治×佐野大樹インタビュー!


結成15周年を迎えた人気演劇ユニット*pnish*の15回目となる本公演『サムライモード』が、2016年9月24日(土)から東京と兵庫にて上演される。脚色・演出は『魔王 JUVENILE REMIX』に引き続き、鈴木勝秀が手掛け、初演とは全く異なる新バージョンとして上演されるという。またキャストには、藤原一裕(ライセンス)が加わるなど、異色のコラボレーションにも期待が高まっている。そこで、藤原と*pnish*の森山栄治、佐野大樹に、本作にかける意気込みや、見どころ、ユニットを継続することの楽しさと苦労などを聞いた。

*pnish*『サムライモード』インタビュー

――ライセンスの藤原さんが今回出演されるということで、異色のキャスティングのように感じました。出演が決まるまでにはどんな経緯があったんですか?

藤原:あぁ、それは僕も知りたいですね~!

佐野:ライセンスの藤原さんがお芝居にも興味を持っていると聞いていたので、ダメ元でオファーをしてみたら、お引き受けくださったんです。

森山:藤原さんというと「テレビで見る人」という印象が強かったので、出演が決まったと聞いた時は、かなりビックリしましたね。

佐野:*pnish*の公演にそんな有名な人が出たら・・・、新しいお客さん取り込んじゃうんじゃないの?!って?!興奮しっぱなしで(笑)。

藤原:ははは(笑)!

――『サムライモード』は再演となりますが、藤原さんは初演をご覧になりましたか?

藤原:映像で観ようか悩んだんですけど・・・、なんだか変に引きずられてしまいそうなので、今のところ見ないでいます。

佐野:それがいいと思います(笑)。今回は、初演と演出がガラッと変わる予定だし。僕らも一から作る心意気でいるので、新鮮な気持ちで参加していただけたら嬉しいです。

「演劇は世界観の中で、面白いことを言わなくちゃいけない」(藤原)

*pnish*『サムライモード』インタビュー_2

――本作での皆さんの役どころを教えてください。

佐野:僕は橘という、敵国に滅ぼされた国の殿様に仕える家臣のような役で、仇をとるために試行錯誤するサイガという人物です。

森山:僕はその国を滅ぼした敵国の殿様の側近みたいな役ですね。

藤原:僕は・・・トラジという基本的に殴られ屋みたいな役です。ただ、殴られるつもりではなくて、殴るつもりで殴られてしまうっていうちょっぴり悲しい役なのですが(笑)。

森山:そして、誰も裏切っていないのに、裏切られたって被害妄想を持つ役。

藤原:めっちゃ面倒くさいヤツですよね(笑)。ポジティブでタフだけど、被害妄想は強いっていう。

佐野:藤原さんの役は、ポジション的にはお話の空気を回すというか、おもしろい部分を一手に担っている感じなんですよ。

――なるほど。おもしろい部分を担う役とのことですが、「お笑い」での笑いと「演劇」での笑いはやはり違うんでしょうか?

藤原:だいぶ違いますね~。演劇は世界観の中で、おもしろいことを言わなくちゃいけないじゃないですか?でも「お笑い」って、その世界の外からも笑いを取りにいける。だから、演劇に出演する時はいつも、そこの線引きをしっかり持って臨むようにしています。

――先ほど、皆さんでオフトークをされていた時、藤原さんが「演劇は尺が長いから、稽古の熱量が変わってくる」といった発言をされていましたね。

藤原:そうですね。お笑いの世界では経験することのない稽古量なので、作品が完成に近づいていくにつれて出演者、スタッフ一丸となっていく熱量がすごく伝わってくるんですよ。それが本当に演劇の醍醐味だと思いますし、今回も経験できれば嬉しいですね。

森山:キャストが全員男ということもあって、作品への熱の盛り上がりは、他のカンパニーと比べて強いと思います。ただ、一日に2回くらいは、キャストに女性がいたらなあとも思うはずです(笑)。

藤原:それはもう思っていました(笑)。

裏切りに次ぐ裏切りで、まったく先が想像できない物語

――今回、藤原さんに期待することはなんでしょう?

佐野:この作品を・・・、おもしろい作品にしてください!

藤原:なんすかそれ!めっちゃプレッシャーかけてくるじゃないですか(笑)!!

佐野:本心ではあるんですよ。でも、申し訳ない想いもあります。今回、藤原さんに演じていただく役は、物語の中で一番明るいキャラクターなんですけど、芸人の方をキャスティングする場合って、真面目な役をお願いするべきだと思うんです。だって、お笑いの方がおもしろい部分を担う役だと、変にハードルが上がってしまうじゃないですか?だから、今回のように笑いが求められる役をお願いするっていうのは、本当、申し訳なくて・・・。

*pnish*『サムライモード』インタビュー_3

藤原:ははは、言われてみればそうかもしれませんね(笑)。でも、僕が最初に脚本を読んだ印象は、笑いを取りにいくというより、真面目に演じていれば笑える役だと思ったので、まずはちゃんと一生懸命演じてみて、もし笑えない雰囲気があったら、その時点で考えてみようかなって思ったんです(笑)。

佐野:ああ、確かにそうですね!

藤原:最初から笑いに走って役を崩してしまうと役の魅力を無くしちゃうと思うので、丁度良い隙間があれば、そこを埋めていくような発想でいます。

――それでは改めてこの作品の概要を教えてください。

森山:男同士の義理と人情と裏切りが描かれるのですが、特に「裏切り」の要素が凄くて・・・。結局は、信じるものは何かを見出す話だと思います。

藤原:森山さんのおっしゃる通り、とにかくすごい裏切りがあるなあって思っています。はっきり言って、必ず想像を超えてくる物語になっていると思いますよ!

『サムライモード』は*pnish*の再出発となる作品

――*pnish*は15周年を迎えられましたね。この節目の公演に、なぜ『サムライモード』を選んだのでしょうか?

佐野:メンバーで集まって話している時に、パッと思いついたんですよね。男たちが熱くなれるものをやってみたいねって話になりまして。なので、当初は「15周年だから」という意識はあまりなかったんです。

森山:ただ嬉しいことに、周りから「15周年だね」と言っていただくようになって、段々と意識するようになりました。

佐野:そうだね。だから今は、この『サムライモード』を*pnish*の再出発として、コンスタントに活動していこうと思っています。

――ちなみに、ライセンスは結成何年目になるんですか?

藤原:ちょうど20年目ですね。

佐野:ええ?!そうだったんですか!!

藤原:そうなんですよ。あまり周りに言ってないので、意外と驚かれるんですよね。

佐野:20年となると、もう相方さんは家族みたいなものですよね?

藤原:そうですね。高校生の頃に出会って、それからずっと一緒にいるので。実際、親よりも長く一緒にいると思います。

佐野:揉めたこととかなかったんですか?

藤原:かなりありましたね(笑)。最初の関係が“友達”だったので、それから仕事の関係に変化する中で、ギクシャクする部分があったりして。20代の頃は、ずっと仲が悪かったんです。なかなか結果も出なかったですしね(笑)。

佐野:勝手なイメージなんですけど、芸人さんって楽屋で一切しゃべらなかったりする方もいますよね。

藤原:確かに、そういうコンビも結構多いですね。自分たちの場合、1時間のトークライブが月に2回あるので、相方と毎月2時間は絶対にしゃべらなくちゃいけないんですよ。毎日一緒にいるのに、ですよ(笑)。なので、トークライブでお互い新鮮な話ができるように、おしゃべりはとっておいてるんです。なので、楽屋でしゃべらないからといって、決して仲が悪いわけではないんですよ。

*pnish*『サムライモード』インタビュー_5

――*pnish*のメンバーはいかがですか?

佐野:やっぱり、喧嘩することもありますよ。

森山:解散話だって出たこともありましたし。ただ藤原さんのおっしゃる通り、荒ぶっていたのは20代の頃までですね。

佐野:今の4人になってから安定してきたような気がします。ただ、4人組みだと意見が分かれた時に3対1になることがあるんですよ。一人の方はつらいですよ(笑)!

藤原:確かに(笑)。

佐野:それで、今度は仲間だった3人側が揉めて、2対1に分かれるんですよ。すると、最初に1人だったやつがなぜか、2人側についたりして(笑)。

一同:ははは!

藤原:自分たちだけで物を作っていると、20代のうちは結果が中々出ないじゃないですか?だから、余計がむしゃらになってメンバーの仲も悪くなるんですけど、30代になると「これ以上踏み込んだら揉めるな」という距離が掴めてくるんですよ。だから、キャリアを重ねると安定してくるのは自然なことですよね。

森山:そうなんですよね。自然と距離感が分かってくる。

佐野:身に染みる言葉ですね。ライセンスさんを見習って、*pnish*も20周年を迎えられるよう、がんばろうと思います!

――今後の皆さんのご活躍が楽しみです。それでは最後に、今後に繋がっていくであろう本作にかける意気込みを教えてください。

藤原:東京公演も兵庫公演も、普段お笑いしか馴染みがない人にもぜひ足を運んでいただいて、自分の新しい側面を見ていただきたいです。とても良い作品に出させてもらえるので、皆さんにいいものを持って帰っていただけるよう、がんばろうと思います。

佐野:藤原さんをはじめとした素敵なキャストと新しい『サムライモード』が作れることが楽しみでならないです。なので、皆さんも新生『サムライモード』に、ぜひ期待して観に来てください!

森山:演劇をあまり見慣れない人も、普段*pnish*を応援してくれている人も、新しい発見のある作品に仕上がると思いますので、ぜひ観に来ていただいて、演劇の輪が広がっていったらいいなと思っています。劇場でお待ちしています!

*pnish*『サムライモード』インタビュー_6

◆公演情報
*pnish* vol.15『サムライモード』
【脚本】*pnish*
【脚色・演出】鈴木勝秀
【出演】*pnish* (土屋佑壱 鷲尾昇 森山栄治 佐野大樹)/
佐藤永典 崎山つばさ 川上将大/津村知与支(モダンスイマーズ)/
石川正人 Hayato(WEBER) 岩義人/宮川康裕 細川晃弘 久田悠貴/
藤原一裕(ライセンス)/鳥羽潤

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◆15周年記念アフタートーク開催!
「*pnish*room―出張版― ~15年・・・どんな道を歩んできたんだっけ~」
【東京公演】
9月24日(土)18:00公演 みんな大好き「リバースヒストリカ」
ゲスト:滝口幸広
9月25日(日)13:00公演 まだ記憶は新しいけど今こそ思い出せ「魔王」の話
ゲスト:細見大輔&佐藤永典
9月25日(日)18:00公演 あの頃は若かったボックスシリーズ
ゲスト:川本 成&川上将大
9月26日(月)19:00公演 色々やってみちゃったモードシリーズ
ゲスト:永山たかし&崎山つばさ

【神戸公演】
10月1日(土)14:00公演 サムライの語らい 其の壱
ゲスト:佐藤永典&崎山つばさ&川上将大
10月1日(土)19:00公演 サムライの語らい 其の弐
ゲスト:鈴木勝秀
10月2日(日)12:00公演 サムライの語らい 其の参
ゲスト:津村知与支&藤原一裕&鳥羽 潤

【公演概要】http://www.nelke.co.jp/stage/pnish_vol15/
【*pnish*公式サイト】http://www.pnish.jp/
【*pnish*公式twitter】https://twitter.com/pnish_official

(撮影/大宮ガスト)

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