『ハミルトン』をはじめ、圧巻のパフォーマンス!第70回トニー賞受賞式レポート


日本時間の6月13日(月)に行われた第70回トニー賞授賞式。今年の司会は、2012年にコメディ『ワン・マン、ツー・ガヴナーズ』でトニー賞演劇主演男優賞を受賞したジェームズ・コーデンが務めた。映画『イントゥ・ザ・ウッズ』などでも知られるコーデンは、2015年より米・人気長寿トークショー「ザ・レイト×2ショー」の司会を任されると、親しみやすいトークで人気が爆発し、契約を5年間延長されたという逸話を持つ。

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なお、アメリカでは受賞式直前にフロリダ州オーランドで起きた銃乱射事件により、50人死亡、53人負傷と、銃乱射事件として同国史上最悪の被害が出ていた。それを受けて、開幕前にコーデンが「すべての人にとっての悲劇だ」と哀悼の意を捧げたほか、オープニングパフォーマンスでは小道具であるマスケット銃の使用を取り止めるなど配慮がなされた。

そのオープニングパフォーマンスでは、レスリー・オドム・ジュニア率いる『ハミルトン』キャストが「ALEXANDER HAMILTON」でコーデンとパロディを披露!さらに、今年で70周年を迎えるトニー賞を振り返り、歴代のミュージカルの楽曲を詰め込んだパワフルなパフォーマンスで会場を沸かせた。

各賞のプレゼンターもセレブリティぞろい。ミュージカル作品賞でバーブラ・ストライサンドが46年ぶりにトニー賞のステージに登場したほか、オプラ・ウィンフリー、ケイト・ブランシェット、キャロル・キング、ジェイク・ギレンホール、ネイサン・レイン、スティーブ・マーティンら海外ドラマやハリウッド映画でお馴染みのスターがドレスアップして祭典を彩った。

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最も注目を集めたのは、トニー賞史上最多となる13部門16ノミネートを果たしたミュージカル『ハミルトン』。同作は、作品賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞を含む11冠に輝いた。主演男優賞を受賞した『ハミルトン』のオドム・ジュニアは、「(脚本・出演・音楽を手掛けた)リン=マヌエル・ミランダは新しいビジョンを与えてくれた。無限の可能性、友情に感謝したい。いろいろ役柄に疑問があったが、その疑問を払拭したのは愛情だ」と語った。『ハミルトン』に対してはオバマ大統領夫妻も映像コメントを寄せ、「若者のエネルギーをヒップホップで表現している。アメリカの夢、若者のハングリーさが描かれている」とその功績を称えた。

ミュージカル主演女優賞を獲得した『カラーパープル』のシンシア・エリヴォは、「メイクさんに怒られるから絶対に泣かない」と言いつつ、涙をこらえきれず。「時代を選ばない、ずっと通じる物語。ストーリーを語る必要な手立てを作ってくれて、ステージ上で私をより強い女性にしてくれてありがとう」と感極まった表情を見せた。

演劇部門では、家族を描いた『ザ・ヒューマンズ』が作品賞を受賞。演劇部門主演男優賞には、『ザ・ファーザー』のフランク・ランジェラが選ばれた。ランジェラは、「感謝する人たちの名前を読み上げるよりも、オーランドで本日起こったことを話したい」と切り出し、「悪いことが起きた時、我々には3つの選択肢がある。我々は定義づけられるか、破滅するか、強くなるか・・・。厳しい現実に直面したが、ぜひ皆に強くなってもらいたい。一歩ずつ皆と共に歩んで行きたい」と力強くコメント。また、演劇部門主演女優賞を手にした『夜への長い旅路』のジェシカ・ラングは、「夢が叶いました。今日は悲しい日なんですが、最高の気分です」と複雑な胸の内を明かした。

第70回トニー賞受賞式レポート_2

授賞式では、毎年豪華キャストにより行われるパフォーマンスも注目されるところ。『ハミルトン』からは、リン=マヌエル・ミランダ、オドム・ジュニア、フィリッパ・スーほかキャストが勢ぞろいし、エネルギー溢れる「HISTORY HAS ITS EYES ON YOU」を歌い上げた。このほか、『スクール・オブ・ロック』からはアレックス・ブライトマンが子役キャストたちと登場して「YOU’RE IN THE BAND」を演奏し、『シャッフル・アロング』のキャストたちは「BROADWAY BLUES」で圧巻のダンスを披露した。

さらに、『シー・ラヴズ・ミー』からは「ILONA」、「SHE LOVES ME」、「VANILLA ICE CREAM」、『屋根の上のヴァイオリン弾き』からは「SUNRISE, SUNSET」、「THE WEDDING」の2曲で結婚式のパフォーマンスが行われた。

また、『ブライト・スター』からカルメン・キューザックが「IF YOU KNEW MY STORY」を熱唱し、『春のめざめ』は「MAMA WHO BORE ME」、「THE BITCH OF LIVING」を劇中と同じく手話のダンスで魅せたほか、『ウェイトレス』からは「OPENING UP」、ピアノ弾き語りから始まる「SHE USED TO BE MINE」が披露された。さらにノミネート作品以外では、自伝ニュージカル『オン・ユア・フィート!』でグロリア・エステファンが圧巻のパフォーマンス。そしてミュージカルリバイバル作品賞を受賞した『カラーパープル』からは、パワフルな「MYSTERIOUS WAYS」と、ソウルフルな「I’M HERE」が歌われ、スタンディングオベーションが沸き起こった。

今回は『ハミルトン』が劇場に入れない人のために劇場外でパフォーマンスをするように、会場外でもパフォーマンスが行われ、キャストたちが次々と外に飛び出して会場内外を盛り上げた。

この第70回トニー賞授賞式の模様は、6月18日(土)夜7:00からWOWOWプライムにて字幕版として放送される。受賞結果だけでなく、素晴らしいパフォーマンスの数々を合わせてお楽しみいただきたい。なお、生放送ではWOWOWスペシャル・サポーターの井上芳雄が、オープニングで『ショウほど素敵な商売はない』のパフォーマンスを披露していたが、6月18日(土)の字幕版では、別バージョンでお届けする予定だ。どうぞ、お見逃しなく! 放送の詳細は、以下のとおり。

◆「第70回トニー賞授賞式」(字幕版)WOWOWプライム
6月18日(土) 午後7:00 WOWOWプライムで放送!オンデマンドでも配信
https://www.wowow.co.jp/stage/tony/

◆トニー賞放送記念 関連番組情報
トニー賞放送記念 ミュージカル映画特集
「第70回トニー賞授賞式」を記念した、古今東西のミュージカル映画を集めた特集。ブロードウェイ舞台やその原作を映画化した名作も満載。
詳しくは、https://www.wowow.co.jp/pg_info/wk_new/010946.php

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詳しくは、https://www.wowow.co.jp/pg_info/wk_new/011267.php

Photo:『Hamilton』(C)Getty Images

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